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天才外科医とドジなナース。

入れ替わってしまった二人は、その状態のまま

患者の命を救うために奔走していたー。


そんなある日ー、プライドの高い同僚外科医・間宮が、

病院長の娘・明日香のオペでミスを犯し、

明日香が危篤状態に陥ってしまうー。


”間宮では対処できない”ー

そう考えた麗(信一郎)はやむを得ず、その場を信一郎(麗)に任せ、

”麗の身体でオペをすること”を他人に見られることを承知の上で

明日香を救うために腕を振るったー。


結果ー、明日香のオペは無事に終了したもののー…?


★前回はこちら↓★

<入れ替わり>ドジなナースの本当の素顔③~命~

天才外科医・信一郎と、ドジなナース・麗の二人は 入れ替わった状態のまま、生活を続けていたー。 入れ替わったことを隠したまま、患者を救っていく二人ー。 そんなある日、 桐生病院長の娘が入院することになり、 プライドの高い別の医師が、そのオペを担当することになったもののー? ★前回はこちら↓★ ・・・・・・・...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーこれで終了だー。後は任せたー」

麗(信一郎)は、今日も麗の身体で患者のオペを終えるー。


「お疲れ様ですー」

助手の健介がそう言葉を口にすると、

同じく助手で、”信一郎”の幼馴染の聡美と、

信一郎(麗)も、ねぎらいの言葉を麗(信一郎)にかけたー。


麗(信一郎)は、そのまま手術室を出て、

”ドジなナース”として振る舞うために、いつも通り、

ナースステーションへと戻っていくー。


「ーーは~~~…

 先生が中身のわたしってかっこいいですよねー」

信一郎(麗)が、キラキラと目を輝かせながら言うと、

「ーあははー”自分”がカッコよく見えるなんてー」と、

助手の聡美は笑うー。


「ーーでも、俺はやっぱり、倉坂さんは倉坂さんが

 中身の方がいいかなぁ~」

助手の健介が、麗の中身は麗がいい、と、そう言うと、信一郎(麗)は

「え~?そうですか~?」と、笑うー。


「ーまぁ、確かにこの身体はわたしには似合わないとは思いますけど」

信一郎(麗)が、信一郎の姿を鏡で見つめながら

苦笑いすると、助手の聡美は「そんなことないんじゃない?」と、

言葉を口にするー。


「この前、信一郎が院長の娘を助けに行ったときー、

 麗ちゃん、ちゃんとオペの続き、できたでしょ?」


聡美がそう言うと、

信一郎(麗)は、少し照れつつ、「あれは~…もう仕上げだけでしたし」

と、笑いながら言葉を口にするー。


「ーーーーー」

聡美は、そんな信一郎(麗)を見つめながら思うー。


信一郎になった麗は、毎晩、必死に勉強しているのだと、

麗(信一郎)から聞いたー。


そして、中身は違っても”身体”は信一郎のものー。

天才的なスキルは、身体にも染みついているのかもしれないー。


”ーーあの時の手さばきはホント、すごかったー

 麗ちゃんは、気付いてないみたいだけどー”


聡美は、そんなことを思いながら、

「ーーまぁ、でも、”身体”は医師免許を持ってるんだしー、

 そのうち、麗ちゃんが天才外科医になれるかもよ?」と、

揶揄うように言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「すみませ~ん…今すぐ行ってきますー」


看護師長の初恵に怒られて、

麗(信一郎)は、慌ててナースステーションを出ると、

患者の様子を見に行くために階段を駆け上るー。


「ーーふ~~…やっぱ、わざとバカになるのは疲れるよなー」

ため息をつきながら、麗(信一郎)が病室に向かって

歩いていると、「おいー」と、背後から声がしたー。


Dr間宮ー。

先日、桐生病院長の娘・明日香のオペに失敗しそうになり、

麗(信一郎)に救われた医師だー。


「ーーー間宮先生ー」

麗(信一郎)がそう言うと、「お前は何者だー?」と、

Dr間宮はそう言葉を口にするー。


「ーーーーそれはー」

麗(信一郎)が、口を開こうとすると、

Dr間宮は「いや、言わなくていいー」と、その言葉を遮ったー。


「ーーだが、お前ーーー

 ”医師免許”は持っているのかー?

 まさか、無免許医じゃないだろうなー?」


Dr間宮のそんな言葉に、麗(信一郎)は、

鋭い視線をDr間宮に向けるー。


「ーーーーーー」


「ーーーーーーー周囲に言いたいなら、好きにすればいいー

 けど、間宮先生ー

 ”病院長の娘”を危うく殺しかけたことがバレるのも、

 お忘れなくー」


麗(信一郎)は、不愛想にそう言うと、

そのまま立ち去ろうとするー。


「ーーーーーお前、達川かー?」

Dr間宮は、ふとそんな言葉を口にしたー。


”達川”とは、

達川 信一郎ー…

つまり、麗と入れ替わっている信一郎自身のことだー。


「ーーーーまさか」

麗(信一郎)は振り返ると、わざとらしくにこっと笑うー。


Dr間宮は”あの日の”桐生 明日香へのオペを思い出すー。


そのオペは、まさに”神業”だったー。

まるでー、天才外科医・達川 信一郎そのものー。


「ーーーーどこからどう見ても、わたしは女ですよね?」

麗(信一郎)が、それだけ言うと、

Dr間宮は少しだけ笑いながらー、

「ーーそれもそうかー」と、頷いたー。


麗(信一郎)は、そのまま立ち去ろうとするー。


がーー

ふと、立ち止まって言葉を口にしたー。


「ーわたしはただ、患者を救いたいー。それだけー


 それとー…

 間宮先生ー

 

 間宮先生だって、腕前は確かなものなんですからー

 プライドと、自己顕示欲ー

 そういう邪念を捨てれば、いい先生になれると思いますよ」


麗(信一郎)は、それだけ言うと

そのまま立ち去っていくー。


残されたDr間宮は不満そうな表情を浮かべながら

「ーー生意気な小娘めー」と、そう言葉を口にするー。


がー、その表情は少しだけ、

どこか嬉しそうにも見えたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


数日後ー


「ーー今日は俺の家に来るなよ?」

病院を出た麗(信一郎)がそう言葉を口にすると、

信一郎(麗)は「あそこは~、わたしの家ですっ!」と、

不満そうに呟くー。


「今は俺が倉坂 麗だから、あそこは俺の家だ」

麗(信一郎)が、そう言葉を口にすると、

信一郎(麗)は「も~~~~」と、言いながらも、

「ーじゃあ、お疲れ様でしたー」と、

そのまま頭を下げて立ち去ろうとするー。


がーー


「ーーー!」

信一郎(麗)に背を向けて歩き出した麗(信一郎)は、

突然、身体に違和感を感じて表情を歪めるーー


そして、次の瞬間ーーー


ドサッーー…


「ーーえ」

信一郎(麗)が振り返ると、

”麗(信一郎)”が、その場で気を失って倒れていたー。


「ーーえ!?先生ー…!?えっ!?」

信一郎(麗)は、すぐに麗(信一郎)に駆け寄るー。


「ーーだ、誰か!」

信一郎(麗)は、咄嗟に信一郎のフリをしながら、そう叫ぶー


そんな光景を、病院の中から出てきたDr間宮は、

表情を歪めながら、見つめていたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


病院内での緊急検査の結果ー、

麗(信一郎)は、急性の心疾患で倒れたことが判明したー。


すぐにオペをしないと、命が危ないー。


だがーーー


「ど、どうすればー…?」

信一郎(麗)は困惑の表情を浮かべるー。


助手の健介と聡美も、戸惑いの表情を浮かべているー。


倒れた”ナース”ー。

そして、その側には”天才外科医・達川 信一郎”ー


必然的に、信一郎(麗)がオペをする流れになってしまいー、

信一郎(麗)は困惑していたー。


「ーーー」

”他の先生”を呼ぶしかないー。


しかし、”信一郎”がいるのに、どうして他の先生を呼ぶのかー。

周囲からは当然、そう思われてしまうー。

専門分野でない病気ならともかく、”麗”が倒れたのは、

信一郎の分野の範囲内の急病ー。


なのに”オペをせずに、他の先生に助けを求める”ようなことをすれば、

当然、周囲からは”おかしい”と思われてしまうー。


「ーーー…ダメですー

 柿崎先生と住野先生はオペ中でー、

 間宮先生は先ほど、退勤していますー」


助手の健介が言うー。


「ーーーーーー」

信一郎(麗)は表情を歪めるー。


今の麗(信一郎)の状況では、

”すぐにでも”オペが必要だー。

オペをしなければ、麗(信一郎)は助からないー。


そしてーーー


”ーーー”

”麗”は、そのオペのことを知っていたー。

オペの手順も、やり方も、全部頭の中に入っているー。


入れ替わった後の猛勉強の成果だー。


しかしーーー

”実際に”オペをやったことなどないー。

頭で分かっていても、実際にやるのとは、違うー。


「ーーーーー…」

信一郎(麗)は、表情を歪めるー。


がーーーー


”ーーーお前がやれー”


「ーーーえ?」

信一郎(麗)が、表情を曇らせながら、周囲を見渡すー。


「ーーどうしたの?」

助手の聡美が、不安そうに言葉を口にするー。


”ーーーお前がやれー。お前ならできるー。”

”信一郎”のそんな言葉が聞こえたー


ーーー気がしたーーー


「ーーーーーーーー…」

信一郎(麗)は、目を開くと、

「ーーわたしが、やりますー」と、

健介と聡美に対して、そう言い放つー。


「ーーえぇっ!?」

驚く健介ー


「ーーーう、麗ちゃんがー?」

聡美も驚きの表情を浮かべるー。


しかしー、少し考えたあとに、聡美は静かに頷くと、

「ーーー…その身体は”天才外科医”の身体ー…

 ーーーできないことは、ないかもねー」と、

そんな言葉を口にしたー。


もちろん、信一郎(麗)にも、聡美にも、

”オペが成功する確信”など持てないー。


けれど、このままじゃ、麗(信一郎)は死ぬー。


「ーーこれより、オペを開始しますー」

信一郎(麗)は、震えながら深呼吸すると、

自分を奮い立たせるために”あえて”

言葉を口にしたー


「ーー俺は外科医ー、達川 信一郎だー」

とー。


オペを開始する信一郎(麗)ー


”ーーすごいー”

麗は、オペをしながら思うー。


確かに、麗は入れ替わってから、

かなりの時間、勉強を続けて

あらゆる知識を身に着けて来たー。


しかしー、

”信一郎”の身体は、オペの感覚を覚えているのかのように、

自然と動いてくれるー。


”身体に染みついた天才外科医のスキル”ー


信一郎(麗)は、それを感じずにはいられなかったー。


「ーーーーーすごいー…」

助手の健介は、そう言葉を口にしながら

感心した様子で、信一郎(麗)のオペを見つめるー。


「ーーこれならー、行けそうですー」

信一郎(麗)が、希望に満ち溢れた目でそう呟きながら、

オペを続けるー。


「ーでも、麗ちゃんー

 このオペは難易度の高いオペだからー、

 絶対に油断しちゃだめよー?」

聡美の言葉に、信一郎(麗)は気を引き締めて「はい」と、頷くー。


健介と聡美の二人の方が”麗”からすれば先輩にあたるー。

そのため、誰も見ていない時では、こうした会話を繰り広げているー。


「ーーー今岡くんーわたしたちも、全力でサポートしましょ」

聡美が、健介に対してそう言うと、健介「は、はいー」と、

そう言葉を口にして、麗(信一郎)に対するオペのサポートへと回るー。


”ーーー死んだら、許さないからねー”

聡美は、麗(信一郎)のほうを見つめると、

幼馴染として、心の中でそう言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


オペは、順調に進んでいたーーー


”信一郎”の身体に染みついた天才外科医のスキルー。

そして、入れ替わったあと半年以上かけて

麗が必死に勉強を続けてきた知識ー。


その二つの力が、”麗”にとっては初経験であるはずの

高難易度のオペを、順調に進ませてきたー。


しかしー


”ーーやっぱり、麗ちゃんは未経験者ー

 だんだん、オペの進みが悪くなってきたー”


助手の聡美は、そう思いながら

信一郎(麗)を見つめるー。


いかに”身体”に染みついたスキルと、

”知識”があっても、

それでもー”麗”には実戦経験がないー。


まだーーー…

いきなりこの難易度のオペをこなすのはーー


「ーーあっ…!」

信一郎(麗)が声を上げるー。


ちょっとした躓きー。

オペが”失敗”するほどのほころびではないー。

けれどー


信一郎(麗)は露骨に動揺し始めるー。


「麗ちゃん~、落ち着いて。まずは深呼吸ー。

 大丈夫。ここまでは順調だからー」


聡美が、すぐにそう言葉を掛けるー。


だがー、オペを再開しようとした信一郎(麗)の手は震えるー。


「ーすみませんー…すみませんー」

信一郎(麗)は、汗で額をびっしょり濡らしながら

何とかオペを進めようとするー。


”ーまずいわー…このままじゃー”

聡美が、そんな信一郎(麗)の様子を見つめながら

心の中でそう呟くー。


すぐに、Dr柿崎やDr住野の状況を確認するもー、

二人はまだ別のオペで対応中ー。


「ーーー…」

聡美は、困惑の表情を浮かべるー。


信一郎(麗)も、内心で慌てふためきながらー、

”ーーー達川先生ー”と、

麗(信一郎)のほうを見つめるー


”やっぱり、わたしじゃーーー”

信一郎(麗)が、そう思いながら悔しそうな表情を浮かべたその時だったー。


手術室の扉が開く音がしたー


「ーー!?」

信一郎(麗)と聡美、健介の三人が入口の方を見つめるー。


そこに入って来たのはーーー

天才外科医である信一郎を敵視している

無駄にプライドの高い外科医・Dr間宮だったー


「ーー間宮先生ー…?」

助手の聡美が驚いた様子で言うと、

Dr間宮は手術室を見渡しながら、口を開いたー…。


⑤へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


いよいよ次回が最終回デス~!☆


麗と信一郎の二人が、

どのような未来を歩んでいくのか、

ぜひ見届けて下さいネ~!


今日もありがとうございました~!☆!

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