Home Artists Posts Import Register

Content

エイリアンに占領されてしまった地球ー。


麻友は、そんな世界の中で、

”これ以上酷い目に遭いたくない”という想いから、

エイリアンに支配されたかつての友達や家族たちにどんな目に遭わされても、

それに耐える日々を送っていたー。


そんな中、反撃作戦を計画していた幼馴染の彰吾ー。

しかし、彰吾の計画が失敗すればエイリアンたちから

”もっとひどい目に遭わされるかもしれない”と恐れた麻友は、

彰吾たちの計画を密告、彰吾たちは”奈落”と呼ばれる場所へ

連行されてしまうー。


自分のしたことに心を痛めながらも、それでも麻友は

これ以上、酷い目に遭いたくないという思いを抱き、

エイリアンたちのご機嫌をひたすらとる日々を送っていたー。


☆前回はこちら↓☆

<皮>エイリアン・KYOTO②~地獄~

エイリアンに占領された地球ー。 人間を”皮”にして乗っ取り、文明ごと地球を略奪したエイリアンー。 エイリアンの数よりも、人間の数の方が多かったために、 ”乗っ取られずに”見逃されている人間たちは、 エイリアンの激しい弾圧の中、それぞれ苦痛の日々を送っていたー。 諦めて従う者ー 絶望して命を絶つ者ー。 反逆し...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


幼馴染の”彰吾”は、奈落に送られてしまったー。


不気味な空の下、今日も麻友は一人、

学校へとやってくるー。


「ーーふふふー…おはよー。麻友ー。」

ニヤニヤしながら、彰吾と共に小さい頃からの付き合いの

親友・奈緒美が近付いてくるー。


「ーーー仲間を裏切って、奈落送りにするなんてー

 ーー麻友ってば、つめた~~~い」


奈緒美は”わざと”かつての奈緒美のような口調で

そう言い放つー。


麻友は、目に涙を浮かべながら静かに頷くー。


「ーーーふふふふー

 そうやって下等生命体のお前たちが苦しむ姿、最高だよー」


奈緒美が邪悪な笑みを浮かべるー。


「ーーーそういう姿見てるとさぁーー

 わたしー、興奮しちゃうー」

奈緒美がペロッと唇を舐めながら、興奮を隠しきれない様子で

そう言葉を口にすると、

笑いながら、麻友の前から立ち去っていくー。


クラスメイトの詩織も、そんな麻友の方を見つめながら笑っているー。


もうー、味方はいないー。

どこにもー。


「ーーーこれからも、”我々”のために尽くしてねー?」

詩織が、麻友に対してそう言い放つー。


「ーーーーはいーー…」

麻友は涙目のまま、そう言葉を吐き出すー。


「ーーー…ふふーーいい子いい子ー」

他のクラスメイトが麻友の頭を撫でるー。


がーー

そのクラスメイトは麻友の耳元で静かに囁いたー


「お前も裏切れば、”奈落送り”だからー

 忘れるなよ?」


とー、脅すような口調でー。


”奈落”

エイリアンに反逆した人間が送られる”地獄”のような場所ー。

具体的にどのような場所なのかは分からないー。

がー、”奈落”に送られて戻って来た人間はいないー。


恐らく、今より何百倍も辛い場所だー。

絶対に、そんな場所に行きたくないー。


「ーわ、わたしはー

 奈緒美様のことも、詩織様のことも、

 みんなのことも、裏切ったりしませんー。

 だからーー…奈落に送らないでくださいー」


麻友は震えながら、命乞いをするかのようにそう言い放つー。


なんて情けない姿ー。

自分でも、そう思うー。

でもーー行きたくないー。

プライドも何もかも捨ててでもー、

みんなのようにエイリアンに乗っ取られたくないし、

”奈落”に送られたくもないー。


麻友には、こうする他、道はなかったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


数日後ー。


「ーーー」

手芸部の先輩・西崎 優美香と共に、

エイリアンたちから命じられて、学校内の掃除を行っていた二人ー。

優美香は、この学校に残る数少ない”売れ残り”ー。

エイリアンに支配されていない人間だー。


今日はー、

職員室と校長室が二人の担当だー。


”掃除”やこういった雑用は、”人間”の仕事だー。


「ーーーーーあ~あ…こんなクソみたいな世界、

 爆発しちゃえばいいのにー」

優美香が吐き捨てるようにしてそう言い放つー。


元々は優しかった優美香ー。

しかし、こんな状況になってからは自虐的な発言を繰り返す上に、

キレやすい性格になってしまっていて、もはや手がつけられないー。


「ーーそういえばさー、麻友ちゃん、

 エイリアンたちに”告げ口”したんだって?」

優美香が少しだけ笑いながらそんな言葉を口にするー。


「ーーー…そ、そうしないとー…

 みんな、連帯責任を取らされるかもしれなかったのでー…」

麻友が申し訳なさそうに言うー。


しかし、優美香はそんな麻友を鼻で笑ったー。


「ーーーー裏切者」

優美香は笑いながらそう言い放つー。


「ーー…そ、そんな言い方しないでくださいー

 わたしだって、本当はそんなことー…

 でも、こうしないとー」


麻友が涙目で言うと、優美香は笑いながら、


「ーーーあははははははー

 別に、別にいいけどさぁ、

 でも、これからわたし、麻友ちゃんのこと

 ”ポチ”って呼ぶことにしたからー!」


優美香が、職員室の中を意味もなくウロウロしながら笑うー。

その歩き方は、完全に気が触れている様子で、

優美香を見ているだけで、恐怖心が膨れ上がって来るー。


「ーーぽ…ポチー…?」

麻友が戸惑いながら言うと、

優美香は「そうだよ!ポチだよ!

エイリアンにへこへこして、あんたはエイリアンの犬なのよ!」と、

ゲラゲラ笑いながら叫ぶー


「ーあははははっ!あははははははっ!」

優美香は笑いながら、「何もかも、うぜーんだよ!」と、職員室の

机を蹴り飛ばしながら、乱暴に掃除を再開するー


「ーーもう…嫌だー…」

麻友は、そんな優美香を見つめながら、耳を塞ぐー。

もうー、耐えられないー。

こんな世界ー。

エイリアンも、生き残った人たちも、

みんなみんな、怖いー。

エイリアンのせいで、全てが壊れてしまったー。


そう思っていたその時だったー


ガシャン!と、イヤな音がしたー。


「ーーー!!」

笑っていた優美香が「え…」と、表情を歪めるー。


「ーーー…え…」

麻友も、そんな優美香の方に駆け寄ると、

机の上に置かれていたと思われるガラスのオブジェが

砕け散っているのが見えたー。


「ーーーーーせ、先輩…これ…」

震える麻友ー。


そのガラスのオブジェは、エイリアンたちが飾っている

謎のオブジェー。

色々な場所にエイリアンたちがこれを飾っていて、

確か教室にも一つ置かれていたはずだー。


以前、”詩織”に聞いてみたところー、

”これは、わたしたちの”神様”ー”と、そう言っていたー。

つまり、エイリアンたちにとって大事なものなのだろうー。


それを、壊してしまったー。


「ーーー…ーーーわ、わたしのせいじゃないー…

 わたしのせいじゃー」

優美香は震えながら、怯えた様子でそのオブジェを隠すー。


「せ、先輩ー…」

麻友が不安そうにその様子を見つめていると、

優美香は「誰かに喋ったらぶっ殺すから!」と、

鬼のような形相で言い放って、そのまま立ち去ってしまったー。


仕方がなく、麻友は残りの掃除を終えると、

そのまま先生に掃除が終わったことを報告ー

下校を始めるー。


もちろん、その”先生”もエイリアンに支配された人間だー。


家に帰宅するとー、

ラバースーツ姿の姉・美姫からいつも通り暴言を浴びせられるー。


「ーークズ!酒が足りねぇぞ!早く買って来い!」

美姫がグラスを投げつけて来るー。


見た目と声以外、もう何もかも別人な姉・美姫を見つめながら

”飲み過ぎはよくないよー”と、言いそうになるも、

麻友はそれをグッと堪えるー。


それを言えば、美姫はさらに激怒するー。

何をされるか分からないー


「は、はいー…今すぐにー…」

麻友がそれだけ言うと、美姫は不満そうに舌打ちしながら

また別の酒を飲み始めるー。


仮に”お姉ちゃん”を助けることができてもー、

もうー、元のお姉ちゃんには戻らない気がするー。

そんな、不安を抱くぐらいの飲みっぷりー。


がー、玄関の扉を開けて、”お使い”に向かおうとしたその時だったー。


「ーーーいたいたー”反逆者”」

幼馴染の奈緒美と、クラスメイトの詩織ー

そして、他数名のクラスメイトの姿がそこにはあったー


「ーーえ…」

麻友が、震えながら奈緒美の顔を見ると、

奈緒美は言ったー。


「ーー我々の”神”を壊すなんてー。

 いい度胸ねー」

奈緒美はそう言うと、

職員室で先輩の優美香が破壊し、隠したはずのオブジェの残骸を

手に、怒りの形相を浮かべながら、笑ったー


「ーーーえ…そ、それは、ーーーーわたしではありませんー」

麻友が震えながら答えると、

詩織が麻友に近付いてきて、その腕を乱暴に掴んだー


「ーー言い訳するんじゃねぇぞー。下等生命体ー」

詩織の恐ろしい形相に、麻友は「ち、違うんですー」と、

涙目で言うー。


「ーーふふー言い訳はやめた方がいいー

 西崎 優美香がお前が壊したと我々に報告してきたんだー

 隠した場所も含めてー」


奈緒美がそう言うと、麻友は呆然としながら目に涙を浮かべるー。


壊したのは”西崎先輩”のほうだー。

先輩は、それを麻友に擦り付けて、自分は助かろうとしているのだー。


あんなに優しかった先輩が変わってしまったー


「ーーーち、違います!!わ、わたしはー」

麻友が叫ぶー。


がーーーー


麻友は思い出すー。


”わたしも、彰吾くんを裏切ったー…

 わたしも、先輩と同じー”


幼馴染の彰吾を”奈落送り”にしてしまったー。

そう、麻友だって、西崎先輩と同じようなことをしていたのだー。


そう思った麻友は口を閉ざすー


「ーーんだよ」

家から姉・美姫が出て来るー。

ラバースーツ姿に、酒を手にした美姫を見て、

奈緒美と詩織が笑うとー、

「ー悪いけど、こいつは”反逆者”だから”奈落”送りー」と、

奈緒美の方が言い放つー。


美姫は不満そうにしながらも、

「チッーなら、さっさと連れていけ」とだけ呟いて

そのまま家の中に戻ってしまったー


”今のお姉ちゃんは、もう助けてくれないー。”


改めて、そんな現実を目の当たりにしながらー

麻友は”奈落”へと連行されていくー。

上空を徘徊するエイリアンの”母船”から、放たれた光に包まれていく麻友ー。


反逆した人間が連れていかれる

地獄のような地下施設ー

それが”奈落”ー

この光はー、そこに”転送”するための光ー。


「ーーじゃあねー麻友」

元の奈緒美の口調でクスッと笑う”乗っ取られた奈緒美”ー


「ーーーごめんねーーー…奈緒美ー」

光に包まれて”奈落”に転送される直前ー、

麻友はそう言葉を口にしたー。

もう、奈緒美には届かぬこの言葉ー


その言葉を聞いた奈緒美は少しだけ笑うと、

何も言わずに、奈落へと送られていく麻友を見つめながら

邪悪な笑みを浮かべたー…。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーーーぅ…」


”奈落”ーーー

エイリアンたちが地の底に作り上げた、

”反逆した人間たち”に、

地獄の苦しみと、強制的な労働を強いる地獄の世界ー。


「ーーいらっしゃ~~い♡」

そんな、可愛らしい声が聞こえてきて、

麻友が意識を取り戻して顔を上げると、

そこには、可愛らしいアイドルのような衣装を着た女が

笑いながら立っていたー。


「ー”奈落”へようこそ~!

 わたしは、”奈落”を支配する、美琴(みこと)だよ!

 よろしくね!」


嬉しそうに笑う美琴ー。


その姿を見て、麻友は表情を歪めるー。


「ーーみ…美琴ー…ってー」


エイリアンに占領される直前、大ブームになっていた

人気アイドル・美琴ー。

その彼女が、エイリアンに乗っ取られてー、

この”奈落”と呼ばれる場所を支配しているのだー。


「ーーーわたしたち”エイリアン”に反逆なんてしたらだめじゃ~~ん」

美琴はクスクスと笑うー。


「ーーー……」

麻友は震えながら美琴の方を見つめると、

美琴は突然、耳から触手のようなものを伸ばして来たー。


”美琴を着ている”エイリアン本体の触手だー。


「ーーー!!!」

人気アイドルだった美少女の耳から触手が飛び出している

恐ろしい光景ー


美琴は気にする様子もなく、

「ーーまずは、あいさつ代わりの”デスミンB”をあげるー」と、

そう言葉を口にすると、触手が持っていた注射器のようなものを

麻友に打ち込んだー。


「ーー!?!?!?」

麻友が怯えた様子で「こ、これはーー何ですかー?」と、

聞き返したその時だったー。


突然、全身を激痛が襲いー、

激しい嘔吐や腹痛ー、めまいー、

あらゆる”苦痛”が、麻友を襲うー。


悲鳴を上げる麻友ー。


「ーあはははははっ!

 あんたたち”下等生物”を苦しめるためだけに作った

 素敵なお薬ー それが”デスミンB”よー。

 

 ふふー心配しないでー

 その薬で死ぬことはぜ~~~ったいにないからー。

 ”生きたまま地獄の苦しみを与える”

 最高のーーーお薬ー


 ふっふふふふふふぅ♡」


美琴は笑いながらそう言うと、

「2時間耐えれば、症状は消えるから頑張ってね!」

と、嬉しそうにそう言い放つと、

「ーこの新しい”下等生物”を、32地区の牢屋に放り込んで」と、

美琴はそう言い放ったー。



そうーー

ここは、地獄ー


麻友は、何度も嘔吐して、激痛に苦しみ続けー、

ようやくー、2時間が経過したー


薄暗い、何もない牢屋で目を覚ます麻友ー。


そこにはーー

”奈落送り”にされた人々が、手錠で繋がれた状態で何人も

幽閉されていたー。


「ーーーー…結局、麻友も来たのかー」

そんな言葉が聞こえるー。


「ーー……!し、彰吾ー」

そこにいたのは、先に”奈落”送りになっていた幼馴染の彰吾ー。


麻友が震えながら叫ぶと、彰吾は「ーー”デスミン”やべぇよなー」と、

青白い顔で呟いたー


「あれを、毎日ー。頭がおかしくなりそうだよ」

彰吾はそれだけ言うと、麻友のほうを見つめるー。


麻友は申し訳なさそうに「裏切って、ごめんなさいー」と言葉を口にするー。


しかしー

「ーーいや、お前のせいじゃないー。

 仲間にさー…いたんだ…”正気”のフリをした”監視員”がー。

 そいつの密告のせいでー、お前のせいじゃないー。

 だから、気にすんなー」


彰吾は、そう言いながら笑ったー。


「ーーー彰吾ー…」

どうやら、彰吾が”反撃作戦”を企てていた仲間の中にも

”エイリアンに乗っ取られているけど正気のフリをしている”監視員が

いたようで、どのみち、麻友が密告しなくても彰吾は

奈落送りになっていたのだー。


そんな、彰吾との再会を喜ぶ前もなくー、

突然、大音量で”この世のものとは思えない”歌声が響き始めるー


「な、なにこれー…?」

頭がおかしくなりそうな歌ー。


彰吾は苦痛に表情を歪めながらー、

「”美琴”ちゃんの歌だよー…」と、そう言葉を口にするー。


”奈落にお住いのみなさぁ~~ん!

 今日もわたし、美琴のライブの時間がやってきましたぁ~~!”


乗っ取られる前の美琴が、アイドルで歌も歌っていたことからー、

美琴を乗っ取ったエイリアンも”それ”を続けているのだというー。


もちろんー、以前の美琴とは違い、

”人を喜ばせるため”ではなく、”苦しめる”ためにー


♪~~~~~~~~~~~~~


美琴の恐ろしい歌が響き始めるー。

この世のものとは思えない、人間の不安な感情を刺激する歌声とBGMー


「や、やめてくれえええええええええええ!」

「うぅ…ぁあああああああっ!」


既に発狂している人々が叫ぶー。


彰吾は目を閉じながら震えていたもののー

やがて、頭を抱えて悲鳴を上げ始めるー。


「ーーー…」

目を閉じる麻友ー。


もういやだー

こんな世界ー。

もうー、楽になりたいー。


麻友は、そう思い始めるー。


しかし、それは許されずー、

”強制労働”も始まるー。

強制労働に背けば、奈落に来た直後に投与された

”デスミンB"の改良型、”デスミンD”を投与され、

地獄の中の地獄を味わうー。


逆らうことも、楽しむことも許されない地獄の日々ー。


それが、奈落ー。


そんな日々が続くー。


そしてー、再会した”彰吾”も気がくるってしまったー。


笑いながら、虚ろな目で意味不明な言葉を呟く彰吾ー。


彰吾も、おかしくなってしまったー。


麻友も、もう、限界だったー…

このまま、ここでーーー…


そんな風に思っていた、その日のことだったー。


”ーーーまだ”正気”かー?”

強制労働の最中ー、そんな声が聞こえたー。


「ーーーえ…?」

虚ろな目のまま、麻友が振り返ると、

そこには同じぐらいの年齢の男がいたー。


”ーーーここから抜け出す方法があるー…”

同じ”奈落”に幽閉された人間ー

川島 祥平(かわしま しょうへい)を名乗るその男は、

そう言葉を口にすると、麻友に対して

小さなメモを手渡して、そのままその場から立ち去って行ったー。


”ーーー”奈落”脱出計画”

そう書かれた紙を手にした麻友は、困惑の表情を浮かべながら

立ち去っていく祥平の後ろ姿を見つめたー…。



④へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


「エイリアン・TOKYO」の時では描かれなかった

”奈落”と呼ばれる場所の描写を今回は描いてみました~!☆


そして、奈落からの脱出計画…☆

上手く行くのかどうかは、次回以降のお楽しみデス~!


今日もありがとうございました~!

Files

Comments

No comments found for this post.