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教室についた加奈は美優の座席に向かった。


加奈は、

少し違和感を覚えるー


”なんだか、今日はイライラしているみたいー”


とー。


ふとした拍子に、人に対して”黒い感情”を

抱いてしまうー

普段は感じることのない違和感…。


加奈はそれに戸惑いながらも

友人の美優に近づいて

「さっきはごめんね…」

と、申し訳なさそうに謝った。


加奈が申し訳なさそうに謝ると、

美優は笑顔で答えた


「ううん、私こそごめんね。

 私ばっかり、浮かれて…」


美優はそう答えた。


「なんか、私疲れてるのかなぁ…」

加奈が一人呟く


「ま、加奈もバイトに学校にいつも忙しそうだからね。」

美優がそう言って笑う。


加奈も美優に笑い返して座席へと戻った。


いつものように、平穏な日常。


しかし、今日は違った。

何故かモヤモヤする。


自分が大切な何かを失っていくような、

そんな錯覚を感じる。


何も失ってなどいないのに…


漠然とした不安感ー


「おびえんなよ…なぁ…

 俺は…まだ、、、死にたくね……ぇ」


加奈の脳裏に、昨日、目の前で

事故死した男の顔が浮かぶー。


「----」

加奈は頭を抱えたー。


無性にイライラする。

加奈は舌打ちをすると、

いらだつ心を押さえつけながら、

授業に集中しようとしたー


・・・


「おい、うぜぇんだよ!」

休み時間。


クラスの不良生徒がいじめられっ子の生徒に

絡んでいた。


顔つきがうざいのだとかなんとか。


不良生徒の岸田 純一(きしだ じゅんいち)。

これまでに数回停学処分を受けたこともある生徒で、

次は退学ではないかとまで言われている生徒だ。

学校の外にはワルの仲間がいるようだけれども

学校では孤立している。


いじめられっ子の方は

山岩 恭平(やまいわ きょうへい)

気が弱く、最近は純一にいじめられていることが多い。

あまりにもひどいときは、よく加奈も助けに入っている。

加奈はその様子を見つめる。


私もよく止めに入ったっけ…

そんなことを考えながら加奈はそんな様子を

微笑ましく見ていた。


そのことに、何の違和感も感じずー。

なぜだかー

”微笑ましい気持ち”になっていることに

特に違和感を感じずー。


ー純一がより激しく怒る。

純一が、恭平を殴りつけるー


その様子を見ながら

加奈はゾクゾクしたー


「もっと…」

加奈がつぶやいた。


何故かその様子を見ているとワクワクして

仕方が無かった。


まるで”昔の血”が騒ぐかのようにー


そうー

昔はよくケンカに明け暮れたー。

むかつくやつはぶん殴ってやったー


”自分にそんな過去はない”のにー

加奈は昔を思い出しながら

不気味な笑みを浮かべたー


そして、

夢中で加奈はいじめの様子に見入る。


ーー今までこんなこと無かったのにーーー。


でも、たまらなく楽しい


「フフ…もっと、もっと!」

加奈は小さくつぶやいた。


殴りつける純一、

悲鳴を上げる恭平。


ゾクゾクゾクゾク


加奈は興奮しながら小さく叫ぶー


「ほら!もっと…!」

とー。


その時だった


「ねぇ…加奈?大丈夫?」

美優が心配そうに声をかけてきた


ふっと、加奈が我に返る。


ーー!?!?!?


「あれ?今、私・・・?」

一瞬、頭の中が混乱した。


今、自分は、いじめを見て

「楽しい」「もっとやれ」と思わなかっただろうか…


「何がそんなに楽しいの?」

美優が不思議そうに尋ねてきた


「え??」

加奈は混乱している


「だって、加奈 今、凄い笑顔だったよ…

 あの2人の様子を見ながら…

 本当に大丈夫?」


美優が心底、心配。という様子で尋ねる


「え?、、だ、大丈夫…

 心配かけてごめんね」

加奈はそうごまかした。


だが、自分の心の中も不安で支配されていた。


今ー

いじめを見て、自分は楽しんでいたー?


「--や…やめなよ!」

加奈は動揺しながら

ふたりの争いを止めに入る。


「なんだぁ?」

純一が加奈のほうを睨む。


加奈は恐怖で足がすくみながらも

純一に言うー


「山岩くん、怖がってるでしょ!」


とー。


純一は、

女子には手を出さないー

加奈にはそのことが分かっている。


いつも、そうだからだー


純一は、加奈のほうをするどい目つきで睨む。


「---てめぇ…

 いつもいつも俺の邪魔をしやがって…!」


この日の純一はー

家で親と喧嘩したこともあり、

いつも以上に気が立っていたー


加奈の胸倉を乱暴につかむ純一。


「----!」

加奈は怯えながら純一のほうを見る。


ゾクゾクゾクー

加奈は変な感情を感じるー


まるで、昔もこうされたかのようなー

そんな不思議な感覚。


「ちょっと!やめなよ!」

友人の美優が叫ぶ。


「--や、、やめろ!殴るなら僕を殴れ!」

いじめられていた恭平が叫ぶー


加奈は、無意識のうちに、その綺麗な手で

握りこぶしを作っていたー


純一を殴りつけてやるー

そんな感情に支配されたー


だがー


「----…っ!」

純一が突然、表情を歪めて加奈から手を離す。


「--!?」

加奈は、”今、自分が純一を殴ろうとしていたこと”に驚くー


純一はそんな加奈に捨て台詞を吐くと

そのまま立ち去ってしまったー


「大丈夫?」

心配して駆けつけてくる美優。


「だ、、だいじょうぶ…」

加奈は不安に思いながらそう呟いたー



昼休み。

加奈はお手洗いの鏡を見ていた。


何故だろう。

自分の姿を見ていると、凄く新鮮な感じがする。


可愛い。

そう思う。


加奈は自分の髪の毛をいじり、

そしてその香りを嗅いでいた。


何故だか興奮する。


今この場で、めちゃくちゃになりたい、

そんな気すらしてきた。


自分の胸を触ってみる


「あぁ…気持ちいい…♪」

加奈は一人、甘い声をだし、

顔を赤くしながら鏡を見た。


…そして…。


「え…」

加奈は突然、現実に引き戻された


「今…わたし…何をしようとしてたの?」

加奈の表情は恐怖で支配されていた。


時計を見る。

気づけば昼休みが10分前に終わっていた。


「な…なにコレ…?」

加奈は慌てて教室に戻る。


教室に戻ると

「北村、お前が遅刻するなんてな?」

と社会科の先生に言われた。


「す、、すみませんでした」

加奈はそう言いながら恥ずかしそうに座席へと戻った。


美優が心配そうに、加奈のほうを見つめているー


私・・・どうしちゃったんだろう…。

加奈はそんな不安で支配されていた。


しかし…

そんなことよりも…


さっき、、気持ちよかったな…


加奈の思考は次第に何かと”混ざり合い”始めていたーーー


・・・・・・・・・・・・・


放課後ー


加奈は、友人の美優と、その彼氏・高藤 慶介(たかふじ けいすけ)が

一緒に歩いているのを見つめたー


加奈は無意識のうちに舌打ちを繰り返す。


嫉妬なんかしていないはずなのにー

美優の幸せは自分のことのように

嬉しいはずなのにー


「---はぁ…はぁ…」

加奈は深呼吸をして、

校舎わきの自動販売機の前で休むー。


「どうしちゃったの…私…」

無性にイライラするー

何かがおかしいー

血が騒ぐー


「---」

加奈はひとまず、自動販売機で

好きな飲み物を購入して

その場に寄りかかって、ジュースを

飲み始めたー


そして、一息つくー


だいじょうぶー。

だいじょうぶー。

イライラしちゃだめー。


「よしっ」

加奈はそう呟くと

いつものような穏やかな心を取り戻して

歩き始めたー


そんな加奈の姿を背後から

見つめる人物がいたー。


不良生徒の純一。

純一は、下校していく加奈の姿を見ながら笑みを浮かべるー


さっきー

止めに入ってきた加奈を殴ろうとした純一は思わず、

びびってしまったー


加奈が加奈とは思えないような鋭い目つきで

純一を睨んだのだー。

純一は思わず、震えたー。


加奈があんな目をできるなんてー

あの目はー

”普段から喧嘩をしている目”だったー。

自分と同類の香りを感じたー


「----惚れたぜ…くく」

純一は、不気味な笑みを浮かべると、

自分も下校を始めるのだったー


・・・・・・・・・・・・・


帰宅後ー


加奈は学校での自分の感情の乱れを

不安に思いながらも

いつものように過ごすー。


飼い猫のしずくと遊ぶ加奈ー。

だが、しずくの様子も昨日から

ちょっとおかしいー


なぜだか加奈に敵意を

向けるようになってしまったのだー


「---しずく…大丈夫だよ」

加奈がほほ笑みながら手招きをするー


だが、しずくは加奈に敵意を向けたままー


「--どうしたの?」

加奈が不思議そうに首をかしげながら笑うー


動物の本能的なものー

と、言えばいいのだろうかー


人間には”見えないモノ”が

ネコのしずくには見えていたー。


加奈にー

加奈に、何かが潜んでいるー

加奈に、何かが憑依している


”邪悪なもの”が憑依しているー


「---」

加奈をー

不気味なオーラが支配しているー

加奈の周りに、黒いオーラが渦巻いているー


加奈は、人間はそれに気づいていないー


「ねぇ?どうしたの?」

加奈がだんだん不愉快そうな声を出すー


それでもしずくは加奈を睨んだー


”出ていけー”

とー。

加奈ちゃんから出ていけー

とー。


だがー、

加奈に潜む”闇”は

不気味に笑ったー


ように、見えたー


昨日よりも、”闇”が強まっているー


「---いい加減にしてよ!」

加奈が低い声で脅すようにして呟いた。


そして、ふん!と呟いて自分の部屋に戻っていってしまうー


いつも、怒るなんてことはしない加奈がー

部屋に入ると、イライラした様子で

机を蹴り飛ばした。


そして、頭を掻きむしって

何かをぶつぶつ呟くと、

加奈はそのまま眠りについたー


加奈はまだ、気づいていないー


”混ざり合う意志”

次第にー

彼女は、凶悪犯罪者の思念に憑依されてー

混ざり合い始めているー。


少しずつー。


③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


「混ざり合う意志」リメイクの第2弾でした~!

原作の1話あたりが短い作品(初期のころの作品なので~)なのですが

大幅にボリュームアップして(だいたい2倍近くにはなってると思います)の

大幅リメイクデス~!


原作以上に、少しずつ混ざり合っていく様子を

お楽しみいただければ、うれしいです~!

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