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2年目の体育祭が終わり、

2年目の文化祭が近付いて来たー。


生徒会長になった翔太(綾)を見て、

”僕も何かをやってみようー”と、

文化祭実行委員に立候補した綾(翔太)ー。


しかし、綾に執着する渡海 和之が綾に合わせて立候補したため、

気まずい空気が走るー。

翔太が小さい頃、親しかった菜々美の助けもあって、

何とか同じ実行委員になることは回避したものの、

不安を抱えたまま、2年目の文化祭を迎えることにー…。


☆前回はこちら↓☆

<入れ替わり>僕とわたしの不思議な青春㉟~行事~

生徒会選挙が行われ、 会長に立候補した翔太(綾)は クラスメイトの守屋智花との争いに勝利し、 無事に生徒会長となったー。 綾(翔太)は”まさか、僕の名前が生徒会長のところに載るなんて”と、 驚きながらも、翔太(綾)のことを祝福するー。 けれどー”自分の名前”が、自分の手から零れ落ちるような、 そんな感覚を覚...

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★主な登場人物★


遠藤 翔太(えんどう しょうた)

C組生徒。大人しく、奥手な性格の持ち主。綾と入れ替わってしまう。


星村 綾(ほしむら あや)

C組生徒。可愛らしい雰囲気に、明るい性格の持ち主。翔太と入れ替わってしまう。


神田 哲真(かんだ てつま)

C組生徒。翔太の中学時代からの友人。女子は苦手。


山井 穂乃果(やまい ほのか)

C組生徒。綾の親友。入れ替わりを知ってからも変わらず接してくれている。


笹野 翔子(ささの しょうこ)

C組生徒。表裏のない世話好きの生徒。綾(翔太)とも親しい。


野坂 優菜(のさか ゆうな)

C組生徒。いつも穏やかな雰囲気のお姉さんタイプな生徒。綾と親しい。


★脇役も含めた人物紹介はこちら↓★

<人物紹介>僕とわたしの不思議な青春~登場人物図鑑~

長編入れ替わりモノ 「僕とわたしの不思議な青春」の 登場人物図鑑デス! 連載前に予告として掲載した、 主人公たちのクラス名簿の内容に加え、登場する教員や その他の人物もご紹介しています~! ※ネタバレは控えめ(漫画や小説の最初の方のページに書かれている  人物紹介ぐらいの内容…)デス~!  最初にクラス名...

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「ーー今年は、”焼きそば”に決まりましたー」

担任の若松先生が、そんな言葉を口にすると、

「ーー今年はなんか普通だなぁ~」と、

行事大好きなお調子者・栗原 誠一が言葉を口にするー。


「ー去年、色々トラブルあったんやしー、

 このぐらいの方がいいやろ?」


綾(翔太)の前の座席に座る笹野 翔子がそう言葉を口にすると、

誠一は「ま、まぁ…」と、苦笑いするー。


去年のC組の出し物は、”コスプレカフェ”ー。

その際に、綾(翔太)が、ガラの悪い男たちに絡まれる事態が

発生していて、今年は控えめな”普通”の出し物を推すクラスメイトが多く、

”焼きそば”に決まったー。


「ーーまぁ、焼きそばと決まったら、

 俺が全力でスペシャルメニューを考案するぜ!」

誠一がそう言うと、「あんたが考えるとヤバいメニューができそうー」と、

スキンシップの激しい女子・霧崎 理子が笑いながら誠一の肩を叩くー。


「そ、そ、そんなことないし!」

そう叫ぶ誠一。


2年目の文化祭は”焼きそば”に決まり、着々とその準備は進んでいたー。


そしてー、文化祭当日ー。


「ーーわたしは午前中は美術部の展示の案内と焼きそばの当番が

 あるからー、遠藤くんと一緒には回れないけどー、

 たっぷり楽しん来てね!」


翔太(綾)がそう言葉を口にするー。


綾(翔太)は少し残念そうにしながらも、

「ーうん!頑張ってー」と、そう言葉を口にするー。


「ー大丈夫か?」

哲真は、ふと、綾(翔太)を心配そうに見つめるー。


昨年、ガラの悪い男たちに絡まれた件は、哲真も知っているー。

たまたま、綾の隣の座席の男子・須藤 渉らが助けてはくれたものの、

そうでなければ、危ないところだったー。


その時のことを引きずってないかどうか、哲真は心配そうに

綾(翔太)を見つめるー。


「ーあはは、大丈夫大丈夫ー

 今年はコスプレもしないし、それに、笹野さんたちと一緒に

 回るつもりだからー」


綾(翔太)がそう言うと、

哲真は笑いながら、「はははーお前、結構女子と仲良くなってるよなぁ~」と、

揶揄うように言葉を口にするー


「そ、そ、そうかなぁー」

綾(翔太)は、照れくさそうに笑うー。


笹野 翔子とも、後ろの座席の野坂 優菜の二人をはじめ、

確かに、それなりに仲良しの女子はいるー。

元々の”翔太”からすれば、考えられないことだー。


女子の友達と言えるのは、”伊藤さん”ぐらいしかいなかったのだからー。


「ーーーまぁ、でもー

 お前の場合、下心とかじゃないだろうし、友達は多い方がいいよな」


哲真がそう言葉を口にすると、

横にいた綾の親友・穂乃果が口を開くー。


「ーわたしがあんたのこと見張ってようと思ったけどー、

 笹野さんと野坂さんと一緒なら、わたしは一緒にいる必要は無さそうねー」

穂乃果のそんな言葉に、

綾(翔太)は「え…山井さんも一緒でも全然大丈夫だよ?」と、

そう言葉を口にすると、穂乃果は苦笑いしながら首を横に振ったー。


「ーーずっと一緒にいると、わたし、ボロ出しそうだからー パス」


二人は、入れ替わりのことをまだ、哲真・穂乃果の二人にしか打ち明けていないー。

独自に気づいた伊藤 菜々美も含めて、そのことを知るのは、

まだ本人たち以外には三人のみー。


しかし、穂乃果は一緒にいるとつい、”ボロ”を出しそうだからと、

文化祭中は、綾(翔太)とは別行動をしたいようだったー。


「ーー確かに、穂乃果ちゃんはボロ出しちゃうかもねー」

翔太(綾)が、冗談めいた口調で言うと、時計を見つめてから

「あ、じゃあそろそろわたしは行くね!」と、手を振りながら

美術室の方に向かって行ったー。


「ーよし!俺は足立と合流して、まず色々回るかーー。

 あ、そうだー、翔太も午後はカードゲーム部の公開対決、

 来るんだろ?」


哲真がそう言うと、綾(翔太)は「うんー。部長から頼まれたし」と、

微笑むー。


「ーはは、部長の”引退試合”だもんなー。

 じゃ、また午後にー」

哲真がそう言いながら立ち去っていくー。

穂乃果は、「わたしは岡崎さんたちと一緒にフラフラするからー」と、

そのまま立ち去って行くと、

綾(翔太)も、ひと息ついてから”2年目の文化祭”を

楽しむために歩き始めたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーあ、B組の射的ー。

 なんかLED使って本格的に作ったって言ってたやつー」


翔子・優菜の二人と合流した綾(翔太)ー。

翔子が、B組の射的を指差して笑うー


「ーーえ~綺麗!見てみようよ」

いつも穏やかな優菜も、楽しそうに中に入っていくー。


綾(翔太)も、”今”この瞬間はー、

自分が遠藤翔太であったことも忘れて”女子”として文化祭を楽しむー


「あ~~~~~!全然当たらない~!」

”女子”のように、自然に騒ぐ綾(翔太)ー


「も~!綾ちゃんは下手だなぁ~

 ウチに貸して!」


笹野 翔子が笑いながら、交代するもー、

翔子も同じく全然、的に弾が当たらずに騒ぎ出すー。


「ーーー!!」

綾(翔太)は、隣のスペースで高得点をたたき出している優菜に

気付いて、「す、すっご~い…」と、驚いてみせると、

優菜は「ーこういうの実は得意でー」と、照れくさそうに笑ったー。


「ーやっぱ、野坂さんを怒らせたらヤバいって

 噂は本当なんやねー…」

翔子が苦笑いしながら言うと、優菜は笑いながら

「射的が得意なだけで何でそうなるの~?」と、言葉を口にするー。


そんな会話をしながら、さらに色々な場所を回っていくー


「ーへへー 笹野さんじゃんー」

ふと、A組の男子生徒・山下 浩紀が声をかけて来るー。

翔子の”同じ学校出身”の男子生徒で、虫好きの生徒だー。


「ゲッー…山下ー!」

翔子が思わず表情を歪めるー


「ーそんな顔すんなってー

 せっかくなんだから、お化け屋敷、寄ってけよ」

浩紀がそう言いながら笑うー。


「ーー……」

2年A組は”お化け屋敷”を今年は出し物にしているー。


「ーー楽しそう!」

優菜が笑いながら、そう呟くー。


「じゃあ、次はお化け屋敷にー」

綾(翔太)も、そう言いかけるー。

しかし、翔子は不安そうな表情を浮かべていたー


「ーど…どうしたの?」

綾(翔太)が、そう言葉を口にすると、

翔子は小声で「山下のことだから、中に本物の虫置いてたりしそう」と、

嫌そうな顔で呟くー。


「ーえぇ…さ、さすがにそれは他の子が止めるんじゃないかなー?

 山下くん一人でA組の出し物作ってるわけじゃないだろうしー」

綾(翔太)がそう言うと、優菜も頷くー。


「ーう~ん…それもそうやな…」

翔子はそう呟くと、「じゃあー遊ばせてもらおっかな」と、

浩紀に対してそう言い放ったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーふ~~…直前になって急にレイアウト変更

 することになるなんてー」


苦笑いする翔太(綾)ー。


美術部の展示で少しトラブルが起きて、直前になって

展示のレイアウトを変更することになり、

翔太(綾)は、タップリ力仕事をすることになってしまったー。


”ーー遠藤くんの身体じゃなかったら、もっと大変だったかもー”


そう思いながら、自分の腕を見つめる翔太(綾)ー


「ー君がいてくれて助かったよー。」

中性的な雰囲気の女子生徒・倉守 詩音が笑うー。


「ーーーあははー、倉守さんもお疲れ様ー」

翔太(綾)は、笑いながらそう言葉を口にすると、

今年の文化祭用に美術部員たちが1枚1枚描いた絵を

見つめながら、ふと、言葉を口にするー。


「ー前から思ってたんだけどさー、遠藤くんの絵ってー

 …なんか、女性的だよねー」


詩音が笑うー。


「ーえっ!?」

翔太(綾)がドキッとして声を上げると、

詩音は「いや、悪い意味じゃなくてさー。なんかーこうーー…

まるで、女子が書いているような、そんな繊細な感じがして、さー」と、笑うー。


「ーーあ、あははー

 それは僕が男子っぽくないってことー?」

誤魔化すような口調で、そう言葉を口にする翔太(綾)ー。


詩音は「悪い意味じゃないよー。嫌な気持ちになったなら、すまない」と、

苦笑いしながらそう言葉を口にするー。


「ううんー、別に全然ー。気にしないで」

翔太(綾)は、そう言いながらも、

”他の美術部員”たちの絵を見つめるー。


確かにーーー…

他の男子の絵より、全体的に柔らかい感じがするー。

どちらかと言うと、女子の絵に近いー。


”ーー1年半経っても、やっぱり中身は女子なのかなー”

苦笑いしながら、翔太(綾)は少しだけ笑うと、

時計を見て、「あ、僕、生徒会の方にもいかないと!」と、

慌てた様子で言葉を口にするー。


「ーあはは、会長さんだもんねー。

 遠藤くんも大変だなぁ」


詩音はそう呟くと、「ここはボクに任せて」と、

笑顔で言葉を口にしたー。


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「ーーーきゃあああああああああああ!?!?」

綾(翔太)が悲鳴を上げるー。


「ーー!?!?!?!?!?!?!?」

優菜が驚いた表情を浮かべるー


「ーほらぁ~~!やっぱりウチの言った通り~~!」

翔子が表情を歪めながら、他の二人と共に逃げるー。


A組のお化け屋敷ー。

翔子の”嫌な予感”は的中し、さすがに虫かごには入っていたものの、

お化け屋敷の中に、A組の浩紀が飼育している”G”が設置されていたのだー。


「ーーはぁ…はぁ…はぁ…」

綾(翔太)は、お化け屋敷から脱出すると、

翔子は「山下のやつ、次会ったらただじゃおかないー」と、

そんな言葉を口にするー。


綾(翔太)は「あははー…お化けより怖かったぁ…」と、笑いながら、

そのまま翔子、優菜の二人と共に、別の場所へと向かうー。


翔子、優菜の二人といると、

”自然に女子になる”ー。


さっきー、お化け屋敷で”G"を見た時に咄嗟に上げた悲鳴も、

もう、女子そのものだったー。

意識して、”きゃ~~!”と言ったわけではないー。

”自然と”口から出たー。


午前中ー、三人で存分に文化祭を楽しんだ綾(翔太)は、

お昼を食べながら、窓の外を見つめていた。


お昼は自分のクラスの出し物である”焼きそば”を少し貰ったのと、

3年生の”わたあめ”を買って、それを食べることにしたー。


「ーーやっぱ、綾ちゃんと優菜ちゃんと一緒だと

 めっちゃ、楽しいー」


翔子が嬉しそうに笑いながら言うー。


「ーーふふ、そうねー」

優菜がいつものように穏やかに笑うー。


「ーウチら、卒業してもず~っと友達でいようね」

翔子の言葉に、優菜が頷くー。


「ーーーーーうんー」

綾(翔太)が、少しだけ寂しそうに笑うー。


”ずっとーーー”

友達でいたいー。


でもー、元に戻ったその時にはーー…

”どう”なるのだろうかー。

やっぱり、夢で見たようにー…


”笹野さん”と”野坂さん”

この二人とはー、入れ替わっていなければ

少なくともこんな間柄にはなっていないー。


もしー、もしも元に戻ったらー、やっぱりー…


「ーーーー…綾ちゃんは、午後は部活の方に行くんだったっけ?」

翔子は、1年B組が出店していたたこ焼きを食べながら言葉を口にするー。


「ーあ、うんー」

綾(翔太)が、微笑むと、「そっかー頑張って」と、翔子は笑うー。


やがてー、お昼の時間が終わり、

優菜は”焼きそば”の当番のため、そのまま”焼きそば”の場所へと向かうー。


「ーじゃあ、わたしもそろそろー」

綾(翔太)が、そう言いながらカードゲーム部の部室に向かおうとすると、

翔子は、静かに言葉を口にしたー。


「ー綾ちゃん、悩みでもあるん?」

翔子のそんな言葉に、綾(翔太)が振り返るー。


「ーーえ…」

綾(翔太)が言うと、

翔子は「勘違いだったらいいんやけどー」と、言いながら、

綾(翔太)の方を見つめるー。


「ー最近、綾ちゃん、時々何だか考え事をしてるように見えるからー」

翔子のそんな言葉に、綾(翔太)は少しだけ笑うー。


「ーふふー…大丈夫ー。心配かけて、ごめんー」

綾(翔太)が笑顔を作りながらそう言うと、

翔子は笑いながら、

「ーーーもし、ウチに話せる時が来たら、話して?」と、

優しく言葉を口にするー。


「ーーーーうんー。ありがとうー

 でも、大丈夫ー。

 笹野さんと、友達になれて本当によかったー」


綾(翔太)が、そう言葉を口にすると、

翔子は穏やかに笑うー。


「ーーウチは、綾ちゃんの味方やからー」

翔子のその言葉に、綾(翔太)は、頷くー。


「ー笹野さんー。いつもありがとうーー…」

綾(翔太)はそう呟くと、少し暗い雰囲気にしてしまったことを

申し訳なく思いながら、

「それにしてもー、

 悩んでる様子見せてるつもりはなかったのに

 気付かれちゃうなんてー、

 実は超能力者だったりするー?」と、

場を明るくしようと、冗談を口にするー。


「あははー、ないないー。

 ウチは超能力者でもないし、なんかすっごい壮絶な過去が

 あるわけでもないしー、

 ただのお人好しのお節介さんやからー」


翔子が笑いながらそう呟くと、


「ーあ、今みたいな時、ドラマとかだと、

 回想シーンが始まって、過去を語りだすタイミングやな!」と、笑うー。


「ーーあはは、確かにー」

綾(翔太)も、笑うと、

翔子は「まぁ、ウチは語るような過去はないしー…普通の人生やから」と、

笑いながら言葉を口にするー。


その後も、少しの間、二人で雑談を続けると、

綾(翔太)は、「あ、今度こそ行かなくちゃ!」と、

カードゲーム部の部室に行くね、と翔子に伝えるー。


「ーうん、頑張って」

翔子のその言葉に、綾(翔太)も頷くと、

そのままカードゲーム部の部室に向かって歩き出したー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーありがとうー

 悔いのない一戦だったよー」


カードゲーム部の部長・石島 恭一は満足そうに笑いながら

綾(翔太)と握手を交わすー。


”部長”の引退試合ー。

”客”も入れて、文化祭のカードゲーム部のイベントとして

行った綾(翔太)VS石島部長の戦いは、綾(翔太)の勝利で終わったー


「ーやるじゃん!」

親友の哲真が笑うー。


「ーーやっぱすごいなぁ、星村さんはー」

イケメン男子の足立 幸也も、綾(翔太)の勝利を祝福するー。


「ーーーー部長ー…以前お話のあった”部長”のお話ですけどー、

 わたし、頑張りますー」


綾(翔太)は、以前、石島部長から打診されていた部長の件の

返事をすると、嬉しそうに石島部長は笑みを浮かべたー。


「ーーー星村さんー…

 これからもー楽しんで

 そして、みんなも。」


カードゲーム部部長・石島恭一は、そう呟くと

穏やかな笑みを浮かべながら”部活の引退試合”を終えたのだったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翔太(綾)は、クラスの出し物である”焼きそば”の

当番を、敷島郡司、野坂優菜の二人と共に担当していたー。


郡司らと雑談しながら、焼きそばを買いに来た人々に

接客していく翔太(綾)ー


「ーさすが、生徒会長ー。仕事も早いな」

郡司が少し茶化すように言うと、翔太(綾)は照れくさそうに笑うー。


がー、その時だったー


「ーー!」


”綾”の中学時代の”友達”二人が、偶然、

この高校の文化祭にやってきていたらしくー、

焼きそばを買いに、目の前にやってきたー。


「ーーあ…」

翔太(綾)は”久しぶりー”と二人の名前を呼ぼうとしてハッとするー。


「ーーえ?」

友達のうちの一人が不思議そうに、翔太(綾)を見つめるー。


「ーーいえ、ごめんなさいー」

翔太(綾)は、すぐに”今、わたしは遠藤くんなんだもんねー”と、

謝罪の言葉を口にして、

明るく”接客”を始めるー。


「ーーあ、大盛ってできますか?」

友達の一人が、そう言葉を口にするー。


翔太(綾)は「あ、はいーできますよ~」と、笑いながら

そう答えつつ、心の中で”今でもたくさん食べるんだねー”と、

友達の子のことを思い出しながらも、

”友達”として話が出来ないことを少し、寂しく思うー。


”中身は星村 綾”でもー、

友達からすれば”知らない男子生徒”でしかないのだからー。


「ーありがとうございました~」

翔太(綾)が、その二人を見送るー。


”翔太”になって、得たものもたくさんあるー。

でも、”失ったもの”も、色々あるー。


妹の美桜のことも、そうー。

もう、1年半も”お姉ちゃん”として接することはできていないー。


「ーーー」

翔太(綾)は、少しだけ複雑な表情を浮かべながらも、

小さく息を吐き出すと、

「あ!もう結構売れちゃってる!」と、焼きそばの在庫が

減って来たことに気付いて、一緒にいた郡司、優菜の二人と

その準備を始めるのだったー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


文化祭の1日目は無事に終わったー。

今年はトラブルもなく、

存分に楽しんだ二人ー。


「ーーーー」

綾(翔太)は、下校中に転校生の”渡海 和之”の姿を見かけたー。


実行委員を決める時も、”綾”に執着している様子を見せていた和之ー。

結局、実行委員は、翔太が小さい頃親しかった菜々美が、

翔太を庇う形で、代わってくれたため、綾(翔太)が和之と

一緒に実行委員をすることはなくなったー。


がー、和之の今までの様子から、文化祭中も何か絡んでくるんじゃないか、と

綾(翔太)は少し心配していたー。


しかし、結局、文化祭1日目が終わっても、

特に和之が、綾(翔太)に絡んでくることはなかったー。


”諦めてくれたのかなー”

そう思いつつ、翔太(綾)と合流して、

綾と翔太は、二人で下校するー。


今日の出来事を楽しそうに話す二人ー。


”入れ替わったまま”がいいのかー、

”元に戻ったほう”がいいのかー。

それすらも分からなくなるような、長い時間を

入れ替わったまま過ごしてしまったー。


この先、自分たちはどうなっていくのだろうー、と、

お互いに不安を感じながらも、

今はただ、明日の文化祭二日目を楽しもうー、と、

二人は、改めてそう思うのだったー…。


㊲へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


★2-Cの日常★


「ーーーあ~~~!もう、難しすぎるぅ!」


1年D組の”スーパーボールすくい”に挑戦していた

岡崎 香奈枝が悲鳴を上げるー。


香奈枝と一緒に行動していた綾の親友・山井穂乃果も、

苦笑いしながらその様子を見つめるー。


「ーふふ、二人とも下手だなー」

そんな声が聞こえて、香奈枝と穂乃果が振り返ると、

そこにはクラスメイトの中二病な男子・米沢 海斗の姿があったー


「ー俺の腕の中に宿る、覇王の力が疼いてきたッ…!

 俺が手本を見せてやるぜ」


海斗のそんな言葉に、

苦笑いする香奈枝と穂乃果ー。


変なポーズをしながら、「力が…目覚めるッ…!」と、

声を上げつつ、スーパーボール救いを始める海斗ー。


「ーー!」

がー、呆気なく失敗してしまった海斗は、

突然「うぉぉぉぉぉぉ」と、謎の奇声を上げるー。


担当の1年の子がビクッとした表情で海斗を見つめるー


「ーー見えるッ…!

 全てのスーパーボールの動きが見えるッ!

 俺の闇の力が解放される…!」


海斗はそう叫ぶと、突然、手でスーパーボールを

わしづかみにし始めるー。


そしてー、

得意気な表情で香奈枝と穂乃果の方を振り返ると、

「ーどうだ!これが覇王の力だ!」と、

”ただ単に手で掴んだだけ”のスーパーボールを手に、

ドヤ顔で叫んだー。


がーーー

そこに、穂乃果と香奈枝の姿はもうなかったー


「あ…あれ…?」

唖然とする海斗ー。



海斗が一人で訳の分からないことを言っている間に、

香奈枝と穂乃果は、教室から立ち去りー、

廊下を早歩きで移動していたー。


「ーーあいつには、関わらない方がいいよー」

穂乃果が苦笑いしながら言うー。


「ーあ、あははー…」

香奈枝も、笑いながらそう呟くと、

二人はそのまま別の場所へと移動していくのだったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


物語内での2年目の文化祭は、

”平和に楽しむこと”を中心に描いています~!☆


でも、次回の文化祭2日目も平和に進むかどうかは…

まだ秘密デス…★


今日もお読み下さりありがとうございました~~!

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