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これはー、

最近”記憶が度々飛んでいる”状況に悩まされている

彼女が記した日記ー。


度々飛ぶ記憶ー。

その空白期間に何が起きているのかも分からぬまま、

不安を抱える彼女の記録ー。


(第6週)


☆前回はこちら↓☆

<憑依>記憶が飛んでる彼女の日記⑤~5/8-~

これはー、 最近”記憶が度々飛んでいる”状況に悩まされている 彼女が記した日記ー。 度々飛ぶ記憶ー。 その空白期間に何が起きているのかも分からぬまま、 不安を抱える彼女の記録ー。 (第5週) ☆前回はこちら↓☆ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5月8日(水曜日) 他人の身体を乗っ取って、 好き勝手に...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーうへへへ…うへへへへへーー

 ゆ、夢みたいだー」


書店で、美奈に目をつけて、

レジに変な本を持って行ったり、変な質問をして

楽しんでいた男は、美奈に呼び出されて

夢のような時間を過ごしていたー。


「ーふふふー

 ほら、わたしの足、触りたいんでしょ?」

チャイナドレス姿の美奈がニヤリと笑いながら、

大胆に晒した生足を、迷惑客の前に差し出すー。


「ーう…うへ…ほ、本当にー、本当にいいのかいー?」

変態な常連客は、美奈の足を見つめながら

顔を真っ赤にしてだらしない笑みを浮かべているー。


「ククククーもちろんー」

美奈は邪悪な笑みを浮かべながら思うー


”お前も、この女を完全に支配するための駒として

 役に立ったからなー”

美奈を乗っ取った男と、書店に通っていたこの変態客は

特に協力関係にあるわけではないー。


しかし、この男の迷惑な行動が、美奈を精神的に弱めることに

一役買ってくれたー。

精神的に弱った状態でないと、身体を完全に支配することは出来ない以上ー

この変態客の存在も、美奈を乗っ取った男からすれば

役に立ったのだー。


「ーーーくくくくくー

 次は何を着てほしいですかぁ?お客様」

ニヤニヤしながら、美奈がそう言うと、

「み、美奈ちゃんってーーこうーー、真面目そうなイメージだったけど

 ぜ、全然違うんだなぁ!」と、変態客が嬉しそうに

言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーー美奈ー」

彼氏”だった”和人が、大学内で美奈と遭遇して

表情を曇らせるー。


「ーーーーーふふー

 何その顔ー

 何か言いたげな顔ね?」


高圧的なオーラを感じさせる美奈を前に、

和人は戸惑うー。


「ーー大学を辞めるって本当かー?」

和人がそう確認すると、美奈は「えぇ」と、頷くー。


今日は、大学に退学の手続きをしに来たのだー。

美奈の身体を完全に乗っ取った今、もうここにいる必要はないー。


「ーどうして、急にー…」

和人は困惑しながらそう言葉を口にすると

美奈はクスッと笑いながら、和人の方を見つめたー。


「ーーー別に、わたしの自由でしょ?

 わたしの人生ー、どうするかはわたしが決めるー。」


美奈にそんなことを言わせながら、

美奈に憑依している男は、とても興奮したー


”わたしの人生”を勝手に歪めている現状にー。


「ーーーー……」

和人は、戸惑いの表情を浮かべたまま俯くー。

美奈が、そんな和人を無視してそのまま立ち去ろうとすると、

和人は口を開いたー。


「ーーーー…どうしちゃったんだー美奈」

とー。


「ーー樹里ちゃんも、すごくショックを受けててー…

 お前ー……どうしてー」


和人がそう言い放つー。


美奈の親友ー…樹里ー。

先日、憑依された美奈に乱暴なことをされて、

それ以降、激しく落ち込んでいるのだというー。


「ーーー…どうして?」

美奈はクスッと笑いながら振り返ると、

「ーーーこれが本当のわたしなのー

 今までのわたしは猫を被ってただけー」

と、そう言いながら、和人の返事を待たずに

そのまま歩き出したー


「ーーなんてなー」

ボソッと呟きながら邪悪な笑みを浮かべる美奈に、

もう憑依される前の面影などなかったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


”ーまた会いたい”

そんなメッセージが、書店の迷惑客から届くー。


美奈はニヤリと笑いながら、

”会いたきゃ100億払え”と、雑な返事をして、

そのままスマホの画面を切り替えるー。


ふと、”あるニュース”を見つめる美奈ー。


それはーーー

4月上旬に起きた暴行事件のニュース…。


”彼自身”が起こした事件のニュースだー。


”犯人に繋がる有力な情報は得られておらずー”

そんな報道が行われているー。

既に、事件から1か月以上が経過し、

最近では報道もほとんどなくなってきたー。


「ーーククククー

 俺はここにいるー

 ここにいるぞー」

美奈はスマホの画面を見つめながら歪んだ笑みを浮かべるー


彼はー

事件を起こしたあとー、

先に入手していた”憑依薬”を使って、霊体となったー。


そしてー、

その近所にいた美奈に憑依したー。


美奈自身も、それから数日後の4月14日に

周辺の目撃情報を集めていた警察官に

事件について、聞かれているー。


「まぁ、この女は、まさかその犯人が

 自分の中にいるなんて、夢にも思わなかっただろうけどなー」

ニヤリと笑う美奈ー。


そして、美奈はスマホを見つめながら身体を震わせるー。


「俺はここにいるぞー

 この女の中にー


 ククククー

 はははははははははっ!」


美奈は嬉しそうに笑うとー、

しばらくの間笑い続けたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


数日後ーー。

美奈は、街中を歩きながら、

あることを考えていたー。


完全に美奈を支配した今ー、

これからは美奈として振る舞う必要もないし、

本来の美奈のことを考える必要もないー。


”俺好み”に美奈の外見から、服装までー

色々なものをカスタマイズしようと、そんなことを考えるー。


「ーーもう、俺が”わたし”なんだからなー」

美奈はニヤッと笑うと、街の方に向かって歩いていくー。


大学も辞めてー、自由な時間も増えた美奈ー。

が、とりあえず金を稼ぐ手段は見つけないといけないー


「まーこの身体があれば、いくらでも稼げるけどなー」

美奈に憑依した男は、そう言葉を口にしながら、

邪悪な笑みを浮かべたー。


がーーー

その時だったー


「ーーー?」

トン、と衝撃を感じて美奈が不思議そうな表情を浮かべるー。


次の瞬間、鋭い痛みが背中に走って、

美奈は表情を歪めながら振り返ったー。


するとー、

そこにはーーー


「ーー美奈ちゃぁぁぁんーーーー

 冷たいなぁ…何度連絡してもシカトなんてー…」


その言葉に、美奈は目を見開くー。


男が、血のついたナイフを持っているー。


そして、その男は、美奈にとってー

いや、美奈に憑依している男にとっても

見覚えのある男だったー。


書店の迷惑客だー。


「ーーーは…????」

美奈は、自分の身体から血が流れているのに気づいて、

表情を曇らせると、

自分が刺されたことをようやく理解したー


「お、お前…ふ、ふざけるなよーー

 こ、この女を刺したのか????」

美奈に憑依している男は、美奈として振る舞うことも忘れて叫ぶー。


美奈の身体を完全に支配した男ー。

しかし、美奈の身体から出ることは出来ないー。

今の美奈が刺されることは、男にとっても”危機的状況”を意味するー


「ーー美奈ちゃんがいけないんだ!

 俺を、俺をー、馬鹿にするから!」

迷惑客はそう言うと、美奈に再びナイフを振るうー。


美奈の身体にナイフが突き刺さりー、

周囲が悲鳴を上げるー。


迷惑客は「お前が悪いんだっ!」と、叫びながら

そのまま狂ったように笑いながら走り去っていくー。


後を追いかけようとして、よろよろと歩き出す美奈ー。


だがー、身体から途端に力が抜けていくー


「お、おい…お前…ふ、ふざけるなよー

 お前…!


 せ、せっかく、せっかくこの女の身体を手に入れたのにー!


 おい…!待てコラ!!! おいっ!」


美奈が叫ぶー。


が、立っていられなくなって、

その場に倒れ込むと、

周囲の悲鳴を聞きながら、美奈は舌打ちをしたー。


事件を起こしー、

逃亡してー、身体を奪ってー、

時間をかけて完全に支配したのにー、

どうしてこんなことになるのかと、男は自問自答を繰り返すー。


「ーーーく…くくくくーーー」

男に憑依されたままの美奈は思わず笑みを浮かべると、

「ーーふざけやがってー」と、静かに言葉を吐き出したー。


逃亡の先に待っていたはずの

バラ色の人生ー。


しかしー、

最後の最後でミスをしてしまったー


ああいう、女子大生バイトに執着するようなヤベェ男を

甘く見ていたー。


”自分とは違う方面でイカれているやつ”を、

甘く見ていたー。


「ーーークソが」

美奈は、そう呟くと

そのまま身体から力が抜けていくのを感じてー

静かに目を閉じたー。


「ーーーーーー」

その数秒後ーーー


美奈は、突然目を見開くとー


「なに…これ…?」


と、言葉を発してから再び動かなくなったー。


美奈の最後の言葉の意味ー

それを、周囲の人間たちは理解することはできなかったー。


おわり


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コメント


最終回でした~!

完全にバッドエンドの結末ですネ~…!


この後、書店の迷惑客のおじさんは

すぐに警察に捕まって、逮捕されている設定デス~!


お読み下さりありがとうございました~!


※毎週火曜日の更新(コンパクト枠)とは?

(いつもと同じ説明デス↓ 既に知ってる方は読まなくて大丈夫デス!!)

毎週火曜日(以前は土曜日でしたが、また火曜日に戻りました!)は、

私が仕事の都合で書く時間を確保できないので、

本来更新は難しいのですが

皆様にご恩返しということで、他の6日間で毎日

少しずつ執筆して、火曜日にも、作品をお届けしています!

そのため、いつもより少し文章量が少ないため

毎週火曜日の作品は、100円プランでも読めるようにしてあります!

(※火曜日枠のお話は必ず完結まで100円プランで読めるようにします!

  途中から上がったりはしませんので、安心してください

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