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おとといは、博也として、

昨日は、桃香としてー

今日は、博也としてー


そんな日が続くー。

1日ごとに性別が変わる状況は変わらない。


いったい、どうしてこんな風になってしまったのか。

全く分からないー。


「ふ~」

だいぶ女子としての生活にも慣れては来たものの、

やはり、博也としてー

男としての1日のほうが落ち着くー。


「きゃ~~~!!」


「-!?」

博也がトイレに入った途端聞こえる悲鳴。


「あ…」

つい女子トイレに当たり前のように入ってしまったー


「ま、、間違えたー!」

博也は慌ててトイレから飛び出した。


(くっそ~!日替わりで性別が変わるの、

 不便すぎるぞ!)


博也はそう思いながら、男子トイレのほうに入る。

トイレを済ませて廊下を歩く博也。


「そういえばさ~、博也って、まだ

 田中田さんと会ったことないよな~」

友人の一人が言う。


「--え?田中田…あぁ、転入生の」

博也はすっとぼけるー。


1日ごとに交代で休んでるとか、

絶対無理があんだろ、と思いながらも

先生は女体化しているときの博也と

そうでない博也を、形式上、別生徒として

周囲には伝えながらも、成績はひとつに

まとめてくれる、ということで

ひとまず学校生活を送ることができている。


「--それにしても変な名前だよな~

 田中田なんてさ~ ははは」

友人が笑う。


「う、、うるせ~!俺だって好きでそんな名前に」


「-え?」

友人が首を傾げる。


「あ、いや、なんでもない!

 田中田って変な名前だよな~!

 田中なのか中田なのかはっきりしてほしいぜ~」

博也は慌ててそう言いなおして笑うのだったー。


・・・・・・・・・・・・・・・


夜ー


「--あ、そっか」

妹の加奈子が、博也の部屋に顔を出すと

ため息をついた。


「今日は、”お兄ちゃん”だったね。

 じゃあ、いいや」

加奈子が部屋から出ていく。


「-----」

博也は、人の部屋にノックもせずに

入ってきた加奈子が、一人でぶつぶつ呟いて

そのまま部屋から出ていくのを見て、唖然としていたー。


「--って、じゃあいいやってなんだよ!」

博也が叫ぶー。


だが、加奈子から返事はなかったー。


・・・・・・・・・・・・


翌日の土曜日。


「やっほ~!お姉ちゃん!」

嬉しそうに部屋に入ってくる加奈子。


博也は女体化していたー


「---く…」

博也は屈辱的な表情を浮かべる。


「さぁ、今日もわたしが、

 女の子レッスンしてあげるから、

 ちゃ~んと、聞いてね~!」


「ぐぐ…」

博也がさらに表情を歪める。


女体化してから、加奈子は

”女子としての過ごし方を教える”とか言い出して

博也にあれこれ言ってくるようになったのだー。


「--くっそ~…なんで楽しそうなんだ…」

博也が可愛い声で呟くと、

加奈子が「こら!お姉ちゃん!」と叫ぶ。


「-!?」


「--も~!なんで楽しそうなの!? でしょ!」

加奈子が言葉遣いを直すように要求してくる。


「-う…うるせ~!!

 俺は男だ~!

 それに、家の中ぐらいいいじゃないか~!」

博也が叫ぶと、

加奈子が「ブー!」と叫んでレッドカードのようなものを出した。


「は~い!レッドカード!もみもみの刑~!」

笑いながら加奈子が博也の胸を触り始める。


「んあぁぁ…や、、やめろ…やめ…あぅうっぅぅ♡」

加奈子に胸を触られながら

気持よくなってしまう博也ー


「わ、、わかった…わか~った!」

博也が叫ぶと、

加奈子が「ちゃんと、女の子っぽくしなくちゃ!」と

ニヤニヤしながら言った。


「くっ…くっそ~…

 元の身体に戻れたら覚えておけよ~!」

博也が悔しそうに呟くー


加奈子のやつ、絶対この状況を楽しんでやがるー

と思いながら。


「ブー!」


「-…え?」


加奈子が笑う。

「レッドカード2まいめ~!」


「--うっ…た、、助けてくれぇ~!」

博也の可愛らしい声が響き渡ったー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


日曜日ー


男に戻った博也は、

「はぁ~」とため息をつきながら

リビングで朝食を食べていた。


「--元気ないね…お兄ちゃん」

加奈子が心配そうに見に来る。


「---そりゃそうだろ」

博也が言う。


「加奈子も、面白がってるだけだし」

博也が拗ねた様子で言う。


「-----ーーー…」

加奈子が少しだけ悲しそうな表情を浮かべると

博也の方に近づいてきて口を開いた。


「--お兄ちゃんさ…

 難しく考えるの、やめたら?」

加奈子が珍しく真面目な表情で言う。


「え…?」

博也がパンを食べながら加奈子のほうを見る。


「だってさ、普通、人間って

 男か女、どっちかしか経験できないわけじゃん。

 お兄ちゃんは両方経験できる。

 これってすごくない?」


加奈子が笑う。


「--は…?ま、、まぁ」

博也は、”どうしてそういう発想になるんだ”と

心の中で思いながら加奈子の言葉の続きを聞く。


「もうさ、そういう身体になっちゃったんだからさ、

 楽しむ方向に考えようよ!

 後ろ向きに考えてたって治るわけじゃないし、

 むしろ、前向きに考えてたほうが治るかもだよ!!


 ほら、無理して、同じ人って考えるんじゃなくてさ、

 開き直って、女の子になってる日は

 わたしは桃香よ!ぐらいの気持ちになっちゃおうよ!


 せっかくなんだから女子としての人生も楽しんだ方がいいよ!」


加奈子の言葉を聞いて

博也は「加奈子は前向きだなぁ」と笑う。


でも、確かに加奈子の言う通りかもしれない。

どうせ1日ごとに男女が変わるならー

開き直って女子女子してたほうが面白いかもしれないー。


行動を間違って大変なことに

なっちゃいそうな感じもするけれどー

ある程度”前向き”に考えることも、

大切なのかもしれないー。


「--そうだな。加奈子の言う通りだ」

博也は、開き直ることにしたー

悩んでいてもしょうがない。

「--明日は博也じゃなくて、桃香だ」

博也が少し恥ずかしそうに言うと、

加奈子は「よ~し!その意気だよ!」と

嬉しそうに言ったー


立ち去って行く加奈子の後ろ姿を見ながら

博也は思うー


加奈子は、茶化してるんじゃなくて、

俺が明るくなれるように、

わざと、ああやって、明るく振舞ってるのかもしれないー…


とー。


「---…いや」

博也は首を振った。


「やっぱ、加奈子は何も考えてないだけかもな」

博也はそう言いながら、苦笑いしたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日


「--おはよ~!今日は桃香だよ~!」

博也は妹の加奈子に

完全にお姉ちゃんモードで接したー


開き直ろうー

女体化してる日は、博也じゃなくて桃香だ。


「--あ、お姉ちゃんおはよ~!」


桃香として、髪を整えて、

スカートをはいて、学校に向かうー


「おっはよ~!」

普段話さない女子たちと楽しく話をするー


博也としての学校生活とはまるで違う

桃香としての学校生活ー

これは、これで、いいかもしれないー

1日おきだけどー

2人分の人生を味わうような

そんな不思議な気分だー。


「---好きです」


昼休みー


”や、、山本ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ”


博也は内心で叫んだー。


博也の親友・山本が、桃香に告白したのだ。

女体化した博也だと知らずにー


「---…え…」

博也は断ろうとした。


しかしー


”いや…女子として…”


「--…うん……ありがとう」

桃香として、山本の告白を受けたー


それからも、

性別は1日ごとに変わり続けたー


「--俺の彼女、紹介したいんだけどなぁ」

山本が言う。


「--ん?彼女できたの?」

博也が笑う。

”それ、俺なんだけど”と思いながら…


「-あぁ、転校してきた桃香ちゃん。

 ほんとーに可愛いんだぜ!」

山本が笑う。


「--へ~大切にしてやれよ。」

博也が言うと、山本は

「つーか、お前と桃香ちゃん、なんか

 同時に学校に来ないよな~」と笑っていたー。


「--最近、体調悪くてさ~」

博也は”やっぱ無理があんだろ、これ”と思いながらも

顔も身体も完全に変わってるから、

ばれはしないか、と思いながら

その生活を続けたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


桃香として学校に来ている日は、

山本といっしょにいるとドキドキするー


どうやら、本当に好きになってしまったようだー。


「---桃香と付き合うことができて、本当によかったよ」

「--わたしも…」


どんどん二人は親密になっていくー。


けれどー”博也”として

学校に登校している日は、

その感情を抑えて、普通に友達として

接していたー


”頭おかしくなりそうだぜ”

博也はそう思いながらも、

妹・加奈子のアドバイスに従って

”博也”と”桃香”は別人として

考えることにしていたー。



ある日ー


「な~んか、お姉ちゃん、わたしよりかわいくなったなぁ~」

妹の加奈子が笑う。


「え~!ほんとうに~?うれしい~!」

家の中でもすっかりお姉ちゃんモードになった博也。


「--も~!ずっとお姉ちゃんになっちゃえば~?」

笑う加奈子。


両親も、女体化・男体化を繰り返すことに

慣れてきた博也を微笑ましく見守っていたー


博也として、今まで通り過ごしー

桃香として、女子高生としても過ごすー。

最初は”女子”として疑われないようにする

演技に必死だったが、

男・女が毎日変わるようになってしまってから

一か月半が経過したころには、

もうすっかり慣れきっていたー。


男に戻った日は、今まで通り

博也として普通にふるまうことができる。

女体化した日は、特に意識しなくても

桃香として振舞うことができる。


「--最近、なんか、楽しそうだよな」

”田中田”と命名してきた担任の先生が言う。


「---まぁ…なんていうか、

 開き直ったというか…

 妹に言われたんです。

 苦しんでても、どうにもならない、って」

博也が言うと、

担任の先生は笑った。


「そっか。

 そうやって前向きになれるんだったら

 名前も田中田島ぐらいにしておけばよかったな」


「--確かにそうですねー」

博也はそう答えたあとにすぐに

”って、調子に乗るな”と先生にツッコミを入れると

そのまま職員室を後にしたー。


今日は男子としてー。


そしてー明日は女子としてー。


・・・・・・・・・・


桃香として登校する博也。

今日も女子全開の振る舞いを続けているー


今は、これが自然になったー。


昼休みに

彼氏の山本と一緒にお昼を食べる。

女子の友達たちと一緒に楽しく談笑をする


日替わり男女生活ー。

こんな人生を味わえるのは、

自分だけかもしれないー。


そんな風に思うと、これも悪くないー


5時間目の体育の授業ー

男女が別々の教室に別れて着替えをする。


最初は正直、鼻血を出しそうになったが

今は慣れた。

自分が女体化している日は、

あくまで心も女子なのだと自分に言い聞かせて過ごした

結果ー、

女子の着替えを見ても、

心穏やかになったのだったー。


もちろん、自分の身体を見てもー


「--ん」

桃香として着替えを続ける博也が

あることに気づいた。


胸が…ない?


「きゃああああああああああああ!」

「ひーーーーーー!?!?!?!?」

「わあああああ!?!?!?」

「変態!!!!」


周囲が叫ぶ。


「え…?」

博也が戸惑うーーー

何かがおかしいー


周囲が悲鳴に包まれる中ー

博也が教室の後ろの方にある

鏡を見るとーーーーー


「------!!!!!!!!!!!!!!」


そこにはーーー

スカートを履いた

博也の姿があったー


「うおおおおおおおおおおおおおおお!?!?!?!?」

博也は思わず叫んでしまったー


今日は女体化の日のはずー

さっきまで女子だったはずー


なんで…!?!?!?

どうしてーー!?!?!?!?!?


博也は戸惑う。

女装した博也状態になってしまっていて

周囲が悲鳴を上げる。


「--き、急に桃香ちゃんが、川上くんに!?」

「桃香ちゃんって、川上くんだったの!?」


桃香が博也に戻った瞬間を見た女子までいたー


「--うっ、、、う、、、嘘だろぉぉぉぉ!?」

博也は思わず叫んでしまったー


博也=桃香は瞬く間に広がっていくー


大変な騒ぎになった。


博也は帰宅すると、

絶望的な表情で燃え尽きていたー


「----!」

妹の加奈子が博也を見て驚く。


「あれ!?今日、お姉ちゃんの日じゃなかったっけ!?」

とー。


「---もう、治ったみたいだ」

博也が呟くー


でも、治るタイミングが最悪だったー

学校にもう行けないレベルだー


「---…ま、、、まぁ、、元に戻って、、、よかった…ね?」

加奈子がどう慰めていいか分からず、そう言った

その直後ーー


ーーー!?!?


博也がまた、女体化したー。


「むおっ!?!?」

博也が驚くー


どういうことだー!?

博也は、自分がまた女体化してしまったことに

唖然とするー


その日からーーー

博也は、数時間に1回、性別が変わるようになってしまったー。

理由は、分からないー


「--どうすりゃいいんだ…くっそ…

 誰か、俺の性別を固定してくれ~~~!」


博也は、頭を抱えながら叫んだ。


「--気まぐれ男女デビューおめでとう!おにいちゃん!」

茶化す加奈子。


「うるさい!」

博也が可愛らしい姿のまま、男に戻りながら叫ぶー


博也の苦悩は、おわらないー。



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


気まぐれ男女デビューしてしまいました~!

いつ性別が変わるか分からないと

手の打ちようもないですネ~汗


お読み下さりありがとうございました~!


気まぐれ男女…?

今のところ書く予定はないデス~笑!

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