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 永久封印指定囚人。本名本籍年齢不詳、通称『魔女』と呼ばれた重犯罪者――と、されている。  そう、されている。  実のところ、魔女はなにひとつ犯罪を犯していない。  もとは先の大戦の末期、わが国が投入した特殊部隊の隊員。違法な遺伝子操作により肉体を極限まで強化された兵士で構成された部隊のなかでも、最強といわれた女戦士である。  過酷な最前線に投入された部隊は、数多の戦死者を出しながらも大きな戦果を挙げた。  しかし戦後、国際法違反の遺伝子操作が問題にされた。  そこで政府は、現場の指揮官にすべての責任を押しつけた。遺伝子操作を行なった研究班も、遺伝子を操作された部隊員も、全員人知れず処刑され、研究資料はすべて破棄された。  ただひとり、魔女を除いては。  とはいえ、彼女が特別に減刑されたわけではない。  肉体強化の最高傑作である彼女は、次世代の研究資料として、生かされることが決定した。  以来、魔女は時効目前の重犯罪の容疑者に仕立てあげられ、終身刑の判決を下されたうえで、厳重に拘束して地下数十メートルに設えた永久封印指定監獄に収監されている。  特別製の拘束衣と拘束具や鎖で厳重に拘束され、食餌と大小の排泄を管理され、厚さ5センチを超える鋼鉄製の扉とぶ厚いコンクリート壁に閉じ込められている。  それだけでは飽き足らず、四六時中媚薬を投与されながら、膣内に挿入された金属製ディルドにより刺激され続けている。  そんな状態に貶められて数年、常時測定されている脳波は、彼女がいまだ正常な状態を保っていることを示していた。  この春任官した私が、魔女が収監されている監獄に配属されたのは、けっして偶然ではない。  そこに配属されるための方策を必死で探り、見出した方法を実践し、ようやくここまでたどり着いた。  そして、機は熟した。  思惑どおり魔女担当を任せられた私は、媚薬入り流動食を与えるための点検窓を開け、特殊全頭マスクとハーネス式口枷で拘束され、素顔が見えない彼女にささやいた。 「長いあいだ、待たせてごめんね。助けにきたよ……ルリカ」

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Comments

ガリタル

ルリカさんが収監された時の話が見たいですね。相変わらず最高です。