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初の”悪女役”に苦戦していた女優・千鶴ー。


そんな彼女は、かつて、田畑監督の作品に出演した俳優は、

みんな、普段とはまるで違う高い演技力で演技をしていた…という

話を聞き、田畑監督に演技の指導をお願いしに、足を運んだー。


しかし、田畑監督は言うー。

”演技力の向上”は”洗脳”によるものであるとー。


それでも構わない、と千鶴は田畑監督に”洗脳”してもらい、

悪女・愛花役を完璧にこなしたものの、

高齢かつ、久しぶりであったことから”元に戻す方法”を

田畑監督が忘れてしまいー…?


★前回はこちら↓★

<MC>破滅の脚本①~悪女役~

「ーーす、すみませんー」 女優・天坂 千鶴(てんさか ちづる)は、 困惑した表情を浮かべながら謝罪の言葉を口にしたー。 千鶴は、清楚な雰囲気の人気女優ー。 現在は20代後半で、以前から多数のドラマに出演しているー。 その清楚なイメージからか、これまでは、 大人しい性格のキャラクターや、”良い人”ばかりを演...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーこのまま、全部をバラされたいのー?」


千鶴が、恐ろしく冷たい目で、

相手の男を見つめるー。


撮影中の映画の共演者の男は、

演技だと理解していながらも、千鶴のそのあまりにも冷たい目に

ゾクッとしてしまうー。


やがてー、そのシーンの撮影が終わりー、

”悪女”・愛花を演じている千鶴は、笑みを浮かべながら、

その場から去っていくー。


「ーーーーー」

そんな千鶴の姿を見つめながら、田畑監督は震えるー。


”悪女・愛花”を演じるために、”愛花”そのものになるようー、

千鶴を洗脳した田畑監督ー。


がー、それを解除する方法を忘れてしまったー。


今の千鶴はー、他人のことを何とも思っていないー。


「ーーーーー麻耶ってー演技、下手くそだよねー?

 ふふー

 そんなんだから、わたしにいつもいつも主演の座を

 奪われてるんじゃないの?」


クスクスと笑う千鶴ー。

共演者で”同期”の麻耶に攻撃的な言葉を投げかけー、

悔しそうにしている麻耶を見下しているー。


「ー早く…早く…なんとかしないとー」

田畑監督は震えるー。


しかし、どうしても”洗脳”を解除する方法を思い出せないー。

そもそも、どうして、10年以上も封印してきた”洗脳”を

安易に使ってしまったのだろうと、田畑監督は

今更ながらに、自分で自分を責めていくー。


早くー… 早くー…思い出さないとー。

なんとか、しないとー。


”悪女”になった千鶴は周囲の共演者たちに対しても、

棘々しい態度を繰り返しているー。

このままでは、千鶴が孤立してしまうー。


田畑監督が、現場を見つめながら

必死に”洗脳を解除する方法”を思い出そうとするー。


だがーー


どうしても、思い出すことができないー。


「ーーーー思い出せー。思い出すんだー」

田畑監督は自分に向けてそう呟くー。


そんな、田畑監督の様子をあざ笑うかのようにー

「ーーーありがとうー”おじいちゃん”ー」と、

ニヤリと笑みを浮かべながら、千鶴が近付いてくるー。


「ーわたし、今まで色々なこと我慢し続けて来たけどー、

 ”おじいちゃん”のおかげで、

 わたし、これからは遠慮なく好きにできるー」


千鶴の邪悪な笑みー。


高齢の監督を”おじいちゃん”と、あざ笑うように呼び捨てながら、

千鶴は、田畑監督を見つめるー。


「ーー…て、天坂さんー」

自分のせいで、千鶴がこんな風になってしまったー。

そんな、焦りから冷や汗が止まらないー。


「ーーーし、正気を取り戻すんだー…

 ぼ、僕に何をされたか、ちゃんと覚えているでしょうー?」


必死に、そう言い放つ田畑監督ー。


「ーえぇ。演技力を上げるために、わたしが、”愛花”役に

 なりきれるように、洗脳してくれたー…」


千鶴がそう言い放つー。


田畑監督は「だ、だったら、君は今、自分が普通じゃないことも

ちゃんと理解しているはずーー元に戻る方法をー」と、そう言葉を続けると、

千鶴は、”悪女”のように笑ったー。


普段の千鶴の笑い方ではないー。

”映画”のキャラである”愛花”と同じ、人を馬鹿にしたかのような

高笑いー。


「ーもちろんー

 でも、わたし、”今のわたし”の方が好きなのー。

 周囲に気を遣って、遠慮してー、

 あんな”自由”のない、つまらないわたしなんかー

 大っ嫌いー」


千鶴はそう言うと、田畑監督は

「ーそ、そんなこと言っちゃだめだー!」と、声を上げるー。


がーーー


「ー黙れよー。ジジイー」

千鶴が冷たい口調で、田畑監督を睨みつけるー。


「ー今のわたしには、あんたを破滅させることなんて、

 簡単なんだからー」


「ーーーこ…このままじゃ、天坂さんー 

 君も破滅してしまいますよー…」

諭すような口調で田畑監督がそう言うと、

千鶴はニヤリと笑うー。


「ーわたしが破滅?そんなことあるわけないでしょ?

 この美貌があれば、どんなことだってできるんだからー」


千鶴が、自分の身体を自信に満ち溢れた表情で触るー。


その顔は、もはや別人のように見えるぐらいに邪悪だったー。


「ーーーーー…」

田畑監督は何も言い返せずに、そのまま黙り込むー。


”愛花”だー。

現在撮影中の映画に登場する、”愛花”と全く同じだー。


脚本家と相談して作り上げた登場人物たちー。

当然、田畑監督は”愛花”の邪悪さを熟知しているー。


演じるために、千鶴が愛花そのものになりきれるように洗脳したー。

それはもはや、”愛花そのもの”と言っても良い状態なのだー。


「ーーーー洗脳のことは、ありがとうー

 でも、もうわたしは、戻りたくないー。

 だから、放っておいて」


千鶴は、そう言い放つと

ふん!と声を上げながら立ち去っていくー。


天坂 千鶴は、優しい性格の女優だったー。

常に周囲に気配りをしているような、そんな子だー。

だからこそ、普段から”ため込んでいること”はあったのかもしれないー。


”今のわたし”が、好きだと言う彼女の言葉は、

ある程度は本心なのかもしれないー。


でも、それでもー

元に戻す方法を何とかー。


田畑監督は、頭を抱えながら千鶴を正気に戻す方法を

必死に思い出そうと、大きくため息を吐き出したー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


やがて、映画の撮影は終わりー、

千鶴の振る舞いはさらにエスカレートしていくー。


自分の美貌に絶対の自信を持った千鶴は、

今までのような落ち着いた服装ではなく、

派手な服装を好み始めー、

映画の完成披露の場でも、大胆なドレス姿を披露して

世間を沸かせたー。


その際の言動が、”少し不機嫌”に見えたのか、

世間では批判の声が上がったりもしたものの、

千鶴はそれを一蹴したー。


”うるさい奴らの言葉なんて、無視するので”と、

発言し、さらに物議を醸したー


やがてー、”プライドの塊”になってしまった千鶴は

大物俳優と口論して、ドラマの出演を降板することに

なっていくなど、トラブルも目立ち始めるー。


がー、それでも、テレビ局の男を”誘惑”して、

仕事を手に入れて、別のドラマへの出演が決まっているー。


「ーーふふ♡ じゃあ、よろしくー」

千鶴が、テレビ局の男に甘い声でそう囁くと、

笑みを浮かべながら、建物から出て来るー。


そこにー、

田畑監督がやってきたー。


「ーあらー」

見下すような目線を送って来る千鶴ー。


まるで別人のような雰囲気の千鶴に、

”洗脳ボールペン”の力を改めて思い知る田畑監督ー。


「ーーー君の悪評をよく聞くようになりましたよー。

 ーーどうか、考え直してはくれませんかー。

 自分の今の振る舞いをー」


紳士的な口調でそう言い放つ田畑監督ー。


あれからも、”元に戻す方法”を何とか思い出そうとしたものの、

思い出すことはできないままだったー。


「ーー考え直すことなんて何もない!

 わたしは、今のわたしに満足しているの!」


声を荒げる千鶴ー。


その言葉を聞いて、田畑監督は頷くと、

「ー全てを世間に公表します」と、そう呟いたー。


「ーーーは?」

表情を歪める千鶴ー。


「ー僕には、天坂さんを元に戻す方法を思い出すことは

 もうできなさそうですー。

 けれど、天坂さんが今のようになってしまったことは

 僕に責任がありますー。


 だから僕は、この洗脳ボールペンをかつて手に入れたこと、

 それで業界内でのし上がったこと、

 そして、今、天坂さんを洗脳してしまったこと、

 すべてを打ち明けます


 そうすればー、世間は天坂さんー君の状況に気付き、

 色々対応してくれるはずだー」


田畑監督の言葉に、千鶴は少し驚きながら

「そ、そんなことすればー、あんたの監督としての地位はなくなる!」

と、そう言葉を吐き捨てるー。


しかしーーー


「あぁ、心配ないー。

 僕はこの前の映画を最後に、引退するー。

 物忘れがかなり激しくなってきてねー

 もう、潮時だろうー。


 だからー。すべてを公表し、天坂さんを元に戻すー」


田畑監督がそう言葉を口にすると、

千鶴は舌打ちをするー。


がーーー

すぐに、ニヤッと、不気味な笑みを浮かべると、

「田畑監督ー。たしか”孫”がいましたよねー?」

と、そう言葉を口にするー。


「ーーー!!」

田畑監督が表情を歪めると、

千鶴は笑みを浮かべながら、田畑監督の耳元で囁いたー


「洗脳のことを明かすならー、わたしが

 監督の孫の人生を滅茶苦茶に壊しちゃおっかなぁ…?」


とー。


「ーー……ぐ…そ、そ、それだけはー…」

田畑監督は震えながら呟くー。


「ー監督の娘と、孫ー、そして奥さんもー

 地獄に落としてあげるー」


千鶴のその”脅し”は、まさに映画の中の”愛花”が”脅し”と

同じような脅しだったー


「ーーそ…そ…それだけはー…許してくれー」

田畑監督が震えながら言うと、

千鶴は「だったらー…余計なことはしちゃだめでしょ?」と、

クスクス笑いながら、田畑監督から離れるー。


「ーー洗脳のことを公表したら、

 大事な人たちが酷い目に遭うー。

 それを、忘れないように、ねーーー」


千鶴はそれだけ言うと、そのまま立ち去っていくー。


一人残された、田畑監督は脱力しながら

「ーーーすまないー…」と、涙ながらにそう呟いたー。


未来ある女優の人生を、狂わせてしまったー。

このまま彼女が”悪女”な振る舞いを続ければー、恐らくはー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


その後も、”千鶴”は、問題を起こし続けたー。


多数の男と関係を持っているー、と、いう疑惑まで

報じられ始め、

千鶴の”優しいイメージ”は、あっという間に地に落ちたー。


男と関係を持っているー、というのも恐らくは事実ー。

何故なら、映画の中の悪女”愛花”がそうだからー。


愛花そのものになるように、洗脳した以上ー、

今の千鶴は、男遊びも繰り返しているはずだー。


テレビでも報じられ始めた”疑惑”の数々を見つめながら、

田畑監督は、やつれた表情で

「ーもう限界だー」と、そう呟くとー、

”最後の手段”に出ることにしたー。


それはーーー


”自らの命を絶つことー”


千鶴を洗脳した”自分自身”が死ねば、千鶴の洗脳は強引に

解除できるのではないか、と彼はそう考えたのだー。


自分はもう長くないー。

今、千鶴が正気に戻れば、まだ、何とかギリギリー…


田畑監督は、そう思いながらー

この日ーーー、千鶴を救うことが出来る可能性に賭けてー…

自ら命を絶ったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーーあははははっー

 そう、どいつもこいつもバカばっかりだからー!

 あんな世界に、もう用はないわ!」


千鶴が嬉しそうに笑うー。


田畑監督が自ら命を絶ってから数か月ー。

千鶴はついに、数々のスキャンダルで芸能界を追放されー、

夜の街で働いていたー。


手段を択ばず、男を手玉に取り、悪事をもこなす千鶴ー。


その姿は、まさにー…

彼女自身が演じていた”愛花”そのものだったー。


「ーーー我慢なんて必要ないー

 人生、楽しんだもの勝ちなのよー」


千鶴は、お店のお客に笑みを浮かべながら

そう言い放つと、嬉しそうに高笑いをしたー。


田畑監督の死でも、”洗脳”は解けなかったー。

そうー、田畑監督の決死の行動は”無意味”だったのだー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーわたしってば、完璧ー」


”主演”と書かれたポスターを見つめながら嬉しそうに笑う彼女ー


全て”脚本通りー”上手く行ったー。


田畑監督の”洗脳”の噂を聞いた彼女は、

田畑監督の持つ”ボールペン”を探し出しー、

田畑監督を”洗脳”したー。


田畑監督は、千鶴に少しお願いされただけで、

10年以上もやめていた”洗脳”をあっさり使ったのはー、

そして、どうしても”元に戻す方法”を思い出せなかったのはー……


田畑監督自身、”洗脳”されてしまっていたからだー。


”千鶴を洗脳するようにー”

そして、”元に戻す方法を忘れるようにー”


彼女は、笑うー。

田畑監督を洗脳したのち、

千鶴を焦らせー、それとなく田畑監督の噂を流しー、

千鶴が田畑監督の元を訪れるように差し向けたー。


その結果ー、田畑監督は千鶴を洗脳して、悪女にしー、

肝心の元に戻す方法も思い出せずー、

千鶴は悪女となり、芸能界を追放されたー


麻耶は何も知らないふりをして、千鶴の前で戸惑いー、

無関係を装ったー。

まさか、田畑監督が責任を感じて自殺するとは思わなかったものの、

結果的に、千鶴が芸能界から追放されれば、あとはどうでもいいー。

直接、千鶴を洗脳しても良かったけれど、万が一、そこから

自分の仕業だとバレることがあれば厄介だー。

そのため、田畑監督を利用したー。


「ーあんたのせいで、同世代のわたしは、いつもいつも

 苦い思いをしてきたんだからー」


そう呟きながら微笑む彼女ー


千鶴がいなくなったことでー、

同世代の”No1”の人気女優の座はー、彼女の座にー。


”主演・麻耶”と書かれたポスターを見つめながら、

千鶴の同期の女優・麻耶は嬉しそうに笑みを浮かべたー


”邪魔な千鶴が破滅する脚本”が上手くいったー


これからは、わたしの時代ー。


麻耶はそう思いながら、転落した千鶴のことを思いつつ、

静かに笑みを浮かべたー。



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


同期の女優からの嫉妬が、

騒動の真相でした~!☆

ドロドロとした嫉妬はとても怖いのデス…!


お読み下さりありがとうございました~!☆!

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