小説 矯正牧場の豚奴隷 前編(新規イラストつき) (Pixiv Fanbox)
Published:
2020-11-13 11:41:00
Edited:
2023-01-04 23:38:40
Imported:
Content
関連イラスト https://masamibdsm.fanbox.cc/posts/1331699
前編
20XX年、ますます凶暴・凶悪化する犯罪に対応するため、従来の刑務所と少年院を統合した矯正収容所が、実験的に設立された。
その収容対象は若年層。建前は犯罪を犯した若者を、いまだ悪に染まりきっていない年齢のうちに労働と教育により矯正、社会復帰を促すというもの。
しかし、その実態は――。
「困ったことになりましたな」
「新宮実紗《しんぐう みさ》を第2矯正収容所送りにして、いったん批判は沈静化したのですがな」
「インターネット……SNSですか。思わぬところから、再び火がつきましたな」
「この火は、消せぬのか?」
「無理でしょう。ここまで広がると、もはや手遅れです。すでに百万人単位で、矯正収容所制度への批判の声は拡散されております」
「首謀者は誰か、わかっているのかね?」
「場の性質上、首謀者と呼ぶのは適切ではないですが……発端は陸奥葉月《むつ はづき》、第1矯正収容所に送った木戸夏海《きど なつみ》の裁判で、彼女側の証言をした人物です」
「では、その者を始末すれば、鎮火するのではないか?」
「それは逆効果でしょう。すでにネットでの炎上を無視できず、各報道機関も取り上げ始めております。今彼女に手を出せば、かえって激しく炎上すると思われます」
「それはなんとも、もどかしいな……我らに制御できぬものが、この国にあるとは……」
「まぁ正確には、SNSは外国のプラットフォームなのですが……」
「プラットホーム……駅の施設がどうかしたのかね?」
「いえ、そうではありません。プラットフォームとは……」
「ええい、そんなことははどうでもいい! なんとしても矯正収容所制度は存続させねばならぬのだ!」
「ならば、制度は公平に運用されていると広く一般に示すことができれば、あるいは……若年層犯罪者の凶悪化という社会問題は、いまだ解決されておりませんから」
「それは、具体的にどういうことかね?」
「はっ、古流院さまにはおつらいことかもしれませんが……」
「儂か? 言うてみよ」
「それでは……」
古流院蜜紀《こりゅういん みつき》は、生まれついての令嬢である。
祖父は古流院梧桐《こりゅういん ごどう》。この国を裏から牛耳る古き家系の当主ひとりで、矯正収容所制度を積極的に推し進めた。父は梧桐の四男、梧猛《ごもう》。その末娘として、蜜紀はなに不自由なくわがまま放題で育ってきた。
それは、彼女が学校に通う年齢になっても変わらなかった。
小中高と一族の者が理事長を務める学園に通い、その教職員や一般生徒を権力で、不良生徒を財力で牛耳り、支配者として君臨し続けた。
そんな蜜紀の前に現われたのが、木戸夏海である。
スポーツ推薦枠で中途入学した夏海は、蜜紀に絶対服従という学園暗黙のルールを無視した。懲らしめるためにけしかけた不良生徒も、返り討ちにされた。
怒り心頭の蜜紀は、祖父をはじめ古き家系の当主たちが設立した矯正収容所制度を利用することを決める。
学園上層部をはじめ関係各所に根回ししたうえで、夏海の親友である葉月を配下の不良生徒に襲わせた。
その後の顛末は、周知のとおりである。
計算違いは、制度に抗う女弁護士・実紗が現われたこと。実紗に求められるまま、葉月が証言したこと。
とはいえ、いずれも古流院家の強大な権力の前では些事だった。蜜紀の思惑どおり夏海は第1矯正収容所送りになり、反対運動を起こした実紗も第2矯正収容所に収容された。
インターネットの世界で起こっている事態も知ってはいたが、大事には至らないと考えていた。自分の立場には、なんら影響を及ぼさないと思っていた。
古流院家を、ひいてはこの国を支配する古流院梧桐にとって、自分はなにがあっても守るべき大切な孫娘だと信じていた。
今日、この日までは。
「岩埼《いわさき》が淹れたお茶は、ひと味違うわね」
「ありがとうございます、お嬢さま」
紅茶をひと口飲んだ蜜紀が声をかけると、メイド長が深々と頭を下げた。
岩埼メイド長は、若い頃は蜜紀付きのメイドだった。
幼かった蜜紀の世話をよくこなし、それでメイドとして高い評価を得、今は屋敷の家事いっさいをとり仕切る立場にいる。
「それで、今日はなに用?」
「お嬢さま、よくおわかりになりましたね」
「あたりまえよ。ふだんは若いメイドに任せきりの貴女がわたくしの前に現われるのは、お父さまが言いにくいことを伝えるとき……違って?」
するとメイド長は、敬服したように再び頭《こうべ》を垂れた。
「ご明察でございます、お嬢さま。実は……」
そして淡々と語り始めた。
「お嬢さまには、第3矯正収容所にお入りいただくことになりました」
「それは、木戸夏海の件に関してかしら?」
「はい。最近SNSで、矯正収容所制度への批判が起こっていることはご存じで?」
「知っているわ」
「その批判を抑え込むため、制度は公平公正に運用されていると示す必要があると、お館さまが判断されたのです」
「お爺さまが……?」
古流院一族の者にとって、当主たる梧桐の決定は絶対である。仮にその決定が法に背くものであっても、黙々と従わなければならない。
「ふう……」
と諦めたようにひとつ息を吐くと、蜜紀はカップをテーブルに置き、脚を組んであらためて訊ねた。
「それで、喧嘩両成敗の体裁を整えようと?」
「はい、そのとおりでございます」
「つまり形だけ第3矯正収容所に入り、ほとぼりが冷めるまでそこで過ごせと?」
「いえ、形だけではありません。お嬢さまをほんとうの囚人として、収容させていただきます」
「な、なんですって!?」
「囚人としてお嬢さまが収監されたと世間一般に知らしめることが、事態の沈静化につながると、お館さまが判断なさったのです」
「……!」
抗議のために立ち上がろうとして、一瞬くらっとした。
「こ、これは……ろうひへ(どうして)……?」
疑問を口にして、言葉の後半は呂律が回っていなかった。
それでも訊ねたいことは伝わったのだろう。いっさいの感情を感じさせない視線で蜜紀を見下ろし、メイド長がその答えを口にした。
「古流院家伝来の眠り薬を、お茶に混ぜさせていただきました」
「なんれ、ほんはほほ(なんで、そんなこと)……?」
「お館さまは、7人兄弟であらせられました。お父さま、梧猛さまは、9人兄弟です。どうして古流院家の方々が子だくさんなのか、その理由はご存じですか?」
その質問に、蜜紀は答えることができなかった。
わからなかったことに加え、もう口が動かなかった。
「それは、いざというとき、切り捨てるためです。一族の繁栄の礎として、犠牲になることを前提に、古流院家の当主は多くの子を成すのです」
その言葉の後半を、蜜紀は聞いていなかった。
女給長が言い終えたとき、これまでの人生で身勝手のかぎりをつくしてきた令嬢は、椅子の上で小さな寝息をたてていた。
「ぁ、う……」
低くうめいて、蜜紀は目覚めた。
「ぉうぁ(ここは)……?」
目の前には、白い壁。
反射的に起き上がろうとして、できなかった。
脚は太ももの裏とふくらはぎを密着させるよう折り畳まれて。腕も手のひらで肩をつかむような状態に折り畳まれて。その状態で上下に振る程度のことしかできなかった。
そのとき、視界の左右両端にチラリと見えたピンク色の物体。それが、腕の動きに合わせて上下に移動する。
(ピンク色の拘束具で、腕を伸ばせないよう拘束されている?)
そうと気づいたところで、視界の右半分が暗くなった。
(右目を塞がれた!?)
その直後、視界すべてが闇に閉ざされた。
(両目の上に、別々にテープを貼りつけられた?)
なんとなく察すると同時に、聞き覚えのある女性の声。
「薬が足りなかったようですね。ほんとうは、すべての作業を終えてから、お起こししようと思っていたのですが……」
そう告げた声は、岩埼メイド長のものだった。
「あぅああ(いわさき)、ぁあぁ(あなた)……」
自分になにをしたのか問いただそうとして、声が言葉になっていないことに、ようやく気づいた。
とはいえ、岩埼メイド長とは長い付き合い。蜜紀がなにを訊ねたのか察した彼女は、質問に答えるように口を開いた。
「まず私は、特別に第3矯正収容所の特別看守として、配置換えしていただきました。これは身近な者にお嬢さまの世話をさせたほうがいいだろうという、お父さまの温情であります」
「ぁ、あんぇうっえ(なんですって)?」
「これより、私のことは『岩埼特別看守』とお呼びください……といっても、すでに開口式輪状口枷《リングギャグ》を嵌められたお嬢さまは、人の言葉を口にすることは不可能ですが」
それで、喋れない理由がわかった。
同時に覚醒してきたことで、口を開いた状態で金属製のリングを噛まされて固定され、口を閉じられなくされていることを実感した。
そんな蜜紀に向かって、岩埼メイド長、いや特別看守が口を開く。
「せっかく途中でお目覚めになられたのですから、お嬢さまの現在のご身分と、お身体の現状をお伝えしておきましょう」
そして岩埼特別看守は、にわかには信じがたい残酷な事実を告げ始めた。
「矯正収容所の実態は、いわば矯正牧場です。ここでは囚人は人ではなく、家畜奴隷として扱われます」
「うぇ(えっ)……?」
「第1矯正収容所は、囚人を馬奴隷として調教する馬牧場。第2は乳牛奴隷として馴致する牛牧場。そしてこの第3矯正収容所は、調教も馴致も行なわず、豚奴隷に堕とした囚人を監禁し晒し者にする豚牧場なのです」
一瞬、なにを言っているのか理解できなかった。
しばし考えたあと、とてつもなく理不尽なことを言われているのだと理解した。
とはいえ、抗うことはできなかった。
手足を折りたたまれて拘束され、抵抗も逃走もできない。リングギャグに言葉を奪われ、抗議することもできない。
蜜紀にできるのは、床に横たわったまま不自由な身体を蠢かせながら、開口を強制された口から意味不明なうめき声と涎を垂れ流すことのみ。
そんなみじめな状態に貶められた令嬢に、元メイド長がさらなる残酷な言葉を投げつける。
「いつまで寝ているおつもりですか」
そう言うと岩埼特別看守が、四肢を拘束された蜜紀の身体を抱き起こした。
「お気づきでしょうが、お嬢さまのお身体は、すでに拘束されております」
そして両肘と両膝を床についた変則的な四つん這いの体勢を取らせ、あらためて口を開く。
「特殊合成ラバー製の囚人服を着せ、全頭マスクを被せたうえで、四肢を折り畳んで拘束。さらに幾本ものベルトで、短くなった四肢の動きを制限しております」
それで、手首から先は肩に縫いつけられたように、足首から先もピンと伸ばした状態で固定されている理由を知った。
「四肢の拘束具の先端、肘と膝にあたる部分にはクッション材が仕込まれており、四つん這いで立っていることに、大きな苦痛は感じないはずです」
たしかにそのとおりだった。クッション材底面の形状のせいだろうか、床についた肘と膝が痛くないだけじゃなく安定感がある。
さらに、膝より肘のクッションのほうが厚みがあるのだろう。腕は脚より短いはずなのに、上半身はそれほど前のめりになっていない。
「ですがこれで、拘束が完了しているわけではありません。お股の処置とお顔の拘束を、これより行ないます」
そう言うと岩埼特別看守が、ピンと伸ばした両足のあいだから、蜜紀の股間に触れた。
「囚人服のお股の部分には、そこだけを開口させるファスナーが設えられております。さらにそこにはスライダーがふたつ設えられており、任意の場所に開口を作ることができるのです」
その言葉のとおり、股間に開口を作られ、肛門と女肉が外気に触れた。
「あぇああぃ(やめなさい)!」
物心ついてから誰にも見せたことのない場所を晒され、思わず声をあげる。
だがその声は、言葉にならなかった。
「ぃうッ!?」
冷たい手で晒された肛門に触れられ、思わず悲鳴をあげる。
しかし突然の狼藉から逃れようとしても、背中でベルトをつかまれるだけで、その場から1歩も動けなくなった。
「ぁうぅ……」
完全に無力な存在に貶められたことを実感し、悔しくてくるおしくうめく。
「ぅあぅ……」
絶対他人に触れさせてはならない場所に指を這わされる羞恥に、金属製のリングを噛みしめて耐えていると、岩埼特別看守の手が動き始めた。
肘と膝をついた四つん這いの体勢で動けないまま、窄まりの襞を円を描くように撫でられる。
粘着質にぬめる感触は、指にローションがまぶされているのだろう。
そのせいか撫でられているうちに、くすぐったさに似た感覚が生まれた。
「ぁうう……」
それでうめいて身をよじると、岩埼特別看守の声。
「お嬢さま、お尻の穴で感じておられますね?」
「ぁ、あぃお(なにを)……?」
「肛門が、ヒクヒクと蠢いておりますよ?」
「お、おんあ(そんな)……」
わけがない。
しかし、そう言いきることはできなかった。
それは、実際に肛門をひくつかせている実感があったから。
実のところ、触れられて肛門をヒクヒクさせることと、そこで感じているかどうかは関係ない。
そこはふだん他人には絶対見せない、皮膚が薄く内臓に近い場所。そこに触れられて、警戒心にも似た感情から、反射的に締めたり緩めたりするのはごくあたりまえの反応。
にもかかわらず、岩埼特別看守はお尻で感じることと、そこをヒクヒクさせることが、あたかも関係あるかのように告げた。
そして生粋の令嬢でありつつ、不良生徒とも付き合いのある蜜紀は、お尻で快感を得る人がいることを知識として知っている。
現実の性体験はなくても、彼女たちの会話のなかで、少しばかり進んだ性の知識を仕入れている。
加えて岩埼特別看守は、かつて蜜紀付きメイドだった。幼い頃の令嬢が、心を許した数少ない人物だった。
蜜紀にとってその人の言葉が、一定の重みを持つのもまた当然のこと。
そのため肛門をひくつかせる、すなわちお尻で感じている証拠と思わせられて、蜜紀はとまどった。
とまどい、自分はお尻で感じているんじゃないかと疑いを持ってしまった。
そうなると、ほんとうに肛門で快楽を覚えるようになるのは早い。
個人差はあるが、そこにはほかの部位より密に、性感帯が存在しているのだから。
「あっ、ぅあ……」
お尻の性感帯を刺激され、ゾワリと妖しい感覚が駆け抜ける。
「ぁう、あぅう……」
うめき声に甘みが混じる。
「あぅ、ぅあぁ……」
甘いうめき声が、艶を帯びる。
オンナの肉の芯に、熱が生まれる。
生まれた熱が蜜となり、肉の割れめをじんわりと湿らせる。
(な、なぜ……?)
自分の肉体は、こんなに感じやすくなっているのか。
蜜紀は、全頭マスクを被せられていた。それには目の部分に複数の穴が開けられているが、今はそれをテープで塞がれ、視覚を奪われていた。
その視覚は、五感のなかでも、もっとも需要な情報源である。
それを失ったとき、人は無意識のうちにほかの感覚を研ぎ澄ませ、情報不足を補おうとする。
結果、触覚も鋭敏になり、性感帯もより敏感になる。
自身ではそうと気づけないまま巧みに誘導されて、蜜紀は肛門性感を開発されようとしていた。
「お嬢さま、軽くいきんでくださいませ」
そこで、岩埼特別看守が声をかけた。
その言葉に、蜜紀が反射的に従ったときである。
「……ッ!?」
肛門になにか――岩埼特別看守の指――が侵入してきた。
「ッ、あっ……!?」
思わず声をあげたのは、驚きと困惑ゆえだ。
「ぉうぃえ(どうして)……?」
これほどあっけなく、侵入を許してしまったのか。
「それは、いきんだからですわ」
言葉にならなかった質問に、このたびは岩埼特別看守が答えた。
「うんちをするときのようにいきむと、人の肛門はわずかに開くのです。おまけに私の指はローションで潤滑されていますから、挿入はきわめて容易です」
「うぉんあ(そんな)……」
「古流院家の血を引く高貴なお嬢さまも、肉体は並みのオンナと同じということです」
そして、そう言って蜜紀に屈辱感を覚えさせたところで、岩埼特別看守の指が動き始めた。
まずは、肛門の奥へ挿入。
「ぁう、ぅあ……」
つけ根付近まで突き入れられて、リングギャグの口から吐息が漏れる。
「うぁ、あう……」
吐息とともに、涎も溢れる。
「ぁうっ……ぁうぁ」
溢れた涎を吸い上げようとしてうまくいかず、くるおしくうめいたところで、挿入された指がゆっくり引いていった。
ゾワリ、と妖しい感覚が挿入時より大きくなる。
「お嬢さま、肛門がもの欲しげに、私の指を食い締めておりますよ」
「ぃあう(違う)、おぇあ(これは)……」
ゾワリと駆け抜けた感覚に、反射的に力を込めてしまっただけだ。
しかし不自由な口では、そうと伝えることができなかった。
否定できないまま、再び指を突き入れられる。
今度は、手首を回転させてひねりを加えながら。
「ぁう、あぅう……」
引いていくときも、同じように。
「あっ、あぅあ……」
もう1度。
「あっ、あぅあっ……」
繰り返し。
「あぅ、あっあっ……」
オンナの肉の芯に生まれた熱が、ますます大きくなってきた。
もはやそこに、はっきりと火照りを感じている。
肉壺が吐き出す熱い蜜の量も増え、すでに割れめから滴となって垂れていた。
指を抽送されるたび、ゾワリと駆け抜ける感覚も妖しさを増していく。
「本格的にお尻で高まってまいりましたね?」
そこで、岩埼特別看守が口を開いた。
「お嬢さまが古流院家ご令嬢らしからぬ、いやらしい肛門性感体質の持ち主だということは、よおくわかりました」
まずは蜜紀を侮辱する言葉を投げつけると同時に、自らが倒錯した性癖の持ち主なのだと刷り込み。
「ですがこれは、お嬢さまを気持ちよくさせるためにしていることではありません」
これは囚人に課される『お股の処置』の一環なのだと思い出させてから、一気に指を引き抜いた。
「ぁうぅうッ!?」
今までで一番大きな妖しい感覚――蜜紀はそれをもう、性的な快感なのだと認識していた――が駆け抜けた直後、指ではないなにかが、肛門に押し当てられた。
「豚の尻尾つき肛門栓《アナルプラグ》です。第3矯正収容所では、豚奴隷の自覚を常に持たせるため、囚人の肛門への常時挿入を義務づけています」
「あ、あんぇうっえ(なんですって)!?」
不自由な口で抗議しかけたところで、異物が肛門をこじ開けた。
「あぇえ(やめて)!」
猛烈な圧迫感に、絶対に入らないと直感し、挿入の中止を請う。
しかし、赦されなかった。
「陸奥葉月さんを配下の不良生徒に襲わせたとき、彼女は『やめて』と言いませんでしたか?」
そうだ。たしかにあのとき、葉月は中止を請うた。
「彼女の懇願を、お嬢さまは受け入れましたか?」
受け入れなかった。葉月のときのみならず、学園の同級生を虐めたときも。新人メイドを気の向くまま苛めたときも。泣いて赦しを請う被害者を嘲笑しながら、気がすむまで責め続けた。
「それは、被害者とお嬢さまのあいだに、圧倒的な力の差があったからではないですか?」
そのとおりだ。古流院家の権勢の前では、一般学園生や新人メイドの意思など、無視されて当然と思っていた。
「その力の差が、今の私とお嬢さまのあいだにもあるのです」
「……!」
言われて、ハッとした。
自分は、第3矯正収容所の囚人だ。
そして岩埼は、第3矯正収容所の特別看守だ。
あのとき葉月と自分とのあいだにあった力の差が、今の自分と岩埼特別看守のあいだにはある。
気づいて愕然とし、打ちひしがれた蜜紀に向かって、岩埼特別看守が口を開いた。
「ご自分の立場、おわかりになりましたか?」
そして、有無を言わせぬ空気を漂わせて命じる。
「さっきしたように、軽くいきんでください」
もはや、逆らうという。選択肢はなかった。
それが尻尾つき肛門栓を、豚奴隷の装具を受け入れる行為だとわかっていながら、その命令に従うしかなかった。
「ぅうぅ……」
屈辱感にくるおしくうめき、うんちをするときのようにいきむ。
すると岩埼特別看守が、異物を押し込んだ。
ヌルリ、とローションまみれの異物が、肛門をこじ開ける。
「ぁ、ぁうぅ……」
猛烈な圧迫感に、苦悶した直後――。
「あぅぁうッ!?」
括約筋が細いところに嵌り込むような感触とともに、肛門の快感が襲いきた。
「ぁ、ぅうん……」
続いて艶めいた吐息を漏らしたところで、濡れそぼる女肉に、なにかが押し当てられた。
「ぁうッ!?」
それで悲鳴じみて喘いだところで、ファスナーが閉じられていく。
それで外側に飛び出した尻尾のつけ根だけを露出させ、女肉に押し当てられた異物と、肛門栓の土台部分をスーツで押さえつけられた。
おそらくもう、どれほど力を入れても、肛門栓を排泄することはできない。
両手は拘束されているから、自分でファスナーを開けることもできない。
他者の手を借りなければ、女肉の異物を取り、肛門栓を抜くことは不可能。
そうと思い知ったところで、岩埼特別看守が顔の前に回り込む気配がした。
直後、肘と膝を床についた四つん這いの状態から、上半身を抱き起こされる。
そして正座のような体勢を取らされたところで、左目の視界が回復した。続いて、右目も。
両目の上に貼りつけられていたテープが、剥がされたのだ。
そこに見えたのは、軍服ふうの制服姿の岩埼看守長。
見慣れたメイド服姿とはうって変わった装いに、今の彼女は第3矯正収容所の特別看守なのだと、あらためて思い出す。
彼女に対し怖れにも似た気持ちが生まれ、顔を伏せると、折りたたまれてピンク色の拘束具に囚われた自らの腕。
自分が第3矯正収容所の囚人なのだと、視覚でもって思い知らされる。
開口を矯正された口からゴポリと溢れた涎が床に垂れ、みじめな豚奴隷に堕とされたのだと思い知らされる。
「とはいえ、お嬢さまはまだ、豚奴隷に堕ちきっておりません。豚奴隷のスーツを着せられ、豚奴隷の全頭マスクを被せられ、豚奴隷の拘束具を嵌められ、豚奴隷の尻尾つき肛門栓を挿入固定されておられますが、まだ完全な豚奴隷ではありません」
そう言いながら岩埼特別看守が、スーツや拘束具と同色のベルトに金属製のフックが取りつけられた装具を取り出した。
「ぉ、おぇあ(それは)……?」
「お嬢さまのお顔を豚奴隷のものに変えるための装具、平たく言うと、鼻フックです」
「うぇ(えっ)……?」
一瞬、それがなんなのかわからず、そのあいだに全頭マスクにベルトを固定され、フックを鼻孔に引っかけられた。
「……ッ!?」
それで、ようやく鼻フックという名の器具の用途に気づくが、もはやあとの祭。
ベルトを引き上げられて、フックで鼻を吊られる。
「あぇえ(やめて)!?」
言葉にならない懇願が聞き入れられるわけもなく、痛みを感じるほど容赦なく、鼻を高々と吊られる。
そして吊り上げられ縦に伸びた鼻孔の上端が眉間近くに達したかと思われた頃、ベルトのバックルが留められた。
その際、ミリ単位で吊り上げが緩んだが、その程度は焼け石に水。
「ぅううぅ……」
鼻の痛みと、痛みを感じるほど鼻を吊られた屈辱感にうめいていると、岩埼特別看守が次なる装具を手に取った。
スーツやマスクと同色同素材の土台が取りつけられた、プルプルとしなるほど柔らかい、シリコンゴムの棒。
その先端が、リングギャグで開口を矯正された口に押し込まれた。少しずつ、シリコンゴムが口中を占拠していく。
しかし、まだまだ口腔内への挿入は終わらない。その長さの半分近くが、まだ口の外にある。
「あぁう……おぅうい(もうムリ)……」
注意深く耳をすませば聞き取れそうな声をあげられたのは、それが最後だった。
口を占拠し、舌を下顎側に押しつけながら、シリコンゴム棒の先端が喉奥近くにまで達した。
「ぅんむぅ……」
もはや、まともに声すら出せない。
油断すると喉を棒の先端で突かれ、えずいてしまいそうになる。
「んぅんん……」
そのことに苦悶したところで、シリコンゴム棒の土台が、全頭マスクに固定された。
「これで、すべての装具をつけ終わりました」
蜜紀の顔を覗き込み、岩埼特別看守が告げる。
「囚人装具をつけ終わったことで、古流院蜜紀の第3矯正収容所への収監作業は完了しました」
そして唇の端を吊り上げて嗤い、冷たく宣告した。
「これより出所の日まで、古流院蜜紀がその名で呼ばれることはありません。豚奴隷354番。それが、今日からあなたの呼称となります」
その無慈悲な言葉に、抗議することはできなかった。
物理的に、声を出せなかったから。それ以上に、言い返せるほど、気持ちを強く持てなかったから。
その身を襲った数々の理不尽な仕打ちに、わがまま放題に育った令嬢の心は、ぽっきりと折れていた。
そんな令嬢の折れた心を粉々に砕き、正真正銘の豚奴隷に堕とすための策を、元メイド長の特別看守は用意していた。
岩埼特別看守が、ゆっくりと立ち上がる。
立ち上がり、完全なる拘束ヒトブタと化した蜜紀の横に回り込む。
それで開けた蜜紀の視界に飛び込んできたのは――。
「……ッ!?」
突如目の前に現われたヒトブタに、驚いて目を剥き、息を飲む。
(いえ、違う!)
これは、鏡だ。
大きな鏡に、わが身の姿が映っているのだ。
ピンク色の特殊合成ラバーのスーツを着せられ、拘束具とベルトで両腕両脚を折りたたんで拘束されたヒトブタは、蜜紀自身なのだ。
豚の頭を模したスーツと同色同素材の全頭マスクを被せられ、口を塞がれてフックで吊られたブタっ鼻を晒す豚奴隷は、ついさっきまで令嬢だった自分なのだ。
「んぅう(そんな)……」
愕然としながらも、自らのみじめな姿から目を離せない。
それがよく見えるのは、目の位置に合わせて小さい穴がいくつも穿たれているからだろう。だがひとつひとつの穴は何ミリかの小さなもので、鏡ごしには蜜紀の瞳は見えていない。
全頭マスクから、いや蜜紀の身体のなかで肌が露出しているのは、鼻の部分のみ。ただしその鼻は限界まで吊り上げられ、美しかった原形をとどめていない。
だから、醜いヒトブタの正体が蜜紀であると、誰にも気づかれないだろう。
ただひとつ、首輪に金具で吊られた金属製のプレートがなければ。
そこには右半分に『第3矯正』の文字と、奴隷番号『354』。そして左半分には、蜜紀の顔写真がプリントされていた。
「豚奴隷354番……」
蜜紀がプレートの存在に気づいた頃合いを見はからい、岩埼特別看守が隣にしゃがみ込んだ。
「これから、あなたを晒し牢獄に連行します」
そして金属製プレートを片手でつまんで揺らしながら、恐るべき言葉を口にした。
「今日から出所の日まで、豚奴隷354番が晒し牢獄から出されることはありません。罪を赦されるその日まで、あなたはみじめな姿を晒して飼われるのです」