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「エリゼお嬢さま、よくお似合いですよ。胸を張って、領民の前にお出ましを」  ポニーガールの装備を設えられた私の肩に手を添えて、メイドのルカが促した。 「あっえ(待って)、ぉんあぉう(そんなこと)……」  できるわけない。  しかし私の言葉は、口に噛まされた金属製の馬銜(はみ)のせいで、意味不明なうめき声にしかならなかった。 「お嬢さま、なにを言っておられるのか、まったくわかりませんわ」  肩を押されても、厳重に拘束された身では、抗うことができなかった。 「さあ、早く参りましょう」  ふだんはルカより頭半分低い小柄な私を、彼女と同じくらいの身長に変えてしまう超ハイヒールのポニーブーツを履かされていては、踏ん張ることすらできなかった。 「ぃあぁ(いやぁ)、ぃあぉう(いやよぅ)……」  とはいえ、こんな姿で人前に引き出されるわけにはいかない。  当地を治めるロレーヌ伯爵令嬢エリゼが、馬のように馬車を引く奴隷の装束姿を、人目に晒せるわけがない。  そう考えて、震えるように弱々しく首を横に振ると、ルカは肩を押す手の力を緩め、耳元でささやいた。 「ご安心ください、お嬢さま。ここは王立学院の長期休暇で訪れた、伯爵領の別荘。ふだん王都で暮らしておられるお嬢さまのお顔を知る者は、当地にはおりません。馬銜のせいでいつもとお顔つきが変わっておられるうえに、側方視界を遮るブリンカーでお顔はよく見えませんし、そのうえ……」  ブリンカーの横から、耳たぶに息がかかるほどの至近距離で優しく語りかけた。 「人は相手のことを、見た目で判断するもの。たとえお知り合いが今のお嬢さまを見ても、エリゼ・ロレーヌさまと気づくことはけっしてありません」 「うぉう(そう)、あぉ(なの)……?」 「はい。伯爵家の紋章が刻印されたポニー装備を身に着けられたお嬢さまは、ロレーヌ家所有のポニーガールでしかないのです。それに……」  そこで、ルカが妖しく笑った――ブリンカーのせいで見えなかったが、なんとなくそんな気がした。 「これはお嬢さまご自身が、望まれたことなのですよ?」  言われて、ハッとした。  そうだ。これは私自身が望んだことなのだ。  当地で開催されるポニーガール祭りに、ポニーガールとして参加したくて、ルカに頼んで手はずを整えてもらったのだ。 「だから、ね。怖がらずに、参りましょう?」  今日この日まで、私を躾けてきたメイド――いや調教師にもう一度肩を押され。 「あぃ(はい……)」  震える声で答えて、私はポニーガールとしての一歩を踏みだした。

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Comments

sm1man

後続編も期待します。^_^ b

masamibdsm

ありがとうございます。 このシーンを描写してみたところ、続きのストーリーも書いてみたくなってきたので、他の執筆が落ち着いたら続きの短編小説も書いてみます。

どすどす

はみ出しぷよぷよ感が柔らかそうな作品ですね。ちょっとした障害ありのコースで上下に弾むのを見たい気がします。

masamibdsm

今回はふだん運動してない令嬢らしく、柔らかお肉で食い込みマシマシにしてみました。 たしかに、プルンプルンしそうでいいですねー。