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■初日アフター ロングジャンプユニットの初日はあの後何本かターンの練習をして早めに終わり、会食になった。 白い壁にナチュラウッドのテーブル、天井から垂れ下がるグリーンが気持ちいいカフェテリア。 その海の見えるデッキに6人のTシャツ競泳水着の少女が座って談笑している。 同じチームであることを示すTシャツに、アクアバレットメーカーのクスィファイーダのロゴが入っている。 教官1「あなたたち気に入ったわ、食べて食べて♡」 クロエ「あの・・・これ、食べた後に実は奢らせジャンケーン!・・・とか、ないですよね?」 教官2「クロエ、あなた勘が良いわね・・・」 クロエ「うっ、冗談で言ったのに・・」 教官1「あはは!そんな事しないから。ここは私たちのおごりだから安心して♡」 4人「ホッ・・」 アイリ「うわぁ!マキガイパフェ、食べたいと思ってたんです♡」 ユズリハ「アイと一緒にチェック入れてたんです。私たち2人こういうのに目がなくて」 イスカ「アイもユズも食通だもんね〜」 教官1「あら良かった♡ 実は私たちもなの。普段仕事でカラダ動かしてるから、お腹が減っちゃって♡」 教官2「この仕事のいいところはデスクワークとカラダ動かすバランスが取れてる所ね。おかげで休日食べ歩いても大丈夫」 うんうん・・と4人がまじまじと2人のカラダのラインを見る。 近くで見ると出るとこは出て引き締まってるのがよく分かる。 研究者というよりプロのアスリートという方がしっくりくる。 クロエ「あの、お仕事って普段どんな事されるんですか?」 イスカ「聞きたーい!」 教官1「研究所はここから船でちょっと行った小島にあってね、そこに見えるアクアバレットスタジアムをちょっと小さくしたような場所なの」 教官2「研究所って聞くとなんか仰々しい感じだけど、実際はちょっとセキュリティの厳しいアクアバレットスタジアムよ。ただ、中で働いてる人は私たちのような元ガンネレイスの職員だったり、完全に理系の人だったりと様々ね」 教官1「まず、波の上で自由に挙動できるっていうのが一般の人にはハードル高いからね♡ 滑るくらいはそこそこ誰でもできるんだけど、私たちみたいに飛んで跳ねて潜る事ができるのはとても少ない。その点だけでもガンネレイスはポイント高いのよ♡」 教官2「その強みを活かして、私たちはデスクワークもそこそこに研究所のスタジアムの中で試作品のアクアバレットをぶっ放して、様々なユニットの人体実験に使われているわけ」 アイリ「じ、人体実験・・・」 教官1「そうそう、腕の中にチューブを埋め込んで、いかついヘルメットをかぶせられてね・・・ あっ♡ あっ♡ って繰り返し電流を流されてビクンビクン!って・・・」 ユズリハ「ゴクリ・・・」 教官2「冗談よ、冗談。そんな事しないわ。まぁでも心拍数の変動だったり、筋肉の信号だったり、カラダに起こる事を正確にモニターするために多少カラダにケーブル付けるのは事実だけど。埋め込んだりとかはないわ。ただペタッと貼るだけ」 教官1「ウフフ♡ごめんごめん♡あなたたち可愛いから、からかうのたのしくって♡」 イスカ「んもー!本気にしちゃうから程々にしてよー」 教官2「フフ、スタジアムもいくつかあってね、ラボって呼んでるんだけど、新アクアバレットシューター開発用、今回のようなジャンプユニット開発用、ウェア開発用と部署が分かれてるの。で、部署同士ノウハウ共有してるから、トータルでバランス取れたものが供給できるというわけ」 教官1「うちのクスィ・ファイーダ社はAGO製糸とも提携してるから、私たちやあなたたちのウェアは現場からのフィードバックで改善されてるのよ♡」 教官2「特にこの競泳インナーなんて技術的には結構すごいんだから。サラサラ快適、薄いのに高強度。抗菌防臭、人類の叡智が詰まってると言っても過言じゃないわ。人間は、股間部分のV字をいかに美しく見せるか、おなかや肋骨、胸から鎖骨・・・体幹のカラダのラインをいかに美しく見せるかについての追求心はハンパじゃないわね」 教官1「うちのウェア部門の人、採寸してもらう時のあの、ねちっこい視線がたまらないのよね〜♡」 教官2「あ、1人居るよね。あの人でしょ? 腕はピカイチなんだけど、絶対ムッツリだよね」 教官1「そうそうそう♡あの熱い視線♡きっと目が3Dリーダーカメラになってるのよ♡競泳インナーを私のカラダに本当にぴったりに仕上げてきて、締まって欲しい所と緩やかな部分が絶妙なの。一度もカラダを触られた事ないのに、カラダの細部を知られている感じ♡」 教官2「女体の体幹部分の大量のライブラリーがウェア部門には存在するって聞くし、女体マニアも多いんでしょうね。・・ちゃんと管理して悪用しなければそれは悪い事じゃないわ。合わない水着は痛いだけだしね」 4人が目を丸くして聞き入る。 自分たちのウェアはなんとなく、工場ではじめからこの形で作られていると思っていた。 実際に目の前に居る教官たちがその一端に携わっているのかと思うと、なんかカッコイイなと思ってしまう。 なんかこう、業界人、オトナって感じだ。 そして、メーカー内の女体マニアな人が競泳インナーをデザインしていると聞いて、なんかこう、無数の手と視線がぴっちりとカラダを包む競泳インナー越しに感じて、なんとなく4人はモジモジしてしまう。 教官2「それにしてもあなたたちの仲の良さ、すごくいいと思うわ♡」 教官1「何が秘訣なのかしら」 イスカ「(ねぇクロエ・・秘訣ってどう言う意味だっけ)」 クロエ「(イスカ・・・秘訣っていうのは・・うまくその物事が回るための内緒の方法のことよ) イスカ「(ええ!?内緒なら教えちゃダメじゃん!)」 ヒソヒソ声の2人、くるくると表情が変わり、感情を表すようにぴょこぴょこ動くイスカのツインテ。 教官2「ぷぷ・・丸聞こえよ」 アイリ「アハハ!私達はいろんな面で凸凹なので・・・バランス取れてるんだと思います」 ユズリハ「アクアバレットでも4人とも得意な事が異なるので、競技中もぶつかる事ってほとんどないんです。普段もよくみんなでご飯食べたりしてますし」 教官2「なんとなく分かったような気がするわ」 クロエとイスカが恥ずかしそうにエヒヒと笑う。 年がそう離れていない、ちょっと先輩に見える教官2人に4人がマキガイパフェをつつきながら色々質問する。 アイリ「あの、お二人の競泳インナーは仕事着なんですか?」 教官2「ああコレ?ええ、これが技研内での指定ウェア。ほんとは同じデザインでスカートもあるんだけど、ほとんど着ないの。テストでいっつも水浴びるし、男性職員も大体水着だし。もうお互い慣れっこになってて。なんかスカート履くとかえって煽るような気がするのよね。ビーチとかプールで水着は普通だけど、スカート着てると逆に浮くあの感じかも」 教官1「技研の男性職員は幸せ者よー♡ お給料もらいながら白衣に競泳水着の女の子をナマで見られるんだから♡」 教官2「技研は割と結婚率高いの♡ 困ったら技研に来るといいわ」 ユズリハ「技研・・・ちょっと考えちゃいます・・・」 アイリ「私も・・・」 イスカ「ふ、2人とも!まだそう言うのは早いって!」 クロエ「そうそう、今はアクアバレットで上を目指すのよ!」 イスカが頬を赤らめ、クロエは握り拳を作る。 イスカが案外ウブい事を見抜くと、教官がススっと耳許で囁くように近づいて 教官「・・しかもデキ婚でそのままゴールしちゃうのが多いの♡ 割と幸せそうよ♡・・・カラダの相性がいいからかしら?」 イスカ「ひゃぅ!?デキ!?カ、カラ・・・!!」 イスカの顔が真っ赤になる。 イスカは語彙は弱いが、そういう方向に対してはそれなりに内緒の知識がある様子。 教官2人がウブそうな反応に うぷぷ♡となる クロエ「教官!イスカにあんまりアレな事吹き込まないでください!」 教官1「あらぁ、あなただちだってアレな本や動画たまに見たりしてるでしょ〜? フフ、まぁこういうネタばっかり振るのもね。進路に困ったらいつでも相談して♡」 教官2「競技人生も大事だけど、それのみに突っ走るのもね。情熱に水を差す気はないけど、パートナー選びも片隅に置いておくのは必要かもね♡ あ、もう居たらその人を大事にするといいわ♡」 外見的には2つ、3つ程度上なだけに見えるのに、子供っぽさの中に大人の色香を感じる教官2人。 ガンネレイスにも・・いろんな人生があるんだなぁと4人はマキガイパフェをつつきつつ、なんとなく自分のそう遠くない将来を思う。 普段は仲間内の交流ばかりなので、自分たちと同じ業種に居ながらも、全く違う観念や歳上の人に会うとカルチャーショックを受けてしまう。 山のような凹凸形をしている砂浜のようなスポンジパウンドに、美しく青色のグラデーションを描くゼリーが流し込まれて、陽光の具合で深い部分と浅い部分で青色の色が変化している。 その上にライムジュレとマキガイのように焼いたメレンゲが乗ったパフェ。 甘いだけでなくちょっと甘酸っぱいのが今の気分にあっていた。 教官2「私たちもあなたたちくらいの時はガンネレイスをやってたし、チームで同じように競技をやってたから感覚は分かるつもり」 教官1「競争の中にだけ居ると、知らず知らず視野狭窄に陥るのよね。こう、世間感覚も狂ってきちゃうし」 教官2「スタジアムでたくさん自分を見てくれる人が居ると感じても、実際には孤独感を覚えたりね。・・・人間なんて自分の周囲だけが世界だから、いろんな出会いの機会を大事にすると良いわ。結局は横のつながりなのよね。結構男女関係も知り合い同士の紹介がキッカケだったりするし、今のあなたたちのように、身近で仲良くできる人をこれから増やしていくと良いわ」 教官1「才能という言葉に振り回されないようにね♡ 何事も、後から来る人の方が強いわ。十分に研究してライブラリーのように参照できるし、新しい発想も体力もある。そして世の中も変化して次を受け入れる土壌が出来る。才能は、次の才能に負ける運命にあるのよ。・・自分の持ち味と、愛される人格を持つ事、この2つが自分の才能を制御して社会に認められるための秘訣だと思うわ。あの人は良かったなぁ、競技を見ていたかったなぁって、覚えててもらえる選手になる事が自分の才能を活かすという事だと思うの。・・覚えておいて♡」 思いがけず重要な事を言われて全員真顔になる。 教官1「ウフフ♡説教臭くて押し付けがましかったわね。私たちもあなた達がちょっと羨ましいの。ガンネレイスの選手を諦めたから・・・聞いてくれてありがとね♡ 暗い話はこの辺にして、さ、食べて食べて♡」 教官2「すみません、注文お願いします。マルゴトギョカイのカルパッチョと、モリモリ海藻エスニックサラダ、彩りおつまみチーズ盛り合わせ、ピリピリサンバル、ピーナッツソースのサテ、ハーブスパイスたっぷり濃厚熟成ルンダン、さっぱり海鮮フォー、たっぷりオリエンタルフルーツパンチ、全部ナシチャンプル・パーティサイズで」 アイリ「あ、あの!そんなに頂くわけには・・・」 ユズリハとクロエもうんうんと頷く。 イスカ(わ、私は食べたい・・・) クロエが食いしん坊のイスカを肘で小突く 教官1「いいのいいの、さっきからあなた達のお腹が合奏するみたいに 可愛く きゅるるぅ♡ って鳴ってるの、聞こえてて悪いなぁと思ってたの♡」 4人が赤面して顔を見合わせる。 教官2「成長期には食べた方がいいわ。じゃないと私みたいにペッタンコになっちゃうわよ。まぁ、ペッタンコでも需要はあるからそのうち気にならなくなるけど、伸び盛りはたっぷり食べて動いた方がいいわ。人間には伸びるタイミングに必要な量があるから」 教官1「いつかあなたたちも私たちと同じ事をする時が来るから、遠慮しないで♡こういうのは順番なの。私たちも上の人から同じようにされたから♡それに・・・なんかお説教みたいになっちゃったから、アクアバレットの事とか聞かせてほしいの♡」 教官2「そうそう!仕事抜きで聞きたいわ。私たちも一線を退いたとはいえガンネレイスだったから、血が疼くというか。出来れば今度あなたたちとゲームしたいし」 4人は先輩2人のお言葉に甘えると、普段はあまり食べない、皿の上におしゃれにバナナの葉の上に出てくる蒸してヘルシーでスパイシーなエスニック料理を、ナシチャンプルという、ご飯の周りにお好みのオカズをトッピングする形式でもぐもぐと食べる。 サテと呼ばれる鶏肉の串焼きをピーナッツソースに絡めて、その滴る肉汁ソースをナシ(ご飯の事)に絡めて頂いたり、サンバルというヒリヒリするミートチリソースのようなものを好みで載せて混ぜ混ぜして食べる♡ イスカとクロエはおでこに汗を浮かべながら「ヒー、辛い!辛いけど・・・うまい!!」とグルメ番組のレポーターのように実況する。 辛さと甘さとコクと旨味が絶妙に同居するエスニックパーティー料理。 アイリとユズリハはお互いに「エスニック・・・今度こっちの路線開拓してみよう・・・♡」と頷き合う。 4人は食べながら競技で使ってるシューターの事や、ロングジャンプユニットの体感を熱っぽく語り、うんうんと教官2人が笑顔で頷く。 明るいうちから始めたのに話に華が咲き、いつのまにか周囲を美しいサンセットオレンジに染める夕焼けが水平線の向こうにとっぷりと沈み、周囲が青紫のグラデーションに彩られ、オレンジの照明で周囲がライトアップされる。 爽やかな海風が気持ちよく、心落ちつく時間。 オタクの食事会は話が温まるまで2時間は余裕でかかるので、ご飯会をするなら昼過ぎからが良いのだ♡ 夜から始めると、さぁこれからだという所でお開きの時間が来てしまう。 たっぷりご飯を頼んだにもかかわらず、6人はこの上飲茶も頼み、ガンネレイス女子トークを楽しみ、新ユニット調整順応への英気を養った♡

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