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「ーーー達川(たつかわ)先生ー

 患者さんの容態が急変しました…!!」

看護師が慌てた様子で、外科医・達川 信一郎(たつかわ しんいちろう)の

元に駆け込んでくるー。


「ーーき、き、き、急変!?!?」

思わず、裏返った声を出してしまう信一郎ー。


「ーた、達川先生ー?」

その反応に驚きながらも、看護師は

慌てた様子で急変した患者の様子を伝えると、

信一郎は、何度か咳払いをしてから「分かりましたー。すぐに向かいます」と、

そう言葉を口にして、冷静そうな振る舞いをしながら

歩き始めるー。


天才外科医・達川 信一郎ー。

若くして、圧倒的なスキルを持ち、数々の難手術をこなしてきた外科医だー。


がーー

呼びに来た看護師の姿が見えなくなると同時に

慌てた様子で電話を手にすると

「せ、先生~~~~」と、涙目で誰かに電話をし始めるー


”こんな時間になんだ?今、いいところなんだー”

電話の相手は、女ー。

声からするに、信一郎よりも若そうな声だー。


「ーーい、いいところ?な、なにがー」

信一郎がそう言いかけると、

”ーそんなことはどうでもいいー。何か用なのか?”と

愛想なく、相手の女は言葉を口にしたー。


信一郎は、ただちに患者の急変を伝えると、

”ー分かった。すぐに行く。”いつものアイツら”を集めておけ”と、

女は命令口調でそう言いながら、

そのまま電話を切ったー。


信一郎は慌てて、同じ病院に勤務するスタッフの

今岡 健介(いまおか けんすけ)と、

杉崎 聡美(すぎさき さとみ)らに連絡をするー。


連絡を終えて、急変した患者のところにやってくると、

戸惑う看護師たちに対して「手術室に運びます」と、

冷静な雰囲気を”演出”しながら、急変患者を手術室へと運んでいくー。


そこにー、助手の健介と聡美がやってきて、

慌てた様子で中に入っていくー


「ーー後は、俺に任せて下さい」

信一郎はそれだけ言うと、急変した患者を見つけた看護師を残し、

手術室の中へと入っていくー。


「ーーー」

助手の健介と聡美の方を見つめる

天才外科医・信一郎ー。


彼のオペがいよいよ始まーーーーーー らなかったーー…。


「ーーーはわわわわわわ…」

突然、へなへなとその場に座り込む信一郎ー。


「ーわ、わたしに先生の代わりなんて、やっぱり無理ですぅ…」

そんな言葉を口にして、オペを始める素振りを全く見せない信一郎ー。


「ーわたし、ドジだし、手術もできないしー」

信一郎のそんな言葉に、助手の健介と聡美は苦笑いするー。


「ーーでも、”この半年間”上手くやってるんだからー」

聡美は、信一郎の”おかしな様子”を気にも留めることなく、

そう言葉を口にすると、

健介も「そうだよー。”麗ちゃん”はよくやってるー」と、

そう言葉を口にしたー。


そしてーーー

手術室の扉が開くと、中に可愛らしい雰囲気の若い女が

入って来たー。


彼女は、この病院に去年からやってきた新人看護師ー

倉坂 麗(くらさか うらら)ー。


信一郎が患者の急変を知らされた際に

真っ先に電話をした相手の女だー。


「ーーおい そんなところに座り込むなー

 俺を手伝え」


麗は、そう言い放つとー、

信一郎は「は、は、はいー」と、慌てた様子で

立ち上がるー。


「ーこれより、緊急手術を行うー」

看護師であるはずの麗が、顔に似合わぬ表情でそう言い放つと、

助手の聡美と健介が頷き、

恐ろしい手際の良さで、緊急手術を進めていくー。


天才外科医・達川 信一郎が行うはずの手術を、

何故か新人看護師の倉坂 麗が行っていくー。


その手際はー、看護師とは思わぬようなー

まさに”天才外科医”と呼ぶにふさわしい手際だったー。


あっという間に手術は終わりー、

麗が「終了」と、そう呟くと、

聡美と健介は「お疲れ様でした」と、頭を下げるー。


そしてー、血を見て動揺している信一郎の方に

麗は近付いていくと、

「ーーしっかりしろー。お前が手術をやったことに

 しないといけないんだからー」と、それだけ呟くー。


「ーで…でもぉ…」

信一郎が泣き顔で呟くー。


「ー”お前の身体”は医師免許を持ってないー。

 だから、表向きはお前がやったことにしないといけないー。」


麗は、そう呟くー。


そうーー

天才外科医・達川 信一郎と、

ドジな新人看護師・倉坂 麗は、

半年前に”入れ替わって”しまいー、

そのままの状態で生活を続けていたのだー。


やむを得ず”麗”の身体で手術を続ける信一郎ー。

しかし、中身は信一郎とは言え、

”麗”の身体は医師免許を持っていないー。


そのため、こうして

”表向きな信一郎が手術を行っている”フリをして、

裏で麗が手術を行っているのだー。


助手の健介と聡美は、そのことを知る数少ない人物で、

”麗”が手術をする際には情報が外部に漏れないように

こうして手術をサポートしているー。


「ーむしろ、麗ちゃんの身体で医師免許取っちゃえばー?

 そんな可愛い見た目だと、人気も出るんじゃない?

 色々な意味でー」

揶揄うような口調の聡美ー。


麗(信一郎)は

「バカ言えー。そんな簡単に医師免許は取れないし

 時間もかかるー」と、それだけ言うと、

「ーーそれに、俺もずっとこの身体でいるつもりはないー。

 元に戻ったとき、”実質無免許の医師免許持ち”が生まれたら

 大変だろう?」と、そう言葉を口にするー


「あはは、確かにー」

聡美が笑うと、

麗(信一郎)は「それじゃ、倉坂ー。後は任せたー」と、

そのまま”助手”のフリをして、その場から立ち去っていきー、

信一郎(麗)が、手術を行ったことにして、その後の処理を進めたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


二人が入れ替わったのは、半年前のことー。


「ーーそれでは、明日の手術、頼んだよー」

病院長・桐生(きりゅう)が、そんな言葉を口にするー。


一見優しそうに見えるものの、狡猾な策謀を張り巡らせている

油断ならない院長だー。


「ーーーはいー。

 俺がやるからには、必ず成功させますので」


若き天才外科医・信一郎はそんな言葉を口にして頭を下げるー。


若さ故か、自信過剰な部分や、大口を叩く面も

目立つものの、それに見合う実力を兼ね備えた信一郎は、

病院からも重宝されていたー。


一方ー、

新人女性看護師の麗は、その日も繰り返しドジなことをしては

先輩看護師から呆れられていたー。


「ーーあんた、そんなだといつか人を殺しそうー。

 わたしたち看護師も、人の命を預かってるんだからね」


看護師長の初恵(はつえ)が、呆れ顔でそう呟くー。


初恵はよく、麗のミスを被っているからか、

麗には当たりが強いー。


「す、す、すみませんー」

麗はそう言いながら、次の仕事にとりかかろうとして、

段差に躓いて盛大にその場で転んでしまうー。


「ーも~~~!あんた、ドジしない日はないの!?」

初恵にそんな言葉を掛けられて、

麗は、「すみません~~~」と、そう言葉を口にするー。


「ほら!早く302号室の高田さんー、

 様子を見に行って!」

初恵から急かされて、慌てた様子で走り出す麗ー

階段を上って、入院患者である”高田さん”の定期的な確認を

行おうとする麗ー。


がーーー


「ーーあっ…!」

必要なものを置いてきてしまったことに気付いて、

「あぁぁ…わたしってば、また怒られるぅ…」と、

ボソッと呟きながら、慌てて来た道を引き返し、

階段を駆け下りるー。


しかしー

その時だったー


「あっ…!」

あまりに慌て過ぎたからだろうかー。

階段を踏み外して、そのままバランスを崩す麗ー。


そこにー、

偶然下から階段を上ってきている最中だった

天才外科医の信一郎がやってきてーー


「ーーー!!」

麗は、そのまま信一郎に衝突ー、

二人で階段を転がり落ちてしまったのだったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


ほぼ同時期に目を覚ました二人ー。


”麗”が目を覚ますと同時に、

麗は表情を歪めたー


”ーーな、なんで俺がナースの格好を…?”


そうー

階段から転落した際に、麗と信一郎は入れ替わってしまったのだー。


すぐにー、

信一郎(麗)も、その状況に気付き「あ…あのー」と、

申し訳なさそうに言葉を口にするー。


がー…


「ーーもう!あんたは何やってるの!!!

 階段から転がり落ちて、達川先生まで巻き込んで!」


看護師長の初恵が、物凄い勢いで病室に駆け込んでくると同時に、

麗(信一郎)に対して、そう言葉を口にしたー。


「ーーーいやー、俺はー」

麗(信一郎)は、そう言いかけるも

すぐに”入れ替わったなどと言っても信じてもらえない”と判断したのか、

「申し訳ありませんでしたー」と、

麗のフリをして言葉を口にするー。


「ーー達川先生ー、本当に申し訳ありませんでしたー」

看護師長の初恵が申し訳なさそうに頭を下げるー


「え…あ、あのー」

信一郎(麗)は、どう返事していいのか分からぬまま

戸惑っていると、

麗(信一郎)が、睨みつけるようにしてこちらを見ていることに気付いたー


”俺のフリをしろ”

そう言っているように思った信一郎(麗)は、

冷や汗をかきながら「も、もういいー。大丈夫ですから」と、

そう言葉を口にしたー。


やがてー、初恵が立ち去ると、

気まずそうにしている信一郎(麗)に対して、

麗(信一郎)は、舌打ちをしてから口を開いたー。


「ーお前のせいで、とんだ恥をかいたー」

とー。


そしてー、麗(信一郎)は時計を見つめるー。


「ーー明日、俺は大手術を控えているー。

 とにかく、今すぐに元に戻る方法を見つけるぞー」


そう言い放つ麗(信一郎)に対して、信一郎(麗)は

「は…はい…す、すみませんー」と、そう言葉を口にすると、

二人は”元に戻れそうな方法”を、色々と試したー。

だが、元に戻ることはできずー、

やむを得ず、麗(信一郎)は「仕方ないー。お前の身体でオペをする」と、

言い出したー。


それがーーー

半年前の出来事ー。

それ以降、天才外科医・信一郎は、麗の身体でオペを行いー、

表向きは”信一郎になった麗”がオペをしていることにしながらー、

二人はこれまでを乗り切ってきたのだー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーー」


♪~~~


「ーーー」

ジャージ姿の麗(信一郎)は、面倒臭そうに、

来客を確認するために立ち上がると、

来客が信一郎(麗)であることを確認して、ため息をついたー。


「ーーー…あまり俺の身体でここに来るなと言っただろうー?

 俺が、お前と親しいと誤解される」


麗(信一郎)が、そう言うと、

信一郎(麗)は、「と、とにかく入れて下さい!ここはわたしの家なんですから」

と、そう言葉を口にするー。


「はぁ~~~」

少しうんざりした様子で麗(信一郎)が、嫌々信一郎(麗)を招き入れると、

「ーー今日は何の用だ?」と、

不満そうに部屋の中に戻りながら言葉を口にするー。


「ー何の用ってー…

 先生がちゃんと掃除しないから!」

と、信一郎(麗)は少し不満そうに言葉を口にするー。


入れ替わったあとー、

二人は嫌々”相手の家”で済んでいるー。


流石に、信一郎の身体になった麗が、麗の家に住むことはできないし、

麗の身体になった信一郎も、信一郎の家に住むことは難しいー。


がー、”麗”は、自分の家のことがどうしても気になり、

理由をつけてはこうして、信一郎の身体で麗の家に戻ってきているのだー


「ー先生~~!!せっかく、わたしになれたのに、

 そんな地味なジャージ姿なんて!」

信一郎(麗)がそう言うと、

麗(信一郎)は「なりたくてなったんじゃない」と、

うんざりしながら、言葉を口にするー。


「ーーこの方が動きやすいし、余計な気も起きないからいい。

 ー出勤するときだけ、ちゃんと身なりを整えてやってるだけ

 ありがたいと思ってくれー」


麗(信一郎)は、そう言うと、ビールを口にしながら、

パソコンの方に目を向けるー。


「ーちょっと~!わたしの身体でお酒飲まないでって言いましたよね~!?」

信一郎(麗)が叫ぶー。


麗(信一郎)は「その指図は受けないー少しぐらいいいだろ?」と、

そう言葉を口にしながら、

おつまみのサラミを口にするー


「ー完全に、おじさんじゃないですか!」


「ーうるさいな」


入れ替わって半年が経過しているからか、

そんな、ある意味仲良しのようなやり取りを繰り広げる二人ー。


「ーーちゃんと、半年間、太らないように体調管理もしているんだー

 少しぐらいは、いいだろ?」


麗(信一郎)は、そう言い放つー。


入れ替わって半年ー。

信一郎は、色々文句を言いつつも、

”出かけるとき”は、ちゃんと身なりを整えてくれているし、

体形も変わらないように、頑張ってくれているー。


そのことには、麗自身もとても感謝していたー。


「ーーあはははーそれは…その、ありがとうございますー」

信一郎(麗)はそう言いながら、

「ーーこうしてー…先生の家に来ないと、

 わたしが、わたしであることを忘れちゃいそうになるんですー時々」

と、そう言葉を口にするー


麗(信一郎)は、パソコンから視線を信一郎(麗)の方に向けると、

少し表情を歪めるー。


確かに、人前では麗は”天才外科医・信一郎”としてー、

信一郎は”ドジなナース・麗”として、振る舞っているー。


時々、元の自分を忘れそうになるのは事実だー。


「ーーーー…わかったわかったー。

 お前の下らない話に付き合ってやるからー、

 そんな顔をするな」


麗(信一郎)はそれだけ言うと、

「やった!じゃあ、たっぷり文句を言いますね!」と、

嬉しそうに信一郎(麗)は笑うー。


「文句は聞きたくないー。面白い話をしろ」

麗(信一郎)は、そう言いながら

パソコンの画面に表示された

”身体の入れ替わり現象”という表記を見つめたー。


入れ替わった半年前から、

”元に戻る方法”を探しているが、未だに見つかっていないー。


この半年間は何とかやってこれたー。

だが、この先もやっていける保証はないー。


何としても、元に戻らなくてはいけないー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


数日後ー


「ーー急に呼び出して、すまないねー」

桐生病院長が、そんな言葉を口にしながら、

麗(信一郎)の方を見つめるー


「あ、あははー…

 ど、どうしてわたしなんかが呼び出されたのか

 分からないですケドー」


ドジなナースの振る舞いをしながら、麗(信一郎)は

”わざと”緊張したかのような笑顔を浮かべて見せるー。


「ーーまぁ、座りたまえ」

桐生病院長はそう言うと、

少しだけ間を置いたー。


「ーーーー…」

麗(信一郎)は、ソワソワした様子を”わざと”見せながら、

心の中で呟くー。


”ーーーどうして院長に呼び出されたんだー?

 嫌な予感がするなー”


もしかすると、麗の身体でオペをしていることに気付かれたのではないかー?


そう思いながら、桐生院長の方を見つめると

桐生院長は静かに口を開いたー



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


ドジなナースと天才外科医の入れ替わり…★

色々大変そうな二人ですネ~!


入れ替わった状態のまま、それを隠してオペするなんて

無理がありそうですが、

医療系のドラマにありがちな、現実ではあり得ない要素ということで~★笑


続きもぜひ楽しんでくださいネ~!

今日もありがとうございました~!

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Comments

djll

「入れ替わり」または「憑依」のタグを付けていただけますか? 「入れ替わり」を見たいんですが、後ろに下がって見るのが大変です··· ### 翻訳機を使ったものなので、文章がおかしいかもしれません

無名

コメントありがとうございます~! 私のプロフィールのところに 「PixivFANBOXの過去作品の一覧を見やすくまとめたページ」を用意してあるので(過去作品もすぐに見れると思います~!)、そこから探していただけると見やすいと思います~! (ジャンルごとに検索できるようにしてあるので、入れ替わりだけ表示することもできます★!) タグは色々な事情でついていないので↑の目次を利用して下さい~!☆ 宜しくお願いします~! もしも、場所が分からなければまたいつでも聞いて下さいネ~!