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紗理奈と入れ替わって大学生活を過ごした達志はー、

”紗理奈”として親友や周囲の反応の違いを目の当たりにして

”可愛いは正義なんだー”と、

そんな考えを抱くー。


1日だけ、という約束の入れ替わりを終えたあとも、

達志は”可愛いって得だよな~” ”可愛いは正義だよな~”などと、

紗理奈の前で口にするようになり、

紗理奈はその言動に不安を抱き始めるようになるー。


やがて、紗理奈は達志に対して、”今度は1週間”入れ替わって過ごすことを

提案ー。

すっかり、”可愛いと得をする”と、そんな考えになっていた達志は

嬉々として、紗理奈と入れ替わることを承諾するもー?


★前回はこちら↓★

<入れ替わり>かわいいは正義なのか②~反応~

祖父の家に残されていた不思議な”入れ替わりの糸”を見つけた 達志は、彼女の紗理奈の提案で ”入れ替わった状態のまま”1日だけ大学に足を運んでみることにー。 大学に到着して早々、 紗理奈になった達志は親友の公則と遭遇、 普段とは違って、妙に優しい感じの公則の反応に 驚くことにー。 ”人”によって相手の反応が違う...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーでもごめんなー

 俺なんかの身体で今度は1週間も過ごすことになっちゃってー」


今日から1週間ー、入れ替わり状態で生活することにした二人ー。

再び紗理奈と入れ替わった達志が、大学に向かうために

一緒に歩きながら、そんな言葉を口にすると、

達志(紗理奈)は「ううんー別に大丈夫ー」と、少しだけ笑うー。


「たっくんの身体にもいいところはあるしー!」と、

全力疾走して見せる達志(紗理奈)ー


「ーーーーえっ!?ちょ!?」

いきなり走り出した達志(紗理奈)を慌てて追いかけるも、

”達志の足”の速さに追い付くことが出来ずに、

みるみるその距離は離れていくー


「ーちょ…ま、待ってくれ…!」

”何でいきなり走るんだー!?”と、思いながら、

ゼェゼェと、息を切らす紗理奈(達志)ー


やがてー、疲れ果ててその場に立ち止まると、

前を走っていた達志(紗理奈)が笑いながら戻って来るー。


「ほらー

 これがたっくんの身体のいいところー」

と、笑いながら走る真似をする達志(紗理奈)ー


「ーーはぁ…はぁ…

 た、確かにーーー走る分には俺の身体の方がいいかもなー…」

紗理奈(達志)は、まだ息切れしながらそう言葉を吐き出すと、

達志(紗理奈)は「ね?わたしの身体の方が不得意な部分もあるでしょ?」と、

そんな言葉を口にしたー。


「ーーははは、そ、そうだなー」

紗理奈(達志)は、ようやく息を整えると、

そのままゆっくりと歩き出すー。


「ーーでも、やっぱー紗理奈の身体の方が色々便利だよな~


 あ、”便利”って言い方は良くないけど、

 なんていうか、周りがみんな優しいって言うかー」


紗理奈(達志)が、笑いながらそう言い放つー


”ーーーそうでもないよー”

ボソッと、達志(紗理奈)がそんな言葉を口にするー


「え?」

紗理奈(達志)が、立ち止まって聞き返すと、

達志(紗理奈)は笑いながら「ううんーなんでもないー」と、微笑むー。


「ーとにかく、たっくんの身体にもいいところはたくさんあるから!」

と、そう腕を振り回しながら言うと、

紗理奈(達志)は「そうかなぁ~?」と、そんな言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


大学に到着した二人ー


この前と同じように、二人は

それぞれ相手のフリをしながら

大学での生活を続けるー。


「ーー先輩ー

 この前はありがとうございましたー」


大学内で、

先日、財布を落とした際に、それを拾ってあげた相手・英輔が

お礼を言いに来たー


”えぇっ…?戸塚のやつ、お礼なんて言える人間だったのかー?”

思わず困惑する紗理奈(達志)ー。


普段から愛想なく、絶対にお礼を言わないようなタイプの

英輔が、こんな風にわざわざお礼にお菓子まで買ってくるなんてー、と

思いながら紗理奈(達志)は微笑むー


「ーーわ、わざわざありがとうー」


”普段はこんなことするような子じゃないのに、急にどうしたの?”と、

でも言ってみようかと一瞬思ったものの、

親友の公則の時とは違い、元々二人と親しいわけではないために、

トラブルを避けるために、それは言わなかったー


「ーーー…あ、これ、ちょうど食べたかったやつじゃんー」

紗理奈(達志)はそう言いながら、

「でも、紗理奈の身体であんまチョコとか食べるとよくないかもだからー

 元に戻ったら自分の身体で食べようー」と、貰ったお菓子を見つめるー


”やっぱり、可愛いと特をするー”


今日も、教授はいつもより優しいしー、

周囲の仲間たちも優しいしー、

”やっぱり可愛いは正義なんだー”と、そんな風に思いながら

大学での1日を過ごしていくー。


そしてー、今日も”紗理奈”として、

”可愛いと得をするー”と、言えるような色々な出来事に

満足しながら、大学での1日を終えて、

達志(紗理奈)と合流して帰ろうと考えていたその時だったー。


「ーーど…どうしようー」

太った男子大学生・小暮 慎太郎(こぐれ しんたろう)が、

ボソボソと何かを呟きながら、探し物をしているのに気づいたー。


「ーーーまた小暮のやつ、落とし物したのかー」

慎太郎は、達志の”同じ学部”の学生ー。


高校時代まではよくイジメを受けていたらしくー、

大学内でもあまり友達はいないー。


しかし、達志はいつも慎太郎に対して良くしていて、

今では、達志も時々遊ぶゲームや、時々読む漫画の話で

盛り上がったりするような間柄だー。


確かー、慎太郎と最初に話したのも、

慎太郎が落とし物を探している時に、達志が親切心で

声をかけたのが始まりだったー。


「ーーーー小暮ーーーくん」

いつも、呼び捨てにしているが、

”紗理奈の声”が自分の口から出たことで、

すぐに今の状況を思い出して、”くん”をつけるー


「えーー…あ、はいー」

慎太郎が、汗だくの顔を紗理奈(達志)の方に向けるー。


「ーーえーーー… ぁ」

慎太郎は挙動不審なリアクションをしながら、

紗理奈(達志)の方を見つめるー


”あ~~…小暮のやつ、女子と話すのが苦手って言ってたなぁ”

そう思いながら、

紗理奈(達志)は「ーーあ、えっとー、どうかした?

困ってたみたいだからー」と、そんな言葉を口にするー。


すると、慎太郎は顔を真っ赤にしたまま

「こ…コンタクトレンズ…この辺で落としてー」と、

そんな言葉を口にしたー。


「ーーえぇっ…?

 め、滅茶苦茶大事なものじゃないかー」


紗理奈(達志)は、”あ、やべーいつもの口調で喋っちゃった”と、

思いながらもすぐに

「よ、よかったらわたしも一緒に探そうかー?」と、

そんな言葉を口にしたー。


戸惑う様子を見せる慎太郎と共にー、

慎太郎のコンタクトレンズを探し始める紗理奈(達志)。

達志(紗理奈)と合流する予定だったものの、

”用事ができちゃったからー”と、事情をLINEで伝えて、

ひとまず先に帰ってもらうことにしたー。


それから30分ほどで、”偶然”それを発見した紗理奈(達志)は

嬉しそうに「あ、小暮! ーーあ、いや、小暮くん!見つけた!」と、

そう叫ぶー。


「ーーーーあ…あ、ありがとうー」

慎太郎が嬉しそうに、けれどもキョロキョロしながら、

見つけてくれたコンタクトレンズを受け取るー。


そんな様子を見て、紗理奈(達志)は

「ははー気を付けるんだよ?」と、だけ言葉を口にすると、

これから帰ることを伝えるメッセージを達志(紗理奈)に

送り、そのまま紗理奈(達志)は歩き始めたー。


がーーー


「ーーーーーーはぁぁ…」

慎太郎は、紗理奈(達志)が立ち去ったあとも

いつまでも、いつまでも嬉しそうに一人で笑みを浮かべていたー。


”コンタクトレンズを可愛い子に探してもらえたー。”

その事実は、慎太郎の中で”過剰に”膨らみつつあったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーおかえり~!」

達志(紗理奈)が、帰宅した紗理奈(達志)を出迎えるー。


「ーただいまー。

 いやぁ、大変だったよー」

コンタクトレンズを探していた件を隠さずに伝えると、

達志(紗理奈)は「あははー…それは大変だったねー」と、

笑いながら言葉を口にするー。


「ーーそういえば、たっくんの身体だとやっぱり、

 ごはん、わたしの身体より楽しめるよねー!

 だって、お腹いっぱいになるの遅い分、

 美味しいものいっぱい食べられるし!」


達志(紗理奈)が、入れ替わりの感想を口にするー。


「ーーははー…確かにー

 紗理奈の身体だと、あんまりたくさんは食べられないよなぁ…

 紗理奈を太らせちゃうわけにもいかないし、なー」


紗理奈(達志)はそう言いながら笑うー。

確かに、紗理奈の言う通り”食べること”に関しては

”自分の身体”の方がいいような気がするー。


それに、達志は”彼女の身体を太らせるわけにはいかない”と、

栄養重視のものを、食べ過ぎない程度に食べるだけに留めているー。


「ーーーでもやっぱ、可愛いは正義だよー!

 周りの反応が全然違って、ホントになんかこうー、

 世界が違う感じー!」


紗理奈(達志)が、そう言いながら笑うと、

達志(紗理奈)は「あははー」と、笑うだけで、

それ以上は何も言わなかったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


1週間の入れ替わりが半分ぐらい過ぎた頃ー…


紗理奈(達志)は、表情を歪めていたー


「ーーーいやぁ…今日は何かこうー

 マジで調子悪かったー」


ため息をつきながら帰宅する紗理奈(達志)ー


「ーーあ~うん…辛かったら、あれ飲んでねー」

達志(紗理奈)が部屋に置いてある生理痛に効く薬を指差すー。


「ーーーははー…やっぱーそうかぁ」

紗理奈(達志)は、ため息をつくー。


紗理奈と同居している達志は、当然、”生理”のことも

それなりに理解しているし、

紗理奈の生理がどんな感じなのかも、ちゃんと話に聞いて

理解しているー。


がー、自分自身が体験するとやっぱり違うし、

やっぱりきつかったー。


「ーってか、周期的にこうなるとか、ヤバいなー」

紗理奈(達志)が紗理奈がいつも使っている有名な

痛み止めを口にしながら言うと、

「ーあははー…どんなに慣れても面倒臭いし、辛いしー、

 たっくんは初めてだから、もっとつらいよねー」と、

達志(紗理奈)は言うー。


あまりにも気怠そうな雰囲気の紗理奈(達志)を見て、

達志(紗理奈)は、「あれだったら、もう戻る?」と、

心配そうに言葉を口にするー。


「ーい、いやー、それはいいよー。

 こういう経験もしておいた方がー、この先、

 役に立つかもだしー」

紗理奈(達志)が苦笑いしながら言うと、

達志(紗理奈)は「ーー無理はしすぎないでね」と、心配そうに頷くー。


「ーわたしはホラ、慣れてるからー…」


慣れてても、生理はしんどいー。

でも、慣れていない人にはきっと、もっとつらいはずー。

達志(紗理奈)はそう思いながら、

「たっくんの身体だと、アレがないってだけでもー、

 すっごくー楽な感じー」と、笑うー。


周期を気にしながら予定を立てたり、

本当に面倒臭いー。

”なければいいのにー”と、思うこともないわけではないー。


「ーーーいやー…でも、ホント、これはなんていうかー別世界だな…」

紗理奈(達志)は、そう呟くと、

”可愛いと得をすることは確かにあるけどー、こりゃきついなー”と、

内心で今一度、そんな言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


とりあえず、大学は休まずに翌日も大学に足を運ぶー。


体調は依然、優れないものの、

昨日よりは、それなりに体調も

気がするー…


「ーあまり、無理はしないでね」

達志(紗理奈)のそんな言葉に、

紗理奈(達志)は「昨日よりマシだし、大丈夫ー」と、頷くと、

そのまま、今日も大学生活を始めるー。


がーーー

気分が少し落ち込んでいるからだろうかー。


今日は”可愛いは正義”ではなくー、

マイナスの方面を強く感じる1日になってしまったー。


「ーー君は本当に、いつも優秀だねー。」

教授に提出物を提出した際に、

教授から”可愛い”と言われた際に、激しい嫌悪感を覚えたー。


元々この教授はセクハラ気味な教授で

何度か問題になっているのは知っているー。


がー、

実際にそういう場面に直面して、

紗理奈(達志)は嫌悪感を覚えるー。


”自分の彼女がセクハラ気味な教授にそういう目で見られているから”

だろうかー


それとも

”自分自身が女として嫌悪感を感じているのかー”


それは、分からないー。


けれど、とにかく、イヤだったー。


どさくさに紛れて、手を触られてビクッとする

紗理奈(達志)ー


足早に提出物の提出を終えると、紗理奈(達志)は

立ち去っていくー


「ーーあ~気持ち悪…」

自分が男の時は、そういう感情を抱くことはなかったのにー


これはー”かわいい”の代償なのかもしれないー。


そんな風に思いながら、

紗理奈(達志)は「気を取り直してー…」と、

深呼吸しながら、そのまま大学構内を歩き出すー


がーーーー

そんな紗理奈(達志)の後ろ姿をーー


先日、コンタクトレンズを一緒に探してもらった慎太郎が

顔を赤らめながら見つめていたー。


「ーーーーー相馬さんーーー」

慎太郎は、思うー


”相馬さんは、きっと僕のことが好きなんだー”


とー。


”僕に告白されるのを、相馬さんは待ってるんだー”

とー。


女子との接点がほとんど皆無だった慎太郎は、

先日、紗理奈(達志)に優しくしてもらったことで、

”歪んだ勘違い”をし始めてしまっていたー。


「ーーー相馬さんのためにー、僕も勇気を出さないとー」

慎太郎はそう呟くと、

紗理奈(達志)に告白しようと心の中に決めて、

ゆっくりと歩き始めたー。


④へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


次回が最終回の予定デス~!!


どんな結末を迎えるのかは、

次回のお楽しみデス~!!


今日は夕方~夜の初めごろに

今後執筆予定の新作発表もあるので、

そちらも興味があればチェックしてみて下さいネ~!★

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