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こちらは『拘束サービス社の業務日誌 縄子と革美の拘束チャレンジ 』 https://masamibdsm.fanbox.cc/posts/3075168 に登場する『拘束サービス社』経営者のパートナーたる『私』が主人公の作品です。  冬。私はこの季節が大好きだ。  わが身を隠す防寒用の服やアイテムを身につけていても、好奇の目で見られないから。  それらの下がどんな状態でも、誰にも気づかれないから。  今日も私は、コートとマフラー、ニット帽とマスクで身体と顔を隠し、冒険に出る。  コートの下には、母校の制服だったセーラー服。さらにその下にまとうのは、全身をギチギチに締めつける革のハーネス。  ハーネスのベルトに上下を挟まれ締めつけられた乳房の先端、私の乳首は位置をずらして十字にピアスが嵌められ、膨れて肥大化されている。  ただでさえいやらしく改造された乳首は、ハーネスと一体のリング付きストラップで絞り出され、前方に突き出た状態。  人一倍感じやすくなったそこは、ふだんは柔らかい素材のブラで保護している。だが今、私はブラを着けてない。リングで絞り出された敏感改造乳首は、歩くだけでセーラー服の裏地に擦れる。表地と違ってツルツルのスベスベだから痛くなることはないが、触れるか触れないかの強さで撫でられているような感覚が延々と続く。  さらに革のベルトが肉の割れめに埋まるほど食い込む股間部分は、内側に半球形の小さな突起が無数に取りつけられ、秘所を絶えず責めている。  こちらは乳首の刺激よりずっと直接的で、女の子のいちばん感じやすいところに、常に大きな快感を生み続けている。  それらしかけで昂ぶる私の肉体は、上半身を後手に厳しく拘束されたうえで、脚を開けないよう太ももと膝を縛り合わされている。  肉体のいやらしい部分はセーラー服で隠されてはいるが、首輪に吊られた透明ケースに入れられた当時の身分証は丸見え。頭全体を締めあげ言葉を封じる顔枷や、後手の拘束具も隠せていない。  だが、私にはコートがある。マフラーとニット帽、マスクもある。  防寒具のおかげで、私の肉体が悲惨な状況にあるとは、ぱっと見わからないだろう。  歩行をますます困難にする足首の重りや、顔枷のベルトの一部は見えているだろうが、それは瑣末なことだ。人々が気に留めることはない。  拘束を施してくれた――拘束だけじゃなく、乳首ピアスも嵌めてくれた――女主人《ドミナ》様が仰っていたから、間違いないだろう。  とはいえもし万が一、防寒具を剥ぎ取られたら身の破滅。身分証に明記された本名や当時の住所、今とさほど変わらない顔写真も晒される。変態女の正体が私だと知られ、人生がそこで終わる。  そのことはわかっているが、やめることはできない。  いや実のところ、露見しても人生終了するわけではない。  仮に私の素性がバレてしまっても、女主人様に飼われて暮らせばいいだけだ。  それにそもそも、冒険中も女主人様は見守ってくれている。私が危機に陥りそうになれば、配下の者に命じて救ってくれる。  女主人様は、拘束されたい女性に希望どおりの拘束を提供する会社を経営している。その会社のサービスのひとつに、拘束を偽装したうえでの野外拘束と、見守りサービスがある。  もっとも見守りのほうは、スリルを楽しみたい顧客には知らせず行なわれることがあるそうだが。  ともあれ、その見守りスタッフが、休憩のために入った路地に余人が立ち入らないよう、かつ私の視野に入り込まないよう、今も入り口を固めてくれているはずだ。  だから、私は安心してスリルと快楽を楽しめる。淫らでみじめな冒険を愉しむことができる。  その幸せに蕩けながら。 「ん、ふう……」  私は、鼻から甘い吐息をもらした。  その直後である。 「ん、ん……」  不意に、ズクンときた。 「ん、ぅうん……」  喋れない口でうめき、縛《いまし》められた身体をブルリと震わせた。  小さな頂。いわゆる、軽くイクという状態。  それほどまでに、私は感じ高められていたのだ。 「どうしたの、もうイッちゃった?」  直後、女主人様の声が、耳の奥に直接届けられた。  そうだ、耳まで隠したニット帽の奥で、私はイヤホンを嵌められていた。  そして女主人様の声が私に届くように、マイクが拾った私の声も聞かれている。  言葉で意思を伝えることはできなくても、彼女は吐息やうめき声で、私の状態を的確に把握している。  そのうえ携帯電話の位置情報で、私が今いる場所も正確にわかる。 「まだまだ、道のりは遠いわよ」  言われたとおり、冒険の道程は半ば。  女主人様の配下たちは休憩時のサポートや緊急時の救助はしてくれるが、ミッションそのものを助けてはくれない。  それが、冬の冒険のルール。  防寒具で拘束を偽装してお屋敷を出、女主人様が待つ指定された場所まで、私は自力でたどり着かなければならないのだ。 「んふぅ……」  軽くイッた直後の気だるい身体に鞭を打ち――ミッションに失敗すれば、比喩的な表現ではなく本当に鞭で打たれる――私は路地を出る。  目だけで左右を見るが、誰が女主人様の配下なのかわからない。 (ほんとうに……)  見守ってくれているのだろうか。  一瞬、不安に囚われる。  しかし、足を止めるわけにはいかない。  お屋敷に戻るのも、目的地に向かうのも、どちらも距離はほぼ同じ。  そして、戻れば罰。達成すればご褒美。どうせ貰うなら、ご褒美のほうがいい。  そう考え、薄暗い路地から、明るい通りへ。誰にも見られない安心な場所から、見知らぬ人々が行き交う危険地帯へ。女主人様を信じて足を踏み出す。 「んふ、んふ、んふ……」  1度イッただけでは火照りが冷めない身体で、私は歩く。 「んふ、んふ、んふ……」  マスクの奥の鼻から熱い吐息を漏らしながら、官能の高まりに潤んだ瞳で前を見すえて。  1歩、また1歩。足を運ぶたび、敏感改造乳首がセーラー服の裏地に擦れる。ハーネスの股間ベルトが、媚肉と陰核をきつく責める。 「んふ、んふ、んぅん……」  また、蕩けてきた。 「んぅん、んっ、んっ……」  膝を開けないよう拘束されたうえ、足首に重りが取りつけられた脚の疲労も限界が近い。  だが、それを道ゆく人々に悟られてはならない。  怪訝な表情で見られるだけならまだいいが、心配した親切な人に声をかけられたりしたら――。  いや、声をかける人が、善人だとはかぎらない。もしその人が悪者で、近づいて私の状態を気取られてしまったら。  道の両脇に並ぶ住宅に引きずり込まれ、監禁され、なにをされるかわからない。そうなると、そこは私有地内。女主人様の配下の人たちも、容易には手出しできない。  そこまでの事態に陥らなくても、ここに変態女がいると、大声で騒がれるかもしれない。防寒具を剥ぎ取られ、顔枷つきの素顔や身分証の写真を撮られて、拡散されてしまうだろう。  そのときのことを想像するだけで、震え上がってしまう。 (でも……)  私には、そうなってもかまわない、むしろそうなりたいという、秘めた願望もある。  さすがに見ず知らずの他人に凌辱されたいとは思わないが、私が淫らでいやらしい奴隷だと知られ、女主人様に飼われるしかない身の上になりたいと、心のどこかで思っている。 (いえ、それだけは……)  絶対にダメだ。  心身ともに限界が近づいたゆえの不埒な考えを頭から追い出し、そうならないよう気を引き締める。  蕩け始めた頭をつとめて冷静に保ち、上がらなくなってきた足を前に進める。  そこで、この日最大の難関が迫ってきた。  この街のメインストリート。車道には車が行き交い、平日にもかかわらず、歩道にも多くの人が歩いている。  人目が多いぶん、さらわれたり囚われたりの心配はしなくていい。しかし、私の状態が露見する確率は格段に高くなる。  とはいえ、ここを通らないと、目的地にはたどり着けない。  女主人様がクルマを停めて待つ場所までは、この通りを歩く必要がある。  そして、この困難なミッションを達成すれば、甘美なご褒美を貰える。  そのことを期待して、私は最後の難関に足を踏み入れた。 「んふ、んふ、んふ……」  昂ぶり続ける官能に熱く火照る身体で、できるだけ目立たないよう歩道の隅を歩く。 「んふ、んふ、んふ……」  ともすれば、蕩けてしまいそうになる気持ちを奮い立たせて。 「んふ、んふ、んふ……」  前から、中年の女性が歩いてきた。変態的行為に気づかれたら、大騒ぎしそうなタイプだ。  不自然に見えないよう、かつ拘束具で唯一露出した鼻の横を通る顔枷のストラップを見られないよう、顔を伏せぎみに。 「んふ、ふっ、ふっ……」  マスクの中に漏らす吐息も意識して抑えながら。  それが功を奏し、中年女性は私を気に留めることなく通り過ぎた。  しかし、危機は終わりではない。ピンチは次々とやってくる。  次は、ふたり組の女子学生だ。中年女性のようにその場で大騒ぎはしないだろうが、より好奇心は旺盛。それになにより、SNSで拡散させることへのためらいが少ない。 「んっ、んっ、んっ……」  そのため、先ほど以上に慎重に歩く。  しかし、ふたり組の視線を感じる。  このあたりでは見かけない通学用コートと、裾から覗く紺色プリーツスカートを注視しているのか。  あるいは、私と年齢が近いだけに、自分たちとは違う異様な雰囲気を察知したのか。  わからない。わからないが、あきらかに私を意識している。  今日、これまでで最大のピンチ。  ドキドキが止まらない。  官能も抑えられない。  そう、私はこの季節が好きなのだ。  女主人様に無理強いされているのではなく、自ら望んでコートとマフラー、ニット帽とマスクで身体と顔を隠し、冒険に出ているのだ。  いやらしい肉体や厳重な拘束を防寒具で隠し、街を歩く変態行為で激しく昂ぶる性向を、私は持っているのだ。  セーラー服の裏地に擦られる敏感改造乳首が気持ちいい。  媚肉に食い込むしかけのある股間ベルトが快感を生む。  彼女たちに気づかれるかもしれないと、気づかれ写真を撮られ拡散されるかもしれないという怖れが、それら快楽を増幅させる。  その刹那、性の頂がやってきた。 (だ、ダメ……こんなタイミングで……)  私の意思を無視して、先ほどより大きい悦びに襲われた。 「ん、んぅンッ……!」  うめき声をあげ、一瞬身体をビクンと跳ねさせる。 「ン、ぅうん……」  膝がガクガク震え、大いなる快楽をやり過ごそうと、歩くペースを落とす。  そこで、思わずふたり組を見てしまった。  そのうちのひとりと目が合う。その子の表情が、怪訝そうなものに変わる。 (見られた!? 気づかれた!?)  直感的にそうと感じながら、彼女たちとすれ違った。 「ねえ、今の子……」  直後、おそらく目があったほうの声。  そのあとも言葉は続いていたが、よく聞き取れなかった。  私のことを言っているのだろう。あるいは侮蔑の言葉を投げているのかもしれない。  とはいえ、聞き耳を立てる余裕はなかった。  ふたり組がなにか言い合いながら、私の背中を見ている気配を感じ、いたたまれない気持ちで前方斜め下を見て進む。  それからのことは、あまり記憶がなかった。  絶頂の余韻と冷めない官能の夢心地のなか、ふわふわと雲の上を歩いているような感じで歩を進めていただけ。  そして、目的地。  ゆっくり静かにスライドドアが開いたボディも窓も真っ黒の高級ミニバンに飛び込み、私は愛しい女主人様に抱きしめられた。 (了)

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