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婚活にも失敗し、生涯独身を覚悟した男ー。


しかし、見栄っ張りな一面を持つ彼は

偶然手に入れた”他人に変身することのできる薬”を使い、

見ず知らずの女性に変身ー、

”美穂”と名乗り、”一人二役”でまるで結婚しているかのような

夫婦生活を演じ始めていたー。


友人の隆夫にも”結婚した”などと豪語する博光。


がー、ある日、友人の隆夫が”俺にも彼女が出来た”と言い始めて、

”4人で一緒に食事でもー”と、そんな誘いの連絡をしてきたー。


”あくまでも一人二役”の博光は、

その誘いを前に、凍り付くー…。


☆前回はこちら↓☆

<他者変身>生涯独身夫婦①~一人二役~

「ーーすみませんー。夫は今、留守でしてー」 ニコニコしながら、そう言葉を口にする美穂(みほ)ー 「ーーーあ、いえー…  こちらこそ、急におしかけてすみませんー」 そう言葉を口にするのは、 今、目の前にいる”美穂”の夫である 泉沢 博光(いずみさわ ひろみつ)の 友人・内野 隆夫(うちの たかお)ー。 隆夫は...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「はーーー…え?

 隆夫に彼女ができたー…? 嘘だろ…?」


呆然とする博光ー。


隆夫とは、お互い生涯独身だろう、などと語り合ってきた間柄だー。

二人とも恋愛や結婚に縁のない人生を送って来たー。


がー、博光が”結婚”したと嘘をついたことで、

彼女を作る気になったのだろうかー。

”あっさりと”彼女を作った親友・隆夫に対して、

博光を驚きと嫉妬のような感情を抱いていたー。


”ーーい、いやいやいや、アイツに彼女なんてあり得ねぇー。

 きっと、俺みたいに一人二役をやってるに違いない”


博光はそう心の中で考えながら

”今日はエイプリルフールじゃないぞ?”と、

揶揄うような返事を送ったー。


しかしー…隆夫から再びすぐに返事が届くー。


そこには、隆夫と穏やかそうな雰囲気の20代後半ぐらいの

女性が嬉しそうに一緒に写っている写真も添付されていたー。


”ーーおいおい疑うのかよ?失礼だなー!

 イマジネーション彼女じゃないぜ?”

隆夫からはそんなメッセージも添えられていたー。


「ーーー…ぐ…ぐぐぐぐぐー」

博光は表情を歪めるー。

そのまま”美穂”の姿に変身すると、

見ず知らずの女性の姿であるその姿で、

怒りの形相で胸を揉み始めるー。


「なんでアイツには彼女があっさりできて俺にはできないんだー」

”美穂”の姿のまま呟く博光ー。


狂ったように胸を触りながら、

やがて爪をガリガリと齧り始めるー


「ーーへっ…いいさいいさー俺はー

 いや、俺たちは”夫婦”なんだからー

 アイツはまだ結婚してるわけじゃないしー」


美穂の姿のままそう呟く博光は、

悔しさのあまり、”女の身体の欲望”を、意識が飛びそうになるまで

何度も何度も何度も、堪能したー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


結局、”4人での食事”は断ったー。


”博光”と”美穂”ー

偽りの”夫婦”はー、そもそも”博光一人”だー。

博光が見ず知らずの女性の姿に変身して、

”夫役”と”妻役”を一人二役しているに過ぎないー。


そのため、”二人同時に”存在することはできないー。


がーーー

”彼女自慢”をするようになった親友の隆夫を前に

どうしても見栄を張りたくなってしまった博光は、

ある日、隆夫と一緒によく遊ぶオンラインゲームを

している最中に”あること”を思いついたー。


ゲームをプレイしている最中に”美穂”の姿に変身する博光ー。


そして、マイクから少し顔を離して

”ねぇねぇ~博光~何やってるの~?”と、そう言葉を口にするー。


すぐに”博光”自身の姿に戻り、

「ーん~~オンラインのゲームだよー。

 学生時代の友達とよく遊んでてさー」と、そんな言葉を

”対戦相手”である親友の隆夫に聞こえるように言葉を口にするー。


また”美穂”に変身してー、

「え~!そうなんだ~!面白そう~!」と言葉を口にすると、

すぐに変身を解除して「はは、美穂も今度やってみるか?」と、

そんな言葉を口にしたー。


”ーーーはははー仲良さそうで何よりだな”

親友の隆夫がそんな言葉を口にするー


「ーーえ?あぁ?ま、まぁな~」

博光はニヤニヤしながらそう返事をするー。


ボイスチャットをしながら遊んでいるオンラインゲーム。

しかし、”カメラ”は使っていないため、

こちらの”風景”は隆夫からは見えないー。


そのため、変身をしたり、解除したりしながら

”一人二役で会話”をすれば、隆夫からは

”夫婦が仲良く会話をしながらゲームをやってるように”聞こえるのだー。


「ーーあ、わたし、ご飯の準備をそろそろしなくちゃ」

”美穂”の姿に変身してそう言葉を口にしてから、

”博光”の姿に戻って「ははー、俺もこの試合が終わったら手伝うよ」と、

そんな言葉を口にするー。


”ーーーへへーじゃあ今日はこのバトルで最後にするか”

隆夫がそんな言葉を口にするー。


「ーーー…ーー」

その言葉を聞きながら、博光は一人、ニヤニヤと笑みを浮かべるー


”どうだー?俺たち夫婦の”仲良し”な会話はー?”


勝ち誇った笑みを浮かべる博光ー。

やがて、その試合が終わり、少し会話を交わしてから

対戦を終えると、博光は”妻を自慢”できたような気持ちになりながら

部屋を出て、台所の方に向かったー。


がーーーー

当然、”妻の美穂”など、存在しない人物ー。

台所には、誰の姿もないー。


「ーーーーー」

死んだ目で、その場に立ち尽くす博光ー。


”「ーーあ、わたし、ご飯の準備をそろそろしなくちゃ」

「ははー、俺もこの試合が終わったら手伝うよ」”


一人二役でさっき口にしたそんなセリフをー、

つい、なんだか本気にしてしまい、

手伝う気持ちになって台所に来てしまったー。


妻なんて、いないのにー。


「ーーーーーーー」

賢者のような表情をしながら博光は失笑すると、

急激に”一人二役で夫婦をやっていること”がむなしく思えてきて、

「ーークソが!」と、一人、その場で叫んだー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


数日後ー。

博光は、隆夫から”一緒に飯でもどうだ?”と

誘われて、それに応じたー。


がー、指定されたファミレスにやってくると、

そこにはー…

隆夫の”彼女”の姿も一緒にあったー。


「ーーえ…」

博光が戸惑いの表情を浮かべると、

隆夫は「あ、いや、悪いー。俺たち同じ職場だからさー

お前と一緒に飯食うって言ったらついてきたいって言い出してー」と、

少し申し訳なさそうに言葉を口にするー。


「ーーそ、そっかー。

 あ、はじめましてー」

博光は戸惑いながらも、隣にいる隆夫の”彼女”であるー、

新月 優花(しんげつ ゆうか)に挨拶をするー。


「ーーはじめましてー新月ですー。

 急にお邪魔しちゃってごめんなさいー」

礼儀正しくぺこりと頭を下げる優しそうな雰囲気の優花ー。


「ーー優花はさ、俺のいる部署の後輩でさー…

 ホントに優秀なんだよー俺なんかよりもずっと!」

彼女自慢を始める隆夫ー。


どうやた、博光が見た感じから抱いたイメージの通り、

優花は20代後半のようだったー。


そのまま3人で食事を始める博光ー。


がー、”隆夫と優花”の仲良さそうな雰囲気を見れば見るほどー、

”強い嫉妬”が博光の中で生まれたー。


「ーーそういや、奥さんは大丈夫か?」

隆夫がそんな言葉を口にするー


”本当は存在しない妻”のことを口にされて、

博光は「ん?どういうことー?」と、そう言葉を口にするー


「いやぁ、ほら、新婚だと早く帰ってきてほしいとか

 色々あるんじゃないかなって思ってさ」

隆夫のそんな言葉に、

博光は「あー、いや、うちは大丈夫だよー」と、苦笑いするー。


”つい”独身が当たり前になりすぎて、

そこまで細かく”設定”を考えてなかったー。

確かに新婚の夫が、こんな風に友達カップルと一緒に

ご飯を食べて時間を潰してるのは不自然に見えるのかもしれないー。


そう思いつつ、

”俺はもう独身じゃないんだー。”妻がいる風”をちゃんと装わないと”と、

改めて自分に言い聞かせる博光ー。


顔色を変えながらも、隆夫・優花の二人と雑談を続ける博光ー。


だがー、やがて、その会話内容は

”夫婦”の話になっていくー。

本当は存在しない夫婦の話にー


「ーーそういや、”美穂さん”とは、

 どこで出会ったんだー?

 あんな綺麗な人、なかなかその辺にはいないだろ?」


隆夫がふと、そんな言葉を口にするー。


「ーーはは、行きつけの店で偶然ー」

博光はそう言葉を吐き出すー。

これは、以前から”自分の中”で決めておいた設定で、

何度かそれらしき言葉を口にしたこともあるー。


「ーーえ~すごいですね~!

 わたしも今度、美穂さんに会ってみたいです!」


悪気はないのだろうー。

しかし、親友・隆夫の彼女である優花が痛いところを突いてくるー。


「ーーーあ、あはははー

 いずれ機会があればー。」


博光はそんな風に誤魔化すと、

居心地の悪さを感じて、”一人二役で夫婦”を始めた時に

もう一つ購入した別のスマホをこっそりと操作して、

”自分のスマホ”に電話を掛けるー。


「ーーーあっ!」

わざとらしく声を上げた博光は、

”自分のスマホ”を確認するー。


そこには架空の妻である”美穂”の名前が表示されているー。


”変身能力”によって、一人二役を始めて以降、

博光は”サブのスマホ”を用意して、それを”美穂のスマホ”の

設定で使っているー。


「ーー悪いーちょっと美穂から電話がー」

博光のそんな言葉に、

親友の隆夫は「へへーやっぱ、一人で寂しい思いしてるんじゃないのか?」と

揶揄うように言葉を口にするー。


「ーーわたしたちのことは気にしなくていいのでー、

 電話に出てあげて下さいー」

隆夫の彼女・優花もそんな言葉を口にするー。


博光は、そんな二人の言葉に頷きながら、

”別のスマホを使って自分でかけた電話に出ると、

「あ、もしもし、美穂ー?」と、そんな言葉を口にするー。


当然、”美穂”なんていないー。

電話の向こうからは何の声も聞こえてこないー。


がー


「ーーうん うん え?マジでー?

 わかったー

 じゃあ、なるべく早めに帰るよ」


博光は”まるで電話をしているかのように”一人で

そう言葉を口にすると、

「ーごめんーなんか水道の調子が悪いらしくてー」と、

電話を手にしたまま、隆夫たちに状況を伝えるー。


もちろん、”嘘”だー。


「ーそっかー。なら早く帰ってあげないとな」

隆夫が笑うと、

博光は「本当にごめんなー。せっかくゆっくりできると思ったのに」と、

そう言いながら、自分の食べた分より少し多めの

お金を置いて帰ろうとするー。


がーーー

その時だったー


ガシャーー


ポケットに入れていた”美穂のもの”の設定で持っているスマホが

ポケットから飛び出て、床に落ちてしまったー


「ーあ、落ちましたよー?」

隆夫の彼女である優花が、何の疑問も抱かず、

それを拾おうとするー。


がーーー


「ーーいや、拾わなくていいから!」

博光は思わず声を荒げて、慌てて”サブのスマホ”を回収するー。


「ーーーえ…あ、ご、ごめんなさいー」

隆夫の彼女・優花が戸惑いの表情を浮かべるー。


「お、おいおいー急にそんな声出すなよー…?」

隆夫も戸惑いの表情を浮かべているー。


そんな二人の様子を見て、博光は「あ、いやーごめん」とだけ呟くと

足早にそのままその店から立ち去っていくー。


自分には結婚どころか彼女もできないのに、

お互い”生涯独身”だと誓い合っていた親友が

あっさりと彼女を作ったことー、

そして、自分自身は”こんな自作自演”をしていることに

妙な虚しさを感じていた博光ー。


帰宅して「ーーごめんごめんー遅くなっちゃった」と、

呟く博光ー。


がー、すぐに家の中には誰もいないことに気付いて、

博光は悔しそうに目に涙を浮かべると、

すぐに”変身能力”を使って”美穂”を名乗る女性の姿へと変身したー


「ーーあ、博光~!おかえり~!

 水道の調子がちょっと悪くなっちゃって~!」


”誰も見てない”のに、一人二役を始める博光ー。


美穂の姿のまま、「ここなんだけど~…」と、そう言葉を口に

していた博光ー。

が、やがて、その表情から笑顔が消えていくー。


「ーーー……俺は、何をやってるんだー」

”美穂”の姿のままそう呟く博光ー。

自分しかいない部屋の中で、博光は美穂の姿のまま、

”俺は一体、何をやってるんだ!!!”と、そう悔しそうに

叫ぶのだったー。



③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


今日はちょっと体調が良くなかったので、

完成までにいつもより時間がかかって、

この時間になっちゃいました~!★

でも、更新は必ずあるので安心してくださいネ~!


物語は、

一人二役が次第にエスカレート…★!

なんだか大変なことになりそうですネ~!


今日もお読み下さりありがとうございました~!★

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