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西暦2XXX年ー。


世界的に影響力を持つ

巨大企業”M・F・Z”によって、

”女体化薬”が完成したー。


とある大企業によって

”女体化薬”が完成したー。

痛みや副作用も伴わず、大量生産によりコストの削減にも成功、

”副用するだけで簡単に女体化することができる”その薬は、

瞬く間に、世界中へと広がったー。


当初、女体化薬が世間に広がることには”慎重論”も根強く

存在したもののー、

自分の性別に悩む人々の存在や、

”多様性”が尊重される世の中において、

ついにその”女体化薬”は正式に認可され、誰もが自由に購入・服用

することができるようになったー。


また、世界中で法整備が行われて

”女体化薬で女体化したあと”には、届け出をすることで

性別の変更・性別変更に伴う名前の変更も可能になりー、

”誰もが自由に女体化することができる”

そんな、世の中になったのだー。


女体化薬を開発した企業の”M・F・Z”のCEOー

ベンジャミン・ブライスは言ったー。


「ーー人間は今、まさに”性別”の壁を越えようとしていますー

 我々が現在、開発中の男体化薬が完成すれば、

 人類は”性別を自由に選ぶことができる”

 そんな存在へと、進化するのですー」


とー。


女体化薬の完成時、反対する声の中には

”男性に戻ることができない”ことや、

”一方通行であること”を懸念する声も上がっていたー。


しかし、ベンジャミンCEOは、男体化薬の将来的な完成を約束ー、

将来的には女体化も男体化も自由にできる世界の実現を約束し、

結果的に、女体化薬は認可、今では誰もが自由に女体化できる社会が

実現していたー。


「ーー私の息子も、昨年、女体化しました。

 引きこもりがちだった息子が、今ではモデルとして活躍していますー。


 人間には、性別の向き・不向きがあるー。

 しかし、悲しいかな、性別は選ぶことができないー。

 がー、我々がその”壁”を打ち破ったのです」


常にスケジュールが埋まっている状態の多忙な

ベンジャミンCEOは、今日もとあるイベントで

演説を行っていたー。


力強く、ハッキリとした口調で、

身振り手振りも交えながら、聞くものを魅了する

ベンジャミンCEOー。


「ーー我が”M・F・Z”はー、

 miracle(奇跡) future(未来)

 奇跡のような未来を想像していくため、

 これからも人類の発展のお手伝いをすることを、約束しますー


 来るべき”Z”の意味も、遠い将来ー、皆さんに

 お見せできるでしょうー

 

 本日はどうも、ありがとうございましたー」


ベンジャミンCEOは、そう締めくくると、

深々とお辞儀をしたーーー



「ーーーーねぇねぇ、紀香(のりか)~何見てたの?」

紀香と呼ばれた女子高生が振り返ると、

そこには友人の茂吉(もきち)の姿があったー。


「ーーーあ、茂吉ー」

紀香がそう言葉を口にするー。


がー、”茂吉”と呼ばれた子も、可愛らしい雰囲気の女子高生だー。


「ーーっていうか、いい加減”名前”変えろよー

 その見た目で”茂吉”って、違和感すごいんだけど!」


紀香がそう言い放つと、

”茂吉”は「え~~~改名手続き面倒臭いだもん~~~」と、

そんな言葉を口にするー


「ーーでもさ、それを言うならー

 紀香だって、もっと仕草と言葉遣いも女らしくしたらどうー?」


仕返し、と言わんばかりに”茂吉”がそう呟くー。


「ーいつまでも”俺~”なんて言ってると、

 似合わないよ~? その”見た目”でー」


”茂吉”の言葉に、紀香は「う、うるせー!まだ女体化して2年だし!

いいんだよ!」と、そう言葉を返したー。


紀香と茂吉は二人とも”女体化薬”で女体化した

元・男だー。


しかし、紀香は、見た目はとても可愛らしいものの、

女体化してから2年経過した今でも、男の言葉遣いが抜けず、

一人称は”俺”ー。

一度、女子っぽい喋り方をしてみたこともあったけれど、

自分自身の言動に寒気がしてしまい、続かなかったー。

ついでに、振る舞いも男のままで、

可愛い見た目なのに、平気で足を広げたりするー。


一方の”茂吉”は、女体化してから半年ー。

元々が男だったことが嘘のように、

美少女的な言葉遣いに振る舞いー、と、

言動も含めて100%女体化しているものの、

”女体化申請”をした際に、”改名”するのを忘れて、

再申請の手続きが面倒だから、と、名前をずっと”茂吉”のままにしているー。


「ーーーで、何を見てたの?」

”茂吉”が顔に似合わぬ優しい笑顔を浮かべながら言うと、

紀香は「ーーM・F・ZのCEOのトークショーの動画」と、

そう呟きながらスマホを出しだしたー。


「あ~~女体化薬を開発した企業の社長さんだよね~」

茂吉がそんな言葉を口にしながら画面をのぞき込むと

「でも、男体化薬の開発、遅れてるんでしょ?と、

茂吉は笑うー。


「ーーははー、そうらしいけどー

 でも俺は別に男に戻るないしー」

紀香はそう言いながら、自分のスカートを笑いながら触るー


「ーーそういえば、紀香ってなんで女体化薬使ったんだっけ?」

茂吉がそんな言葉を口にすると、

紀香は「ん?俺?決まってるじゃんー」と、そう言いながら

自分の胸を揉み始めるー


「この方がエロいからだよー」

自分の胸を揉みながら、笑う紀香ー。


本当に、名前と身体が女になっただけで、完全に中身は男のままだー。


「ーーーあはははー紀香らしいねー」

茂吉はそう笑うと、

紀香は「ーー茂吉はーー…確か”身体が弱いから”だったよなー?」と、

少し聞きにくいことを聞くかのように言葉を口にするー。


「うんー。わたしは生まれつき身体も弱かったし、

 よく”女みたい”とかイジメられてたからー

 いっそのこと女体化しちゃった方がいいかな、って思ってー。」


茂吉はそこまで言うと

「ーで、実際、女になってみたら、すっごくわたしにぴったりで!

 彼氏もできたし、守ってくれるし!」と、笑うー。


「ーーははは ならよかったー

 …いや、ってか、やっぱそれなら尚更名前をどうにかしろよ!

 俺みたいに元々の名前の面影を残して変えるとかさ!」


紀香のそんな言葉に、

「ーえ~~面倒くさい~!茂吉でいいよぉ~」と、

面倒臭そうに言葉を口にするー


「いやいやいや、お前の彼氏も、茂吉でいいわけ?」

紀香が戸惑いながら聞くー。


”茂吉”には彼氏がいるのだというー。

その彼氏も、自分の彼女が”茂吉”と言う名前のままでいいのだろうかー。


「ーーーう~ん、彼は別にいいって言ってるよ?」

クスッと笑う茂吉ー


「はぁぁ…俺はむしろ、名前を真っ先に変えたけどなー」

紀香は、元の自分の名前”紀夫(のりお)”を思い出しながら

そう言葉を口にすると苦笑いを浮かべたー


女体化したい人間が女体化できる世界ー

そして、開発中の男体化薬ー


人間は”性別を自由に選べる社会”に近付きつつあったー。


だが、それから数年ー。

”問題”が表面化し始めたー


それはー

女体化薬を使う人間が多すぎて”男性”の総数が

激減していたこと…だ。


女性になりたいと願う人間ー

興味本位で女体化する人間ー


さらには、女体化する人間が増えるにつれて

「え?まだ男なの?」

「お前も女体化しようぜ?」と、いうような

同調圧力が起き始めたー。


その結果、さらに女体化人口は増えー、

各国の政府が想定していた以上に”男性”が激減してしまったのだー。


とある島国では、全員が女体化してしまい、

子供が生まれない状況に陥ってしまったのだと言うー。


「ーーー久しぶりー」


高校で会話していた時から数年ー

大学生になっていた紀香と茂吉は久しぶりに

高校時代の同窓会が開かれて再会を果たしていたー。


「ーー来年から、俺たちも就職かぁ」

パーティドレス姿のおしゃれな紀香がそう言い放つと、

「ーーえぇ…まだ男口調なの?」と、

”茂吉”は驚いた様子を見せるー。


「ーー別にいいだろ?ってかお前こそまだ”茂吉”のままなのかよ!?」

ツッコミを入れる紀香ー。


あれから数年経過したのに、どうやらまだ名前を変えていないようだー。


「ーーーに、してもーーー」

紀香は周囲を見渡すー。


集まった高校時代の友人はほとんどが”女”になっていたー。

高校に通っていた当時と比べると、本当に”女子率”が増えたー


「ーーっていうか、ほぼ女じゃんー

 男はーー…いち、に、さんーー…

 …全部で5人しかいないな」


苦笑いする紀香ー。


「大体みんな女になったしー、

 男のままだと色々不便になってきたからね~…」

笑いながらそう呟く”茂吉”ー


自ら希望する者ー。

同調圧力に屈した者ー

女体化する人間が増え、”男性”が減るにつれて、

男性にとって不便なことが世の中では増えつつあったー。


例えばー、場所によっては”女子トイレ”しか存在しない状態になっていたりー、

洋服などに関しても”男性用”の商品が確実に減っていたりー、

学校で”クラスで自分だけ男子”みたいな状況になって

イジメの原因になったりー…


そういった状況下で”こんな不便なら”と、女体化薬を使って

女体化する人間も多くー、

今や、どの国でも男性は”絶滅危惧種”と言えるような

そんな状況になっていたのだー。


当然、各国は危機感を抱きー、

”女体化薬”の販売を停止したり、使用を禁止する国も出て来たー。


だが、既に”女体化の波”は止められずー

販売を停止しても、正規のルートではないルートで

女体化薬を入手することは安易な上にー、

使用を禁止しても、お構いなしに女体化する人間も後を絶たなかったー。


各国は”M・F・Z”のCEO・ベンジャミンに

男体化薬の開発を急がせたものの、ベンジャミンCEOは

”まだ完成にはもうしばらく時間がかかる”と、していてー、

想定以上に早い”女体化の進行”で、男性は絶滅危惧種と

言われるほどに、その数は減少していたー。


「ーー確かに、街でもほとんど男を見かけなくなったよな」

紀香はそう言いながら、「ってかアイツも女体化したのかー」

などと、高校卒業当時はまだ男だったクラスメイトのほうを

見つめながら笑うー。


「ーーーーそういえば、彼氏とは上手くやってるのか?」

紀香は相変わらず、男口調を全く隠すつもりもなく、

そんなことを質問すると、

”茂吉”は首を横に振ったー。


「ーーそれがね~彼も”女体化”しちゃってー

 向こうが、”女体化してから恋愛対象が男に変わっちゃったから”

 とか言い出したから別れちゃった~」


”茂吉”のそんな言葉に、

「ーーはぁぁー彼氏も女体化しちゃったのかよ」と、

苦笑いしながら、茂吉の方を見つめるー。


「ーまぁ、でも男減ったし、

 最近はみんな、女同士でカップルになってるから、

 別にいいんじゃね?」

紀香は、そう言い放つー。


かくいう紀香も、同じ大学に通う、瑞穂(みずほ)という子と

付き合っていて、日々、百合の花を咲かせているー。


「ーーーう~ん、わたしは男子と恋して

 女の子らしく生きたいんだけどね~」

”茂吉”が苦笑いしながら言うと、

「だったら、そろそろちゃんと改名手続きしろよ」と、

紀香は苦笑いしながらそう言葉を口にしたー。


「え~だって面倒臭いんだもん~!」

高校時代と同じように、そんな言葉を口にする茂吉ー。


彼女のことを見つめながら、紀香は

その反応を懐かしみながら微笑んだー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーただいま~」

帰宅した紀香は、自分の部屋へと向かうー。


スマホをいじっていると、

全人口の”女性率”が8割を超えた、というニュースが表示されていたー。


それに伴い、未婚率も急激に上昇ー、

昨年の出生数は大幅に激減し、女性ばかりになったことで、

将来的に、全世界で急激な人口減が起きるのではないか、という

そんな予測もされる状態になっていたー。


「ーーまぁ、でも、男体化薬ももうすぐ完成するらしいし、

 大丈夫だろ」


紀香は、だらしない座り方をしながらスマホをいじるー。


M・F・ZのCEO・ベンジャミンは、最新の会見でも

「ーー我々は、間もなく男体化薬を完成させます」と、

そう言っていたー。


「ー女体化薬と男体化薬は、二つ揃ってこそ、本当の奇跡になります。

 男体化薬が完成したその暁には、

 我々人類は、完全なる性別の自由を手に入れるのです」


力強くそう宣言するベンジャミンCEOー。


そしてー、女体化薬による”想定以上の女性率の上昇”に、

批判が集まっていることに対しても、

「我々は、女性同士が結ばれた場合でも出産を実現できるようにする

 新技術を開発中ですー」と、対応策を説明してみせたー。


「ーーやっぱ、M・F・Zはすげぇなー」

女体化薬を開発した企業の会見の動画を見ながら、

紀香はそう呟くと、

「さてとー、今日はこのあと美容室の予約を取ってるから

 そろそろ出かける準備をするかー」と、

そう言葉を口にしながら、出かける準備をし始めたー。



しかしーー

”女性率”の上昇は止まらずー、

やがて、男性は本当に”絶滅危惧種”になりつつあったー。


②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


女体化薬が出回った結果、男性が少なくなってしまった

世界のお話デス~!


なんだか大変なことになりそうですネ~笑


続きはまた次回デス!


今日もありがとうございました~!

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