【Live2D解説】破綻のない輪郭の変形方法(Y軸) (Pixiv Fanbox)
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【Live2D解説】破綻のない輪郭の変形方法(X軸)
こんばんわ。通知見てひっくり返るかと思いました。 なんでこんな急に増えたのか謎だったのですが、新規の支援者さんが中国語圏の方が多い感じだったので調べたら、ビリビリ動画にこれが転載されてたのですね。 ご丁寧に概要欄に色んなリンクを載せてくださってたのでここまでたどり着いたのかなと思います。何はともあ...
遅くなりましたが、前回の解説の続きになります。
今回はY軸(上下)の動きを解説します。
前回の記事でも、1年前に書いたこのnote記事と見比べながら解説をしましたが、
今回も同じ手法を取りたいと思います。
その前にまずは上下の動きの考え方について図解します。
色々なモデルを作ったり見たりして分かったのですが、
Y軸の動きの考え方には、主に2種類あるようです。
2種類の考え方を便宜上A・Bとし、正面向きの動きとそれを横から見たときの動きを図にしました。皆さんには2つの違いが分かるでしょうか?
パッと見AよりBのほうが可動域が広く見えるのは直ぐに分かるんじゃないかと思います。注目して欲しいのは「輪郭の形」と「顔の向き」です。
注目して欲しい部分に色を付けました。
まず「緑色」は輪郭の形です。Aは上下に動いても輪郭の形が一切変わってないのが分かるでしょうか。それに比べ、Bは上下に動いた時に顎のラインが短くなっています。
次に「紫色」の首の動き、「水色」の顔の向き、「オレンジ色」の顔の前後が分かりやすいように引いたガイドラインを見てみましょう。
Aは顔の向きが殆ど変わっておらず、その分「前後」に顔が動いているのが分かるでしょうか。首もそれに追従して前後に動いています。
比べてBは顔の向きがしっかり上下に変わっており、逆に首は前方の皮膚が伸び縮みしているだけでほとんど動いていません。
つまり、簡単に言うとAは「顔が前後に動く動き」、Bは「顔が上下に動く動き」なんですね。
実際にやってもらうと分かると思うんですけど、A・Bどちらの動きも実際に再現が可能です。なので、どちらの動きも間違いではありません。双方メリット・デメリットがあるので、好きな方を選ぶといいと思います。
Aの動きのメリットですが、個人的に「下を向いたときの上目遣い」が抜群に可愛いです。Bの方で上目遣いをしようと思うと、可動域が広い分上を向きすぎて「ギョロッ」とした目になってしまうのですが、Aだと顔に角度があまりついていないのでちょうどいい塩梅で上目遣いができます。
デメリットとしては動き幅に限界があるという事ですね。動かし過ぎると鶏みたいな動きになってしまうと思います。
それに比べ、Bの方は可動域を大きくとれるところがメリットです。実際に使うかどうかは別ですがリアルな人間は上に50°、下に90°くらい(※①)は動きますので、ガチで可動域を追求したいならそれくらいまでは動かしても不自然なじゃないということです。
(※①今実際に首を自分で動かして確かめたんですけど私の首は可動域が死んでるので健康な人ならもっと動かせるかもしれません。)
デメリットはAより作るのが難しい(顎の構造を知らずに作るとブサイクになる)のと、可動域が広すぎて少し動きがバタバタする恐れがある事です。ただし、後者の方はトラッキングアプリで動き幅の制限が出来ますのでそこまで深刻に考えなくてもいいと思います。
私は高可動域が好きなので現在はBで動かしてますし、今回もBの解説をします。
Aの解説は割愛しますが、Aはそもそも動き幅が小さいので破綻も出にくいと思います。
AとBの動きに仕組みについて分かった所で、以前のnote記事ではどんな解説をしていたのかを見てみます。
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引用:デフォーマはあまり変形させずに、上下にずらしています。
(角度Yは、動きの反転機能は使わず、手動で上下の動きを作ります)
引用:角度Yの動きも、キャラによって個体差が大きいのでその都度微調整しています。ユリアちゃんはかなり大きく変形させています。
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解説はこんな感じでした。
当時は全く意図してなかったんですけど、この二つのモデル(青葉くんとユリアちゃん)の動かし方、まんまAとBに当てはまるんですよね。(青葉くんがA、ユリアちゃんがB)
今回はBの解説をするのでユリアちゃんの変形に注目してみましょう。例に漏れず、この変形も間違いとまではいきませんが作り方が古いです。(※ちなみにユリアちゃんはその後モデルアップデートのご依頼を頂きまして最新の技法に修正しましたのでそこはご安心ください!)
何が古いかというと、「変形幅が一定」なんですね
「上を向いたら∩状に回り込む変形をする」
「下を向いたらU状に回り込む変形をする」
という考え自体は間違いじゃないのですが、全てを均等に回り込ましてしまうと
こんな感じのお面みたいな形に見えてしまうんですよね。よく、Live2Dモデルの動きに違和感があることを「顔がお面みたいに見える」みたいな言い方をしますけど、多分これが原因です。
実際の人間の輪郭(=頭蓋骨)はこんな形はしていませんよね。詳細に形を捉えようとすると難しいので、めちゃくちゃ簡単にデフォルメしてみました。
こんな感じで「球体に顎がくっついてる」と考えるのが一番分かりやすいと思います。
これを上下に動かすとどうなるかというと、
こうなります。赤線の球体部分は殆ど形が変わらず、青線の顎だけが変わっているのが分かるでしょうか。
これのアウトラインだけを拾ってみると、
こうなります。顎だけが上下を向いた時に短くなっているんですね。
冒頭でBの動きの説明をした時、
「上下に動いた時に顎のラインが短くなっています。」と言いましたが、原理はこうなっていたというわけです。
というわけで、現在はこの法則に則って変形させています。
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上下に動かしたとき、顎だけを短くします。この時注意するのが、
短くするのは赤線だけです。青線の長さはなるべく弄らないようにしましょう。
輪郭線が頭蓋骨をまるっと覆う形であれば、その部分は殆ど変形させなくてよいのですが、以前の記事で述べた通り、今回は生え際で輪郭線を作っているので、その部分に立体感が出るように輪郭の上部も変形させています。
原理的に言うとこういう事。(赤線の生え際付近は回り込むよ)
…というわけでY軸の輪郭変形の解説は以上になります。
今回は構造の説明が多くて読んでてしんどかったかもしれません。難しい話ですみません!
しかし、この顎の構造を理解するだけで上下の動きのクオリティは見違えるように変わると思いますので是非とも取り入れていただきたいところです。
実際に私は、この原理を理解する前と後ではモデルの作り方もクオリティも激変しました。
次回は輪郭変形最大の難所、「斜めの変形」について解説したいと思います!
それでは!