制服店マネキンの秘密 (Pixiv Fanbox)
Published:
2021-10-08 09:30:27
Edited:
2023-12-31 23:53:55
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俺の大学の同級生がふたり、行方不明になった。
ひとりは男子としては平均的な体格。もうひとりは平均より背が低く、華奢な体型。地元小中高校の制服を扱う洋品店が募集するアルバイトに応募すると言っていたふたりが忽然と姿を消して、今日でひと月ほどになる。
いずれも18歳を過ぎた成人だから、大きな騒ぎにはなっていない。大々的に捜索が行なわれたりもしていない。同級生のあいだでも、ふたりして放浪の旅にでも出たのだろうと噂している程度。
だが俺はなんとなく、ふたりの身の上になにかよからぬ事態が起こったのではないかと思っていた。
漠然と、ふたりはもう戻ってこない、いや戻ってこられないんじゃないかと思っていた。
そして同時に根拠なく、以外と身近なところにいるんじゃないかとも感じていた。
ふたりがアルバイトに応募すると言っていた洋品店のショーウィンドウに展示された、地元中学校の制服を着せられたマネキンを眺めながら――。
「うふふ……」
閉店後の洋品店、私は薄く嗤ってマネキンの顔に触れた。
気に入った男子を捕らえ、マネキンに閉じ込め、監禁飼育する。
私がその歪んだ願望を抱くようになったのは、もう10年も前の高校時代。祖父母が経営していた洋品店がその舞台に最適だと気づいたのが、大学を卒業し就職していた5年前。
以来私は綿密に計画を立て、準備してきた。
必要となる装具を整え、慎重に人選し、ことを進めてきた。
そして、年老いた祖父母からこの店を引き継いで2年ほどが経ったある日、理想の生贄がやってきた。
失踪したからといって、世間がすぐに大騒ぎしたりしない、成人済みの大学生がふたり。同時に少年の面影を残す無垢な一面を持つ。
アルバイトの面接にきたふたりをお茶に混ぜた薬を眠らせ、各種装具を嵌めたうえでマネキンに閉じ込め、ショーウィンドウに展示したのが1ヶ月前。
学生服を着せた身体が大きいほうの子は、身も心もマネキンになりきった。
だがセーラー服を着せた小さいほうの子は、まだわずかに男子大学生としての自我が残っている。
「だけど……」
と、私は思う。
「もしかしたら……」
身体はマネキンになり果てながらも、精神はいまだ抵抗を続けている今の状態が、自分は一番好みなのではないかと。
「だから……」
もう名前も忘れてしまったセーラー服のマネキンの子の自我を保たせるため、私は1日1度顔のパーツを外す。
カチリ。
とロックを解除する小さな音。
銃弾を跳ね返すほどの強度を持つ特殊樹脂のパーツが、マネキン本体から離れる。
「ぁうぁあ……」
中身の子があげるうめき声を聞きながら、口中に押し込めていたシリコンゴムの異物を引きずり出す。
ゴポリと溢れる涎。
口中に溜まっていたそれが、異物から唇にツーっと糸を引き、やがてプツリと切れて制服の胸に落ちた。
「ぅあぁあ……」
彼がくるおしげにうめくのは、垂れた涎が恥ずかしいからではない。もはや涎を恥ずかしがる羞恥心は、失われているはずだ。
「ぁあぁあ……」
それは、おそらく苦悶のうめき。闇に閉ざされていた目を照明の光で差され、その苦痛に悶絶しているのだ。
にもかかわらず目を閉じないのは、瞼の閉じかたを忘れているのだ。
そんな状態でも、彼の瞳の光が消えていないことを確認しながら、涎と汗と涙でぐしゃぐしゃになった顔を濡れタオルで拭く。
水分補給も、食餌も、排泄ですら、マネキン状態のまま処理できる。
身体全体の洗浄は深夜、薬で眠らせて行なう。
だがあえて私の姿を見せながら顔だけ拭いたのは、己の所有者が誰なのか、彼に再認識させるためだ。
今からセーラー服スカートをめくり上げ、マネキンの股間パーツと貞操具を外しての性感処理が、誰の手によるものかをあらためて確認させるためだ。
それにより、彼はセーラー服を着たマネキンに閉じ込められ、生殺与奪の全権を私に握られている身の上を、忘れずにいることができる。
「うふふ……」
薄く嗤いながら、再び顔のパーツをはめ込む。
「うふふ……」
見えず、聞こえず、動けず、喋れないマネキン状態のまま、彼はこれから搾り尽くされる。
そのとき、わずかに残った自我で、彼はなにを思うのか。
それとも、なにも考えられず、ただ快楽に翻弄されるだけなのか。
「うふふ……」
それを想像して心の底から溢れてくる悦びに唇を吊り上げて嗤い、私はマネキンのセーラー服のスカートをめくり上げた。