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とあるキャバクラー。


キャバクラ嬢の「あかり」と、

中年の男性客が談笑しているー


あかりは、

中年の男性客と話をしながら、

嬉しそうに笑みを浮かべている。

男性客に対して「好きです~」なんて

言っているが、

それはリップサービスだ。


”きっも~…最悪…”

あかりは、内心でそう思っていた。

仕事だから、親切にしてやっているだけー。


「--弟さん、元気?」

中年の男性客・長浜 京平(ながはま きょうへい)が言う。


(弟なんて、どうでもいいんだけどなー

 親切なおじさんを演じていたほうが、あかりちゃんに

 気に入ってもらえるー)

京平は、そんな風に思いながらあかりのほうを見つめた。


あかりは、笑みを浮かべる。

「最近は、だいぶ元気になってきました…

 長浜さんのおかげです!」


とー。


(ばーか!きもいんだよ!)

あかりは内心でそう呟いた。


「そっか、そっか、それは良かった~」

(弟とか、死んでくれないかな~

 あかりちゃんを困らせるとか、マジでうぜぇ)

京平は、心に思っていることと、違う言葉を

口にするー。


そして、「しっかし、あかりちゃんも偉いよなぁ~」と呟く。

これは本心だ。


「--病弱なお母さんと、

 精神的にやられちゃった弟さんのために

 こんな夜のお仕事をするなんて」


あかりの両親は小さいころに離婚したー

今は、病弱な母と、学校のいじめが原因で

精神的に壊れてしまった弟と暮らしている。


2人の生活を少しでも支えるため、

あかりはこうしてキャバクラ嬢として

働いているのだ。


「---はい。大切な家族ですから」

あかりは、そう呟いたー。


(ばーか!!!)

あかりは内心で笑うー


(母は男遊びばっかだし、

 そもそも弟なんていねーよ!)

と、悪魔のような言葉を心の中で吐き捨てるー


そう、

あかりの身の上話は嘘だからけだ。


「--ははは、ま、これからも

 俺があかりちゃんのこと、助けるから」


京平は、あかりにお金を渡していたー

あかりが少しでも幸せになってくれるように、と。


「---でも、大丈夫なんですかぁ?」

あかりが言うと、

京平は笑った。


「いつも言ってるだろ?

 こう見えて俺はベンチャー企業の社長なんだから!」


(……なんて)

京平は、心の中で呟く。


(昨日もパチで負けてやべぇんだけどな…

 俺、フリーターだし…)


京平の身の上話も嘘だったー


売上のために、客に嘘をつきまくるキャバクラ嬢のあゆみと、

あかりの心を引きたいがたまえに嘘をつきまくる男性客の京平ー。


今日もふたりは、嘘で嘘を塗り固めていたー。


シャンパンが運ばれてくるー。


京平はそれに手を出す。

あかりも、シャンパンを飲むー


「--!?!?!?」

「--え…」


あかりと京平は同時に異変に気付くー。

ふたりは、突然激しいめまいを感じたのだ。


ぐるぐると視界が回る二人ー

ふたりは、突然の出来事に慌ててしまうー


しかし…

すぐにその”めまい”は落ち着いた。


(ふぅ…なんだったんだ今の?)

京平はそう思いながら

グラスに再び手を伸ばすー。


「--!?!?」


自分の手が、白いー?


(ふぅ…今のはいったい)

あかりもめまいが落ち着いて、

ふと、自分の身体を見つめた。


「え…?」

自分の身体のはずなのにー

キャバ嬢の格好ではなく、

スーツ…??


あかりと京平は、お互いを見合わせて

叫んだー


「わたし!?」

「おれ!?!?」

目の前に、自分がいたのだー


ふたりは、入れ替わってしまったー


・・・・・・・・・・・・・・・


「店長!今、お客様にお出ししたシャンパン、間違えてしまったんですけど」

バイトの男が言う。


「---間違えた?」

店長が首を傾げながら、

何かを確認するー


「---!」

店長は舌打ちした。


”特注品のシャンパン”をバイトが

間違えて、客に出してしまったー。


「--おまえ…とんでもないことを

 してくれたじゃねぇか」

店長はそう言うと、バイトスタッフに壁ドンをしたー


・・・・・・・・・・・・・


「-----」

「-----」


入れ替わってしまったふたりー。


あかり(京平)と、京平(あかり)は

沈黙しているー


(やっべぇ…)

あかり(京平)はドキドキしながらそう思っていたー

女の身体に自分がなってしまうなんて…!

という”やべぇ”でもあったが、

それ以上に”やべぇ”ことがあったー。


それはー

”あかりの記憶”が読み取れるのだー


(おいおいおいおい、身の上話、嘘かよ!そりゃないぜ)

(…って、俺キモイって思われてる!)

(おいおい、彼氏もいて、浮気相手もいるの?ビッチじゃん!)


あかりの記憶を読み取った京平は

唖然としていたー


”家族のために頑張るけなげなキャバクラ嬢”

などではなかったー。


そしてー

(って……俺が記憶を読み取れるってことは…まさか…)


あかり(京平)は冷や汗をかきながら

京平(あかり)のほうを見る。


京平(あかり)が冷ややかな目を向けてくるー


(え…このおっさんフリーター?)

(って、わたしとヤリてぇとか思ってる、きもすぎ!)

(…わたし、昨日のおかずにされてるじゃん~最悪!)


京平の記憶を読み取ってしまったあかりは

そんな風に思っていた。


ーそして、あかりも気づくー

(わ、わたしがこのおっさんの記憶

 読み取れてるってことは…まさか)


お互いの”裏”を知ってしまったふたりは、

顔を見合わせて苦笑いする。


「は…はははははは…」

京平(あかり)が笑うと

あかり(京平)も苦笑いしたー


・・・・・・・・・・・・


しばらく戸惑っていた二人ー


やがて、時間が終わる。


「---お時間でございます」

店員が言いに来る。


「--ちょ」

あかり(京平)が言う。

こんな色っぽい姿、京平には刺激が強すぎる。

今もあかりの身体で勝手にドキドキしてしまってるし、

これ以上耐えられそうにない。


ってか、このままだと、自分があかりとして

おっさんたちの相手をすることになってしまうー


「---」

京平(あかり)は、店員に”少しだけ”と呟くと

あかり(京平)に向かって耳打ちした。


”お店が終わるまで、わたしとして、なんとか

 頑張ってください”


とー。


”終わったら、わたし、隣の喫茶店で待ってますから

 そこで合流しましょう”


京平(あかり)は早口でそう告げると、

さらに続けた


”わたしの身体で変なことしないでくださいよ?

 もししたら、地獄に送っちゃいますからね”


京平の身体でそう呟くと、

京平(あかり)は店から外に出て行った。


「----あ~~~~!さいあく!」

店から出た京平(あかり)が叫ぶ。


「よりによってこんなおっさんの身体に~~!!

 どうせなら、わたしよりかわいい女の子か

 イケメンと入れ替わりたかった~~~~!」


店の前で一人じたばたする京平(あかり)。

通行人たちがスーツの男がじたばたしているのを見て

首を傾げる。


その視線に気づいた京平(あかり)は

顔を赤らめて足早に喫茶店に向かう

(も~!どうしてわたしがこんな目に合わなくちゃならないのよ!)


喫茶店に入った京平(あかり)は

いつもの癖で、メイクを落とそうと女子トイレに

向かってしまった。


「きゃ~~~~~~!!!」

女子トイレにいた客が悲鳴を上げる。


「---…!」

鏡に映った自分の姿を見て

”あ、今 男だった 最悪!”と

叫びながらトイレから慌てて出た。


そもそも京平の身体だから

メイクを落とす必要もなかったし…


「---」

店員とさっきの女性客が、

こっちを見て話している。


”やばい、通報されそう。

 最悪!

 おっさんとして逮捕されたら、

 ほんと最悪!!”


そう呟きながら、京平(あかり)は

急いで喫茶店から出ると、

24時間営業のファミレスに移動したー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「---かわいいねぇ、あかりちゃんは」

客がべたべたと触ってくる


(くぅぅぅぅぅ…おっさんきめぇぇぇぇ…)

あかり(京平)は、

あかりとして、体臭のするおっさんに

触られながら、ぶるぶると震えていた。


(きめぇ…離れろぉぉぉ、この変態おやじ!)

あかり(京平)はぶるぶる震えるー


だが、あかりのためにも、

我慢しなければならないと思ったー


”案外、大変な仕事なんだなぁ…”

あかり(京平)は呟くー


好きでもない男と、

飲むー。

そして、愛想まで振りまく。


俺には絶対できないー

と、思いながら。


”くっそ~、せっかくあかりちゃんになったのに、

 身体をじっくり楽しむこともできねぇ”

京平は内心で舌打ちする。


次の客がやってくるー。

永遠と武勇伝を聞かされるあかり(京平)


(テメーの話になんて興味ねぇぇ)

と、思いながら、あかり(京平)はばれないように

自分の足やお尻をさりげなく触って

ゾクゾクを楽しんだー


そしてー

時間が終わる。


「--おつかれさま」

店長が言う。


「--あ、おつかれさまです」

あかりの記憶を読み取りながら

平然と振舞う京平。


だがー


「き・・・が・・・える」

あかり(京平)は呟いた。


ダメだ、ドキドキが止まらないー


顔を真っ赤にしているあかり(京平)。

あかりの着替えるシーンなんて見たら、

ここで鼻血を噴水のように噴き出すぞ!


と、思いながらあかり(京平)は

記憶をたどりに女性として着替えていくー


「ぶふっ!?!?」

だめだったー


あまりの興奮に鼻血を噴き出したー


”あかりの着替える記憶”を探っていたらー

あかりの裸が、脳内に浮かんできたのだー


「ど、どうしたの!?」

同僚のキャバ嬢が言う。


「--あ、、いえ、、いえいえ」

あかり(京平)は鼻血をふきながら慌てて答えた。


なんとか着替え終わったあかり(京平)。


京平(あかり)から連絡が入るー

”ファミレスに変更”と、地図も送られてきた。


あかり(京平)は一瞬、

”なんで連絡先知ってるの!?”と思ったが

「あぁ、知ってるよなー」と呟いた。


京平の身体になったあかりは、

当然、自分(あかり)のスマホの番号を知ってるから

連絡なんて容易なのだ。


「ん?待てよ?

 これでどさくさに紛れてあかりちゃんの

 連絡先ゲット!?むふふふふふふ!」


可愛らしい私服姿で笑うあかり(京平)


別のキャバ嬢が休憩室にやってくるー


そして、突然、睨まれたー


「あんたー店長に気に入られてるからって

 調子に乗らないことね」


睨まれるあかり(京平)-


”ひーっ!?女同士の戦争に俺を巻き込まないでくれ”と

思いながら、あかり(京平)は慌てて

更衣室から飛び出して、

指定されたファミレスへと向かうー。


「っかし、あかりちゃんの身体で

 街を歩くことになるなんて~」


長い髪が肩や首にあたる感覚ー

スカートの不思議な感覚ー

歩きにくいヒールー

見下ろせば胸ー


「うほほほほほほほほほほっ!」

下心丸出しの笑みを浮かべながら歩くあかり(京平)を、

通行人たちは”異様なモノを見る目”で見つめていたー


「ってか…」

ファミレスを前に呟くー


京平は、あかりの記憶を読み取って、

あることに気づいたのだ。


”…やっぱ、名前も偽名か”

苦笑いするあかり(京平)


本当の名前は、

”佐藤 花子”という

どこにでもいそうな名前だったー


「---ふふ、秘密げっと!」

あかり(京平)はそう呟きながら

京平(あかり)が待つファミレスへと入って行ったー



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


嘘だかけの二人が入れ替わって、

相手の記憶も覗けてしまったらー?から

浮かんだ入れ替わりモノです~☆


前に書いた「一人二役お姉ちゃん」や

「二次元と三次元」のような重い感じの話ではなく

ライトな感じ(純粋に入れ替わり部分を楽しむ感じ?)の

お話にできるように頑張ります~!

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