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「-----はぁ…」

大学生の岩城 愛衣(いわき めい)は、

ため息をついていたー。


明るく、元気で、美人な彼女は、

大学内でも男女問わず、友達が多かったー。


しかし…

最近の愛衣は、激しく落ち込んでいた。


「-----…」

自律神経が乱れ、精神的に不安定になり、

落ち込む日々が多くなった。

何もかもが、不安、そんな状態になってしまっている。


自律神経失調症かー

あるいは、鬱のような状態かー。


理由はいくつもあるー

一つは、愛衣が大好きだった母親が、2か月前に病気で亡くなったことー


愛衣の彼氏が浮気をして、愛衣を振ったことー


友達の一人に、とある裏切り行為をされたことー


色々なショックが重なって

愛衣の精神はズタボロになってしまっていたー


「-----…」


ある日ー

食堂でため息をついている愛衣のところに

友達の杏奈(あんな)がやってくる。


「--最近大丈夫?」

杏奈が言う。


「--え、あ、うん…」

愛衣が激しく落ち込んでいるのはー

友達の目から見ても一目瞭然だった。


「---なんか最近、いっつも暗い感じだからさ…」

杏奈が苦笑いしながら言う。


「---ちょっと、いろいろあってね…」

愛衣の言葉に、杏奈がほほ笑むー。


愛衣は、杏奈のほうを見るー

最近の杏奈はおしゃれになったー

少し前まではどちらかと言うと地味な感じだったのに…。


彼氏でもできたのだろうかー。


「---あ、そうだ!」

杏奈がスマホの画面を愛衣に見せる


「--飯山心療内科?」

愛衣が表情を少し歪めると、

杏奈は答えた。


「ここね、すっごく評判がいいの。

 わたしも行ったことあるんだけど、

 先生に話を聞いてもらえるだけでね、

 ほんとーにすっきりするし、些細な悩みも

 すぐ吹っ飛ぶよ!


 うつ病とかね、そういう人も

 ここに来ると治っちゃうみたい!」


杏奈の言葉に

愛衣が苦笑いする


「わたしは鬱とかじゃないし…」


その言葉を遮るようにして、

杏奈は興奮した様子で言った。


「--ううん、ほら、見て!

 友達と喧嘩とか、失恋とか、大事な人を失った悲しみとか

 そういうことでも診療してもらえるの。

 ほんとーに楽になるから、

 愛衣ちゃんももし悩んでるんだったら、行ってみなよ~」


杏奈の言葉に

愛衣は「ま、まぁ、考えておくね」と言葉を濁したー


杏奈によれば、

悩んでいる人の悩みが嘘のように吹っ飛び、

幸せになるのだという。

一部では飯山心療内科の飯山先生は

”最強の名医”だと呼ばれているのだとかー。


”心療内科”というものに、愛衣は

一度も行ったことがない。

自分のような人間が行ってもいいものなのだろうか、と

自問自答する愛衣ー


がー、

愛衣は、友達の杏奈からの紹介だしー、と

”飯山心療内科”に足を運んだー


・・・・・・・・・・・・・


「--あっそ」

飯山院長は愛想なくそう答えたー


「----はい」

愛衣は、嫌そうな表情を浮かべるー


”何か最近、精神的に負担になるようなことは

 しましたか?”と

飯山院長に聞かれた愛衣は、

素直に思い当たることを答えたー


が、愛衣が診察室に入ってから

顔を見たのは最初だけで

飯山委員長は、あとはずっとパソコンの画面を

見ながら、愛衣のほうを見ようともしない。

返事もぶっきらぼうだ。


「(---どこが評判いい病院よ!)」

愛衣は内心でそう突っ込んだ。


これじゃ、心療内科の治療を

受けるどころか、さらに悪化してしまいそうな

気もするー


「---お薬、、出しておきましょうか」

飯山院長は言った。


そしてー

まるでお菓子のようなカラフルな薬を見せるー。


「---え……これは?」

愛衣が不安になって尋ねる。


睡眠薬か?

抗うつ剤か?

それともー…


何かは分からない。

けれど、愛衣としては余分な薬は

飲みたくないー


「--不安を和らげる軽い薬だから大丈夫」


その言葉にも、愛衣は不安を感じるー


ロクに人の顔も見ず、ロクに人の話も聞いていない

この先生のことなんて信用できないー


「--とりあえず、まず1個、飲ませてあげて」

飯山先生が、近くにいた看護婦に言う。


看護婦は「はい」と答えて、

水と薬を持ってきたー。


「--え、、ちょっ、、ちょっと待ってください」

愛衣は、慌てて声を出す。


いきなり薬を飲まされるなんておかしいー


そう思いながらー。


「---大丈夫だから。飲んでみなさい」

飯山先生はそれだけ言うと、

愛衣に薬を飲むように促したー


「---どうぞ」

看護婦さんが、水と薬を差し出す。

とてもスタイルの良い、まるでモデルのような人だー


「-----…」

愛衣は先生と看護婦を見つめると、

困惑した様子で言われたとおりに薬を飲み始めたー


普段の愛衣なら、

”いきなり薬を飲まされるなんておかしい”と

思った時点で、

この病院を立ち去ったかもしれないー


けれどー

今の愛衣は、精神的に弱っているー。

強く言われてしまった以上、

愛衣には”従う”しか選択肢は残されていなかったー


薬を飲み終えるー

特に異変はない。


「--はい、じゃあ、また来週来て」

薬を飲み終えたのを確認すると、飯山先生は

もう、愛衣には興味ないかのように、愛想なく告げたー


受付でお会計を済ませて薬を貰うー

抗不安薬”マイコン”

聞いたことのない薬だー。


「---…もう来ない」

愛衣はそう呟いた。


時間を無駄した。

友達の杏奈が見せてくれた”飯山医院”のレビューは

とても高い評価だったけれど、

この心療内科の評判が良いなんて、お世辞にも

信じられない。


愛衣からすれば、最低な病院だったー


帰宅した愛衣。

一人暮らしの愛衣は、帰宅すると

最近はずっと一人で悩んでいるー


だがー

今日は少し気分的に楽だったー


「…マイコンの効果かな…」

愛衣が呟く。


診察中に服用したあの薬ー

貰ってきた”マイコン”という抗不安薬ー

確かに、少し、効果があるのかもしれないー


そう感じた愛衣は、夜になると言われたとおりに

マイコンを服用するのだったー


・・・・・・・・・・・・・・


「あっ!」


翌日ー

大学の食堂で”マイコン”を服用している愛衣を

見つめて友達の杏奈が笑った。


「--飯山医院に行ったんだ~!

 どうだった?」


「う~ん、まぁ…」

愛衣は、”愛想の悪い先生だった”とは

言わなかった。

せっかく紹介してくれた愛衣に悪い気がしたからだ。


今日も杏奈は、太ももを見せつけるかのような

ショートパンツ姿で大学に来ている。


「最近、ずいぶんおしゃれになった気がするけど、

 彼氏でもできたの?」

愛衣が言うと、杏奈はほほ笑んだ。


「え?ふふふ♡ 素敵な人と出会えたの」

杏奈は不気味な笑みを浮かべたー。


「--そ、そうなんだ~よかったね」

愛衣が言う。


そういえばー

今日は比較的晴れやかな気持ちだー

やはり、抗不安薬”マイコン”の効果は

出ているということだろうかー。


・・・・・・・・・・・・・


1週間後ー


愛衣は、飯山医院に足を運んだ。


”もう来ない”なんて思っていたが、

薬の効果もあったし、

やっぱり来ることにしたのだった。


「---じゃあ、薬を1日3回に増やそうか」

飯山先生はそう言った。


「---え…」

愛衣は言葉を詰まらせる。


この手の薬は、乱用するのは良くない気がしたからだ。


「--あ、あの、1日2回でも十分効果があるので…」


「---1日3回にしようか」

飯山先生は、愛衣の言葉を遮って強い口調でそう言った。


「----はい…」

愛衣は、自然とそれを受け入れたー。


抗不安薬”マイコン”を飲む日々を送る愛衣ー。


やがてー

次の週になり、愛衣は再び飯山医院に足を運ぶー


「---1日5回に増やそうか」

飯山先生が言う。


「---はい」

とろんとした目で愛衣はそう答えるー


そして、家に帰ると、

虚ろな目でマイコンを飲むー。

気持ちが穏やかになるー

心配事が消えていくー


大学では嘘のように明るくなりー

再び、元の愛衣に戻るー


「やっぱ、すごいなぁ~飯山医院!」

元気な愛衣の姿をたまたま見かけた

友人の杏奈は嬉しそうにそう呟いたー


・・・・・・・・・・・・・


「---おっぱいを見せてもらおうか」

飯山先生が言う。


「---はい」

愛衣が、顔を赤らめながら、自分の胸を見せる。


愛衣は、飯山医院に来る前に、

わざと派手な服装に着替えたー


飯山先生ーー

いいや、ご主人さまを喜ばせるためにー


「--揉んでいいかな?」

飯山先生の言葉に、

愛衣は「はい、、喜んで…」と顔を赤らめて答えたー


飯山先生、ご主人様に胸を触っていただける…

愛衣は、この上ない幸せを感じて、ゾクゾクしていたー


「--ほら、餌だよ」

飯山先生が、カラフルな薬…

”マイコン”を床にばらまく。


愛衣は、まるで犬のように

地面に這いつくばってマイコンを拾って

飲んでいくー


「くくくくくく」

飯山先生は、愛衣の姿を見つめて笑うー


彼はーー

人をマインドコントロールする薬ー

”マイコン”を使って

気に入った患者を”洗脳”しているー

評判が良いのはそのためだー

洗脳された人間たちが、飯山医院の評判を

底上げしているー


「--さぁ、持っていきなさい」

袋にぎっしりと詰め込んだマイコンを手渡す飯山先生。

愛衣は嬉しそうに頭を下げる。


「-それと、次に来るまでに、君が一番エッチだと思う服を

 買って、ここに持ってきなさい。

 わたしの目の前でその服に着替えて、

 君の全てを私に見せるんだ」


飯山先生の言葉に、愛衣は嬉しそうに頷いた。


愛衣は帰宅すると、

マイコンを次々とかじるようにして

服用し始めたー


次第に、

脳や自我の部分が侵食されていきー

飯山院長の命令が絶対のものになっていくー


愛衣は、すべてをそっちのけで、マイコンを

服用していくー


”外では普通にしてなさい”という命令のもと、

大学では普通にしている愛衣ー


そして、また1週間が過ぎたー


ネットで購入したバニーガールの格好に着替える愛衣。

そして、そのまま飯山先生の前で

胸を揉んだり、机の角に身体をこすりつけたりして、

喘ぎ始める。


「んあぁぁっ♡」


そんな愛衣の姿を見て笑う飯山先生。


「--君は”マイコン”ってどんな薬だか知ってるかね?」

飯山先生の言葉に、愛衣は

「なんでも、、いいですぅ…♡ もっと、もっとくださいぃ♡」と

嬉しそうに叫ぶ。


「--くくく

 ”マインド・コントロール”の略だー


 適当な名前だろう?くくくく…


 飲めば飲むほど、君はわたしの忠実なしもべに

 なっていくのだ。

 それでもほしいかね?」


飯山先生の言葉に、

「わたしは、ご主人様の、、忠実なしもべですぅ~♡」と

身体をくねくねさせながら答えた。


「くくく」


愛衣が正気ならこんなことは言わないー


けれど、今の愛衣は、

洗脳が進み、飲めば飲むほど洗脳される事実に気づいても

何もできなかった。


「--あぁぁ…♡」

身体をびくびく震わせながら

液体を身体から放出する愛衣。


そんな愛衣を見て飯山先生はほほ笑んだー


「すべてを、私に委ねなさいー」


「---はぃぃぃ♡」

愛衣は目に♡を浮かべながら嬉しそうにほほ笑んだー


・・・・・・・・・・・・・・・・


愛衣は、派手になった。

身体つきがいやらしくなったー


大学でその異変に気付くものもいたが、

飯山医院に洗脳されてしまったなどと

気付く人間はいなかった。


今では、愛衣は毎日飯山医院に通って

”ご主人様”にご奉仕しているー


「---最近幸せそうねぇ」

友達の杏奈が言う。


「うん!わたし、とっても幸せ♡ ふふふふ」

愛衣は顔を赤らめながら言ったー。


「-元気になってくれて、よかったー!」

杏奈はそう言って、愛衣より先に食堂から

立ち去るー


過去に飯山医院に行ったことのある

杏奈はーーーーー


洗脳されていないー


飯山院長の好みとは合わなかったからだ。

普通に診察されて、普通に精神的に楽になった。


それだけのこと。


杏奈がおしゃれになったのは、

ただ単に好きな人ができたから-。

杏奈は単純に、愛想のない飯山先生を

いい先生だと思って、愛衣に紹介しただけだったー


それが、友達を破滅に追い込むことになるとは

知らずにー

いいや、これからも杏奈は、愛衣の身に起きたことを

知ることはないだろうー。


・・・・・・・・・・・


しばらくしてー

愛衣は、飯山医院でバイトをし始めたー

看護婦の一人としてー。


にこにこほほ笑みながら飯山院長の横に立つ愛衣。


診療時間が終わったら

今日もご主人様とのエッチな時間が待っているー


愛衣は、ゾクゾクしながら

幸せなひと時のことを想像してー

笑みを浮かべるのだった。



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


もっとじわじわと変化を書いても良かったのですが

長くしても同じかな~?と思ったので

1話完結のお話にしましたー!


ちなみに、イメージ画像(一番上の写真)は

お菓子の写真ですネ笑


今日もお読み下さりありがとうございました!!

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