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取引先へのお詫びに向かうため、

慌てていた将司は、駅で階段から転落ー…

偶然その場に居合わせた大学生・美月と入れ替わってしまうー。


しかし、入れ替わってしまっても、彼が考えていたのは

”仕事”のことばかりー。

将司となった美月を連れて、取引先への謝罪を済ませたものの、

今後は”早く職場に戻らないと”と、言い始めてー…?


★前回はこちら↓★

<入れ替わり>早く職場に戻らないと①~仕事人間~

彼は、”仕事人間”だったー。 仕事のためにプライベートが犠牲になっているー… そんな、人間だー。 「申し訳ありませんー。すぐに手配いたしますのでー」 とにかく、仕事に対して一生懸命ー。 遅くまでの残業にも、文句を言わず、ただひたすらに仕事に打ち込んでいたー。 取引先からの電話を終えると、 「ーーあ…松山(ま...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ー…は、早く職場にってー…」

流石に戸惑う将司(美月)ー


「ーい、今の状況分かってますかー?

 わたしと、柿谷さんの身体、どうするんですかー!?」


将司(美月)は、”将司になってしまった自分”と、

”美月になっている将司”を交互に指さしながら、そう言葉を口にするー。


「ーーわ、分かってるけどー、分かってるけどー…

 職場に戻らないとー」

美月(将司)は、それしか頭にない、という様子で

ソワソワとして見せるー。


”滅茶苦茶焦ってる表情の自分”を、他人の身体で見ることになるなんてー…


美月はそんな、とても不思議な気持ちになりながらも

「ーーダメです!わたしの身体を返してください!」と、

今度はハッキリとそう言葉を口にしたー。


「ーーーーす、すみませんー…

 早く会社に戻りたくてー、ついー…

 僕がいないと、仕事が回らないのでー」


美月(将司)は、なおもそんな言葉を口にするー。


がー、さすがに、将司(美月)のことを考えたのかー、

「元に戻れないかどうか、色々試してみましょう」と、

そう言葉を口にしたー。


取引先の会社から少し離れた場所にある公園で、

色々と試し始める二人ー。


わざとぶつかってみたり、

手を握り合って元に戻るように念じてみたり、

お互いの目を見つめ合ってみたりー、

階段でちょっとぶつかってみたりー、

色々なことを試したー。


がー、元に戻ることができないまま、ついに日が暮れてしまうー。


「ーーーー」

ソワソワとし始める美月(将司)ー


「ーー全然、元に戻れませんねー…」

将司(美月)が困り果てた表情を浮かべるー。


「ーーこのまま元に戻れないと、柿谷さんも

 困ると思いますしー、一度、病院にー」

正直、”何科”を受診すればいいのか分からないー。

けれど、自分たちだけでどうにかするのは無理だと、

将司(美月)は悟り、病院に足を運ぶことを提案するー。


だがー、

ソワソワしていた美月(将司)は、

そのことが耳に入っていないかのように、

言葉を口にしたー。


「ーごめんなさいー。もう、会社に戻らないとー」


まるで、会社に戻らないと世界が終わってしまいそうな、

そんな顔に見えるー。


「ーーえ…えぇっ!?

 ちょ、ちょっと待ってくださいー

 わたしの身体で会社に戻ったって何もできないと思いますしー、

 さっきの取引先のところに行ったのとは違って

 わたしも柿谷さんの代わりなんてできませんしー」


”普段会わない取引先の社長”に謝ることぐらいならー、

”フリ”をすることはなんとかできたー。


しかし、”普段会う会社の同僚たちと仕事をする”

ということまで”フリ”をするのは困難だー。


「ーー連絡が必要なら、わたしが連絡しますからー」

そう言いながら、将司(美月)は、将司のスマホを

借りようとするー。


”電話で、今日はこのまま帰る”と伝えることぐらいなら、

なんとか”将司のフリ”をすることができるー。

そう思いながら、そう言葉を口にした将司(美月)ー


だがー


「ーそ、それじゃダメなんだー戻ってやらないといけないことが

 色々とあってー」

美月(将司)は、そう言うと、

「ーーと、とにかく一度戻らせてください!」と、

それだけ言い放って、突然走り始めたー。


「ーちょっ…!」

将司(美月)は叫ぶー。


慣れない服装で、スカートをふわふわさせながら、

そんなこともお構いなしに走る美月(将司)ー


「ーーーはぁ…はぁ…はぁ」

美月の身体で全力疾走して、疲れた様子で駅にたどり着くと、

そのまま会社の最寄り駅まで移動を始めるー。


電車に乗り込んだ美月(将司)は、

電車の窓に反射する自分の姿を見つめるー。


「ーーーーーー…」

”美月”の顔ー。

将司からしてみれば異性のー、それも遥か年下の子の

身体になってしまった状態ー。


ドキッとしようと思えば、するとは思うー。

でも、今はとにかく”早く会社に戻らないといけない”という

思いでいっぱいで、それ以上のことを考えられる余裕はなかったー。


「ーーーー大丈夫?」

全力疾走して、はぁはぁと息を吐いていたからだろうかー。

太ったおじさんが、そんな声をかけて来ながら、すぐ隣に座って来るー。


「ーあ、ーーは、はいー大丈夫です」

美月(将司)は、そう答えながら、電車が動き出したのを感じつつー、

ため息を吐き出すー。


「ーーーー」

「ーーーーー」

電車が目的地に到着するまでの間も、ひたすら仕事のことを

考える美月(将司)ー


がー…

ふと”あること”に気付くー。


先程声をかけてきた隣のおじさんが、妙に身体を密着させているー。


確かにー

最初は乗客もそれなりにいて、”他に空いている場所”はなかったー。


しかし、あれから数駅に停車して、ある程度客が減って、

おじさんの左側もスカスカになっているにも関わらず、

”美月(将司)”に妙に密着したままなのだー。


急にゾワッとした感覚を覚えるー。


普段、”男”として電車に乗っている将司は、意識しなかったことー。

”それ”を始めて意識させられてドキッとするー。


「ーー」

おじさんの手が美月(将司)の足に触れるー


ゾワッ、とした感触とー

中身が”男”だからだろうかー。ドキッとした変な感覚も覚えるー。


「ーー……」

”座席変えたいけどー、こういう時って変えると刺激したりするのかー…?”


そんなことを思いながら、結局

”何も気づいていないフリ”をしながら耐えるしかなくー、

美月(将司)は、そのまま目的地に着くまで耐えたー。


目的地に着くと、すぐに電車を飛び出して、

そのまま駅から出ようとするー。


「ーーーーあ」

がー、そろそろトイレに行きたいと思い、

いつものように無意識のうちに男子トイレに入り、

立ったまま、トイレを済ませようとするー。


「ーーーーー…え……ぁ…やべっ…」

視界に、スカートが入るー。

改めて今、自分が”男”ではなかったことを思い出し、

”男子トイレ”に入ってしまったことの重大さに気付くー。


顔を赤らめながらキョロキョロする美月(将司)ー


幸い、男子トイレの中には誰もいなかったために、

すぐにトイレの外に飛び出そうとするもーー


「ーーーえ」


「ーーーーーあ」


最悪のタイミングで、男子トイレの中に、若い男が

入ってきてしまったー


「ーーーえ…」

その男は一瞬、自分が女子トイレに入ってしまったのではないかと

不安になったのか、トイレの出入り口のマークを確認しに戻ると、

「こ…ここ、男子トイレですけど?」と、

美月(将司)に対して指摘の言葉を口にしたー。


「ーーーーーー」

美月(将司)は頭の中が真っ白になりつつもー、

ようやく言葉を吐き出したー


「こ、こう見えても、俺、男なのでー」

と、イケメンっぽいボイスになるように無理に低い声を出しながら、

そう言い放つ美月(将司)ー。


だが、当然と言うべきだろうかー。

相手の若い男はまだ、美月(将司)のことを

疑っているような、そんな視線を向けてきているー


”ーーーーす、素直に間違えました!のほうが良かったかー…?”

そんなことを思いながら、

美月(将司)は相手の子からの視線に耐え切れなくなって、

さっきよりもさらに低い声を無理やり出して、

美月(将司)は言葉を続けたー


「ーーい、いわゆる男の娘ってやつでー…

 でもほら、こういう格好してるからって女子トイレに

 入るわけにはいきませんしー

 ね???」


意識して、かなり頑張って低い声を出さないと

明らかに”女”の声になってしまうー。


そのことに困惑しながら若い男の方を見るー


なんだかまだ疑われている気がしてー

「ーーう、疑うのでしたら、俺、ちゃんとここについてますから!」

と、咄嗟に叫んでしまうー。


美月の身体のアソコには当然、男であることを証明するものは

ついていないのだが、つい、勢いでそんな言葉を

口にしてしまったー


がー、

”さすがにここまで言えば、相手もそれ以上疑わないだろうー”

と、思いつつ美月(将司)は、相手の男の顔を見つめると

相手の若い男は

「あ…あの…もう分かったんで、そこ、どいてもらえますか?」と、

少しうんざりした様子でそんな言葉を口にしたー


「あ…す、すみませんー」

男子トイレに入って来た若い男は、しつこく疑っていたわけではなく、

単に”美月(将司)がトイレの奥に進む道を塞いでいたために

その場に立ち尽くしているだけだったー


「ーい…いけないいけないー。

 しかもこの子を勝手に”男の娘”の設定にしてしまったー


そんなことを思いつつ、会社にようやくたどり着きー、

”将司”の社員証を手に、そのまま会社の中に入ろうとしたー。


「ーーあ、あのー、どちら様ですか?」

警備員に止められる美月(将司)ー


「ーーあー、え、えっとー僕です。

 柿谷将司ですー」


美月(将司)は、中年のおじさんである自分の社員証を提示するー。


がー、身体は女子大生・美月のもの。

疑われるのは当然だー。


「ーーその社員証は弊社の社員のものですが、

 それはどちらでー?」

警備員は困惑しながら、美月(将司)に確認の言葉を口にする。


「ーーえ…えっと、ですからこんな姿ですけど、

 僕が柿原将司なんです!」

美月(将司)は、自分の部署に戻りたい一心でそう言葉を口にするー。


「ーいやいやいや、あなたが柿原さんなわけないでしょう?」

警備員の男が困惑していると、ちょうど建物の中から

同じ部署の若手の男性社員・京平が姿を現したー


「お疲れ様です」

京平が、他の警備員に頭を下げて出て行こうとするー。


そんな京平の姿を見て、美月(将司)は、

「よ、よかったー松山くん!」と、そう言葉を口にしながら

京平に駆け寄るー。


「ーーえ…?は、はいー?」

京平は困惑の表情を浮かべるー。


それもそのはずー、

何も知らない京平からすれば、

いきなり”見知らぬ可愛らしい子”がいきなり

自分の名前を呼びながら近づいて来たのだから、

戸惑わずにはいられないー。


「ーーーあ…あの…どちら様ですかー?」

京平は、戸惑いの表情を浮かべるー。

警備員と同じく、目の前にいるのが将司だとは

夢にも思っていないようだー


「ーぼ、僕だよー。柿谷だー。」

美月(将司)が、そう言葉を口にするー


「ーーえ…え、っとー

 弊社の柿谷はー…その、男ですがー?」


京平が至極真っ当な反応をするー。


「ーーーいや、そのー

 色々事情があって、身体は女だけど、僕は柿谷でー

 あ、そうだー」


そう呟くとー、

自分の会社内での立場や仕事の内容、

同じ部署の人間の名前、現在携わっているプロジェクトの内容など

”将司しか知らないはずのこと”を口にしたー。


がーーー


「ーーーー………」

京平は、その言葉に青ざめると、

「ーそ、それ、柿谷さんから聞いたんですか?」と、

困惑の表情を浮かべたー。


「ーーえ…」

美月(将司)は戸惑うー。


その時だったー…


「ーーあ、あの!」

美月(将司)の後を追って来た将司(美月)がようやく到着すると、

そう声を発したー


警備員の男が「あ、柿谷さんーこの女性が、”自分が柿谷”だと、

言い張っていてー」と、戸惑いの言葉を将司(美月)に対して言い放つー。


そうこうしているうちに、京平が近付いてくると、

「か、柿谷さんー。あの女性に、会社の内部情報、喋ったんですか?」と、

そう言葉を口にするー。


「ーーー…あ、いえ、あ、あのー」

将司(美月)が、事情を説明しようとするー。


が、それよりも先に京平は表情を歪めながら言葉を口にするー


「ー内部情報の取り扱いには注意するようにって、

 先日も通達出たばっかりじゃないですかー

 やばいですよー」


とー。


その言葉を隣で聞いていた美月(将司)は、

”自分が将司だと信じてもらうために”

色々と自分しか知らないはずの言葉を口にしたものの、

信じてもらえるどころか、

”将司が外部の女に平気で会社の内部情報を喋った”と、

京平に解釈されてしまったことに、唖然としながら

”ーそ、そういう受け止め方するかー…”と、

心の中で呟くーー



こんなことしている場合じゃないのにー。


とにかく、自分の職場に戻りたい美月(将司)は

「とにかく!僕が柿本将司なんです!!!」と、

警備員に向かって大声で叫んだー。



③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


まだまだ大変な状態が続いていますネ~!☆


すんなり元に戻る方法があれば、

2人ともすぐに日常に戻れるハズ…ですケド、

そう簡単にはいかないのデス…!


続きはまた次回デス~!

今日もありがとうございました~!☆

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