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長編憑依小説「きみと過ごした日々」の第1話前ー、

彼女が憑依される前の日常を描いた番外編デス!

”憑依される前のお話”なので、憑依要素はありません!ご注意ください~!


※今日の小説は別途投稿済みデス(キャバチェンジ②)


※このお話を読まなくても、本編を読むのに問題はありません!


※本編第4話まで読み終わっていたほうが、いいかも?デス。


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(↓※この話を読めている皆様は既にプラン加入済みなので

 値段が出てますが、別途料金がかかったりしませんので安心してくださいネー!

 いつもありがとうございます~

fanbox post: creator/29593080/post/891606

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1学期も終わろうとしていた7月ー


社会科の先生が期末テストの

答案用紙を返却する。


ガムを噛みながら、不良生徒の勝が、

くだらねぇ、くだらねぇ、と呟いているー。


いつも、上位3名のテストの成績を黒板に書く

社会科の先生ー。


おなじみの名前が黒板に並ぶー。


脇坂 茂ー

間宮 結乃ー

藤森 明美ー。


「チッ!」

お嬢様育ちの哀川 裕子が、

つまらなそうに舌打ちをする。


裕子は陰険女子たちのリーダー格で、

素行があまりよくないのだが、成績だけは

そこそこよく、クラスで4、5番に位置している。

それだけにー

上位3人の名前を見ると不愉快になるのだろうー。


「--おめでとう!」

倉本 康成が、笑いながら明美に話しかける。


康成と明美は”幼馴染”の間柄で、

高校生になってから、康成が告白したことによって

彼氏彼女の関係になったー。


「--ありがと!」

明美が笑う。


容姿にも恵まれていて

明るく、優しく、頭もいい明美ー

けれど、それを決して気取ることはないー


そんな、最高の彼女と一緒に過ごす日々は

康成にとって、本当に幸せだった。


「---でも、ほんとはあんな風に

 黒板に書かないでほしいんだけどね~」

明美が小声で言う。


「え?どうして?」

康成が不思議そうに言うと、

明美が黒板のほうを見つめてほほ笑んだ。


「だってほら、なんか、自慢みたいでいやじゃない?

 わたしは、どっちかって言うと

 隠しておきたいって言うか」


明美の言葉に、

「いいじゃんいいじゃん!」と明美の友人・

国松 千穂が笑いながらやってきた。


「--じゃ~ん!あたしなんて、12点だよ!」


千穂が堂々と12点の答案用紙を見せる。


考えるより、身体が先に動くタイプの

テニス部部長の千穂は、

勉強は全然だったー。


「---ちょ、、そんな大声で~」

明美が苦笑いする。

明美の手には、98点の答案用紙。


「---え~いいじゃん~!

 ってか、12点も取れたんだよ!

 あたしにしては凄くない?」

千穂の言葉に、「なんでそんな12点アピールするのー!」と

笑いながら明美が、口をふさごうとしている。


そこに、明美のもう一人の友人・結乃が

やってきて、穏やかな笑みを浮かべているー


明美・結乃・千穂の3人はとても仲が良く、

交友関係が広い明美にとっても、

特に親しい友人たちだ。


「--96点、かぁ」

康成はそんな光景を微笑ましく見つめる。


2位の結乃は96点。

とてもかなう点数じゃない、と思いながら

康成は80点の答案用紙を

静かに机の中にしまったー


・・・・・・・・・・・・・・・・


終業式の日ー


生徒会室で1学期最後の話し合いを終えるー


康成の帰りを明美は生徒会室の近くで

話し合いが終わるのを待っていたー


話し合いが終わり、

解散する生徒会。


終わったのを見計らって明美が

生徒会室に入ってくるー。


「--おつかれさま~!」

明美が笑いながら手を振る。


「ーーーチッ」

リア充を憎む生徒会書記の高藤 和彦は

聞こえるぐらいの大きさで舌打ちをしながら

生徒会室の外に出ていくー


「ーーーわわ!?わたし、なんか

 しちゃったかな」

明美が不安そうに言う。


「--いやいや、高藤は誰にでもああいうやつだろ」

康成が苦笑いする。


「う~ん、そうね~

 普段は真面目なんだけど」

生徒会長の篠塚 沙耶香も苦笑いしたー。


沙耶香・明美・康成は全員同じ中学校の出身だ。


そこに偶然、零次も通りかかるー


「おっ!康成!ま~たイチャイチャか~!」

康成の親友・零次も同じ中学の出身ー。


同じ出身校同士、仲良くするとは限らないし

そうならないことも多いが、

康成たち4人は、親しい間柄だったー


「---あら、柳沢くん。またやきもち?」

生徒会長の沙耶香が笑う。


「ちげーよ!からかってやっただけだよ!」

零次が笑う。


「あ、そういえば、お前らも夏祭り来るのか~?」

零次が言う。


”夏祭り”とは、

毎年の7月下旬に、康成たちの高校の敷地内で

行われているお祭りだー。

去年ー1年生のときも多くの生徒が参加していた。


「---あぁ、行くけど、零次も来るのか?」

康成の言葉に、零次は「まぁな~」と呟いたあとに

ニヤニヤしながら言った。

「--浴衣姿のかわいい女子を見つめるチャンスだろ?」とー。


「--おいおい、下心丸出しじゃねぇか…」

康成が苦笑いするー


そんな康成と零次の様子を見て

明美と沙耶香も笑っていたー


・・・・・・・・・・・・・・・


夏祭り当日ー


「--よ~!康成!」

康成の姿を見つけた零次が笑いながら近づいてくる。


康成も、零次を見つけると笑みを浮かべた。


「なんだなんだ~?藤森さんと待ち合わせか~?」

零次が笑いながら言うと

康成は「まぁな~」と苦笑いしながら答えた。


「ーーーーー」

お祭りの賑やかな光景を見つめながら

零次が呟くー


「---っかし、中学の頃は、お前と

 藤森さんが付き合うなんて

 思ってもみなかったな~!


 なんつーか、ほら、

 恋人ってよりも幼馴染モードだったし」


零次の言葉に、康成は笑う。


確かに、ずっと幼馴染モードだったー

けど、いつからだろうか。

それが、恋人を見る目に変わったのはー。

明美も、そうだったのかもしれないー

いつからかー

”幼馴染”ではなく”異性”として

意識するようになったー。


「--藤森さんのことだから、

 また、びっくりさせようとしてんじゃないか?

 藤森さん、あ~見えて、急に子供っぽいとこもあるし」


零次の言葉に、康成は苦笑いしながら答える。


「---だよなぁ…」

康成がキョロキョロする。


明美のことだー

また、急に出てきて”びっくりした?”みたいな

ことをしてくるかもしれないー。


明美は、まじめで優しいがー

お茶目な一面も持っていて、

そういうところが、また友達が多い理由なのかもしれないー。


つん つん


「--ん?」

零次が振り向くと、

肩のあたりにあった明美の指に

零次の頬があたった。


「---ふふふ!ひっかかった~!」

浴衣姿の明美だったー


「--って!おい!ターゲットは俺かよ!

 彼氏にやれよな~!」

零次が顔を赤くして言うと、

「ごめんごめん~」と明美が笑いながら

「でも、柳沢くんもやってほしそうだったし~」と

ほほ笑んだー。


「--あ、お待たせ~!」

明美がやって来る。


可愛らしい浴衣姿に、康成が顔を赤らめる。


明美と一緒に

明美の友人の、結乃と千穂の2人もやってきていた。


「---♪~」

大人しい結乃は、ハート柄の浴衣ー。

大人しい性格に反して、結乃は結構可愛い小物とかが

大好きな子だー。

ピアノも得意で、同じくピアノが得意な明美とは

ピアノ繋がりで親しくなったのだとか。


「---おーっす!」

スポーツ少女の千穂は…ジャージだった。


「--相変わらずだなー国松さんは~」

零次がニヤニヤしながら言うと、

「--いやいや、ジャージのほうが動きやすいっしょ!」

と、千穂が笑いながら言ったー。


「---おっとと、カップルの邪魔しちゃいけないよな~」

零次はそう言うと”ま、楽しめよ!”と康成に言って

そのまま立ち去って行くー


明美と康成を二人にしようと、

明美の友人たち2人を無理やりつれていきながらー。


「ふふふ…みんな賑やか」

明美が嬉しそうに笑う。


そんな明美の姿を康成は微笑ましそうに見つめるー

明美が彼女で、本当によかったー


「--え?なんでじーっと見てるの?」

明美が笑う。


「あ、いや、なんでもない!」

康成はそう言いながら、ほら、何か食べたいものとか

遊びたいところとかないのか?と明美に聞く。


明美は嬉しそうにはしゃぎながら

色々なものを見つめるー


「---変わらないなぁ、昔から」

康成は笑うー


小さいころも近所のお祭りによく

一緒に出掛けたことがある。


その頃も、明美は今のようにはしゃいでいた。


高校生になってー

とっても可愛らしくなってー

なんだかー

こんなに可愛い明美と俺なんかが一緒で

いいのだろうか、と時々思ってしまうけれどー


それでも、この笑顔を大事にしたいー


「---あ、ねぇねぇ、スーパーボールすくい~!」

明美が康成のほうに手を振るー。


「---どれどれ~?」

康成が笑いながら明美のほうに向かうー


明美にせがまれて、先に挑戦する康成。

1個も取れずに失敗してしまうー


「とほほ…」


「も~!ほら!見てて」

明美が笑いながらスーパーボールすくいに挑戦するー


「あっ!あっ~~!!あぁぁぁ~~!」

年ごろの女の子らしくキャーキャー言いながら

スーパーボールすくいを楽しむ明美ー


「1個だけとれた♪わたしの勝ち!」

明美が笑う。


「---むむむ~」

康成は悔しそうにしながらも明美のほうを見てほほ笑んだー


射的ー

チョコバナナー

金魚すくいー


色々楽しむ二人ー


こんな幸せな時間が、永遠に続けばいい、と思いながらー。


「---明美~~~!

 デート楽しんでるぅ~?」

友達の千穂と結乃がやってくる。


ジャージ姿の千穂は、

綿あめをペロペロしながら笑う。


隣にいる結乃は、ヨーヨーすくいでゲットした

可愛らしいヨーヨーをパシパシしながら遊んでいるー


「---あ、千穂!結乃~!

 うん!楽しんでるよ!」

明美がほほ笑むー


康成と明美、千穂、結乃が

雑談しているのをー

同じく夏まつりに来ていた

生徒会長の沙耶香が少し寂しそうに見つめるー


「---よ!どうしたんだ?篠塚さん」

零次が、沙耶香に声をかける。


「---ううん」

沙耶香が康成のほうを見つめるー。


明美といる康成はとっても楽しそうー。


沙耶香は少しだけほほ笑んで、

零次のほうを見ると、

「あ、そうだ!せっかくだし、一緒に回らない?」とほほ笑む。


「--ん?あぁ~別にいいぜ~!

 俺も康成と最初は一緒にいたんだけど、

 康成は、藤森さんとイチャイチャ中だからな~。」


零次は笑うー。


そういえば、去年は、同じ中学出身の4人ー

康成、明美、零次、沙耶香で夏まつりを回った気がするー


でも、今年はーー


「あの二人の邪魔をするわけにはいかないからな!」

零次が言うと、

沙耶香がほほ笑みながら

「うん。柳沢くんで我慢する!」と冗談っぽく微笑んだ。


「篠塚さんって時々毒舌だよな~」


苦笑いしながら、零次と沙耶香は

お祭り巡りを始めるのだったー


♪~~~~


大きな花火が上がる。


「あ~~~きれい!」

明美が目を輝かせながらそれを見つめるー


「あぁ、そうだな…」

康成が呟くー


ふと、

明美の横顔を見つめるー


とっても嬉しそうな明美ー

この笑顔を、俺はこれからもずっとー

守っていきたいー


ずっとこんな、幸せな時間を

過ごしていきたいー


「-----」

結乃が、花火に見入っているー


「--どっか~ん!」

スポーツ好きの千穂が一人で騒いでいるー

まるで酔っ払いのおじさんかのようだー


「---明美」

幼馴染でもあり、彼女でもある

明美と一緒にいられる喜びをかみしめながら

康成が手をつなぐと、

明美は康成のほうを見てにっこりとほほ笑んだー。


「--来年も、いっしょに来ようね?」


明美が笑う。


「え?はは、約束、どんどん増えてくなぁ~」

康成が笑うー


クリスマスの遊園地のときも

”来年もいっしょに”って約束したー


「--約束いっぱいしておけば、

 康成といっぱい遊びにいけるでしょ?」


「--はは、そうだな」


綺麗な花火が夜空に舞うー


こんな幸せがーー

ずっと、続けばーーーー


けれどーーー


それは、続かないー


2学期ー

これから起きる悲劇を、彼らはまだ知らないー。


明美が憑依されて、

変えられてしまうー


悲劇をー。


・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・


「憑依薬?」

男子生徒が首を傾げる。


「--そう。

 人に憑依できる薬よー。」

反対側に立っている女子生徒が、

そう呟くと、不気味な笑みを浮かべたー


悲劇がー

始まろうとしていたー



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


「きみと過ごした日々」の憑依される前の日常を

描いたお話でした~!


日常が描かれていると

憑依されたあとのゾクゾクとか

悲劇がより深まる気がしませんか?笑


お読み下さりありがとうございましたー!!

(Fanbox)


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