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「----馬鹿…

 だから、、、イヤだったのーーーーーー

 そうやってーーー悲しむから…---

 でもーーーー

 ありがとうーーーー 」


病死した彼女、詩織の最後の言葉を思い出す。


あれから1週間ー。

詩織が居なくなったということを

彼氏の田島 雄二(たじま ゆうじ)は未だに

受け入れられずに居た。


「お前の居ない世界ーー

 どうやって生きていけば…」


全ての時が静止したかのようだった。


何を食べてもー

何をしていてもー

大学に来ていてもーー

何一つ、”喜び”を感じることができない。


雄二が大好きなTSFと呼ばれるジャンルの

作品も見なくなった。


虚無ー。

何をしても、虚無感に襲われる。

自分の魂が空っぽになってしまったかのような、

そんな感じだー。

何もする気が起きないー


雄二がTSF好きだと知った詩織は、、

自分の余命を知り

”弱っていく自分を見せたくない”という理由で、

彼氏の雄二を呼び出し、

”告白された思い出の場所”で、

憑依された演技をして、雄二と別れたのだった。


最後の最後で、雄二はそれに気づき、

まさにこの世を去ろうとしている詩織の入院する病院に

駆けつけ、雄二は詩織と最後の言葉を交わしたのだった。


短い会話ー

けれども、あの時の会話が頭から抜けない。


”だから、イヤだった”


そう言いながらも詩織は凄く嬉しそうだった。

最後の、その瞬間までー。


「くそっ…」

大学の食堂で、一人涙ぐんでいる雄二。


泣いても、泣いても

詩織が戻ってくるわけじゃない。

けれどー。


「---ま~だクヨクヨしてるの?」

聞き覚えのある声がした。


雄二の幼馴染で、同じ大学の

辻本 麻里香(つじもと まりか)。


何かと雄二におせっかいをやいている

女子大生だ。


「はぁ・・・そんな顔して」

涙ぐんだままの雄二を見てあきれる麻里香。


「--う、、うるさいな!」

雄二が言うと、麻里香は続けた。


「いつまでもそんなカオしてると、

 詩織ちゃんも悲しむよ?」

麻里香が言う。


「……ほっといてくれよ」

虚ろな目で呟く雄二。


何もやる気が起きないー

もう、疲れたー。


「--あ~もう!

 いつまでそんなにウジウジしてるの!

 みっともない!」


麻里香が言うと、

雄二が首を振った


「-お前には分らないよ…

 大切なヒトが死んでしまう苦しみなんて」


それだけ言うと、雄二はそのまま

机に突っ伏してしまった。


「もう!知らない!」

麻里香はそのまま立ち去る。


”まるで、抜け殻みたいじゃない…”


「……はぁ…」

一人ため息をつく麻里香。


彼女は、幼馴染の雄二に好意を抱いていた。


けれども、幼馴染であるが故に告白できずに

居たところ、詩織と雄二が付き合いだすことになり、

麻里香は身を引いた。


雄二に対する好意を心の奥底に封じこめた。

麻里香は、雄二の彼女の詩織とも仲が良かった。


負けず嫌いだけど、詩織はとても良い子だ。

だから、そんな二人を応援しようと思っていた。


それなのにー

こんなに早く、詩織が…。


「・・・・・”もしも私に何かあったら…”だったよね?」

麻里香は、一人、そう呟いた。


詩織との、約束ー。

それを果たすときが、来たのかもしれないー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


抜け殻ー。


帰宅しても、学校に行っても

雄二は、抜け殻状態のままー

詩織を失った苦しみから、

抜け出せずにいたー。


詩織は、自分の弱いところを見せたくない、と

憑依された演技をして、

雄二の前から姿を消したー。


ただー…

手紙を送ったのは、誤算だったかもしれないー

詩織にとっても、別れが名残惜しかったのだろう。

けれど、手紙を送らなければ

雄二には知られることなく、

詩織はこの世から去り、

雄二がここまでふさぎ込むことはなかったのかもしれないー


雄二がここまでショックを受けてしまうことはー

詩織にとっても、誤算だったのかもしれない…。


・・・・・・・・・・・・・・


翌日、麻里香にLINEで呼び出された

雄二は、大学の人の気配のない場所へと

やってきていた。


「雄二…」

麻里香が雄二のほうを見る。


「なんだよ話って…」

今日も変わらず元気なさそうな雄二を見て、

麻里香はため息をついた。


「あんたねぇ…いい加減にしなさいよ!」

麻里香が叫ぶ。


「何だよ…またその話かよ」

ふてくされたように雄二が言う。


その様子を見て麻里香は言った。


「ねぇ…そんな顔してたら

 詩織も悲しむよ!

 いつまでクヨクヨしてんのよ!」


麻里香の言葉に

雄二は逆上した。


「お前に何がわかるってんだよ!」

雄二は涙ぐんでいる


「あんな死なれ方したら、

 誰だって俺みたくなるさ!

 お前には分からない!

 お前には俺と詩織のことなんて

 何一つ、分からない!」


雄二が叫ぶ。


「もう放っておいてくれよ!」

雄二はそう言うと、

その場から立ち去ろうとしたー。


「アンタ・・・」

麻里香が雄二を見つめるー。


その時だったー


「ひぃっ…!?」

突然、麻里香が体をビクッとさせて、

体を震わせ始めた。


立ち去ろうとしていた雄二が振り返る。


「お、、おい?麻里香?」


唖然とする雄二を

余所に麻里香が悲鳴をあげる


「あ、、、ゆ、、雄二!

 た、、助けて!、何かが…体に入ってくる…??

 

 い、、いやぁ!」


麻里香が叫ぶ。

雄二は慌てて麻里香の方に駆け寄る…


けれども…

麻里香はそのままガクッと首を落として

黙りこくってしまう…。


唖然とする雄二。


そして、麻里香は目を開いた


「麻里香ー?大丈夫か…?」

そう言うと、麻里香はため息をついた。


「---…雄二ったら…

 どこまでも私に心配かけて…」


麻里香の雰囲気がいつもと違う…

そんな気がした


「麻里香・・・?」

雄二がもう一度その名を呼ぶと、

麻里香が立ち上がった。


いつもの活発な様子の麻里香とは違うー

優しい雰囲気で…。


「---ずっと見てた…

 あなたがそんな風にずっとクヨクヨしてるから…

 私、、成仏できなくて…」


麻里香が悲しそうな表情で雄二を見る。

雄二は唖然として言う。


「しお…り??」

驚いて言う雄二に、

麻里香はうなずいた…


「…そう、、、私よ…相原詩織…。

 久しぶり…。


 ねぇ…雄二・・・

 いつまでもそんなに落ち込まれてたら

 私・・・成仏できないよ…?」


悲しそうに言う麻里香。


だが、雄二は笑った


「ははっ…麻里香!

 その手には乗らないぞ!

 俺がTSF好きだからって

 騙されると思ってんだろ??


 詩織にはまんまと騙されたけど、

 お前にまで騙されてたまるか!


 俺を騙して元気づけようとしても

 無ーーー」


そこまで言いかけて

麻里香の涙ぐんだ表情を見るー

その真剣なまなざしをーーー


「----しお…り・・・・・・・」


彼女のまなざしは真剣だったー

これはーーー


雄二はそのまま黙りこくった。


「花のような相原さんがーーー

 いつまでも笑顔でいられるように頑張るからー」


麻里香の言葉に雄二はハッとしたー


あの日ー

ライトアップされた観覧車の中で、

雄二が詩織に告白した時に言った言葉ーーー。


よく詩織から

「あんな恥ずかしいセリフ、よく言えたね~」などと茶化された…。


詩織しか知らないハズの言葉をーーー


雄二は顔を真っ赤にする。

「な、、なんでそれを!?」


麻里香は続けた


「--信じてくれた?」


ーと。

優しく微笑む麻里香


雄二は震えるー


「ま、、まさか、、本当に詩織なのか?」

雄二の言葉に、

麻里香は頷くー


「---……詩織が俺に初めてくれた誕生日プレゼント、

 覚えてるか?」

雄二は確認のためにそう呟いたー


これはー

誰にも言っていない雄二と詩織だけの秘密ー


「--知ってるよ…」

麻里香は優しく耳打ちした。


その言葉を聞いた雄二は、

目の前にいるのは、詩織だと確信したー。


憑依が、本当にあるなんてー。


「詩織…会いたかった…

 俺…」


雄二は、そうつぶやき、涙を流した。


麻里香のーーー

いや、詩織の手が雄二に触れた


「私もーーー

 本当はいつまでも一緒に居たいよー。。


 でもねーー

 もう、私は死んじゃったの…。

 だから、、雄二とは一緒に居られない」


優しく雄二の頬に手を触れ、

涙を流す麻里香。


「---詩織ーー」

雄二の頬を涙が伝う


「雄二が、いつまでもそんな顔してると…

 私、、もっと悲しくなっちゃうよ…」


麻里香の頬から涙がこぼれ落ちる。


目の前に居るのは麻里香。

けれども、その中身はーー。


「雄二・・・。

 私はいつまでもあなたのコト、見守っているからーー。


 だからお願い雄二・・・

 もう、そんな風にクヨクヨしないで…」


麻里香が雄二の頬から手を離すと、

悲しそうに雄二の方を見た。


「---ごめん…詩織…」

雄二は涙をこぼしながらお詫びの言葉を口にした。


優しい風が二人に向かって吹きつける。


「私ーー

 もう、そろそろ行かなくちゃ…」


麻里香が言う。


雄二は叫んだ

「待ってくれ!行かないでくれ!」


そんな雄二の方を振り向いて麻里香は微笑んだー


「私はーあなたに弱っていくところを見せたくなかったー。

 雄二は、それでいいの?

 私にいつまでも弱いところ、見られていて―?」


微笑む麻里香の姿にー

詩織の姿がだぶって見えた。


「…し…詩織…俺は」


麻里香は今一度雄二に近寄ると、

雄二を優しく抱きしめた。


「雄二ー。

 本当に、、大好きだよ…


 でもね、私は・・・

 雄二の笑ってるところが好き…


 だからお願い…笑って…!」


麻里香の言葉に、雄二は意を決して言った。


「----わかった。。

 約束する。

 詩織、、、今までごめん。。。

 俺、、、詩織が見てて安心できるような男になるからー」


雄二が決意のまなざしで言うと、

麻里香は微笑んだ


「ありがとうー」

そして雄二から手を離す


「---大好きーーー」

そう呟くと、、麻里香は複雑そうな表情を浮かべたあとに

にっこりと微笑んで、


「さようならー」と

呟いて、その場に倒れた。


慌てて駆け寄る雄二。


雄二はそのまま麻里香を大学の医務室へと連れていき、

「急に気を失った」と説明して、

恥ずかしそうにその場を去ったー。


大学を振り返った雄二は呟く

「--詩織、、ごめんなーーー」 と。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


後日


相原詩織の墓を、

辻本麻里香が訪れていた。


「----」

麻里香は”あの日のこと”を思い出していたーーー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


あの日、

詩織がもう長くないと、聞いた麻里香は

病院を訪れていた。


「本当にいいのー?

 雄二に言わなくて」


麻里香が訪ねると弱り切った詩織は

悲しそうに首を振った


「いいのーーー。

 彼にはーー私の弱った姿、見せたくないから…


 それにーーー

 彼の涙みたら…

 私・・・」


涙ぐむ詩織。

麻里香はそんな詩織をただ黙って見つめていた。


「でも、アイツ、ふさぎ込むよきっと…」

麻里香が言うと、

詩織は「うん…そうだよね」とつぶやく。


詩織はー自分の死を

こんなことをしても、知られてしまうと、

ちゃんと予想していたー。

今の時代は、情報社会ー。

詩織が、憑依されたふりをして立ち去っても、

いずれ、雄二は詩織の死を知るー。

それに、手紙も送ってしまったー。


詩織は、紙を取り出して何かを書くと

それを麻里香に手渡した。


「なにこれ・・・?」

麻里香がその紙に書かれた内容を読みながら呟く。


「麻里香ちゃん、演劇のサークルに入ってたよね?

 …お願いがあるの…。」


詩織が弱った瞳で、

麻里香をしっかりと見つめる


「もしも、雄二がーー。

 ふさぎ込んでクヨクヨしていたらーー。


 ”わたしに憑依された”演技をして、

 その紙に書いてあるとおりに、雄二に言ってほしいのー」


詩織が真顔で言う。

麻里香は笑った


「そんなぁ…雄二だってそこまで…」

そう言うと、詩織は微笑んだー


「ううん・・・

 そこに書いてある言葉ーーー。

 雄二に告白された時の言葉を言えば

 信じてくれると思う」


麻里香はえ~、とつぶやくと

詩織は笑った。


「あとね、雄二が、憑依を疑って

 質問してくると思うからー。


 たぶんね、、

 付き合い始めて最初の雄二の誕生日に、

 わたしがあげたものあたりを聞いてくるんじゃないかな」


苦笑いする詩織。

詩織本人が知ることはなかったが、

雄二は詩織の予想通りの質問を後にしているー。


「雄二、憑依とかそういうのが好きなんだって!

 だからたぶん、信じるよ!

 ああ見えて、結構、単純だから!」


懐かしむような笑みを浮かべて

涙をこぼす詩織ー。


「--」

麻里香は微笑んだ


「本当に、、、雄二の事が好きなんだね」


麻里香が言うと、詩織は涙を流しながら言う。


「うんーーー

 私が死んで…雄二が悲しんでたら

 私ーーー辛いから」


そう言う、詩織の手を握って

麻里香は言った。


「わかったー。

 任せておいて!

 もしもアイツがクヨクヨしてたら、

 ちょっとの間だけ、詩織ちゃんの代わりに

 お話ししてあげるー」


麻里香がほほ笑むと、

詩織は”本当に、ありがとうー”とつぶやいて

頭を下げた


「演劇部の実力、

 天国から見てなさい!」

麻里香が得意げに言うと、

詩織は、「うん!」と答えたー。


握手をする二人ー。


それがー

詩織と麻里香の最後の時間になったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「詩織の脚本ー

 大成功だったよ」


麻里香は墓に向かってそう告げた。


そう、先日の麻里香が詩織に憑依された、

というのは演技だった。


生前の詩織が、最後に残した

雄二へと優しさ―。


「…私、本当はアイツのことが好きだった…

 詩織ちゃんに嫉妬したこともあった…

 でも…」


麻里香が涙ぐみながら墓の方をみて呟いた。


「あんな顔されたらーーー

 あそこまで詩織ちゃんへの想いを

 見せつけられたら―――」


涙を流しながら麻里香は言う。


”絶対に勝てない―”


麻里香はそう思った。


あの日、詩織に憑依されたフリをした

麻里香は、雄二の真剣なまなざしを見て、

詩織に対する愛情の深さを改めて知った。


「--詩織ちゃんには敵わないよ。」

涙をふくと、麻里香は立ち上がった。


「--もう、アイツは大丈夫だから。

 詩織ちゃんは…安心して」


麻里香が去り際にそう語りかけると、

そのまま墓を後にした。


・・・墓の入り口で麻里香は雄二と鉢合わせした。。。


「おーー、、麻里香?

 お前も来てたのか?」


雄二が言う


「うん、、まぁね…」

麻里香がそっけなく言うと、

雄二がほほ笑んだ。


「なんなら一緒にどうだ?」

雄二の言葉に、

”私は邪魔するわけにはいかないから

 ここで待ってるよ”と

麻里香は微笑んだ


「そっか」

雄二は麻里香の言葉に微笑み、

そのまま墓へと向かった。



墓の前についた雄二は、

寂しそうな顔で呟いた。


「詩織――ーー

 ありがとな…」


あの日以降、雄二は元気を取り戻し、

元の雄二らしい生活を送っていた


「----詩織が…

 麻里香に頼んだんだろ?」


雄二は優しくつぶやいた。


そして笑う。


「前にいつか言ったよな…

 ”俺は同じ嘘には2度はひっかからない”ってー」


雄二は以前のデート中に、詩織にそう言ったことがある。


あの日ー

遊園地で”憑依されたフリをした詩織”に雄二は完全に

騙されたー


だが、今度はーーー

騙されなかった。


けれどーー


麻里香の本気の演技、

そしてその瞳を見て、雄二は感づいた。


”あぁ…生きている時の詩織が麻里香に

 頼んだんだな…”


と。


だからこそ雄二は”気づいていないふり”をして、

そのまま話を合せたのだーー


そして、あの日の麻里香は

本当に詩織に見えたー。


もしかしたらー

本当にーーーー。



「優しいな…詩織は」

雄二は呟く。


「…麻里香のこと…分かっていて

 お願いしたんだろ…??

 俺が麻里香と一緒になればいいなと

 思って…」


雄二は言う。


詩織は麻里香の想いに気付いていた。


だからこそー

麻里香に演技をさせることで、

雄二と触れ合う機会を作り、

そこからなんとか雄二と麻里香が結ばれてくれれば―


もしかしたら雄二は気づくかもしれないー

けれども、それでもいいー

詩織はそう思っていた。。


自分はもういない。

雄二がいつまでも一人でいるのも心苦しい。

だったら雄二と麻里香。

未来のある2人に、新しい道を歩んで欲しいー。

そんな風な願いも、

”詩織の最後の脚本”には込められていた。


「---本当に、ありがとう」

雄二は涙をこぼしながら手を合わせた。


風が木々を揺らす―

雄二にはそれが詩織からの返事のように思えた。


「俺、、

 一生、詩織のこと忘れないからー。


 だからー

 詩織も、俺のコト…忘れないでくれよ…

 

 それとー

 …あの世で、いい観覧車、見つけといてくれよな」


そう言ってほほ笑むと

「またな」とつぶやいて雄二は、墓の入り口で待つ麻里香の

もとへと向かった


「---あれ?涙の跡があるよ?」

雄二が戻ると、麻里香が笑う


「う、、うるせー!」

雄二が咄嗟に反論する。


幼馴染の二人はいつもこんな感じだ。


ふいに雄二が真顔になって呟いた。


「麻里香ーありがとな」


その言葉に麻里香は顔を赤らめた


「な…何よ、急に?どういう意味よ?」

麻里香が言うと、

雄二は「なんでもないよ」とほほ笑んだ。


麻里香は、詩織の墓のほうを振り返って

自虐的に笑うー


「ダメじゃんー…ばれてるよ」

とー。


「でも、ここまで計算済みかな…?

 ふふふ」


それだけ言うと、麻里香は詩織の墓が

ある方向に向かってほほ笑みかけた。


墓の出口に辿り着き、

出ていこうとしたとき、背後の木々が優しく揺れたー。


「---ありがとうー」


詩織の声が聞こえたー。

雄二がハッとして振り返る


「どうしたの?」

麻里香が不思議そうにしている。


雄二は木々の方に向かってほほ笑んだ。


そして、呟いたー。


「---俺の方こそ、ありがとうー」  と。



おわり


・・・・・・・・・・・・・・


コメント


「あなたに見せたくない」の原作は

元々、③までで終わっていて、

この④にあたる部分はずいぶんあとになって書いたものデス…!


そのため、原作もかなり長い文字数になっていたのと

文章の感じも今と同じようなスタイル(?)になってて

そんなにたくさんリメイクする部分はなかったですネ…汗


ただ、追加する部分は追加して

こんな感じにリメイクしてみました!


ちなみに、

文章量は多いですが、リメイク箇所は

そこまで多くないので、こちらのお話は

100円のプランでも読めるようにしてあります!


今日もお読み下さりありがとうございました!

来週の火曜日からは、また何かをリメイクできればと思います!

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