<入れ替わり>キャバチェンジ②~他人の身体~(完) (Pixiv Fanbox)
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キャバクラ店では、店長がバイトをしかりつけていた。
「テメェ、どうしてくれるんだ!?」
鋭い目つきの店長が、バイトに説教を続けているー
「---すみませんでした」
バイトが何度も何度も頭を下げる。
「--あのシャンパンはなぁ…!」
バイトが間違えてあかりと京平に出してしまった
シャンパンは、
店長が用意していた秘密の品ー
”入れ替わりシャンパン”だったー。
それを使って、店長は、綺麗な女と入れ替わり、
人生を謳歌するつもりだった。
しかし、それがパーになってしまった。
大きな借金までして、シャンパンを手に入れたのにー。
他人の身体を奪って、
借金はそいつに押し付けて、
トンズラして女として生きようとしていたのに、
このざまだ。
「---なんですか?」
バイトが言う。
「--いや」
”入れ替わりシャンパン”なんて、こいつに言っても
理解できないだろう。
こいつは、とんでもないことをしてくれたー
入れ替わった二人は”ある方法”で簡単に
元に戻れるが、
1本のシャンパンで入れ替われるのは、
一組だけ。
あの二人が元通りになったとしても
自分が入れ替わることはもうできない。
「くそが!!!」
店長は大声でバイトを怒鳴りつけたー
こうなったらー
さらに借金してーーー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---」
「---」
ファミレスで合流した二人。
キャバクラ嬢のあかりの中身は、中年男性の京平。
中年男性の京平の中身は、キャバクラ嬢のあかり。
ふたりは、黙々と運ばれてきたドリンクを飲んでいるー
「---あのさ…」
あかり(京平)が口を開く。
仕草がどことなく男っぽい。
当たり前だ。
中身は男なのだからー
「---俺のこと…きもいって…」
あかり(京平)の言葉に、
京平(あかり)は目を逸らした。
「---水商売なんて、
そんなものですよ」
とー。
あかり(京平)は、
あかりの身体と入れ替わったことで
あかりの記憶を知ってしまったー。
”好きです~”なんて
リップサービスを受けていたが
本当は気持ち悪がられていたー
「---……そんなことより
何がベンチャー企業ですか」
京平(あかり)が呟く。
京平になったあかりもまた、
京平の記憶を読み取れるようになっていた。
京平はあかりに”ベンチャー企業の社長”
などと説明していたが
実際はフリーターだった。
「---……そ、それは」
あかり(京平)が、気まずそうに言う。
「--それに、童貞だし!」
京平(あかり)が吐き捨てるようにして言うと、
「--そんなの俺の自由だろ!」と
あかり(京平)が感情的になって立ち上がったー。
「---あ、、すんません」
周囲の利用客から見つめられてあかり(京平)は頭を下げるー
「---で、佐藤花子さん。これから俺たち、どうすれば?」
あかり(京平)がニヤニヤしながら言う。
あかりの身体になった京平は、
あかりの本名が”佐藤 花子”であることを知った。
童貞と言われた仕返しに本名を言ってあげたのだ。
「--そうですねぇ、わたしに心当たりがあるんです」
京平(あかり)が顔をピクピクさせながら言う。
本名を知られて腹が立っているようだ。
「-ー心当たり?」
あかり(京平)が言う。
その言葉に京平(あかり)が頷く。
「--店長です」
京平(あかり)はそう呟いたー
あかりによれば、
キャバクラ店の店長が
”入れ替わり”が云々と前に言っていたらしい。
自分たちが入れ替わったのは、あのシャンパンを
飲んだタイミングだ。
と、なればシャンパンに入れ替わりのひみつが
あるに違いない、
そして、店長は何か知っているに違いない。
京平(あかり)はそう呟いたー
「おー!じゃ、店長さんに話せば元に戻れるってことか」
あかり(京平)が言うと、
京平(あかり)は答えるー
「ーーバイト先でいつも、かわいい子が来ると
胸元とか足ばっかりさりげなく見ている男の
身体になんて、キモイから、早く元に戻らないといけませんね~~」
京平の記憶を読み取りながら
嫌味を言う京平(あかり)。
「--ぐぐ…さっすが、一人っ子のお嬢様だなぁ~」
あかり(京平)がニヤニヤしながら言う。
あかりはお店でいつも、弟がどうこうとか、
お涙頂戴の話をしていたが
それも嘘だったー
その嘘を皮肉ってやったー
「---むむむ」
京平(あかり)が
不満そうな表情を浮かべるー
そしてー
ふたり同時に叫んだ
「このエロおっさん!」
「このビッチ女!」
にらみ合う二人ー
「ふん!!!」
ふたりは顔をそむけた。
少ししてー
あかり(京平)が口を開く。
「じゃあ…明日、店長さんとお話すればいいってことかな?」
あかり(京平)の言葉に
京平(あかり)は頷いた。
「お店が開く時間の少し前に、二人でお店に行って
店長と話すのがいいと思います」
とー。
「そうだなー」
灰皿を寄せて、煙草を吸おうとするあかり(京平)
「あ!こら!」
京平(あかり)が叫ぶ。
煙草を咥えようとしていたあかり(京平)が首を傾げる。
「--わたしの身体でたばこを勝手に吸わないでください!」
京平(あかり)の言葉に、
あかり(京平)は失笑するー。
「なんだよ~!?あかりちゃん吸わないのか~?
でも、今は俺の身体だし、いいじゃんか~」
あかり(京平)がヘラヘラ笑いながら言うと、
京平(あかり)が呟くー
「--へ~、そういうことするんですか~。
じゃあわたしも、今は自分の身体だし、
可愛いお洋服着て、お出かけしちゃおっかな~?」
京平(あかり)の逆襲ー
あかり(京平)は、
自分(京平の身体)が女装して
お出かけしているシーンを浮かべてしまい
吐き気を催したー。
女装を真面目にやっている人や、
可愛い男の子なら良いが
自分のようなただのおっさんが
何もせず女装したら大変なことになるー
「---わわ、分かったよ。煙草は吸わないよ」
あかり(京平)がそう言いながら
足を組むと、
「足!周囲から見えるからやめてください!」と
京平(あかり)が叫んだ。
「--うるさい女だなぁ」
あかり(京平)が不満そうに呟くー
京平(あかり)が、
「メイド服おじさんになっておでかけしますよ?」と
脅してくるー。
あかり(京平)は
とっさに「申し訳ございませんでした」と
頭を下げたー。
数分後ー
ふたりはファミレスから出る準備をする。
明日ー
キャバクラ店に行き、
店長と話し合うことにしてー。
店長がもしも”元に戻る方法”を
知っていれば、二人は晴れて
元に戻ることができる。
会計を済ませて
トイレに行きたくなった二人は
トイレに向かうー
「---!」
「---!」
癖でお互い自分の性別のほうの
トイレに入ろうとしてしまい、
顔を見合わせた。
「---」
苦笑いしながら、
あかり(京平)は慣れない女子トイレに、
京平(あかり)は慣れない男子トイレに入ったー
「-こ、、これ…一回やってみたかったような」
京平(あかり)が苦笑いするー
男子トイレにしかない、立ってするトイレ。
あかりから見れば異様な存在だったー
「…う~ん、、、、変なきぶん」
「---…ふへへ」
あかり(京平)は女子トイレにー
「あぁぁ、やべぇ、ニヤニヤしちまう」
個室に入って、
このままここでエッチなことを…
と、ニヤニヤしてしまうあかり(京平)
だがー
「いやいやいやいや」
メイド服で出歩く京平(あかり)の姿を浮かべて
あの女、俺がなんかしたら絶対やる!と
びびりながら、普通にトイレを済ませようとして
盛大に失敗するのだったー
「女子のトイレ、難しいー!」
・・・・・・・・・・・・・・・・
ふたりは、互いに自分の家に帰宅したー
”自分の家”とは
中身の家だ。
あかりが、”わたしの家には入らせない!”と宣伝したので、
あかりの姿のまま、京平は京平の家に、帰ることになった。
「ふ~~~」
あかり(京平)がため息をつく。
なんだか、疲れたー
アパートの自分の部屋の前で
”部屋に入ったら、あかりちゃんの身体でちょっとだけ…”と
笑みを浮かべる。
その時だったー
「あらぁ?彼女さん?」
「ゲッ!」
近所のおばさんに見つかってしまったー
一人暮らしの中年男である京平の部屋に
入ろうとする、キャバ嬢ー。
服装は私服だからキャバ嬢とは分からないだろうが
なんて言い訳しようかー。
”彼女って言ったら怒られそうだし…
く、、、どうすれば…”
「--あ、、、え、、、えっと、、え~っと、、
は、、、母です」
とっさにあかり(京平)が口にした言葉は
”母”だったー
「は!??お、、お母さん!?」
近所のおばさんが驚くー
「あ、、あはははははは」
あかり(京平)は慌てて部屋の中に入った。
「いやいやいやいやいや、母は無理があんだろ!」
自分で突っ込みを入れるー
どう考えても、あかりのほうが年下だー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--ん~~~もう、最悪」
京平(あかり)は、自宅で
京平の身体を見つめながら呟いていたー
そしてー
京平の記憶をなんとなく覗いた
あかりはとんでもない記憶を見てしまったー
「----…おいいいいいい!
わたしをおかずに抜いてるぅぅぅ!
きもい!!最低!」
京平は、夜な夜なあかりをおかずに
抜いていたー
その記憶を京平になったあかりは
見てしまったのだったー
・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
ふたりは合流した。
「--エッチなこと、してませんよね?」
京平(あかり)が言うと、
あかり(京平)は「し、してないよ~」と
目を逸らした。
”このおっさん…絶対ボコす”
京平(あかり)はそう思ったー
絶対エッチしてるしー、と。
だがー
あかり(京平)はエッチしていなかったー
いやー
”しようと”思ったー
だがー
胸を触っただけで恥ずかしさが爆発して
そのまま寝てしまっていたのだー
「…さ、早く元に戻る方法を店長から聞きましょう」
「--あぁ」
ふたりは、キャバクラ店に入っていくー
「--店長、ちょっとお聞きしたいことが」
京平(あかり)が店長のいる事務所に
入るとー
そこにはーーー
「-----!!」
首を吊った店長の姿がーー
「きゃああああああああああああああ!!!」
男の声で悲鳴をあげる京平(あかり)
「えっ!?」
遅れて事務所に入ってきたあかり(京平)が驚くー
黒いペンで
壁に遺言が書かれていたー
”入れ替わりシャンパンを買ったときの借金返せず。
これより先に待つのは地獄のみ。
どうせ、地獄に逝くのならー
俺は本当の地獄に逝く。
人間五十年。
我が人生に一片の悔いなし”
そう書かれていたー
店長(49)は、自ら命を絶ってしまったー
あかり(京平)と
京平(あかり)は顔を見合わせた。
そして、叫ぶー
「元に戻れない!!!!!!!!!!!!!!」
ーと。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
戻れなくなっちゃいました~!☆
戻る方法は一応あったみたいですケド・・・
店長がいなくなってしまったので…笑
このあと、2人はどうするのでしょうか~?
お読み下さりありがとうございました!!