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「……ひっ……!?」

下校中だった女子高生・吉原 聡美(よしはら さとみ)は、

下校中に謎の男に捕まり、

そのまま近くの建物に引きずり込まれた。


「こ…こんなことして…!いったい何のつもりですか!?」

聡美が叫ぶ。


明るい性格で、正義感の強い聡美は、

こんな状況でも臆することなく、自分を誘拐した男に向かって叫んだ。


男は笑うー

「今から僕が本物に、君が偽物になりますー」

とー。


何を言っているのかさっぱり分からない。

聡美は表情を歪める。


「僕はね…どん底の人生を33年間、味わってきた」

がりがりの男が言うー


「--でも、それも今日で終わりだー。

 これから、僕が君になる」


男はー

近くの川辺に住んでいるホームレスだ。

全てにおいて自己中心的な考えをするこの男は

小さいころから、孤立していたー


社会人になってからもその性格は変わらず

会社の業績悪化に伴い、真っ先に

リストラされてしまったのだったー。


ホームレスになった男は、

下校中の女子高生を眺めるのが趣味だったー


そして、見つけたー

聡美のことをー。


あまりの可愛らしい容姿に、

男は聡美に一目ぼれしたー。


だが、自分のようなホームレスが相手に

されるわけないし、

話しかけでもしたら、すぐに

不審者扱いされてしまうことは

目に見えている。


そんなことを思いながら

毎日毎日聡美のことを見ているうちに

男の中にある感情が芽生えたー。


”聡美になりたい”


一目ぼれから芽生えた好意は、

いつしか”なりたい”という想いに変わった。


そして、彼は偶然手に入れた


”他人に変身する力”をー。


飢えをしのぐために、道端を歩いていたカメレオンを

食べた時に、男は手に入れたー

人に変身する能力をー。


変身能力を手に入れた男は決意した。


自分が、聡美になるのだと。


それから1か月間、男はあらゆる準備をして、

今日、聡美をこうして近くの倉庫に連れ込んだのだ。


失敗は許されないー。

裏ルートで手に入れたブツたちを使い、

自分が完璧な聡美になるー。


「---け、、警察を呼びますよ!」

聡美が叫ぶ。


「---ふふふ」

男は、余裕の笑みを崩さない。


「---…こ、こんなことして、

 どうなるか分かってるんですか!?」

怖がりながらも聡美は叫ぶー。


仮に自分がここで何かをされても

この男が無事でいられるわけがないー。

必ず、警察に捕まるはずー


「--どうもならないよ…僕が今日から

 吉原 聡美になるんだ…けけけけ」

男はニヤニヤしながら

不気味な声で笑った。


「---、、な、、なんなのこの人…」

聡美は震えたー。


その時だったー


男が、聡美に突然近づいてきてー

キスをしたのだー


「--ひっ!?!?」

聡美が慌てて男を突き飛ばす。


突き飛ばされた男はふらふらとしながらー


「---!?!?!?」


髪が伸び始めてー

胸が膨らみー

身体つきが変わりー

そして、声までもが変わりー


聡美と同じ姿になった。


「じゃ~ん!」

男は両手を広げながら笑ったー


「---えっ…」

聡美は唖然とする。


男の姿が、聡美と全く同じ姿になったー。


しかもーーー

服を身に着けていない状態で。


「ふっふふふふふふふ♡

 これで誰からどうみても、僕は聡美ちゃんだ!」

偽物の聡美は笑うー。


声も、容姿も、聡美そのものー


「---この状態で、僕が、君の家に帰ったら

 どうなるかな?」


聡美の声で言う聡美(偽)。


「--君のお父さんとお母さんは、

 僕を聡美ちゃんだと思うだろうなぁ」


聡美(偽)がゲラゲラと笑うー


「--ふ、、、ふざけないで!」

聡美が叫ぶ。


「わ、、わたしの姿になっても、、

 み、みんなすぐに気付くから!

 わたしじゃないって!」


聡美は震えながらそう言ったー。


そうー

姿が同じであっても、

中身が違うー

聡美としての記憶もない。

すぐに、親も友達も

”偽物”だと気づいてくれるはずー。


「---へへへへ…

 だから、”わたしが本物の聡美”に

 なるんだよ♡」


ほほ笑みながら近づいてくる聡美(偽)

聡美(偽)は、聡美の髪を引っ張りながら

「服を貰おうか」と呟くー


聡美(偽)は変身の際に服を失ったー

ホームレスの男の変身能力は、

容姿をコピーできても、その人物が身に着けているものまで

コピーすることはできない


「ふ、、、服…?」

聡美が震えながら言うと

聡美(偽)はほほ笑んだ。


「そう。その制服…脱いで全部僕に渡してもらおうか」


聡美(偽)の言葉に

聡美は首を振った。


「ふざけないで!」


聡美が警察に電話をしようとするー。


だが、偽物の聡美がその電話を取り上げた。


「これ、わたしのだから。

 これから本物になるわたしのスマホ」


「--ちょっと!」


聡美(偽)にスマホを奪われた聡美が叫ぶ。


だがー

聡美(偽)はニヤニヤしたまま言う。


「--早く制服ちょうだい?

 じゃないと、裸のまま自撮りして

 ツイッターに写真載せちゃうよ?」


その言葉に青ざめる聡美ー


「---そ、、それはやめて!」


ネット上に自分の裸の写真なんて

載せられたら、たとえそれが偽物の身体だったとしても

大変なことになるー


「じゃあ、服… ちょうだい?」

聡美(偽)は笑うー


聡美は怒りと恐怖と悔しさに震えながらー

制服をゆっくりと脱ぎ始めたー


そして、その制服を手渡すー


「下着もよこせよ!」

聡美(偽)が乱暴な口調で言うー


顔を真っ赤にしながら、聡美は

全てを脱ぎ捨てて、それを聡美(偽も)に渡した。


「--んっふふふふ…

 これから僕はこういう格好をするんだ…」


女子高生の制服や、

下着を身につけながら聡美(偽)は興奮した様子で呟いたー


偽物に、目の前で制服を奪われて

それを着られてしまうなんてー


「---さぁ…て、次だ」

聡美(偽)はほほ笑みながら、

聡美の髪飾りをむしり取るー。


そして、それを自分につけてみせるー


「んっふふふふ…」


「--そ、それは返して!」

本物の聡美が叫ぶー


今、取られた髪飾りは、

幼馴染の男子からもらったものだー。


いつも気弱で、いじめられやすい

幼馴染の新之助のことを、彼女は

いつも守ってきたー

そのお礼に、と新之助がくれた

思い出の髪飾りー


「---ははは」

倉庫の端にあった鏡を見て

ポーズを決める聡美(偽)


「--これからは僕が女子高生なんだ!

 女子高生のにおいがするグッズを使わなくたって

 僕が女子高生なんだ!


 ひっはははははははははは!」


聡美の姿のまま狂った笑い声を出す

聡美(偽)-


「-そ、その髪飾り、返して!」

聡美が叫ぶ。


「あ~?」

聡美(偽)が面倒くさそうに返事をする。


聡美は、

その反応から

”変身”は、他人の記憶までは

盗めないのだと確信したー。


「---どんなにわたしの姿かたちを真似したって

 あんたなんかわたしにはなれない!」


そう叫んで、聡美は助けを求めようとするー


「---おやおや?服も身につけないで

 どこにいくんだい?」

聡美(偽)がふざけた態度で笑うー


「--助けを求めるの!」

聡美の叫びを聞きながら

偽物は笑った。


「--どっちが本物で、

 どっちが偽物かなんて

 周囲に分かるかなぁ?へへ…


 それに、僕はちゃんといつもの格好してるけど、

 君は裸だ。

 偽物だと疑われるのは君のほうじゃないかな?」


聡美(偽)がニヤニヤするー


もうすぐだー

もうすぐ、”本物”に成り代わることができるー


「--見た目が同じでも、

 中身は全然違うもん!」


目に涙をためながら聡美が叫ぶ。


「----ふふ」

聡美(偽)はニヤニヤしながら

本物に近づくと、

謎のストローのようなものを

本物の耳に突き刺した。


「いたいっ!?」

悲鳴を上げる聡美。


そして、そのストローのようなものを

咥える聡美(偽)


ちゅうううううううーーー


と、音を立てて、何かを吸っているー


「な、、、なに…やめて!」

聡美の言葉を無視して

聡美(偽)は笑う。


「君の記憶を、コピーしてるんだよ」


とー。


裏世界で手に入れた怪しげなモノー

これを使って、聡美(偽)は

聡美の記憶をコピーしていくー


「んっふふふふふ♡

 これで…僕は…本物の聡美ちゃんになったんだ…


 僕が…いいや、わたしが聡美よ!

 うっふふふふふ♡」


ストローを放り投げる聡美(偽)


「そ…そんな…!」


「--わたしの初めてのオナニーはぁ~」

聡美(偽)がニヤニヤしながら

得た記憶を口にし始める。


本物は顔を真っ赤にしているー

偽物の聡美の言うことはすべて本当だー。


記憶がーー

盗まれたー


「いやああああああ!」


本物の聡美は、偽物の聡美から

慌ててスマホを取り上げると、

警察に電話をしようとしたー


早くー

早くなんとかしないとー。


聡美が慌てて警察に電話をかけて

助けを呼ぶー


「ーーーさぁ、おわりだ」

聡美(偽)がニヤニヤしながら、

謎の注射器を取り出した。


闇市場で手に入れた

”偽の記憶を相手に植え付ける駐車”


これを使ってー


「---警察に電話したから!

 もうあんたは、わたs…!?」


聡美が表情を歪めるー


偽の聡美が、聡美に

謎の注射器を注射しているー


そしてー


「----”きみは偽物だ”」


と呟いたー


”自分は偽物”という記憶を吹き込んだ

液体を、聡美に注射し、注入するー


「--や、、、やめてよ!!」

聡美が注射器をはたき落とすー


だが、偽の記憶は既に

体内に流れ込んでいってしまったー


「---これ以上、わたしの真似をしな…」


聡美はそこまで言いかけて表情を歪めたー


”あれ…!?

 や、、やべっ…”


聡美の表情が歪むー


自分が本物だと思い込んでいたけれど、

そういえば、わたし、偽物だった…。


聡美が黙り込む。


「あれれ~?

 わたしの真似をしてるのはどっちかなぁ~?」


聡美(偽)が笑うー


いいやー

もう、偽ではない。

容姿も記憶もすべてを引き継いだー


そしてー

元・本物ーー


いいや、今はもう、聡美(偽)になった女は

狼狽えているー


「--警察だ!」

さっき、聡美が呼んだ警察が倉庫に

流れ込んでくる。


「--たすけて…」

本物になった元ホームレスの聡美は

泣きじゃくる演技をしているー


「---あ…」

唖然としている元・本物の聡美(偽)は、

そのまま唖然とした状態で

警察に逮捕・連行された。


・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・


「ただいま~!」

夜ー。


聡美は何事もないかのように、帰宅したー。


「--おかえりなさい」

出迎えてくれる母親ー


「---あれ?なんだかニコニコしてるけど

 何かあったの?」


母親が聞いてくる。


「ううん、別に」

聡美はほほ笑みながら自分の部屋に向かったー


部屋に入った聡美は笑うー


「くくくく…今日から僕が本物の

 吉原聡美だ…

 ふふふふふ…僕が、いいや、わたしがJKだ…!


 ふふふふふふふふ…

 あっははははははははは~♡」


鏡の前で”本物になった聡美”は

ゲラゲラと笑い続けたー


吉原聡美という人間が、

この日、偽物と入れ替わったことを知る人間はいないー


元・本物であり、逮捕された聡美は、

偽の記憶を植え付けられていたことにより、

警察に調べに対して、「俺は…偽物です。彼女の姿を真似ました」と

証言したー。


偽物は、本物になり、

本物は、偽物になってしまったー。


そのことを知る人間は、いないー



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


久しぶりの他者変身モノでした~!

成り代わられてしまう…

恐ろしいですネ!


今日もお読み下さりありがとうございました!!





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