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※한국어판도 밑에 있어요.  この世界は心の世界だと教皇様は言った。  魔王も思いをぶつけろと言う。  クレア様に今、届けるべき思いは何か。  私は考えて、それ(・・)を選んだ。  私は指先をクレア様に向けると、そのイメージを放った。  目映い光がクレア様に向かって着弾する。 『平民風情がわたくしと机を並べようなんて、身の程を知りなさい!』  光がスパークすると、懐かしいセリフが暗闇の中に響いた。  同時に夕焼けの教室が懐かしい景色に塗り替えられていく。  そう。  クレア様と私の最初の出会いだ。 「これは……わたくし……?」 「そうです、クレア様。これが本当のあなたの記憶です」 「知らない……。わたくし、こんなもの知りませんわ。デタラメを仰らないで」 「デタラメなんかじゃありません。私はずっとクレア様の側にいました! この時からずっと!」  私は声を張り上げた。  思いが届くように。  タイムに浸蝕されたクレア様の心を癒やすように。  私は次々と光弾を繰り出した。 『クレア様、私はクレア様が大好きです』 『な……、ななな……!?』  私はクレア様に愛を囁いてきた。  ずっと、ずっと。  転生したあの日から、精一杯、一心に。 『あら、ごめんあそばせ? ぼーっと立っていらっしゃるから、置物かと思いましたわ』 『取り巻きがいらっしゃるのに、他人に頼らず自ら手を汚されるなんて! それでこそクレア様です!』  私の光弾がクレア様に届く度、世界が姿を変える。  喜々としていじめられに行った懐かしい日々。 『あなたはどうしてわたくしのことが好きだなんて言うんですの?』  メイドとなり、クレア様に仕えるようになった。 『わたくしは人に好かれるような性格ではありませんわ』  愛を囁いても、素直には受け取って貰えなくて、 『じゃあ、信じて頂けるように頑張ります』  それでも愛を囁くことはやめなかった。 『これまでありがとう、テイラーさん』  マナリア様のことがきっかけで、ケンカもした。 『たとえ神様の天秤に認められなくても、それでもあなたを愛します。誰に負けようとも、それでもずっとあなただけを愛し続けます。だから――』  それでも仲直りして、一層二人の絆は強くなった。 『レイはわたくしのものよ! わたくしのものを取らないで!』  クレア様も多分、この頃から変わって行って。 『わたくしは、貴族ですもの』  それでもまたすれ違って。 『一度くらい、私のワガママ聞いて下さいよ、ばかぁぁぁー!!!』  そうやっていくつもの波を二人で乗り越えてきた。 「くっ……こんな幻をいくつ見せられても……」 「その割にはちょっと苦しそうですよね、クレア様。もしかして、アナタの中の本物のクレア様の記憶と感情が暴れてるんじゃないですか?」 「そんなこと……!」 「まだまだ行きますよ!」  私はさらに光弾を撃ち続けた。 『ショートカットの可愛いあなた。あなたは今日からメイと名乗りなさい』 『かわいい……? めい……?』 『ロングの綺麗なあなた。あなたはアレアですわ』 『……きれい? ……あれあ?』  メイやアレアとの出会い。 『今日は来られて良かったですわ。ありがとう、レイ』  穏やかな新婚生活。 『遠路はるばるご苦労。余がナー帝国皇帝、ドロテーア=ナーである』  帝国への引っ越し。 『私はずっと母が理解出来なかった。彼女はずっと、私のことを苦しめたいのだと思っていた。でも多分、それは違う。違うんだよ。あの時、爆発から身を挺して私を守ってくれたあの人は、間違いなく私の母だった』  教皇様の暗殺未遂事件。 『レイってば、顔が真っ赤ですわよ?』 『全部、クレアのせいですからね』 『ふふ、そうですの……え?』  二人して踊った舞踏会。 『貴様は大逆の罪により、国外追放処分とする』  失敗に終わった帝国籠絡作戦。 『ヤツはしてはならないことをしました。私たちの逆鱗に触れたと言っていいでしょう』 『そうですわね』 『絶対、捕まえましょうね』 『ええ、絶対に』  教え子たちの抱える問題を解決し。 『ドロテーア、気がついていますか?』 『何をだ?』 『この会談以前に彼女を解き放った時点で、あなたはとっくの昔に負けていましてよ? ふふ、ふふ……おーっほっほっほ!』  首脳会談でドロテーアをやりこめ。 『魔王様の降臨だ。人間ども、絶望しろ。そして死ね』  帝都襲撃では魔族にギリギリまで追い詰められ。 『そうですわね。あなたは天才ですわ。だから……一人でもきっと大丈夫』 『イヤです……イヤだ……。私を一人にしないで、クレア。お願い……』  世界の真実には二人して驚かされた。 『バカぁ……バカぁぁぁ……あーぁぁぁ……!』 『ごめんなさい……ごめんなさい、レイ。怖い思いをさせましたわね。本当にごめんなさい……』  熾烈を極めた魔王との戦い。  そして、今。 「はあ……はあ……どうしてこんなまやかしが……!」 「いい加減思い出して下さい、クレア様。私たちの絆は、たかが人類の存続ごときに上書きされるほど浅いものじゃないはずです」 「人類の存続……ごとき!?」 「そうです、ごときです。クレア様と私が添い遂げることに比べたら、その他の事なんて有象無象ですよ。なんで分からないんですか」 「人類の存続がそんなに軽いわけないでしょう! 何言ってますのレイ! ……あっ」 「そうそう、その調子です。いい感じですね、クレア様?」 「わたくし……は……え……どうして……?」  クレア様が怯えるように身体を縮こまらせた。  彼女を包んでいた濃い紫色の光は、その色を随分薄めているように見えた。  光に抑え込まれるように、クレア様が苦しげに身をよじる。 「思い出して下さい、クレア様! あなたが関わった人たちのことを! メイやアレアのことを! そして、誰より私のことを!」 「うぅ……」  光が明滅している。  あれがクレア様の心を縛り付けている元凶だろうか。 「約束したじゃないですか、四人で帰るって! 一緒に帰りましょう、クレア様!」  私は特段の思いを込めて、とどめの光弾を放った。 『そうですか? それじゃあ、やり直しさせて下さい』 『い、いいですわよ? 特別に許して差し上げますわ』 『いえ、そちらではなく』 『え?』  革命を乗り越えて、初めて思い合って交わした幸せな口づけ。 「あ……ああ……」 『クレア様』 『……はい』 『愛してます』 『わたくしもですわ、レイ』 『クレア様を一生、愛し続けると誓います』 『そばでずっと、支え続けますわ、レイ』  革命前夜のキスはクレア様から。  革命の時のキスは私から。  そして、結婚式の時は二人で、だった。 「あああ……っっっ……!!」  クレア様が我が身を抱きしめながら絶叫すると、紫色の光ははじけ飛んで消えてしまった。  同時に、辺りが明るくなっていく。 「クレア様!」 「いや……いやですわ……。わたくし、お母様と離れたくない。『あなた』と離れたくない……」  クレア様はまだうなされるように言った。  彼女にとって、ミリア様との死別、そして私という存在は、手前味噌ながらとても大きな意味を持っているのだろう。  「目覚める」ことに恐れをなしているように見えた。  いつも気丈に振る舞っているが、本当のクレア様は傷つきやすくて繊細な心の持ち主なのだ。 「私はどこにも行きませんよ。私はここにいます。きっと、ミリア様だって――」  私が何か言おうとすると、幻のミリア様がすっとクレア様の背中を押した。 「お母様?」 「クレア、あなたはもう、大丈夫なのね。それなら……私も安心して送り出せます」  このミリア様はタイムが作り出した幻であるはずだ。  それでも、ミリア様はまるで本物の彼女のように、クレア様を諭そうとしている。 「いやですわ! わたくし、ずっとお母様と一緒にいたいんですのよ!」 「私はいつだってあなたの側にいるわ。マナリアちゃんも言っていたでしょう? 私の思いはずっとあなたの中で息づいています。あなたが忘れない限り」 「忘れたりなんて絶対にしませんわ!」 「そう。なら、分かるわね? あなたがこれからどうするべきか」 「……」  クレア様はまだ迷っているように見える。  葛藤に海の色の瞳が揺れていた。 「あなたはクレア=フランソワ。ドル=フランソワとこのミリア=フランソワの愛しい娘。私たちの娘なら、それに恥じない生き方をしなさい」 「お母様たちに……恥じない……」 「レイが教えてくれたでしょう? 辛くても、苦しくても、でも、あなたが歩んできたその道のりには、沢山の人との出会いがあったと。彼女たちの思いを、あなたは無駄にしてはいけません」  クレア様がはっとするようにこちらを振り返った。  彼女の視線は私と、私よりもさらに後ろに向けられている。  クレア様はそこに何かを見たらしい。 「さあ、もう目覚める時間です。さようならは言わないわ。行ってらっしゃい、愛しいクレア」 「……お母様。またいつか、お目に掛かることが出来まして?」 「ええ、あなたがその人生を誇りとともに生き抜いたその後で」 「……分かりましたわ。わたくし、もう迷いません。いつか、お母様に笑ってご報告出来るように生きますわ――レイと一緒に」 「ええ、待っています」  そう言うと、ミリア様の姿は徐々に薄れ、虚空に溶けて消えてしまった。  クレア様は涙を拭うと、こちらに向き直った。  その身体が徐々に落下してくる。  魔王が受け止めようとしたが、私はそれを追い抜いてその身体を抱き留めた。  どうやらもう私の身体は普通に動けるようだ。  私はクレア様の身体を横たえると、その手を強く握った。  ふと、そこに別の誰かの手が重ねられたような気がした。  それも一人ではない。  リリィ様、マナリア様、ミシャ、レーネ、三王子、フィリーネ、ドロテーア、教え子たち……他にも沢山たくさん。  今までクレア様と一緒に出会った幾人もの人たちが一緒にクレア様の手を握ってくれていた。 「レイ……」 「はい」 「わたくし、帰ってきましたわ」 「はい。ご気分はいかがですか?」 「……複雑ですわ。長い夢を見ていました……。とても優しくて悲しい夢を」 「……」  ミリア様がいて、まがい物でも私もいる世界。  それはきっと、クレア様にとってとても安楽な場所だったことだろう。 「でも、夢は夢でしたわ。どれほど居心地がよくても、あれは偽りのもの。お母様に叱られてしまいましたわ」 「でも、大丈夫です。クレア様は皆のこと、ちゃんと気付いたでしょう?」 「ええ、そうですわね」  不思議なことに、クレア様にも私が見たあの光景は伝わっているようだった。  ただの幻かもしれない。  でも、心が全てという空間だ。  何が起こったのだとしても不思議ではない。 「まあとにかく、これでタイムの思惑は外れたはずです。後は帰るだけですね」 「どうやって帰るのかしら……?」 「……さあ……」  よく考えてみたら、行きはタイムが送ってくれたので、帰り方が分からない。 「心配しないで下さい。私が送ります」 「魔王……」 「クレア様……ご無事でなによりです」 「あなた、身体が……」 「ええ、そろそろ限界のようです」  私がクレア様とやり合っている間、クレア様からの攻撃は全て魔王が身代わりになってくれていた。  やはりこの世界で受けたダメージは、実体にも影響があるらしい。  魔王の身体は徐々にその色が薄れて行く。 「そろそろ私の力も底をつきそうです。私はここでは異物。ウィルスとしてシステムから排除されますから、私に触れていれば一緒に抜け出すことが出来るはずです。レイ=テイラー、クレア様のことを頼みましたよ」 「ちょっと待って下さい、魔王。システムのことはどうしたら……」 「それはもう、あなた方二人に任せます。私にはもうどうしようもないですから。続けるも止めるも変えるも、好きにすればいいです」 「そんな無責任な」 「知らなかったんですか。私、割と無責任なんですよ」 「……そういえば、魔王は私でしたね」 「そういうことです」  魔王は薄く笑うと、残っている方の手でクレア様と私を抱えた。  それと同時に、三人の体が上へ上へと昇っていく。 「向こうに戻ったら、まず、タイムの機能を制限するといいでしょう。それからのことは二人でゆっくり考えればいいと思います」 「ありがとうございますわ、魔王……いいえ、もう一人のレイ」 「いいえ、その名前で呼ばれる資格は、私にはないでしょう」 「……」  しばらく、無言で不思議な空間の中を昇っていく。  と、魔王が腕を放した。 「魔王?」 「ここでお別れです。あなた方はそのまま昇って行きなさい」 「あなたは……?」 「……」  見ると、魔王の体は消失を始めていた。  上へ昇っていく私たちとは逆に、暗い水底のような下方へと沈んで行く。 「長い……本当に長い旅でしたわね。もう休んでいいんですのよ」 「ありがとうとは言いません。でも、お疲れ様でした」  まるで老人の臨終を看取るかのように、クレア様と私は言った。 「ええ、そうさせて頂きます。お元気で、クレア様。レイ=テイラー、頼みましたよ」  その言葉を聞くと同時に、私たちの意識はフェードアウトするのだった。  最後に見た魔王の顔は分かりづらかったが、もしかしたら、笑っていたかも知れない。 *아래의 번역은 "와타오시 번역"의 협력으로 실현되었습니다.고마워요, "와타오시 번역" 266. 심상세계(3) 교황님은 이 세계가 심상의 세계라고 말했다. 마왕도 내 마음을 부딪혀보라고 외쳤다. 지금 클레어 님에게 전해야 하는 마음은 뭘까. 나는 고민 끝에 ‘그걸’ 골랐다. 나는 손가락 끝을 클레어님을 향해 조준하고서 그 이미지를 쏘아냈다. 눈부신 빛이 클레어 님을 향해 날아갔다. 『평민 따위가 저와 나란히 책상을 쓰려고 하다니, 주제를 알도록 하세요!』 빛이 스파크를 튀기면서 그리운 대사가 허공에 울렸다. 동시에 석양이 지던 교실이 그리운 추억속의 풍경으로 덧씌워졌다. 그래. 클레어 님과 나의 첫 만남이다. “이건…… 저……?” “맞습니다, 클레어 님. 이게 진짜 당신의 기억입니다.” “몰라……. 저는 이런 기억 몰라요. 헛소리하지 마세요.” “헛소리가 아닙니다. 저는 항상 클레어 님의 곁에 있었어요! 이 때부터 항상!” 나는 목소리를 높였다. 마음이 전해지도록. 타임에게 침식당한 클레어 님의 마음이 치유될 수 있도록. 『클레어 님. 저는 클레어 님을 정말 좋아해요』 『뭐…… 뭐뭐뭐……?!』 나는 클레어 님에게 사랑을 속삭였다. 지금까지, 언제나. 전생 첫날부터 있는 힘껏, 오직 한마음으로. 『어머, 이거 죄송하게 됐어요. 그렇게 멍하니 서 계시니 어디 굴러다니는 물건인 줄 알았지 뭐예요.』 『곁에 추종자들을 잔뜩 거느리고 있으면서도 타인에게 의지하지 않고 스스로의 손을 더럽히다니! 그야말로 클레어 님이세요.』 쏘아낸 빛의 탄환이 클레어 님에게 닿을 때마다 세계가 모습을 바꿨다. 희희낙락 괴롭힘 당하러 가던 그리운 나날들. 『당신은 어째서 저를 좋아한다는 둥 말하는 건가요?』 메이드가 되어 클레어 님에게 봉사를 바쳤다. 『저는 다른 사람한테 사랑받을 만한 성격이 아니에요.』 아무리 사랑을 속삭여도 그걸 솔직하게 받아주질 않았고, 『그럼 믿어주실 수 있도록 노력하겠습니다.』 그럼에도 사랑을 속삭이는 걸 멈추지 않았다. 『지금까지 고마웠어요. 테일러 양.』 마나리아 님이 나타난 걸 계기로 싸우기도 했다. 『설사 신이 하사한 천칭에게 인정받지 못한다고 해도, 그렇다고 해도 당신을 사랑하겠습니다. 다른 누군가에게 패배한다 해도, 그렇다고 해도 언제나 당신만을 계속 사랑하겠습니다. 그러니까——.』 그래도 우리들은 화해했고, 우리의 인연은 한층 더 강해졌다. 『레이는 내 거라고! 내 거를 빼앗지 말아줘!』 아마 클레어 님도 그 때쯤부터 달라지기 시작해서. 『저는, 귀족인걸요.』 그런데도 다시 엇갈리고. 『한 번쯤은 내 어리광을 들어달라고요, 이 바보오오오—!!』 그렇게 몇 번이고 닥쳐오는 파도를 둘이서 함께 극복해왔다. “큭…… 이런 환영 몇 개 보여준다고 해도…….” “그런 것 치고는 조금 괴로워 보이시네요, 클레어 님. 혹시 당신 안에 있는 진짜 클레어 님의 기억과 감정이 날뛰고 있는 거 아닌가요?” “그렇지는……!” “계속 갑니다!” 나는 계속해서 광탄을 쏘아냈다. 『숏 컷을 한 귀여운 당신. 당신은 오늘부터 메이라는 이름을 갖도록 하세요.』 『귀여워……? 메이……?』 『롱 헤어를 한 예쁜 당신. 당신은 알레어예요.』 『……예쁜? ……알레어?』 메이와 알레어와의 만남. 『오늘 여기 올 수 있어서 다행이에요. 고마워요, 레이.』 평화로운 신혼생활. 『먼 길 오느라 수고했다. 짐이 나 제국의 도로테아 나 황제다.』 제국으로 이사. 『나는 줄곧 어머니를 이해할 수 없었어. 어머니는 언제나 나를 괴롭히고 싶어 한다고 생각하고 있었어. 하지만 아마 그건 아냐. 아니었어. 그때, 폭발에서 몸을 던져 나를 지켜줬던 그 사람은 틀림없이 내 어머니였어.』 교황 성하의 암살미수사건. 『레이도 참, 얼굴이 새빨개졌는데요?』 『전부, 클레어 탓이니까 말이죠.』 『후후, 그런가요……에?』 함께 춤을 췄던 무도회. 『네 녀석은 대역죄로서 국외추방 처분을 내린다.』 실패로 끝난 제국농락작전. 『녀석은 해서는 안 되는 짓을 했습니다. 우리들의 역린을 건드렸다고 말해야겠죠.』 『그러네요.』 『반드시 붙잡자고요.』 『네, 반드시.』 제자들이 품고 있던 문제를 해결하고. 『도로테아, 눈치채셨습니까?』 『뭐를 말인가?』 『이 회담 이전에 그녀를 자유롭게 풀어준 시점에서 당신은 이미 패배한 거였다는 걸요. 후후, 후후……. 옷———홋홋호!!』 수뇌회담에서 도로테아를 항복시켰고. 『마왕님의 강림이다. 인간 놈들, 절망해라. 그리고 죽어라.』 제도 습격에서 마족들에게 아슬아슬한 순간까지 몰렸다. 『맞아요. 당신은 천재예요. 그러니까…… 분명 혼자서도 괜찮을 거야.』 『싫어요…… 싫어……. 나를 혼자두지 마, 클레어. 부탁이야…….』 세계의 진실을 알고 우리 둘 다 깜짝 놀랐다. 『바보…… 바보오오오…… 으아아아앙……!』 『미안해요…… 미안해요, 레이. 무섭게 만들었군요. 정말로 미안해요…….』 더없이 치열했던 마왕과의 싸움. 그리고 지금. “하아…… 하아…… 어째서 이런 환각들이……!” “이제 슬슬 떠올려주세요, 클레어 님. 우리들의 인연은 고작 인류의 존속 따위한테 덧씌워질 정도로 얕지 않을 겁니다.” “인류의 존속…… 따위?!” “그래요. 그 따위입니다. 클레어 님과 저의 백년해로에 비하면 인류의 존속 따위, 있으나 마나예요. 어째서 그걸 모르시는 겁니까.” “인류의 존속이 그렇게 가벼울 리가 없잖아요! 무슨 소릴 하는 거예요, 레이! ……앗.” “그래요, 그래, 그 기세입니다. 좋은 느낌이잖아요, 클레어 님?” “저……는…… 어…… 어째서……?” 클레어 님은 두려워하는 것처럼 몸을 움츠렸다. 그녀를 감싸고 있던 짙은 자색의 빛이 점차 힘을 잃고 옅어져가는 게 보였다. 그 빛에 억눌리는 듯이 클레어 님이 고통스러워하며 몸을 비틀었다. “떠올려주세요, 클레어 님! 당신이 함께 했던 사람들을! 메이와 알레어를! 그리고 누구보다도 바로 저를!” “으으…….” 빛이 깜빡이고 있었다. 저게 클레어 님의 마음을 옭아매고 있던 원흉인 걸까. “약속하셨잖아요, 넷이서 함께 돌아가자고! 함께 돌아가요, 클레어 님!” 나는 특단의 마음을 담아서 최후의 광탄을 쏘았다. 『아 그런가요? 그럼 다시 하게 해주세요.』 『그, 그래요? 특별히 용서해 드리겠어요.』 『아뇨, 그쪽이 아니고.』 『에?』 혁명을 극복하고 처음으로 서로의 사랑을 나눴던 행복한 입맞춤. “아…… 아아…….” 『클레어 님.』 『……네.』 『사랑합니다.』『저도요, 레이.』 『클레어 님을 평생, 언제까지나 사랑하겠다고 맹세합니다.』 『항상 당신 곁에 있을게요, 레이.』 혁명 전날 밤의 키스는 클레어 님이. 혁명 때의 키스는 내가. 그리고 결혼식 때는 둘이서 함께였다. “아아아…… 아아악……!!” 클레어 님이 지신의 몸을 움켜쥐고서 절규하자 자색의 빛이 튀어 오르며 허공으로 사라졌다. 그와 동시에 주변이 밝아지기 시작한다. “클레어 님!” “싫어…… 싫어요……. 저, 어머님과 헤어지고 싶지 않아. 『당신』과도 헤어지고 싶지 않아…….” 클레어 님은 아직도 악몽에 시달리는 것처럼 말했다. 클레어 님에게 있어서 밀리아 님과의 사별, 그리고 자화자찬 같지만 나라는 존재는 커다란 의미를 갖고 있는 거겠지. ‘깨어나는’ 것을 몹시도 두려워하는 것처럼 보였다. 언제나 씩씩하게 행동하고 있어도, 사실 클레어 님은 상처받기 쉬운 섬세한 마음을 가진 사람이다. “저는 아무데도 안가니까요. 저는 여기에 있습니다. 분명 밀리아 님도——.” 내가 뭔가 말하려고 했을 때, 밀리아 님의 환영이 가만히 클레어 님의 등을 떠밀었다. “어머님?” “클레어, 너는 이제 괜찮은 거구나. 그러니…… 나도 안심하고 보내드리겠어요.” 이 밀리아 님은 타임이 만들어낸 환영일 텐데. 그런데도 밀리아 님은 마치 진짜 밀리아 님처럼 클레어 님을 타이르고 있었다. “싫어요! 저는 언제나 어머님과 함께 있고 싶다고요!” “저는 언제나 당신 곁에 있어요. 마나리아도 말했잖아요? 제 마음은 줄곧 당신의 안에서 숨 쉬고 있어요. 당신이 그걸 잊지 않는 한.” “결코 잊지 않을 거예요!” “그래요. 그러면 알고 있는 거네요? 당신이 이제부터 뭘 해야 할지.” “…….” 클레어 님은 아직도 망설이고 있는 것 같았다. 소용돌이치는 갈등으로 눈동자가 흔들리고 있었다. “당신은 클레어 프랑소와. 도르 프랑소와와 저 밀리아 프랑소와의 사랑스러운 딸. 우리들의 딸이라면 그에 부끄럽지 않은 삶의 자세를 보여주세요.” “부모님들께…… 부끄럽지 않은…….” “레이가 가르쳐줬잖아요? 괴로웠고, 힘들었어도, 그래도 당신이 걸어왔던 길에는 많은 사람들과의 만남이 있었다고. 당신은 그들의 마음을 허사로 만들어선 안 돼요.” 클레어 님이 그제야 깨달은 것처럼 내 쪽을 돌아보았다. 그녀의 시선은 나와, 나보다도 한참 더 뒤쪽을 향해 있었다. 클레어 님에겐 그곳에 있는 무언가가 보이는 모양이었다. “자, 이제 눈을 뜰 시간이에요. 작별인사는 하지 않을게요. 다녀오세요, 사랑하는 클레어.” “……어머님. 또 언젠가, 다시 만날 수 있을까요?” “네, 당신이 그 인생을 자랑스럽게 마치고 난 후에.” “……알겠어요. 저 이제 망설이지 않겠어요. 언젠가 웃으며 어머님께 보고드릴 수 있도록 살아갈게요—— 레이와 함께.” “네, 기다리고 있을게요.” 그 말을 남기고 밀리아 님의 모습은 천천히 흐려지더니 허공에 섞여 사라졌다. 클레어 님은 눈물을 훔치고서 나를 마주했다. 클레어 님의 몸이 천천히 쓰러지고 있었다. 마왕이 클레어 님을 받아내려고 했지만 내가 먼저 앞질러서 클레어 님의 몸을 꽉 껴안았다. 아무래도 이제 다시 평범하게 움직일 수 있게 된 것 같다. 나는 클레어 님의 몸을 바닥에 뉘이고서 힘주어 손을 잡았다. 문득, 그 손 위로 다른 누군가의 손이 겹쳐지는 걸 느꼈다. 그건 한 사람이 아니었다. 릴리 님, 마나리아 님, 미샤, 레네, 왕자님들, 필리네, 도로테아, 제자들…… 그밖에도 많고 많은 손길. 지금까지 클레어 님과 함께 만났던 여러 사람들이 함께 클레어 님의 손을 잡아주고 있었다. “레이…….” “네.” “저, 돌아왔어요.” “네. 기분은 좀 어떠신가요?” “……복잡하네요. 긴 꿈을 꾸고 있었어요……. 정말로 상냥하면서 슬픈 꿈을.” “…….” 밀리아 님이 있고, 가짜긴 했지만 나도 같이 있는 세계. 그건 분명 클레어 님에게 정말로 안락한 장소였겠지. “하지만 꿈은 꿈이에요. 얼마나 마음 편한 곳이라도 그건 거짓된 세계. 어머님에게 혼나고 말았어요.” “하지만 괜찮습니다. 클레어 님은 모두의 마음을 깨달으셨잖아요?” “네, 그러네요.” 신기한 일이지만 클레어 님에게도 내가 봤던 그 광경이 전해졌던 모양이다. 단순한 환영이었을지도 모른다. 하지만 오직 마음만이 전부인 공간이다. 무슨 일이 일어나도 이상할 건 없다. “자 어쨌든 이걸로 타임의 예상은 빚나갔을 겁니다. 이제 돌아가기만 하면 되겠군요.” “그런데 어떻게 돌아가면 좋을까요……?” “……글쎄요…….” 잘 생각해보면 올 때는 타임이 보내줬던 거니까 돌아가는 방법을 모르겠다. “걱정하지 말아주세요. 제가 보내드리겠습니다.” “마왕…….” “클레어 님…… 무사하셔서 다행입니다.” “당신, 몸이…….” “네, 슬슬 한계인 모양이군요.” 내가 클레어 님과 한바탕 하는 동안 클레어 님이 쏘아낸 공격은 전부 마왕이 대신 몸으로 막아주고 있었다. 이 세계에서 입은 데미지는 실체에도 영향을 주는 모양이었다. 마왕의 몸이 점차 색을 잃어가고 있었다. “슬슬 제 힘도 바닥을 드러내고 있습니다. 여기선 저는 이물질. 바이러스로서 시스템에서 배제당할 테니까 저와 맞닿아 있으면 함께 빠져나갈 수 있을 겁니다. 레이 테일러, 클레어 님을 잘 부탁드리겠습니다.” “잠깐 기다리세요, 마왕. 시스템은 어떻게 해야…….” “그건 이제 두 분에게 맡기겠습니다. 저로선 이제 어쩔 수 없으니까요. 시스템을 지속하든, 정지시키든, 아예 바꿔버리든, 편할 대로 하면 됩니다.” “그런 무책임한.” “모르셨습니까. 저 의외로 무책임하다고요.” “……그러고 보니 마왕은 저였죠.” “그런 거죠.” 마왕은 가볍게 웃으면서 남은 한쪽 손으로 클레어 님과 나를 안았다. 그와 동시에 세 사람의 몸이 위쪽으로 상승하기 시작했다. “저쪽으로 돌아가면 먼저 타임의 기능을 제한하는 게 좋겠죠. 그 후의 뒷일은 둘이서 천천히 생각해보면 될 겁니다.” “고마워요, 마왕…… 아니, 또 한사람의 레이.” “아니요, 저에겐 그 이름으로 불릴 자격은 없겠죠.” “…….” 잠시 아무 말 없이 이 신기한 공간 속을 올라갔다. 그리고, 마왕이 팔을 풀었다. “마왕?” “여기서 이별입니다. 여러분은 이대로 계속 올라가주세요.” “당신은……?” “…….” 잘 보니 마왕의 몸은 점차 소실되고 있었다. 위로 올라가고 있는 우리들과는 반대로, 검은 물속과도 같은 아래를 향해 가라앉았다. “긴…… 정말로 긴 여행이었군요. 이제 쉬어도 괜찮아요.” “고맙다는 인사는 않겠습니다. 하지만 수고하셨어요.” 우리는 마치 노인의 임종을 옆에서 지켜보는 것처럼 마지막 말을 건넸다. “네, 그러도록 하겠습니다. 클레어 님, 건강하시길. 당신에게 맡겼습니다, 레이 테일러.” 그 말이 귀에 닿음과 동시에 우리들의 의식이 깜깜해졌다. 마지막으로 본 마왕의 얼굴은, 확실하지는 않지만 어쩌면 웃고 있었을지도 모른다.

Comments

おーらんどー

「理想から現実に逃げ込む」のではなく、「理想から超現実に逃げ込んでいた」クレア様。 一人のド畜生を除き、(ドロテーアと同様に)魔王にも「理想」を添えた最期を与えたのは、この作品らしいと思います。