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とある犯罪組織…。

人々を”洗脳”する謎の技術を持っていて、

裏社会で暗躍しているその組織は、

今日も、”洗脳”を行っていたー


「ああ…ごじゅじんさま…♡」

洗脳された若いOLが、近くにいた男に跪いて、

幸せそうな表情を浮かべたー


「くくく…感謝するよ」

”依頼人”の男から札束を受け取った

犯罪組織の男は札束を数え終えると笑みを浮かべたー。


”人を洗脳する装置”

これによって、人の認識を変え、

手ごまにすることもできるー


それだけではないー

”別の使い方”をすることで

いとも簡単に人間を壊すことができてしまうのだー


・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


一人の警察官が、この犯罪組織のアジトにやってきたー


「--おや、おまわりさん」

爬虫類のような細い目つきをした男が、警官を出迎える。


警察官・佐久間 信二(さくま しんじ)は、

独自にこの犯罪組織を捜査していた。

上司からは”証拠がなければ動けない”と言われているが

正義感の強い信二は、この組織を

放っておくことはできなかったー


この組織が”洗脳”していることは分かっている。

なぜなら、信二の部下だった女性刑事が

半年前に、この組織につかまり、解放された直後から

おかしな言動をし始めて、結果的に退職

することになってしまったからだー。


それから、信二は犯罪組織の調査を進めて

この組織が”洗脳”を用いることを突き止めていた。


「お前たちが、他人を洗脳しているのは分かっている。

 いい加減に白状しろ!」

信二が言う。


だがー

爬虫類のような目をした男は不気味に笑いながら

信二の肩をポンポンと叩いた。


「--あなた、娘さんがいましたよねぇ」


そう言われた信二は、男を睨み返す。


「--脅すつもりか?」

とー。


脅しなどには屈しない。

脅しはこういうやつらが使う常套手段。

刑事として、信二は今までにも

数々の脅しを経験してきたー。

脅しに屈すれば、相手の思うつぼになる。


信二は、そのことをよく理解していたー。


「---いえ、別に。

 我々は何もしていませんから」

爬虫類のような目をした男は

笑いながら信二から離れた。


「--いい加減にしろ。

 貴様らが、”洗脳”を使って

 悪さをしていることはとっくに分かっているんだ!」


信二が叫ぶと、

爬虫類のような目をした男が笑う。


「どうやってー?

 証拠は?


 刑事さん…

 ここは法治国家だ。

 証拠がなければ、

 それは罪ではないんだよ」


勝ち誇った顔ー。

爬虫類のような目をした男を信二は

睨みつけたー。


だが、やつの言う通りでもある。

証拠が、ないー。

これまでの情報収集から、

この組織が”洗脳”を行っているのは間違いないー。


だが、どうやってー?

そんな、非現実的なことが本当にできるのかどうかー。


いやーできる。

こいつらは現に人を”洗脳”しているー。


だがー

その方法が分からないー。


「----さ、お帰り下さいませ」

ミニスカート姿の美人秘書が、

信二に、アジトから出ていくように促すー。


信二は知らないことだがー

この女性も”洗脳”されている。


”組織に仕えることだけが、至上の喜びである”と

洗脳されているこの女性は、

結婚間近だった男性をこっぴどく振り、

それ以降、犯罪組織のリーダーの秘書として

仕えているー。

夜のご奉仕もさせられているようだー。


「---くっ…貴様ら」

信二は、爬虫類のような目をした男と

美人秘書を睨むー。


だがー

これ以上はどうにもならないと判断して、

信二は引き上げたのだったー。


「---…あの男に、地獄見せてやろうか」

爬虫類のような目をした男は笑うー


そして、1枚の写真を取り出した。


その写真には可愛らしい女子高生の姿ー


信二の娘である

佐久間 朋美(さくま あけみ)-。

その写真を手に、爬虫類のような目をした男は

不気味にほほ笑んだー。


・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


朋美は、いつものように学校からの帰路についていた。


「うん!また明日~!」

友達と別れて手を振る朋美ー。


一人になった朋美は、

自宅へと向かうー。


その時だったー。


「---!?」

背後からやってきた車ー


そこから、忍のような姿をした男女が、飛び出してきて

あっという間に朋美を気絶させー

そのまま車で走り去ってしまったー


・・・・・・・・・・・・・・・


「---…こいつが、あの刑事の娘か」

爬虫類のような目をした男が笑うー。


眠らされた朋美はー

謎の椅子に座らされていて、

頭にはヘルメットのようなものが

装着されているー


これがー

洗脳装置だ。


忍者姿の男と女が、

まるで戦国時代の殿様に接しているかのように

爬虫類のような目をした男に

膝をつき、頭を下げているー


この二人もー

”洗脳”されているー。


偶然、この組織のアジトを見つけてしまった

大学生カップルのふたりー。

不運にも、つかまってしまい、そのまま洗脳され

現在は忠実なしもべにされてしまっている。


「--さて」

眠ったままの朋美を見つめながら

男は笑うー


あの生意気な刑事をどうしてくれようかー。


ただ洗脳して手ごまにするだけなら

簡単だー


だがー

それよりもさらに面白いことをしてみたいー。


「---くく、

 学校での成績は優秀、友達も多く、

 人当たりが良い…か」


爬虫類のような目をした男は

そんな経歴を見て、笑うと

にやりと笑みを浮かべたー


「だがー

 そんな優秀な子でも、

 ”簡単に”壊せる…」


そう呟くと、

男は装置のボタンを押したー


朋美にはーー

”ある洗脳”を施した。

意志はそのまま、

まだ従えるつもりもないー


娘が”目の前でくるっていく様”を

あの父親に見せつけてやるー


・・・・・・・・・・・・・・・・


「---あれ」


朋美がふと気づくと、

いつもの通学路にいたー


1時間ほど時間が進んでいる。


「あーー…な、なんか今…」

朋美が周囲を見渡す。


だがー

特に朋美は気にすることもなく

そのまま家に向かって歩き始めたー


”洗脳”により

拉致されたことを記憶から消されー

そして、何の違和感も抱かないように、

されていたのだー


朋美は普通に帰宅し、

父親の信二とも普通に会話を交わす。


特に変わったところはないー


”---くく”


朋美の脳には、

特別なシグナルが埋め込まれていたー


そのシグナルを通して

犯罪組織の男は、朋美の視界を覗いているー


”少しずつー

 少しずつ”洗脳”が効いてくるはずだ”


男は笑った


朋美に施した洗脳は、たったひとつー


それはー


人間にはー

肉眼で見えないものが多く存在する。

微生物もそうだ。

世界は、微生物で満ちている。

食べ物の上にも、

そこらへんにもうじゃうじゃとやつらはいるー。


だが、人間には見えないし、害もないー

それは、ある意味で救いだ。


しかしー

犯罪組織の男は、朋美の脳に強力な

洗脳を施しー

”微生物を認識できるように”したー。


次第にその効果が表れ始めるはずだー。


微生物が見えるようになった人間は

壊れるー。

そう長くは、持たないー。


爬虫類のような目をした男は

朋美の視界情報をパソコンで

見つめながらほほ笑んだー


こうして、”軽い洗脳”を施しー

人が壊れていく様子を楽しみー

本人の精神が崩壊したらー

”言葉”で洗脳するー。


それが、この犯罪組織のやり方だった。

いきなり洗脳して手ごまにしても良いが、

”精神を崩壊させてから”のほうが、

より強力に、確実に洗脳できるー


「---ごしゅじんさま…」

美人秘書がメイド服姿で

爬虫類のような目をした男のそばにやってくるー


男は少しだけ笑うと、

躊躇なくズボンを脱ぎだし、

大きくなったアレを美人秘書の方に近づけたー


・・・・・・・・・・・・・・・


「あれ…また?」

朋美は、洗面台の前で小さな虫をティッシュでつぶした。


そして、不思議そうな表情を浮かべると叫んだ。


「ねぇおかあさ~ん!今日、虫多くない?」

朋美が言う。


だが、朋美の母親は

「え?そうかしら?」と言うだけだった。


父親の信二は笑うー。


”まぁ、秋だからまだ虫はたくさんいるだろうしな”


-と。


「--わたしの前にばかり虫が出てきて

 イヤになっちゃう~」


朋美はそう言いながら苦笑いして、

お風呂場に向かうー。


信二はそんな娘の後ろ姿を見ながらほほ笑んだー


娘がすでに

”犯罪組織に洗脳”されていることを知らずにー


地球上のすべての微生物が見えるように、

脳を書き換えられてしまったことを、知らずにー


次第に、その影響が強まっていくー


「--あれ?また…?」

朋美はお風呂で身体を洗いながら、

壁に3匹ほど虫がついていることに気づく。


小さな、コバエのような虫だ。


「-ー気持ちわるぅ…」

そう呟きながら、シャワーで虫を流す。


今日はやけに虫が多い。

虫が苦手な朋美は、気持ちわるいなぁ…と思いながら

身体を洗い、お風呂から出たー。


洗面台に、また虫がいる。


「もう、なんなのよ!」

朋美はいらだった様子で呟き、

そして虫を始末していくー


自分の下着にも虫がついていることに気づき、

思わず「ひっ!?」と叫んでしまうー。


「--いやだ…きもちわるぅ…」

そう呟きながらリビングに戻るとー

天井に10匹以上の虫がついていることに

朋美は気づいた。


「ひっ!?きゃああああああああ!」

思わず叫ぶ朋美ー


父の信二と母親が

朋美の悲鳴に気づいて、朋美が

指をさしている方向を見るー


だがー

そこには何もいなかった。


「む…虫…!虫!」

朋美が叫ぶー


朋美の脳はー

微生物を認識できるように

変えられてしまっていたー


普通の人間には見えない

小さな小さな生物たちが

彼女には見える大きさになって、見えているー


「-ーーーきもちわるすぎ!」

朋美はそう呟くと玄関にあった

殺虫剤を手に、天井に吹きかけた。


「おいおい、朋美!何もいないぞ!」

信二が思わず叫ぶ。


だが、朋美は今度は壁の方に向かって

殺虫剤をかけ始めたー


朋美の目には、

壁にびっしりと小さな虫がついているように見えたー


「ひぃぃいいいいいいい!?」

その虫が朋美の方に向かってくるー


朋美は、ぶるぶる震えながら

尻もちをついてしまうー。


人間に見えない微生物を含めるとー

この世には、たくさんの虫がいるー


そう、たくさんのー


「お、、おい!朋美!」

信二が叫ぶ。


「いやあああああああ!来ないで!」

父である信二の顔にも虫がついているー

朋美にはそう見えた。


「--お、落ち着け!ほら!」


「---うぅぅぅ…あああああ」

真っ青になって震えている朋美ー


信二はー

とりあえず朋美を抱きしめた。


そしてー

頭を優しく撫でる。


「どうしたんだ…?ほら、大丈夫だから」

優しく声をかける父ー


ようやく少し落ち着いてきた朋美の目にはー

虫が見えなくなっていたー



その様子を見つめていた爬虫類のような目をした男は笑う。


「ほぅ…精神が安定したことによって

 少し持ち直したか…」


笑う男ー


だが、時間の問題だー

洗脳による影響は確実に出始めているー

数日以内に、彼女は、発狂するー


「---刑事さんよ…

 あんたの娘さんは…あんたの目の前で狂って…

 そして、俺に屈服する…」


そう呟いて、

彼は笑みを浮かべたー



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


微生物が果物についてますよ~!みたいな

ツイートを見かけたときに思いついたお話デス~

無理やり洗脳に絡めて…(笑)


前後編で完結予定なので

次回で完結…する、、と思います~!


今日もお読み下さりありがとうございました!



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