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最早何も言うまい。


【竜閑天梨】 評価:★★★★★

 前作のどうしてお前はヒロインじゃないんだ枠。

 だって普通こんなイベントCGあったらヒロインだと思うじゃん。

 でも攻略できないんですよねー。

 まあパッケージに乗ってない時点で察してましたけど。


 そんなアメリも今作では無事にヒロインに昇格。

 唯一の昇格組なので他ヒロインとは違ってアフターストーリーは存在せず、前作ヒロインと同じく共通ルート後(夏休み中)から文化祭までの模様が描かれている。


 さて、そんな【竜閑天梨】がどういった人物かというと……、一言で言えば【オタクに優しいギャル】である。

 一口にギャルと言ってもそこには様々なタイプが存在するモノだが、彼女はよく想像される「えーあーしマジムリー」とか言っちゃうコテコテのアレではなく、「えーっ、無理だよー! ほんとだってばー!」と、言葉尻に長音を伸ばして感嘆符を付けるタイプの、いわゆる快活な元気系だ。

 だから彼女と会話をするたびに「あー馬鹿っぽいなー」だとか「犬が尻尾振ってるみたいだなー」という気分になって癒される。褒め言葉だよ


 そんなアメリが主人公と仲良くなったのは生徒会、というより主人公へ相談を持ちかけたのがキッカケだった。

 曰く、自分はグループの中で浮いてるんだけどどうすればいいかな、というもの。

 読モをやっていることもあり何かとその話題をしがちなアメリなのだが、彼女が所属するグループのギャルたちはその話題について疎ましく思っており、鍵垢で陰口を叩いていた。

 それを偶然見てしまったアメリはこれからどうやってみんなと付き合っていけば良いのか悩み、当時生徒会長に就任したばかりの主人公へ相談したところ息抜きの場所として生徒会を提供され、親密になる。

 そして生徒会活動の一環として夏休みのボランティア合宿を終え……、というのが共通ルートの内容であり、アメリルートの始まりでもある。


 ということで本編。

 ボランティア合宿を終えた主人公は合宿中サボりにサボっていたソシャゲの育成に励んでいたところ、そういえば夏休み前にアメリとした約束を思い出す。

 なんか「お城」を見に行く約束をしていたような……。

 ここで下の選択肢を選ぶとアメリルートは終了します。

 よし、攻略完了だな!レビュー終了!文字数も少ないぜ!


 というわけにはいかないので上を選ぶと主人公が珍しく自分から人を遊びに誘うことになります。

 ちなみになぜ「お城」かというと主人公が歴史マニアでお城巡りが趣味だから。

 で、ふたりがやっているソシャゲ【戦国デレーション】、通称【戦デレ】のお城を実際に観に行こうか、という話になったからである。

 加えて言うとアメリがソシャゲをやっている理由は主人公がやっているから共通の話題を作りたい、というこれだけでこの娘が如何に健気で良い子か分かると思う。


 しかし最初に言ったように主人公は夏休み前に約束をしていたくせにボランティア合宿が終わった今頃、そういえばぐらいのノリで思い出している。

 そう、つまり約束をしておきながら完全に忘却の彼方へ追いやり、相手に期待させておいて放置していたのである。

 まあ、いちおうフォローしておくとお互いに暇があれば行こうね、程度の約束でいざ夏休みに突入したらボランティア合宿であったり華乃の同人イベントを手伝ったりで忙しかったという情状酌量の余地は充分にあるんだけど。

 妃愛にその場のノリでした約束って相手は覚えてるかな、と相談したときの反応。

 こんなリアクションになるぐらい主人公が自分から女の子を遊びに誘うのは異常です。


 それから話はお小遣いいる?というものになり、まだ華乃の手伝いをしたときに貰ったお金が残っている、と。

 でも無くなったらバイトをして稼ぐよ、と既に自立の意思を見せる主人公。

 妃愛は茶化しながら養ってーとか言っているけど彼女の心の闇を知っている側からするとこれは離れたくないというアピールであり、本気のガチだって分かるからつらい……。

 なんなら妃愛の夢って声優として一生分稼いで主人公を働かせずに一生お世話しながら養うだからね。闇深い……


 そして数日後、お城を見に行くことに。

 当然女の子とふたりでお出掛けなんて出来ない主人公は生徒会の親睦を深めるという建前でみんなを誘います。

 しかし当日、これは前作の個別ルートをやると分かるんだけどあすみはチャンネルが誤BANされたせいで動画作成をするのに忙しく、華乃はコミケで修正漏れの修正をしていて徹夜だったため事務作業が終わっておらず、詩桜先輩は地方へ旅に出たため集まったのはアメリだけに。


 期せずしてふたりきりになってしまった主人公はトラブル組を手伝ったほうが良いかも、と考えるけどそれに対してアメリは「あのふたりなら助けて欲しかったら助けてって言うし、逆にこっちが聞けば遠慮して断るんじゃないかな」、と諭します。

 だから逆にみんなに気を遣わせないために今日は目一杯遊ぶのが良いよ、と。


 このあたり、陰キャと陽キャの考え方の違いというかぼっちとグループ所属の対比、そしてアメリが他人をよく見ていて気が回る子というのがしっかり描かれている。

 というのも主人公は自分に関係がなくても周りでトラブルが起きると気を遣って楽しめないタイプなので、他ルートでもよく「みんなが忙しいのに遊ぶのは悪い……」とか「誰かがいないのに遊ぶのは疎外してるみたい……」と考えがちです。

 まあ、真面目ではあるしそういう内向きな考え方はオタクとしては結構共感できるんですけど、陽の者は逆にだからこそ相手を邪魔せずに自分は楽しむとか、考え方が前向きなんだよね。

 こういう思考回路の違いがこのルートでは結構言及されているので、あぁ主人公とアメリが今までいた世界はぜんぜん違うんだなぁというのが伝わってくる。


 とはいえそういう主人公の内向きな考え方も理解しているアメリは「気になって楽しめないなら今日はお城に行かずにカラオケとかドッグカフェでも行く?」と誘ってくれる。

 この子、本当に気配り上手。

 ただグイグイ引っ張るだけの陽キャではなくこちらの意図を汲んで別の提案をしてくれるのがアメリの良いところだと思う。

 そんなアメリの優しさや明るさに引っ張られるように主人公も今日は気にせず目一杯楽しもう、とお城へ行くことに。


 お城では現地の歴史オタクのおじいちゃんに解説役を取られて悔しそうにしたり、逆に解説を奪おうと早口で語りだしたり。

 そんなオタク全開の姿を見せてしまい謝ると……、

 うっ、オタクは自分に優しい女の子にすぐ惚れてしまうんだぞ!

 ぐっ、妃愛さん助けて。俺この娘好きになっちまう。

 あぁあああああああああ!!!!!

 しにました。

 俺は俺の事を好きな人が好きだ。

 誰がこんなに良い子のこと嫌いになるの?

 この娘のことイジメるやつとかぜってぇ許さねぇから!

 安物の服に対して「真面目で優しい」とか「誠実そう」とか言ってくれるし、

 メニュー決めるだけで男らしさとか頼もしさとか言ってくれる。

 お昼ごはんを提案するときに主人公がモゴモゴと口の中で呟いて聞こえなくても、アメリはこっちが何を言ったか考えて察してくれる。しかもべた褒め付き。

 他にも主人子が1回自虐するとそれに対して2回は持ち上げて褒め殺ししてくるので、自分の自己肯定感が高まりすぎて「あぁ、生きてて良いんだ……」、と謎の涙が溢れてくる。

 アメリ、良い子すぎる……。

 たぶん【竜閑天梨】はいずれガンにも効く。


 そしてご飯も食べ終わって雑談をしているとアメリの両親の話へ。

 輸入家具の会社で役員を務めるお父さんと明るく前向きなお母さん。

 そのふたりに厳しくも優しく育てられたアメリは礼儀正しく人前では騒がない、しかし明るい少女に成長しました。

 とはいえアメリが所属しているグループは結構下品な連中が多く、ファミレスや道端で叫ぶギャルが多い。

 どうしても根がいい子ちゃんのアメリは軽く注意をしてしまうのだが……、空気を読めない浮いている子という風にグループでは見られているらしい。


 ここがアメリのハミダシモノとしての要素。

 妃愛を中心に生徒会メンバーは他者と関わらない不登校のクリエイターが集められているのだが、主人公が個人的に勧誘したこのアメリも陽キャグループの中でハミダシた存在として今回は強く描写されている。

 前作ではヒロインではなかったので彼女が所属するグループに関しては序盤に軽く触れられ、アメリの口から「かいちょーの言う通りに聞き役に徹したら目立たなくなったよー」と経過が語られるだけだった。

 それがアメリルートでは自分から内情をより詳しく語ってくれるのだが……、なんていうかハミダシクリエイティブという物語で唯一不透明だった部分が明瞭になっていく感じがしてとても良い。

 しかもこういう他者と積極的に関わろうとして結果的に浮いてしまったハミダシモノは他ヒロインにはないパターンだから新鮮でいいよね。

 ほら、生徒会メンバーって基本的に陰キャで内向的な人ばっかりだから……。


 それからアメリは主人公のバイト先(工事現場)に差し入れとして手作りのお弁当を持っていってもいいか、と尋ねる。

 工事現場フェチで頭にタオル巻いてるフェチのアメリは主人公が働いている姿をひと目見たいらしい。

 現場は毎回どこでやるか分からないし時間も不明、それに公園で食べているから炎天下に付き合わせるのは申し訳ないと断る主人公だがそれでもアメリは引き下がらない。

 自分の読モが休みの日で市内ならどこでも行くし、暑くても平気!って前のめりに説得してくるアメリに、ついに折れる主人公。

 そして……、

 この子めっちゃ俺のこと好きやん!!!!!!!!!!!!

 こんなん大好きやん!!!!!!!!!!!!!!!!

 ちなみにこのルート、ここまでで起こったイベントやシーンってお城見に行っただけです。

 あとは全部前作の共通ルートしかない。

 そう、つまり、このアメリという少女はルート開始時点で既に好感度がマックスであり、なんなら前作共通ルートで既にカンストしているのだ。

 流石にここまで露骨だと主人公も「もしかしてこの子自分が好き!?」と勘付きます。


 そしてアメリがアルバイト先へお弁当を届けてくれる日に。

 愛しさがこみ上げてくる。

 おれ、この娘を守るって生まれた時から決めてたんだ……。


 それからポテサラをあーんしてもらって……、

 自分、サラダの中で一番ポテサラ好きです。


 もうね、本当にすごい。

 昇格ヒロインということで既に出来上がっている既存ヒロインの人気に食らいつく勢いでアメリという少女が魅力的に描かれているのがこのルート。

 序盤から砂糖ダバダバイチャイチャ多めで終始ニヤケが止まらない。スクショも多くなる

 アメリで人気投票1位取ってやるよ!ってぐらいライターの本気がひしひしと伝わってくる。

 正直始めるまで「前作で良い子だったけどでも既存ヒロインが魅力的だし今更ただの良い子とか出されてもたかが知れてるっしょ?」とか舐めてすみませんでした。

 読み進めていくたびにアメリという女の子が好きになる。


 しかも夜はLINEで「あいたい」とか「うれしい」とかハートマーク大量に付けたトークやスタンプが連投されるわけよ。

 陰キャの主人公も慣れないスタンプを連投して「あぁ……、LINE楽しい」とか青春謳歌しちゃってるわけよ。

 でもまだ付き合ってないんだよなぁ!!!


 そんな甘いひと時を挟みつつ、夏休み中に一度生徒会へみんなで集まって文化祭の出し物を決めることに。

 各々が自分のできることを挙げるなか詩桜先輩は、

 最早プレイヤーにとっては懐かしい嫌味のあった頃の詩桜先輩。

 他のアフターストーリーでは既に主人公のことを見直していたりネタバラシをして謝罪したり、詩桜アフターでは終始デレデレだからこの尖りまくっていた詩桜先輩を見るとあぁ詩桜先輩だなぁ、と謎の安心感。

 ちなみにこのルートだと詩桜先輩はずーっとこういう風にちょくちょく棘と毒を吐いてきます。


 結局、全員のスキルを合わせたところ出し物は「紙芝居」をしようか、という話に。

 この辺りは詩桜アフターをすると分かるけど学生らしく、それでいて個別ルートのように誰かひとりのスキルに頼るのではなく全員の長所を活かすなら紙芝居がベストになるっぽい。


 しかしここで華乃から待ったが掛かる。


 今から脚本を書いてイラストを描くってなると作業期間が2週間しかないから、かなりギリギリのスケジュールになる、と。

 そう、詩桜ルートで紙芝居が出来たのはあくまでも文化祭が終わった直後に来年の文化祭の準備を始めたから、一ヶ月に1枚のペースで原画作業をしていたからだ。

 それを2週間でやれ、というのはいくら華乃でも酷というもの。


 それでもお城へ行く約束をドタキャンした後ろめたさから、華乃は主人公のためなら多少無理をしてでもやってあげる……他に候補が無ければね、と言う。

 そこでアメリは「みんなでコスプレする?」と、冗談とも本気とも取れる提案をする。

 心のなかで黙ってろ、とツッコむ主人公を他所に話を聞こうとする華乃。

 こういうみんなが冗談だと思って笑い流す言葉にも真面目に取り合うところ、華乃の良いところだと思う。

 で、どうやらアメリの発言は場を和ませる以外にも、「クラスの友達と制服のアレンジや変更点について話したりするから、それを自分たちで学校側に提案できたらみんなが喜ぶかなー」とちゃんとした理由があった。

 

 それに興味を示したのが詩桜先輩。

 自分が生徒会長を勤めていたときにも制服の改善やデザインの一新については生徒からの要望が多かった、と。

 しかし学園側は必要なしと考えているようで取り付く島がなかったのだが、生徒会の出し物として提案するのは面白いと乗り気に。

 そうなると制服のデザインを考える人間が必要になるのだが……、そこは人気イラストレーターの華乃。

 アメリにお願いされる形で引き受けることに。

 このシーン、華乃の「自分の企画、やりたい?」という問いに答えるアメリが、今までの周囲の顔色を伺いながらおだて上手で可愛いだけの女の子から、自分の意思をしっかりと伝えられるヒロインに変わった瞬間で好き。

 そうなんだよ、陽キャグループで愛想笑いしたり良い子ちゃん過ぎてたまに空気が読めないのがアメリではなく、しっかりと言いたいことを言える芯の強いところがアメリにも確かにあるんだよ。


 で、出し物がファッションショーという名の制服お披露目になったわけだけど……、ここで更に問題発生。

 華乃は制服をアレンジするだけだと思っていたんだけど、アメリはどうせなら制服のデザインを一新したいと言い出す。

 しかしそれをするとなるとイチから制服を作ることになるけど誰がそれを作るんだ、という話に。

 以前同人イベントでコスプレ衣装は専門のお店に頼めば一ヶ月で作れると聞いていたアメリはそれでいけると思っていたのだが、業者は海外に多かったりお金が掛かるから生徒会の活動費じゃ足りないとダメ出しをされる。

 しかも自作しようにも生徒会で衣装製作の知識を持っているのはコスプレ衣装を自作できる華乃だけで、いくら華乃でも一ヶ月で制服を作るのは難しい、と。


 途方に暮れる主人公だがそこでクラスメイトの【新川広夢】(男の娘、大人気女性VTuber、大人気男の娘コスプレイヤー、エイプリルフールにTS動画が作られる)なら衣装を作れるのでは?と協力を要請する。

 色々と主人公には個人的な恩義を感じている新川くんはお願いを快く引き受けてくれるんだけど……、この辺りは匂わせぶりなことを言うだけで詳細は公式のエイプリルフールネタを知らないと分からないよなぁ。

 というか新川くんあまりにも属性が多いのに本編では今までちょい役でしかなかったからアメリルートで結構活躍してくれて嬉しい。


 それから翌日。

 華乃の家で衣装製作の目処が経ったことを報告する主人公。

 そのまま流れですぐにでも製作に取り掛かれるようにアメリのスリーサイズを始めとした身体のデータが必要になるのだが、そこは読モをしているだけあって採寸をするまでもなくデータを持っていたアメリ。

 そこで詩桜先輩から一言。


「主人公に全身のサイズを知られるけど、アメリはそれでいいのか?」と。


 それに対して限界まで顔を赤くして早口で言い訳をする主人公。

 ヒロインズの反応は……、

 おまえらのほうがかわいいやろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


 夜は日課のLINE。

 ポテサラ美味しかったと言う主人公にアメリは、

 すき!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


 数日後、衣装作りのために買い出しへ行く主人公たちだが夏祭りに行きたいというアメリの言葉もあり、予定が空いていた華乃とアメリと主人公の三人でお祭りに行くことへ。

 すき!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 両手に花というか両手に胸!!!!!!!!!!!

 他ルートでは味わえない青春の香りに心が既に瀕死。

 ちなみにどうでもいいけど主人公はちゃんと顔がある方が好き。


 そしてコンビニへ絆創膏と飲み物を買いに行くと言ってこの場を離れる華乃。

 絶対これふたりっきりにしてあげようとかそういう意図だろ!

 というのも全ルートで華乃とアメリは同じクラス同じ大学へ通う親友と呼べる間柄になるんだけど、アメリルートでは特に華乃のサポートとかそういうのがめっちゃ光る。

 たぶん友達思いで恋の応援をする自分って出来る女、とかコンビニ前でニヤニヤしてるんだろうなぁ、とか思うと微笑ましくなる。


 それから、アメリはクラスの友達がみんな彼氏を作ろうとフェスやクラブで毎日違う男と遊んでいるけど、知らない男の人がいると楽しめない自分はそこに行けない、でも本当はもっと女の子だけで気を使わずに旅行をして友情を深めたかったのになーと願望を口にする。

 あぁ、だからアメリがこの夏祭りを大喜びしていたのは華乃と自分、アメリの同級生3人で夏の思い出が作れたからか、と主人公が納得していると、

 これ!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 告白やん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 彼氏作るために男と毎日遊んでる友達のことあれこれ言えないって、これアメリ完全に主人公好きやん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 この付き合う前の好きを言葉に出来ないけど言葉にしないからこそのしっとり感神~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~。だいすき


 そんな青春を繰り広げつつも新学期。

 生徒会室で雑務に追われる主人公は癒やしが欲しくて教室にいるアメリに生徒会へ来るなら直接家庭科室に行って衣装の手伝いをしてくれ、と伝えに行こうとします。

 LINEで伝えればいいだろ、という詩桜先輩のごもっともなツッコミが飛んでくるがここでも華乃の「アメリに家庭科室来るとき飲み物買ってきてってお願いして」とナイスアシストが。

 ほんと、この女良いやつすぎる。


 で、教室の前に。

 外にも漏れ聞こえるギャルのギャハハという笑い声に呆れつつ、すぐに要件だけ伝えようと扉へ手をかける主人公が聞いた言葉は……、

 ぁあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 ここで一度ゲームやめました。


 そうか、自分って騙されてたのか。

 いや、たしかになんか裏がありそうだと思ったよ。

 何もしてないのに最初から好感度マックスでめっちゃ好きアピールしてくるなんて、そんな都合のいい話……。

 やっぱりオタクに優しいギャルとか幻想なんだよな……。

 そんなことを考えながら無意味にブラウザをカチカチと開いたり閉じたり何度も繰り返して心の均衡をどうにか保ち、10分後に再びプレイ開始。

 主人公も「へー」「ふーん」「はーそっか、完全に騙されたわ」と効いてないアピールをしながら傷心。

 わかる、わかるってばよ。

 俺も今涙でモニターが見えねぇもん……。


 これ以上マウスをクリックするのはつらい、と思っていると……、

 え、

 あ、ぁぁ……。

 アメリ……、

 信じてあげられなくてごめ゛ぇ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛ええええええん゛!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 ほんと大馬鹿者だよ!

 今までアメリのなに見てきたんだよ!

 罰ゲームでアメリが主人公に近づいてきた?最後は勘違いした主人公が振られて終わり?節穴かよ!!!!!

 馬鹿!自分の馬鹿!!

 一瞬どころか10分もアメリのことを疑って虚無感に浸ってたわ!


 みなさん、【竜閑天梨】というヒロインは最高です。

 自分が裏で陰口を叩かれていても見て見ぬふりをして、ちょっと嫌なことがあっても愛想笑いをして周りに合わせる少女。

 それが初めて大声を上げて怒ったのが主人公のため。

 こんなシチュエーションで好きにならないやついる?いねえよなぁ!?


 しかも素直に謝罪をするギャルたちをすぐに許して延々と惚気け出すアメリ、強い。

 ギャルたちは絶交されるかもと恐怖していたにも関わらず本人は笑顔であっけらかんと「え、そんなこと言ったっけ?」と。

 どうやら相当怒っていたらしく自分が絶交と言ったことすら覚えていないらしい。

 でも簡単には絶交しないけど絶対に主人公のことは悪く言わないでね、と言う辺りその発言に後悔みたいなのは微塵もないっぽい。

 

 そしてこのやり取りを見ていて思ったのは、今まで自分はアメリが所属するグループは【クラスカーストトップの陽キャギャル集団】だと思っていた。

 しかしその実態は【竜閑天梨という学園カーストトップの人間を中心に添えた陽キャギャル集団】だったんじゃないだろうか。

 どちらも陽キャギャルが発言権を持つことに変わりはないのだが、その発言権が存在するのは竜閑天梨という存在がグループに属しているからで、仮に彼女から絶交をされようものならギャルたちから発言権は剥奪され、一気にクラスカースト下層へと転落するのでは?

 アメリが何かとイジられ役になったり鍵垢で叩かれたりしていたのは、あくまで本人に怒ったり言い返す気持ちがなかったからそういうポジションに収まっただけであり、ギャルたちは権威を借りているだけでグループの本質は【竜閑天梨】の人気ありきな気がした。

 あと後日アメリはギャルと喧嘩をしたせいで明日からグループから隔離されるかも、と心配するんだけど本人は自分があってこそのグループって自覚してないのが良いよね。

 まあ、これ以上グループについて解説されることがないから全部妄想なんだけど。


 とまあ、そんな本人の知らぬところで主人公が愛の告白を目撃してしまったものだから後ろめたさや感情の爆発から主人公は放課後、すぐに告白します。

 それはもう、ストレートに「アメリと付き合いたい」、と。

 俺も好きだよバカヤロー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 なんていうか、アメリルートはクラスの女の子と普通の恋愛をして普通に付き合う、というのが焦点になっている気がする。

 他ルートだと結構ヒロインのクリエイターの部分が見え隠れしてそれが魅力になるんだけど、どうしても自立したクリエイターという設定のせいで学生らしくなかった。

 それがアメリはまるで人気者なだけで普通の同級生と恋愛している気分になって、そう、めっっっっっちゃ青春をしている気分になる


 しかも好きになった理由が「一目惚れ」

 と言っても見た目が好きという意味の一目惚れではなく、まだ主人公が生徒会長になる前に自分がグループの会話で孤立しそうになっていたときに助けてくれたから、そこで好意を感じたと。

 これってすごくありふれたリアルな恋愛と同じで、そこが学生っぽくてすごくいいなぁ、と思う。

 何を隠そう紅葉煉瓦、人が人を好きになることに大層な理由は必要ないと思っていて、一緒に過ごす間に自然と好きになるとか、日常のふとした些細な出来事がキッカケになって好きになるとか、そういう特に山のない好意が好きなのです。

 すき!!!!!!!!!!!

 すき!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


 それから主人公は華乃の元へ向かう。

 というのも華乃はサークルに恋愛を持ち込んだ結果崩壊した現場をいくつも見てきた経験から、グループ内恋愛というものに対して拒否感を持っていた。

 生徒会発足当時にそれを聞いていた主人公は義理を通そうと華乃にグループ内恋愛しちゃった、と報告するんだけど……、言われた本人はそんなこと言ったっけ、とあまり気にしていない様子。

 そもそも最初からアメリの恋愛を応援していた立場なので逆に主人公に大切にしなさい、と背中を押してくれる。ほんといい女だよ

 別れ際、

 聞かれていないと思ってひとり呟いたこの言葉は、果たしてどういう意味なのだろうか……。


 翌日、クラスへ登校すると陽キャギャルにめっちゃ絡まれる主人公。

 既にふたりが付き合ったことはみんなに知れ渡っており、アメリの彼女というだけでギャルたちからの好感度はマックス、仲間認定されます。

 昨日アメリに怒られておいて都合が良いように見えるけども、学生の喧嘩なんてそういうものだし女の子には女の子の世界があると思えばそういうものかな、と思わないでもない。

 主人公も多少は思うところはあるものの、アメリと付き合うのだからこれからは陽キャや陰キャとレッテルを貼らずに、偏見なく真っ直ぐに生きようと改めます。

 この辺り、主人公の内面的成長が感じられてとても良いね。

 他ルートでも主人公が自立をしたり勉学に励んだりすることはあっても、内面的な陰キャオタクの精神は最後まで抱えていたのだが、アメリルートでは普通の学生へ成長するのがこのルートならではの要素って感じ。

 ノリが行き過ぎるときはあるものの、こういう感じに身内になってしまえば基本は良いギャルなんだよなぁ。

 そりゃ華乃も自分のルートでは仲良くなるわ。


 そして放課後、当初はスケジュールがギリギリのはずだった衣装作りも新川くんの協力もあって2週間を残して完成する。

 これで終わりだーと安心するのも束の間、新川くんはデザイン案が2つあるからどうせならもう一着作る?と聞いてくる。

 で、生徒会メンバーで唯一モデルが出来るのは華乃しかいないのだが当然人前に出るのを嫌がる華乃は拒否をする。

 そこにアメリがお城の借りを持ち出してきて、渋々引き受けることに。

 更に新川くんは追加でメンズの衣装を一着用意しようと、明らかなハードスケジュールを提案する。

 本来なら断っても良い提案なのに自分だけが犠牲になりたくない華乃はニコニコ笑顔で快諾する。

 このときの表情の変化がヤケクソ気味でコロコロ変わって楽しい。


 そしてしばらくアメリとイチャイチャパートが続き、流石にハードスケジュールでメンズの衣装は断念になるかと思われたが場所を間借りさせてもらっていた手芸部の人たちが協力してくれて衣装は完成、無事に文化祭当日へ。

 文化祭ということで登場、【聖莉々子】

 手芸が趣味ということもあって案内された手芸部に興味津々で珍しく詩桜先輩を振り回す側に。かわいい

 この莉々子さん、たまにボランティアイベントで登場するぐらいで基本的に文化祭のライバルポジションでしか出てこないからちょっと残念。

 ハミクリ凸ではヒロインに昇格するかと思ったんだけど、流石に女子校の生徒は関わりがなさすぎて無理だったか……。

 でもこの見た目で地元はど田舎のおばあちゃんっ子で素になるとバリバリの方言女子なんだよ。まあSNSでは見知らぬ人相手にレスバするような人だけど


 というわけで場面は変わって生徒会の出し物であるファッションショーへ。

 舞台袖でめっちゃ震えてる華乃かわいい。

 読モとして、色んなイベントにも出ているアメリは余裕の表情。

 普段は明るいクラスの人気者ってだけのアメリが、このときは頼りになるプロの表情をしていた。

 普通の学生として恋愛をするアメリルートではこういうクリエイターとしてのアメリをあまり見られないのだが、でもだからこそ頼りになる。

 主人公の震えはいつの間にか止まっており、華乃も隣でイチャつくバカップルを前に冷静に。


 そして、ファッションショー開幕。

 完全に先生に喧嘩を売っています。

 まあ、この出し物自体演目をファッションショーにして教師を騙した上でゲリラ的に制服の改善案を申し出てるわけだからね。

 何度も必要なしと見送ってきた教師からすれば、学園を運営する生徒会が公衆の面前でこんなことをするのは渋い顔をしたくなる。

 ちなみに制服の改善案は制服そのものではなく、コートらしい。ここかわいい

 頼りない生徒会長。

 いいね10万のインスタグラマー。

 どうして恋人同士なのにここまで言葉の重みが違うんだろう……!


 そんなこんなでファッションショーという名の学園への異議申し立ては大成功に終わり、莉々子さんも大絶賛。

 他ルートで莉々子さんが文化祭を褒めるときってだいたい「イラストがすごい」とか「歌がうまい」とか「朗読が上手い」っていう、個々のスキルに関してなんだけど、このアメリルートは学生が抱える不満をテーマに出し物を作っていることもあり、「生徒と向き合う生徒会の在り方について勉強させてもらった」、とべた褒めしてくる。

 ここも前作で感じていた「生徒会の出し物と言いながら個々のスキル」、から「生徒会として学園をテーマにした出し物」、になっていてこのルートならではの良さだなぁ、と感じた。

 あとテンション上がってる莉々子さんかわいい。


 それから打ち上げは高級焼肉店へ。

 あすみ!結婚しよう!!

 あすみ!ry


 そして最後はガルコレという東京で行われる大型ファッションショーにアメリが出場して、終わり。

 やっぱりオタクに優しいギャルは存在したんだ!!!!!!!!!!!!!!!!


【総評】

 アメリルート、不満点という不満点がほぼほぼ無いぐらいに完璧でした。

 前作でサブヒロインとしてそこそこの登場回数だったこともあり最初からすんなりと受け入れることができて、本編中でふたりの関係性が特別変わることもなく一貫して平凡な恋愛として描かれていたのがとても良かった。

 些細な出来事で好きになって、お互いに意識しながら一歩踏み出せない恋愛良いよね……。

 でもそこに創作のスパイスとして友達との喧嘩を入れることでアメリというキャラクターにも譲れない芯が存在することをアピールできていて、それを見た主人公が突き動かされるっていう。

 王道だけど外さない、とても良い展開。


 何より主人公が「陽キャ陰キャというレッテル貼りをやめて、物事に卑屈になったり他人と比較することもやめて、平凡な自分が平凡な恋愛をしただけだ」

 っていう風に素直に成長したのが良い。

 妃愛ルートでは妹のための兄として、華乃ルートではオタク同士の恋人として、あすみルートでは後輩を支える先輩として、詩桜ルートでは先輩の隣に並べる人間として、それぞれ成長しつつも内面の部分は一貫した主人公が、こういう風に自分を肯定できるようになったのはアメリの性格があってこそだなぁ、と。


 あと何しても肯定してくれるし褒めてくれるし会話するだけで楽しい、アメリ好き。




【まとめ】

 ハミクリ凸、神ゲーでした。

 アフターストーリーはそうそうこういうのでいいんだよ、と王道を抑えていて新規ヒロインも既存ヒロインからハミダシつつハミクリっぽい新しい物語を紡いでいて自身を持って100点中の90点を出せる作品だったと思う。


 まあ減点された10点に関してはどうしても拭いきれないほどのマネージャーに対するヘイトや華乃ルートの中途半端さが起因するかな、と。

 何度も言ってるけどマネージャー関連はざまぁとか報いは要らないから主人公がちゃんと心の中の不満をプレイヤーの代わりにぶち撒けてくれていたら、それだけで良かったんだけどなぁ……。

 まあ、そこに関してはグチグチ言っちゃう自分が主人公より子供で、妃愛に対して兄心を持ちきれてないってことなのかな。


 ちなみに最初に書かれているヒロインの評価に関しては、基本星5からどうしても見逃せない不満点や単純に面白くなかったときに減点する方式で採点しました。

 だから今回の場合はマネージャー関連と中途半端さで減点されただけで、シナリオ自体はどれも面白くて終始ニヤニヤしながら楽しめた。


 特にアメリルートは普通の学園生活を普通に謳歌したって感じがハミクリでは新鮮で、本人の性格の良さも合わせて既存のルートと比較しても遜色ない、むしろ生徒会としてはこれ以上ない出来だったなと思う。


 既存ヒロインに関しても物語のその後、って感じがよく伝わってきてこれが見たかった!を十二分に叩きつけられた感動の余韻がまだ残っている。 

 全員可愛くて全員好きなのよ!

 それでも敢えて順位を付けるなら、


 あすみ≒妃愛>アメリ≒詩桜≒華乃


 かな。

 いちおう今作をやった上で左から好きな順で並べたけど、それでもニアイコールに関してはほとんど差がないぐらい等しく好き。

 でもその中でもあすみと妃愛は明確に他より好き!って言ってしまう自分……。


 感想で結構ダメ出しとかしてるのも好きだからこそ逆に色々と言っちゃう面倒くさいオタクの心と思ってくれると幸い。

 あとOPの一冊のアローは神曲過ぎるから絶対聞け。


 さて、そんなハミクリはまだまだ展開が色々と控えているらしいので、今後も期待ですね。

 あと何度も言ってるけど特典のドラマCDはDLsiteでも後日販売してくださいお願いします!

 そのほうが絶対に儲かるしry


 以上でオタクの強めの感想語りを終わります。

 ここまで見てくださった方はありがとうございます!

 ちなみにトータル文字数は4万4千文字超えてました(???)

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