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 「--俺はなぁ、慶子ちゃんが大好きだったんだー。

 でもなぁ、慶子ちゃんは俺のほうを見ては

 くれなかったー

 だから、着ぐるみにしてやったんだよ!

 俺のおもちゃにしてやったんだよ!

 あはははははっ!」


妹の慶子が笑うー


何度も、見た悪夢ー

目の前で、妹の皮が引き裂かれてー

妹は、笑みを浮かべたままー

まるで、ごみのように脱ぎ捨てられたー。


ーー大男は気が付くと、ベットの上で

はぁはぁと息を上げていたー


妹が何者かに”皮”にされていたー。

そして、その妹が目のまえで、

兄である自分を罵倒しながらー

引き裂かれたー。


この苦しみは、永遠に消えないー


大男は、部屋の隅にある

ホワイトボードに貼り付けた写真を見つめるー。


あれから3年ー


男は、あらゆるルートで力を手に入れて

”人を皮にしている人間”を次々と始末しているー


全てはー

妹を目の前で引き裂いた男を探すためにー


妹・慶子が笑顔で写っている集合写真を見つめるー


久米川 幸哉(くめがわ ゆきや)ー。

妹を皮にし、引き裂いたのは、

妹の同級生であったこの男に違いないー。

幸哉は、妹・慶子の彼氏だった男だー。


あの時のセリフから、大男は、幸哉の行方を追っている。

だがー幸哉は3年前に消息を絶っており、

いまだに発見できていない。


3年前から消息を絶っているー。

それはつまり、幸哉が”今も誰かを皮にして潜んでいる”

と、いうことを意味しているー


・・・・・・・・・・・・・・・


高校ー


高校2年生になったころから、

皮にされていた女子高生・萌咲は

大男によって救われ、穏やかな日常生活を

取り戻し始めていたー。


「---ーねぇ萌咲」

友達の乙羽が萌咲のところに近寄ってくるー


「そういえば、最近変わったことはなかった?」

乙羽が笑いながら聞くー。


「変わったこと?」

萌咲が首を傾げるー


変わったことー

まさか、自分が半年以上も、皮にされた状態で

他の男に着こまれていて、この半年以上の

記憶がない、なんて乙羽には言えないし、

乙羽は信じてくれないだろう。


「---何も、ないよ」

萌咲が笑いながら言うと、

乙羽が呟く。


「大柄の男ー」

乙羽の言葉に、萌咲が少しだけドキッとするー


”大柄の男”とは、

皮にされていた萌咲を助けてくれた男のことだろうー。


「---え?」

萌咲はわざと、とぼけたー。


大男が女性を追い回している、というのは

確かにニュースにはなっているー。

だが、大男から、


「周囲に信じてもらえないだろうしー

 仮に、皮にされていたことを誰かに言うのだとしても、

 俺のことは黙っておいてくれー。」


と、言われていた萌咲は、

乙羽にも言わなかったー。


「----ふぅん。そ」

乙羽はそのままトイレに向かうー


そして、トイレに入った乙羽の

後頭部にピキッと亀裂が入るー


「--くへへへ…」

乙羽の目がぐるんぐるんと回りながら

乙羽は不気味な笑みを浮かべるー


「---萌咲ちゃんの中にいた男は

 やられちまったのかぁ…へへへへ…

 お互い、”仲良しごっこ”できたのになぁ」


乙羽の顔が割れるー

中から出てきたのは、悪人面の男ー。


「--じゃあ…萌咲ちゃんは今、

 フリーってことだよなぁ…げへへへへ」


乙羽の中にいる男は笑みを浮かべたー


萌咲の中にいた男は知らなかったが

乙羽も、2年生になったころに

別の男に”皮”にされているー


・・・・・・・


「ーーー」

放課後になり、萌咲が下校しようとするー。


その時だったー


「よぉ…」

正門付近で萌咲を待ち構えていた

金髪の男がいたー。


「え…あの…?」

萌咲が戸惑った様子で言うと、

金髪の男は笑いながら萌咲に

近づいてきたー。


「--どうしたんだよ?俺だよ、翔太だよ」

ガムを噛みながら笑う金髪の男。


彼はーーー

萌咲が皮にされている間、

萌咲自身が誘惑しー

彼女彼氏の関係になっていた男だ。


「し、、翔太…?

 ひ、、、人違いだと思います」

萌咲が頭を下げて、早足で立ち去ろうとする。


「---ふふふ…揉む?」


「----今日もアレしてあげる」


「翔太も好きね~」


「お注射よ♡」


背後から、萌咲のエッチな声が聞こえてくるー


萌咲が驚いて振り返ると、

そこには、ボイスレコーダーを再生しながら笑う

翔太の姿があったー


「---…この音声、ネットにばらしてやろうか?」

翔太が言う。


「--そ、、そんな…」

萌咲は困り果てた様子で言うー。


”自分が皮にされていた間の出来事”を萌咲は

詳しくは知らないー


この柄の悪い男もーーー


「---彼氏のことを忘れるなんて、

 冷たいなぁ…

 萌咲、これからも今まで通り仲良くやろうぜ?」

翔太が萌咲を睨むー。


「---萌咲~!」

その時ー、

ちょうど友人の乙羽がやってくるー


「--おっと、

 また来るぜ」

翔太は、乙羽の姿を確認すると

友達がやってきたことに都合が悪いと

感じたのか、そのまま立ち去って行ったー。


「----どうしたの?」

乙羽が笑いながら訪ねる。


「な、、なんでもない…」

萌咲は暗い表情でそう答えたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「-----…久米川…」


大男は、絶望の表情で、

立ち尽くしていたー


”山中で、白骨化した遺体を発見”


テレビでそう報道されているー。


”所持品などから、被害者は

 3年前から行方不明になっていた

 当時、大学生だった久米川 幸哉さんであるとーーー”


「---」

大男は、頭を抱えるー。


妹を皮にした人間は、

幸哉ではなかったのかー?


「--くそっ」

手がかりがないー


大男は、妹・慶子の写真を見つめながら

呟くー。


「---ごめんな…」


妹を助けてあげることができなかったー

そしてー

妹の仇すらも見つけ出すことができないー


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「やっと見つかったのかぁ~」


テレビを見ながら、呟くー。


久米川幸哉…


3年前のことを思い出すー。


”一方的に片思い”をしていた

慶子に告白した彼はー

振られたー。

逆上した彼は

”とある人物”からもらった、

人を皮にする力で、

慶子を皮にしーーー

慶子を着込んで、慶子になったー。


そしてー

”邪魔な彼氏”を山中に呼び出した。


「--慶子?」

何もしらない彼氏の幸哉は、

彼女である慶子に誘われて

のこのことやってきたー


「---ねぇ…幸哉。

 もしも自分の彼女が、

 誰かに奪われて好き勝手されてたら、

 どうする?」


慶子が笑いながら訪ねるー


「--へ?どうしたんだいきなり?


 まぁ…慶子がもしも危険な目に

 合ってたら何があっても助けようとするよ」


幸哉が笑いながら答える。


「--そう…じゃあ、約束してくれる?」

慶子がほほ笑むー。


「あぁ、約束だ。」


指きりをしようと慶子がにっこりと笑って手を差し出すー。

幸哉は”かわいいなぁ”と思いながら手を差し出したー


しかしー


突然、慶子が幸哉の手を思いきり引っ張って、

幸哉をすぐ横の崖下に突き落としたーーー


「---ぐあっ!?」

驚く幸哉ー


慶子は、転落する幸哉を見ながら

ほほ笑んだー


「---約束、守れないじゃ~~~ん!」


とー。


そして、後頭部がパックリと割れてー

中から男が姿を現すー


「---お前……神崎…!」

幸哉は苦しそうにそう呟いたー


「---へへ!お前の大事な大事な彼女は

 もう俺のものだ!」


慶子の姿で勝利宣言をすると、

中指を突き立ててそのまま慶子は立ち去って行くー


幸哉は、

そのままー

その場所で死んだーーー


その時のことを思い出しながら笑うー


♪~


スマホが音を立てる。


それに気づき、スマホを手にすると、

静かにほほ笑んだー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


3日後ー。


下校中の萌咲の前に

再び翔太が姿を現す。


「よぉ…」

金髪男の翔太ー。

萌咲が皮にされている間に

付き合っていた男。


「---…お、、お願いします…

 もう、わたしに付きまとわないで…」


萌咲が嘆願するようにして言うー。

翔太を誘惑したのは

萌咲であって、萌咲でないー

どう説明すればいいのかー。

いやー説明することすらもできず、

萌咲は困り果ててしまうー


「いいから!ほら、今度はメイド服で

 ご奉仕してくれる約束だろぉ?」

翔太が笑いながら萌咲の手を引っ張る。


「やめて!」

萌咲が翔太の手を振り払って、

逃げ出すー。


翔太が萌咲のあとを追いかけるー。


裏路地に入り込む萌咲ー。

翔太はしつこく萌咲を追うー。


やがてー

人の気配のないー

今ではほとんど使う人もいない公園で、

萌咲は転んでしまうー。


「やめて…」

泣きながら言う萌咲。


乗っ取られていた間の強気な雰囲気は

今の萌咲にはないー


「はっはははは~!

 萌咲~!

 この前までのエッチな態度はどうしたんだぁ~?」


翔太が笑いながら言うー


そして、萌咲の手を掴もうとしたその時だったー


「----!」

翔太が振り返ると、

そこには、萌咲の友人・乙羽がいた。


「--…どうして、ここに?」

萌咲が乙羽のほうを見ながら言う。


乙羽は腕を組みながら

いつもとは全く違う雰囲気で萌咲たちのほうを見るー。


「くふふふ…

 取引通りー」


乙羽はそう言うと、

笑みを浮かべながら

パックリとーー

ひび割れていくー


中から、凶悪な表情の男が姿を現す。


「きゃあああああああああ!」

萌咲が悲鳴を上げる。


「--萌咲ちゃんの、中の男…

 始末されちゃったみたいねぇ?

 

 でもね、前からわたし、萌咲ちゃんのほうが

 この身体より気に入ってたのぉ…くくく」


乙羽と凶悪な顔の男が同じセリフを

口走る。


乙羽の顔はぱっくりと割れて

胸から上あたりが、着ぐるみのように

ぶかぶかしている。


「う、、ウソ…乙羽…!?」

萌咲が驚くー


「--萌咲ちゃんが、皮にされたちょっと後に、

 わたしも皮にされちゃったんだぁ~」


笑ながら言う乙羽ー。


「でもね、萌咲ちゃんの中の男、

 いなくなったみたいだし、お引越ししようと

 思ってぇ~!


 きゃははははははははは!」


狂ったように笑う乙羽ー

乙羽を皮にしている男は再び乙羽を着こむと

萌咲を見つめて

イヤらしい笑みを浮かべた。


金髪男の翔太は戸惑った様子で狼狽えているー


「--やめてえええええ!」

萌咲が悲鳴を上げる。


ーーー「お前は、皮だー」


背後から声が聞こえた。


乙羽が振り返る。


「------」


そこには、大男がいたー。

妹の仇を探すために、皮にされた人々を

見つけては、それを助け出し、

皮にされた少女を救っている男ー。


「---あぁぁあ…くひひひひひ…」

乙羽がよろよろと振り返ると、

大男の方を指さした。


「--あんた、知ってるよ。

 ひひ、最近噂の大男。


 3年前にーーー妹を失った

 かわいそうなお兄ちゃん」


乙羽が挑発的に言うー


「----!!!!」


大男は、乙羽を見つめたー


この子の中にいるのは、あの時のー…


「---クズが」

大男は笑う乙羽のほうを鋭い目つきで睨みつけると、

乙羽のほうに向かって歩き出したー


④へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


次回が最終回デス~!

次回は明後日を予定しています!


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