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キャバクラ店では、店長がバイトをしかりつけていた。


「テメェ、どうしてくれるんだ!?」

鋭い目つきの店長が、バイトに説教を続けているー


「---すみませんでした」

バイトが何度も何度も頭を下げる。


「--あのシャンパンはなぁ…!」

バイトが間違えてあかりと京平に出してしまった

シャンパンは、

店長が用意していた秘密の品ー

”入れ替わりシャンパン”だったー。


それを使って、店長は、綺麗な女と入れ替わり、

人生を謳歌するつもりだった。

しかし、それがパーになってしまった。

大きな借金までして、シャンパンを手に入れたのにー。


他人の身体を奪って、

借金はそいつに押し付けて、

トンズラして女として生きようとしていたのに、

このざまだ。


「---なんですか?」

バイトが言う。


「--いや」

”入れ替わりシャンパン”なんて、こいつに言っても

理解できないだろう。


こいつは、とんでもないことをしてくれたー


入れ替わった二人は”ある方法”で簡単に

元に戻れるが、

1本のシャンパンで入れ替われるのは、

一組だけ。

あの二人が元通りになったとしても

自分が入れ替わることはもうできない。


「くそが!!!」

店長は大声でバイトを怒鳴りつけたー


こうなったらー

さらに借金してーーー


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「---」

「---」


ファミレスで合流した二人。


キャバクラ嬢のあかりの中身は、中年男性の京平。

中年男性の京平の中身は、キャバクラ嬢のあかり。


ふたりは、黙々と運ばれてきたドリンクを飲んでいるー


「---あのさ…」

あかり(京平)が口を開く。


仕草がどことなく男っぽい。

当たり前だ。

中身は男なのだからー


「---俺のこと…きもいって…」

あかり(京平)の言葉に、

京平(あかり)は目を逸らした。


「---水商売なんて、

 そんなものですよ」


とー。


あかり(京平)は、

あかりの身体と入れ替わったことで

あかりの記憶を知ってしまったー。

”好きです~”なんて

リップサービスを受けていたが

本当は気持ち悪がられていたー


「---……そんなことより

 何がベンチャー企業ですか」

京平(あかり)が呟く。


京平になったあかりもまた、

京平の記憶を読み取れるようになっていた。


京平はあかりに”ベンチャー企業の社長”

などと説明していたが

実際はフリーターだった。


「---……そ、それは」

あかり(京平)が、気まずそうに言う。


「--それに、童貞だし!」

京平(あかり)が吐き捨てるようにして言うと、

「--そんなの俺の自由だろ!」と

あかり(京平)が感情的になって立ち上がったー。


「---あ、、すんません」

周囲の利用客から見つめられてあかり(京平)は頭を下げるー


「---で、佐藤花子さん。これから俺たち、どうすれば?」

あかり(京平)がニヤニヤしながら言う。


あかりの身体になった京平は、

あかりの本名が”佐藤 花子”であることを知った。

童貞と言われた仕返しに本名を言ってあげたのだ。


「--そうですねぇ、わたしに心当たりがあるんです」

京平(あかり)が顔をピクピクさせながら言う。


本名を知られて腹が立っているようだ。


「-ー心当たり?」

あかり(京平)が言う。


その言葉に京平(あかり)が頷く。


「--店長です」

京平(あかり)はそう呟いたー


あかりによれば、

キャバクラ店の店長が

”入れ替わり”が云々と前に言っていたらしい。

自分たちが入れ替わったのは、あのシャンパンを

飲んだタイミングだ。

と、なればシャンパンに入れ替わりのひみつが

あるに違いない、

そして、店長は何か知っているに違いない。


京平(あかり)はそう呟いたー


「おー!じゃ、店長さんに話せば元に戻れるってことか」

あかり(京平)が言うと、

京平(あかり)は答えるー


「ーーバイト先でいつも、かわいい子が来ると

 胸元とか足ばっかりさりげなく見ている男の

 身体になんて、キモイから、早く元に戻らないといけませんね~~」


京平の記憶を読み取りながら

嫌味を言う京平(あかり)。


「--ぐぐ…さっすが、一人っ子のお嬢様だなぁ~」

あかり(京平)がニヤニヤしながら言う。


あかりはお店でいつも、弟がどうこうとか、

お涙頂戴の話をしていたが

それも嘘だったー


その嘘を皮肉ってやったー


「---むむむ」

京平(あかり)が

不満そうな表情を浮かべるー


そしてー

ふたり同時に叫んだ


「このエロおっさん!」

「このビッチ女!」


にらみ合う二人ー


「ふん!!!」

ふたりは顔をそむけた。


少ししてー

あかり(京平)が口を開く。


「じゃあ…明日、店長さんとお話すればいいってことかな?」

あかり(京平)の言葉に

京平(あかり)は頷いた。


「お店が開く時間の少し前に、二人でお店に行って

 店長と話すのがいいと思います」


とー。


「そうだなー」

灰皿を寄せて、煙草を吸おうとするあかり(京平)


「あ!こら!」

京平(あかり)が叫ぶ。


煙草を咥えようとしていたあかり(京平)が首を傾げる。


「--わたしの身体でたばこを勝手に吸わないでください!」

京平(あかり)の言葉に、

あかり(京平)は失笑するー。


「なんだよ~!?あかりちゃん吸わないのか~?

 でも、今は俺の身体だし、いいじゃんか~」

あかり(京平)がヘラヘラ笑いながら言うと、

京平(あかり)が呟くー


「--へ~、そういうことするんですか~。

 じゃあわたしも、今は自分の身体だし、

 可愛いお洋服着て、お出かけしちゃおっかな~?」

京平(あかり)の逆襲ー


あかり(京平)は、

自分(京平の身体)が女装して

お出かけしているシーンを浮かべてしまい

吐き気を催したー。


女装を真面目にやっている人や、

可愛い男の子なら良いが

自分のようなただのおっさんが

何もせず女装したら大変なことになるー


「---わわ、分かったよ。煙草は吸わないよ」

あかり(京平)がそう言いながら

足を組むと、

「足!周囲から見えるからやめてください!」と

京平(あかり)が叫んだ。


「--うるさい女だなぁ」

あかり(京平)が不満そうに呟くー


京平(あかり)が、

「メイド服おじさんになっておでかけしますよ?」と

脅してくるー。


あかり(京平)は

とっさに「申し訳ございませんでした」と

頭を下げたー。


数分後ー

ふたりはファミレスから出る準備をする。


明日ー

キャバクラ店に行き、

店長と話し合うことにしてー。


店長がもしも”元に戻る方法”を

知っていれば、二人は晴れて

元に戻ることができる。


会計を済ませて

トイレに行きたくなった二人は

トイレに向かうー


「---!」

「---!」


癖でお互い自分の性別のほうの

トイレに入ろうとしてしまい、

顔を見合わせた。


「---」

苦笑いしながら、

あかり(京平)は慣れない女子トイレに、

京平(あかり)は慣れない男子トイレに入ったー


「-こ、、これ…一回やってみたかったような」

京平(あかり)が苦笑いするー

男子トイレにしかない、立ってするトイレ。

あかりから見れば異様な存在だったー

「…う~ん、、、、変なきぶん」


「---…ふへへ」

あかり(京平)は女子トイレにー

「あぁぁ、やべぇ、ニヤニヤしちまう」

個室に入って、

このままここでエッチなことを…

と、ニヤニヤしてしまうあかり(京平)


だがー

「いやいやいやいや」

メイド服で出歩く京平(あかり)の姿を浮かべて

あの女、俺がなんかしたら絶対やる!と

びびりながら、普通にトイレを済ませようとして

盛大に失敗するのだったー

「女子のトイレ、難しいー!」


・・・・・・・・・・・・・・・・


ふたりは、互いに自分の家に帰宅したー


”自分の家”とは

中身の家だ。


あかりが、”わたしの家には入らせない!”と宣伝したので、

あかりの姿のまま、京平は京平の家に、帰ることになった。


「ふ~~~」

あかり(京平)がため息をつく。

なんだか、疲れたー


アパートの自分の部屋の前で

”部屋に入ったら、あかりちゃんの身体でちょっとだけ…”と

笑みを浮かべる。


その時だったー


「あらぁ?彼女さん?」


「ゲッ!」


近所のおばさんに見つかってしまったー

一人暮らしの中年男である京平の部屋に

入ろうとする、キャバ嬢ー。

服装は私服だからキャバ嬢とは分からないだろうが

なんて言い訳しようかー。


”彼女って言ったら怒られそうだし…

 く、、、どうすれば…”


「--あ、、、え、、、えっと、、え~っと、、

 は、、、母です」


とっさにあかり(京平)が口にした言葉は

”母”だったー


「は!??お、、お母さん!?」

近所のおばさんが驚くー


「あ、、あはははははは」

あかり(京平)は慌てて部屋の中に入った。


「いやいやいやいやいや、母は無理があんだろ!」

自分で突っ込みを入れるー


どう考えても、あかりのほうが年下だー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「--ん~~~もう、最悪」

京平(あかり)は、自宅で

京平の身体を見つめながら呟いていたー


そしてー

京平の記憶をなんとなく覗いた

あかりはとんでもない記憶を見てしまったー


「----…おいいいいいい!

 わたしをおかずに抜いてるぅぅぅ!

 きもい!!最低!」

京平は、夜な夜なあかりをおかずに

抜いていたー


その記憶を京平になったあかりは

見てしまったのだったー


・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー

ふたりは合流した。


「--エッチなこと、してませんよね?」

京平(あかり)が言うと、

あかり(京平)は「し、してないよ~」と

目を逸らした。


”このおっさん…絶対ボコす”


京平(あかり)はそう思ったー


絶対エッチしてるしー、と。


だがー

あかり(京平)はエッチしていなかったー


いやー

”しようと”思ったー


だがー

胸を触っただけで恥ずかしさが爆発して

そのまま寝てしまっていたのだー


「…さ、早く元に戻る方法を店長から聞きましょう」


「--あぁ」


ふたりは、キャバクラ店に入っていくー


「--店長、ちょっとお聞きしたいことが」

京平(あかり)が店長のいる事務所に

入るとー

そこにはーーー


「-----!!」


首を吊った店長の姿がーー


「きゃああああああああああああああ!!!」

男の声で悲鳴をあげる京平(あかり)


「えっ!?」

遅れて事務所に入ってきたあかり(京平)が驚くー


黒いペンで

壁に遺言が書かれていたー


”入れ替わりシャンパンを買ったときの借金返せず。

 これより先に待つのは地獄のみ。


 どうせ、地獄に逝くのならー

 俺は本当の地獄に逝く。

 人間五十年。

 我が人生に一片の悔いなし”


そう書かれていたー


店長(49)は、自ら命を絶ってしまったー


あかり(京平)と

京平(あかり)は顔を見合わせた。


そして、叫ぶー


「元に戻れない!!!!!!!!!!!!!!」


ーと。



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


戻れなくなっちゃいました~!☆


戻る方法は一応あったみたいですケド・・・

店長がいなくなってしまったので…笑


このあと、2人はどうするのでしょうか~?


お読み下さりありがとうございました!!


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