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天才外科医・信一郎とドジなナース・麗ー。


入れ替わってしまった二人は、

周囲にそのことを隠しながら、この半年間何とか過ごして来たー。


表向きは信一郎(麗)がオペをしていることにしつつ、

裏では麗(信一郎)が執刀するー。

そんな日々ー。


しかし、ある日、麗(信一郎)は突然、桐生院長に呼び出されてー?


★前回はこちら↓★

<入れ替わり>ドジなナースの本当の素顔①~執刀~

「ーーー達川(たつかわ)先生ー  患者さんの容態が急変しました…!!」 看護師が慌てた様子で、外科医・達川 信一郎(たつかわ しんいちろう)の 元に駆け込んでくるー。 「ーーき、き、き、急変!?!?」 思わず、裏返った声を出してしまう信一郎ー。 「ーた、達川先生ー?」 その反応に驚きながらも、看護師は 慌...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーまぁ、座りたまえー」


病院長・桐生に呼び出された麗(信一郎)は表情を歪めるー。


”麗の身体”で手術をしていることに気付かれたのではないかー、と。

”中身”である信一郎は医師免許を持っているし、身体は違っても

オペの腕前は確かなものだー。


今の麗は”天才外科医のスキルを持つ”ナースだー。


しかし、”麗”の身体が医師免許を持っていないのは事実ー。

いくら”中身は俺です”と言ったところで、大きな問題になるのは

目に見えているー。


だからこそ、この半年間、麗(信一郎)が裏で手術を行い、

信一郎(麗)が、表向きは”自分がやった”ということに

しながら、過ごして来たのだー。


「ーーそ、そ、それで~お話って何ですか~?」

麗(信一郎)は”いつもの麗”のフリをしながらそう言葉を口にするー。


すると、桐生委員長は口を開いたー。


「ーーー君の”活躍”は知っているよー」


その言葉に、麗(信一郎)は、麗に不釣り合いな

険しい表情を浮かべるー。

ゴクリ、と唾を飲み込むー。


ナースの身体で半年間、手術をしてきたことを

やはり悟られたのだろうー。


「ーー…院長ー」

麗(信一郎)が言葉を口にしようと、

桐生病院長はそれを遮り、言葉を続けたー。


「ーいつも明るい振る舞いで、患者さんたちを勇気づけている

 ようじゃないかー。

 ドジも多いとは聞いているがーー、よく頑張ってくれているようだね」


とー。


「ーーーえ?」

麗(信一郎)は少し表情を歪めるー。


一瞬、”麗の身体で手術をしていること”を悟られて

呼び出されたのかと思ったが、どうやらそうではないようだー。


「ーあ、あはははー…あ、ありがとうございますぅ~」

”麗っぽく”そんな返事をする麗(信一郎)ー


入れ替わったばかりの頃はよく

”わたし、そんな馬鹿っぽい喋り方じゃないですよぉ~!!”と、

文句を言われたものだー。


「ーーはははー

 そこでだー。

 周りのスタッフには内緒なんだが、いつも頑張っている君にーー」


桐生院長はそう言いながら、

何かを取り出すー。


”ーーあぁ…そういうことかー”

麗(信一郎)は、自分が呼び出された理由を悟るー。


桐生院長は女癖が悪く、

前々から気に入った女医やナースに声をかけては

個人的な食事に誘っているー、と、そんな”噂”が流れていたー。


しかし、信一郎は”男”であった故に、

当然、桐生院長から誘われたことはなかったし、

噂は噂でしかない、と、そう思っていたー。


今日、呼び出されたのは”それ”だろうー。


入れ替わりのことがバレたわけではなかったことに

安堵する麗(信一郎)ー


「ーーどうかね?来週あたり、ご馳走させてもらえないだろうかー。


 なに、院長のボーナスだと思ってくれればいいー。

 頑張っているスタッフをねぎらうのも、院長の仕事だからね」


桐生病院長の言葉に、

麗(信一郎)は思わず笑ったー。


”ーーいやいや、下心が隠せてませんよ”

と、そう言ってやりたかったが、

今は麗の身体ー、それは言わずに踏みとどまったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


院長室を出た麗(信一郎)は、いつものように”看護師”としての

仕事をこなしていくー。


”わざと”ドジなナースを演じて、

今日も看護師長の初恵から怒られる日々ー。


「ーーほら、早く美乃梨(みのり)ちゃんの様子を

 見に行ってあげて」

初恵から、そう言われた麗(信一郎)は、

「あ、は~い!今すぐに行きます~~」と、

いつもの調子で慌ただしく移動を始めるー。


「ーーーーー」

ナースステーションから出た麗(信一郎)は

途端に真剣な表情に変わって、

「ーー半年経っても、わざとバカになるのは疲れるな」と、

そう言葉を口にするとー、

入院中の女子高生・美乃梨の部屋を訪れたー。


美乃梨は明後日、とある手術を行う予定になっているー。

執刀医はーーー…”達川 信一郎”ー


つまり、”麗(信一郎)”が執刀するー。


「ーーあ…どうもー」

美乃梨は元気ない様子で、麗(信一郎)に気付くと、

そう言葉を口にするー。


「ーーーー美乃梨ちゃんー、調子はどう?」

麗(信一郎)は、”麗”としてそう言葉を口にすると、

美乃梨は「ーー今はいいですけどー…」と、言葉を口にしてからー、

「ーー…明後日の手術ー、わたし、死ぬ可能性はありますかー?」と、

不安そうに言葉を口にするー。


「ーーー」

麗(信一郎)は、そんな美乃梨に対して言い放つー。


「ー大丈夫。絶対に失敗しないからー」

とー。


麗(信一郎)の笑顔に、美乃梨は「はぁ」と、ため息をつくと

「でもーー…倉坂さんが手術するわけじゃないんだしー

 そんなこと、分からないですよね?」

と、そう言葉を口にするー。


まさか、”目の前にいる麗”が、手術をするなどとは、美乃梨は

夢にも思っていないー。


「ーーあはははーそれもそうだね~

 わたし、うっかりしてた~」

麗(信一郎)は、”麗”として、わざとらしくそう笑うと、

「でも大丈夫ー」と、美乃梨の手を握ったー。


「ー”達川先生”は絶対に失敗しないからー。

 わたしを信じてー」

と、そう言葉を口にしながらー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーえぇぇ~…

 院長から食事に誘われたんですかー!?」


夜ー。


信一郎(麗)がそう言葉を口にすると、

足を広げながら、ジャージ姿でイスに座っていた麗(信一郎)が

うんざりとした様子で頷いたー


「ってかお前ー、そろそろ家に帰れよー。

 ここは今は”俺”の家なんだからー」


麗(信一郎)が面倒臭そうに言葉を口にすると、

信一郎(麗)は「別にいいじゃないですか~」と、笑うー。


入れ替わり後は、二人は”身体の家”に住んでいるものの、

信一郎(麗)はよく、”麗”の家にやってくるー。

昨日に続き、今日もこうして、”麗”の家に居座っている状態ー。


「ーーーだって~~先生の家、何もなくてつまらないですしー」

信一郎(麗)がそう言うと、

麗(信一郎)は「はぁぁ…好きなもん買えばいいだろ」と、

うんざりした様子で言葉を返すー。


「ーーーそれに先生、わたしの身体で

 そういう格好平気でするからー」

足を広げている麗(信一郎)に、指を指しながらそう指摘すると、

「ー別にいいだろー。誰も見てないんだし、

 ジャージ姿ならどんな座り方でも見えないし」と、

麗(信一郎)は立ち上がるー。


そしてー、机に置いてあったガムを手にすると、

それをまた噛み始めるー


「ーーあ~~!わたしの身体でガムばっか噛まないでくださいよぉ~!」

信一郎(麗)は、慌てながらそう言うと、

「ー仕方ないだろー。お前の身体でタバコ吸わないようにしてるんだから」と、

そう言葉を口にするー。


信一郎は、元々喫煙者だったが、”麗”と入れ替わってからは

煙草を1本も吸っていないー。

不愛想で、ちょっと高圧的な先生ではあるものの、

そういうところは、配慮してくれている様子だったー。


「ーーま、まぁ…それは、そのー

 ありがとうございますー」


信一郎(麗)がそう言うと、

麗(信一郎)は「ー全くー。大体、お前が慌てて階段を降りてたから

こんな風になったんだぞ」と、そんな言葉を口にするー。


「ーはいはい、分かってますよ~!

 わたしが悪かったです~~~!!!」

信一郎(麗)は不満そうにそう言うと、

麗(信一郎)は「ーそろそろ俺は寝るぞー」と、髪をかきむしりながら、

そのまま寝室の方へと向かうー。


そんな麗(信一郎)を見送るかのように、

「ーはーい、おやすみなさい」と、言葉を口にした

信一郎(麗)は、一人になると静かに机へと向かうのだったー


”ーーーーーーーーーーーー”


深夜ー

目を覚ました麗(信一郎)は、こっそりと寝室から顔を出すー。


その先にはー、

医療関係の本をたくさん広げて、一生懸命勉強している

信一郎(麗)の姿があったー。


”ーーーーーー”


入れ替わった後、信一郎になった麗は、

”外科医としての勉強”を、影で一生懸命頑張っていたー。


”ーもしも、元に戻ることができる前に、

 ”天才外科医・達川 信一郎”としてオペをしないといけないような

 状況に追い込まれたらー…?”


そんな場面が訪れるとは思いたくはないー。

けれど、信一郎の身体になった麗は、このまま元に戻れなかった場合の

ことも考えて、毎日毎日、一生懸命勉強を続けていたー。


やがてー、

信一郎(麗)は、夜更かししすぎて疲れたのか、

そのまま寝落ちしてしまうー。


「ーーーー…全くー…」

麗(信一郎)は面倒臭そうに起き上がると、

学習机で寝落ちしている信一郎(麗)を見つめると、

寝室から毛布を1枚、手にして

それを信一郎(麗)の身体に被せるー。


「ーーお前は、頑張りすぎだ」

麗(信一郎)はそれだけ呟くと、フッ、と笑ってー、

そのまま自分の寝室へと戻って行ったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


2日後ー。


女子高生・”美乃梨”の手術の日がやってきたー。


昼休みに”アイスクリーム”を美味しそうに食べていた

麗(信一郎)の元に、信一郎(麗)がやってくるー。


「ーー先生~…わたしは先に手術室に向かいますから

 絶対来てくださいよ~~?」

不安そうに呟く信一郎(麗)ー


「分かってるー。

 でも、急にナースステーションから消えるわけにはいかないだろ?

 後から必ず合流するから、それまでは準備だけしとけ」


麗(信一郎)がそう言うと、信一郎(麗)は緊張した様子で、

美乃梨の病室に向かうー。


「ーーーさて」

麗(信一郎)は、そう言葉を口にすると、

ナースステーションに戻りー、

時計を見つめるー。


”手術開始まで、あと20分かー”


時間を確認すると、麗(信一郎)は、

”わざとらしく”お腹を押さえながら

「ーーす、すみません~…お昼にアイス食べたら、

 お腹が痛くなっちゃって~…」

と、主任の初恵に言葉を口にするー。


「ーーー麗ちゃん、だから食べ過ぎって言ったのに~」


”わざと”一緒にお昼を過ごした先輩看護師が呆れ顔で言うー。

”アイスを食べすぎてお腹を壊した”と、いう”作り話”に

信憑性を持たせるため、一緒にお昼に行き、目の前でアイスを食べまくったのだー。


「ーーーはぁぁ…まぁ、仕方ないわねー」

看護師長の初恵の言葉に、麗(信一郎)は「すみません…」と、

心底申し訳なさそうに言葉を口にすると、

そのままナースステーションを出て、トイレの方向に向かうー。


「ーーー…」

鋭い目つきになって、麗(信一郎)は「俺だー今から向かうー」と、

そう言葉を口にすると、手術室に向かうー。


”腹痛”はウソだー。


手術室にやってくると事情を知る助手の二人、

健介と聡美が既に待ち構えていたー。


もちろん、信一郎(麗)もー。


「ーー既に美乃梨ちゃんは眠ってるー。

 すぐにオペを開始できるわ」

助手の聡美の言葉に、麗(聡美)は「よしー。オペを開始する」と、

そう言葉を口にすると、健介と聡美のサポートを受けながら

素早くオペをこなしていくー。


最初はーーー

正直、”麗の手”でのオペに少し手間取ったー


手の大きさ、指の長さー、形ー、

そういった”わずかな違い”で、手元が狂うためだー。


しかし、天才外科医である信一郎はすぐにそれを克服して、

麗の身体でも完璧にオペをこなせるようになったー。


「すごいー…」

信一郎(麗)は”自分”が手術する様子を感心したように見つめるー。


それなりに難易度の高い手術をあっという間に終えると、

麗(信一郎)は「終了ー」と、それだけ言葉を口にすると、

助手の健介と聡美に「後は頼む」と、そう言い放ち、

その場から立ち去っていくー。


「せ、先生ーお疲れ様でしたー」

信一郎(麗)がそう頭を下げると、

麗(信一郎)は少しだけ笑いながら振り返ったー。


「このあとは”先生”はお前だー。

 しっかりやれよ」

と、だけ言いながらー。



そしてーーー


「ーーーすみません~…お腹が痛くてなかなかトイレから出られなくてー

 時間かかっちゃいましたー」


麗(信一郎)がナースステーションに戻ってくると、

看護師長の初恵は呆れ顔で「もう!」と、そう言葉を口にしたー。


麗がオペをしてきた、などとは夢にも思わずにー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


美乃梨は、無事に回復したー。


安堵の表情を浮かべる麗(信一郎)ー。


「ーーーーいつも、悪いなー」

ふと、麗(信一郎)が、そんな言葉を口にすると、

背後にいた、助手の聡美が少しだけ笑うー。


「ー別にー。

 あんたは、わたしがいないとダメだからー」

聡美がそう言葉を口にするー。


聡美は、”信一郎”の幼馴染ー

子供の頃から天才肌で一匹狼的な信一郎は

優秀だが、何かと誤解を受けやすい性格だったー。


そんな信一郎をサポートしてきたのが聡美だー。

医療系の仕事に就いたのも、信一郎を追ってのことー。


信一郎は、そんな聡美のことを信頼していて、

入れ替わったことも、麗と相談した上ですぐに打ち明けたー。


「ーーーふんー別にそんなことないさー」

麗(信一郎)はそう言いながらも、

「ーーでもまぁ、いつも感謝してる」と、それだけ言葉を口にするー。


「いいのいいのー。

 昔から言ってるでしょ?

 わたし、あんたのこと好きだからー」

聡美がそう言うと、麗(信一郎)は苦笑するー


聡美は、昔からこう、直接的にアプローチを仕掛けて来るー。


「ーーー

 まさか、女同士になっちゃうとは思わなかったけど」

聡美がそう言うと、麗(信一郎)の方を見ながら笑うー。


「しかも、あんたの方が若いしー」


そんな言葉に、麗(信一郎)は少しだけ笑うと、

「いつか、元に戻れる日が来るといいんだがなー」と、

ため息をつきながらそう言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


数日後ー。


「今回の患者はー…」


今日は、病院内で次のオペに関するカンファレンスが行われていたー。


「ーー桐生 明日香(きりゅう あすか)さんー

 桐生病院長の娘さんですー」


外科部長が、そう言葉を口にすると、

桐生病院長が立ち上がったー。


「ー私の娘は今、病魔に侵されているー。

 早急に手術が必要な状態だー。

 当初、別の病院で手術を行う予定だったが

 娘の希望で、うちで手術を行うことになったー。


 どうか、君たちの力で娘を救ってほしい」


そう言葉を口にする桐生病院長ー。


病状の説明が行われて、

その映像を別室で見ていた麗(信一郎)は、

カンファレンスに参加している信一郎(麗)に

”難易度の高い手術だー。受けろ。俺にしかできない”と、

そうメッセージを送ったー


”分かりましたー”

そう返事をする信一郎(麗)ー


その場で「俺がやります」と言い放とうとしたその時だったー。


「ーー私に、お任せくださいー」

別の方向から、声がしたー。


間宮 新太(まみや あらた)ー。

”天才外科医”である信一郎がこの病院にやってくるまでは

”エース”と呼ばれていた外科医ー。

確かに、腕前は見事なものだー。

しかし、無駄にプライドが高く、自惚れる一面があったり

予期せぬ事態が起きると取り乱すなど、欠点も目立つ医師だー。


「ーー待って下さいー。その手術は、俺がー」

信一郎(麗)は”先生に怒られる”と、思いながら

慌てて自分が引き受けようとするー。


がーー


「ーーこれはこれは、天才外科医の達川先生ー。

 だが、この分野は私の専門だー。

 君よりも、私の方が経験もあるー。

 

 どうです院長?

 娘さんを救う確率を少しでも高めたければ、

 この私にお任せ下さいー」


院長の方を見つめながら、Dr間宮がそう言葉を口にするー。


桐生病院長は少し迷ったような表情を浮かべながらも、

「そこまで言うのなら、今回は間宮先生にお任せしよう」と、

そう言葉を口にしたー


”えぇ~~~~…先生に怒られちゃうー”

へなへなと座り込む信一郎(麗)ー。


カンファレンスが終わり、そのことを麗(信一郎)に

報告すると、

「バカ!あいつじゃ失敗するぞ」と、麗(信一郎)は

不満そうにそう言葉を口にしたー


「ご、ごめんなさいー…」

信一郎(麗)の言葉に、麗(信一郎)は「全くー」と、

そう言いながらも「まぁいい、後は俺が何とかする」と、

そう言いながらそのままその場から立ち去って行くー。


「ーーーーー」

廊下を歩く麗(信一郎)ー


”この生活は、いつまで続くのだろうかー”

そんな風に思いながら、今日も彼は”ドジなナース”としての

1日を始めるのだったー。



③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


まだまだ大変な日常は続きそうですネ~!☆

次回以降も、色々なことが起きていくので、

楽しんでくださいネ~!!


今日もありがとうございました~~!☆

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