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小説版(キャプションSSの続き)も近日掲載予定です。  私、岬 玖美子《みさき くみこ》が特殊刑務所に収監されてから、どれほどの時間《とき》が過ぎただろう。  五感と食餌、排泄、呼吸に至るまで、身体機能のすべてを管理・制御された身では、時間の経過がわからない。  はじめのうちは睡眠時間の回数で日にちを数えていたが、そのサイクルが24時間ごとではないかもしれないと思い始めると、数える意味がなくなった。  それ以来、管理され制御されながら、ただ日々を送っている。  そう、私の肉体は着つけられた特殊囚衣により、常時かつ完全な管理・制御下に置かれている。  肌にみっちりと貼りつき軽く締めつける特殊スーツは、私の首から下を覆いつくしている。  その質感は一見、光沢剤を塗り込めたラバーにも似ているが、それは外観上だけのこと。スーツの素材はラバーと違い最低限の通気性が確保されているし、高い防刃性能も備えられているのだ。  とはいえ、それは着用者たる私の快適性や安全性のためではない。  通気性が確保されているのは長時間、具体的には眠らされた状態で身体の清掃をされるとき以外、着させたままにしておくため。防刃性能は刃物を使って切り裂くことを不可能にするため。  そのうえで、足には足枷一体式の超ハイヒールブーツを履かされ、手にはクッション材が仕込まれた手枷つき拘束ミトンを嵌められた状態。  さすがに歩くことくらいは可能だが、全速力で走ったり、長時間の移動はできない。指を使っての細かい作業はもちろん、なにかを握ってつかむことすら困難だ。  それだけでも充分、みじめさでお腹いっぱいという感じなのに、特殊囚衣にはさらなる残酷なしかけが施されている。  まず、2色に色分けされた白の部分。その表面はきわめて高性能な蓄光処理がなされ、暗闇のなかで発光する。つまり、夜闇に紛れての脱走は無理というわけだ。  だが、それはまだ序の口。特殊スーツのもっとも残酷な点は、金属製の股間パーツの奥にある。  まず、膣に挿入された金属製ディルド。それは私のオンナの場所を常に刺激しているだけではない。反抗的とみなされたとき、看守が携行する管理端末により、懲罰の電撃を加えることもできるのだ。  電撃機能は、出力を調整することで合図やその他の目的にも使われるが、私を恐怖で支配するのは懲罰電撃だった。  さらに、尿道と肛門に挿入され、みっちりと塞いで密封するふたつの排泄管理器具。これにより、私は自由に排泄することすらできなくされている。  とはいえ、このスーツは、特殊囚衣の一部でしかない。  スーツの首輪部分に接続される3分割の特殊樹脂製頭部パーツ、通称ヘルメットは、スーツと同等かそれ以上に残酷だ。  まず、耳から後頭部にかけての下部後半パーツ。一見樹脂製のイヤーマフ、あるいはヘッドフォンにも見える部分が、聴覚制御装置になっている。  これにより、私は基本的に外部の音を聞くことができなくされているうえ、耳孔内に挿入されたイヤホンで、看守が聞かせたい音だけ強制的に聞かされる。  さらに、口と鼻を覆う下部前半のマスクパーツ。その奥で鼻孔のチューブは気道に、付属のマウスピースで固定された口に挿入されたホースは食道に、それぞれ挿管されたうえで、隙間を生体用パテで埋められている。  気道のチューブは声帯より奥に達しているため、声はまったく出せないし、匂いも感じない。食道のホースは食餌と水分補給用だが、流し込まれたものが舌の上を通過しないので、味を感じることはない。  後頭部から目の上にかけての上部パーツは、バイザーと呼ばれている。  看守の端末操作で完全遮光から色つき眼鏡レンズ程度まで、無段階で透明度を変化させられるうえ、内部に仕込まれた至近距離モニターにより、任意の映像を見せることもできる。  こんな悲惨な状況がいつまで続くのか、私にはわからない。  刑期はあらかじめ告げられているが、今日が何日めかわからないのでは、それは永遠にも等しい。  もしかしたら、私が釈放されることは、二度とないのではないか。  そんな恐怖――もしかしたら、その感情は恐怖だけではないのかもしれない――にも囚われながら、私は生きて、いや生かされている。  自由を奪われ、生殺与奪の全権を看守に握られて、特殊刑務所の拘束女囚として――。

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