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「ーーーそれにしても、上手ですよね~」

重森 俊樹(しげもり としき)は、

今日も、オンラインゲームをプレイしながら、そんな言葉を口にしていたー。


彼は、近くの大学に通っている男子大学生ー。

今日も、大学が終わった後にバイトを終え、

家に帰宅したあと、こうして、最近ハマっている

オンラインゲームを楽しみながら、そんな言葉を口にしていたー


”えへへーありがとうございますー”

パソコンのモニターから、可愛らしい女の声が聞こえて来るー。


”でも、トッシーさんの方がお上手ですよー”

笑いながら、相手の女性がそんな言葉を口にするー。


”トッシー”とは、俊樹が使っている

オンラインゲーム上の名前だー。


”それにしても、ナナさん、本当に上手だよなー”

そう思いながら、俊樹はコントローラーを握りながら

対戦相手のチームに攻撃を仕掛けていくー。


最近ー、俊樹はこの”ナナ”という女性プレイヤーと

とても親しくなっていたー。


”ナナ”と初めて出会ったのは1ヵ月ほど前ー。

いや、もしかしたらそれよりも前にも偶然出会っていたかも

しれないが、ナナのことを始めて認識したのはその時だったー。


偶然同じチームになったナナと、何度も一緒に試合をしたことから

意気投合、お互いにSNSをやっていたことから、

そこから繋がりが出来て、今ではボイスチャットで話をしながら

毎日のようにゲームをやるぐらいまで、仲良くなったー。


俊樹とナナがプレイしているのは、

複数のプレイヤーでチームを組みながら相手チームと

戦うタイプのアクションゲーム。

お互いに”フレンド”になれば、その相手と同じチームになって、

オンライン対戦を楽しむことができるー。


”あっ!やばっ!トッシーさん!助けて下さい!”

相手チームに囲まれた”ナナ”からそんな声が聞こえて来るー


「うぉっ!ナナさんが囲まれてる!

 今、行きます!」

そんな言葉を口にしながら、

まるで、現実世界で不良に囲まれている好きな子を守りに行くかのように

ゲーム内のキャラクターを必死に動かす俊樹ー。


やがて、俊樹は”ナナ”が敵プレイヤーに囲まれている場所に

たどり着くと、圧倒的射撃力を発揮して、

敵プレイヤーを全滅させてしまったー


”わ~お…!トッシーさん、すごぉい…”

そんな声が聞こえて来るー。


「ーあ、あははー何か、マグレで上手く行きましたー」


”ナナ”を守りたいー

そんな、火事場のクソ力でも発揮されたのだろうか。

俊樹は、敵プレイヤーを圧倒的な動きで翻弄して、

全員倒してしまったのだー。


”トッシーさんかっこいいです!まるでヒーローみたいでした!”

そんな言葉をナナから掛けられて、

「えぇ~そうかなぁ…あ、ありがとうございます」と、

照れくさそうに言葉を口にするー。


お互いに”声”だけのやり取りだが、

もしかしたら”ナナ”の側にもデレデレしているのが

伝わってしまったかもしれないー。

そう思えるぐらいに、変な声が出てしまったー。


”ーじゃあ、わたし、明日も大学なので、

 これで失礼しますね!

 おやすみなさいー!”


ナナがそう言葉を口にすると、

俊樹は「こちらこそありがとうございましたー。おやすみなさい」と

言葉を口にして、そのままボイスチャットを終了したー


「ふ~~~~~~」

しばらく、一人でニヤニヤとしている俊樹ー。


可愛らしい声の女性プレイヤーと一緒にゲームが出来て、

相当嬉しかったのだろうかー。

一人で、しばらくの間、余韻に浸っているー。


やがてー、

「ーーさて、俺も明日も大学だから、寝る準備をするか!」と、

そんな言葉を口にしながら、寝る支度をし始めたー…。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


”こちらこそありがとうございましたー。おやすみなさい”


身に着けている”ヘッドセット”から、

一緒にゲームをプレイしていた”トッシー”の声が聞こえるー。


「ーーーふふー」

ゲームを終えた”ナナ”ことー、

福本 菜々美(ふくもと ななみ)は、笑みを浮かべるー。


「ーーーあ~あ…ホント、面白いなぁー」

菜々美はニヤリと笑みを浮かべると

「”僕”が”僕”のままプレイした時と違ってー

 どいつもこいつも、優しいんだよなー」と、そう言葉を口にしながら

近くに置いてあったコーラを飲み始めるー。


「ーーーーーーククク

 ”トッシー”も、いっつも僕にデレデレしちゃってーへへ」


菜々美はそう呟くと、突然、自分の後頭部のあたりを掴みー、

”引っ張り”はじめたー。


信じられないほどに、菜々美の顔が伸びー、

やがて、”チャック”のようなものを引き下げると、

菜々美がペロッとめくれてーー、

その中から、”不自然に圧縮された”状態の男が出て来るー。


すぐに、男がまるで、空気が少し足りなかった風船かのように

膨らんでちゃんとした形になると、

小太りな身体を揺らしながら、今まで着ていた”ナナ”の皮を

ソファーの方に雑に投げつけたー


「ーへへ…まさか”ナナ”が僕のようなやつだと知ったら

 びびるだろうなぁ…ぐへへへへへー」


笑みを浮かべる男ー

彼は”ナナ”としてゲームをプレイしている”菜々美”の兄ー…

福本 慎太郎(ふくもと しんたろう)ー。


慎太郎は現在27の”実家暮らしのニート”だー。


大学卒業後、入社3日目で上司と口論し、

そのまま逃げるようにして退職ー。

それ以降、実家の部屋に引きこもり、ニート生活を続けていたー。


そんな慎太郎の趣味は、ゲーム。

毎日のようにオンラインゲームをプレイし、

負けが重さなると、一人で部屋の中で奇声を発したり、

一人、部屋の中で悔しがってジャンプしたり、じたばたしたりー、

そんな奇行を繰り返していたー。


そんな兄・慎太郎のことを

大学生の妹・菜々美は”気持ち悪がって”いたー。


「ーーあんた、いい加減にしなよ!」

「何で働かないの!?」

「ゲームばっかりやってないで、何かしなよ!」

「ゲームで負けたときに叫ぶのやめて!キモい!」


菜々美には、そんな言葉を連日のように浴びせられていたー。


最もー、

最初から”こう”だったわけではないー。

引きこもるようになった兄・慎太郎が、菜々美に対して

”好きなゲームキャラのコスプレをしてほしい”と、何度も何度も

しつこく迫ったり、菜々美の部屋からモノを盗んだり、

働いたら負けだ、と面倒なことを言い続けたり、

さらには、菜々美がゲームキャラのコスプレを本当にしているかのような

合成の写真を作ったことで、菜々美からは心底嫌われてしまったー。


そしてー、ある日ーーー


「ーーもう、ホント、いい加減にしなよ!

 お父さんとお母さんも、あんたのこと心配してるのに

 何で毎日毎日ヘラヘラしてられるの!?」


妹の菜々美がそう叫ぶー。


「ーうるさいなぁ、僕だって息抜きの時間は必要なんだよ」

オンラインゲームをプレイしながら、菜々美に向かって

面倒臭そうに言葉を口にする慎太郎ー。


がー、ついに菜々美の堪忍袋の緒が切れてしまったー


「いい加減にしろっ!!!!!!」

菜々美はそう言い放つと、オンラインゲームをプレイ中だった

パソコンの電源を引っこ抜くーーー


「ーーあぁっ!?!?何すんだよ!テメェ!

 プラチナランクに昇格できるかどうか、大事な試合だったのに!」

慎太郎が怒りの形相で叫ぶー。


「何すんだよ!じゃないよ!

 なんでそんな風になっちゃったの!?


 就職しようと少しでも努力してれば話は別だけど、

 あんた、何にもしてないじゃん!

 就活もしてないし、バイトを探そうともしてないし、

 毎日部屋に引きこもってゲームやってるだけ!


 あんた何なの!?

 何でそんな風に家族を困らせてばっかりいるの!?」


菜々美が目に涙を浮かべながらそう叫ぶー。


慎太郎はーー…

”就職活動”を全くしていないー

バイトを探すこともしていないー。

かと言って、自分で何かをしてみよう、ということもしていないー。

健康状態に問題があるわけでもないー。


理由があって、”ニート”なのであれば、菜々美も我慢できたかもしれない。

しかし、慎太郎の場合”理由無きニート”

つまり、ただの怠け者だー。


それも、もう何年もこんな状態が続いているー。


平気で親を困らせて、菜々美にも迷惑をかける”兄”のことを、

菜々美は黙って見過ごすことはできなかったー。


「ーーーなにが、プラチナランクよ!ふざけんな!」

菜々美は怒り心頭でパソコンを持ち上げると、それを乱暴に投げつけて

パソコンを破壊してしまったー


「ーーあぁああああああ!何すんだよ!?!?

 うっ…あああああああああああああああっ!!」

部屋の中で頭を抱えながら、狂ったように飛び跳ねる慎太郎ー。


「ー少し頭を冷やしなさいよ!バカッ!」

菜々美は泣き叫びながら、壊れたパソコンを放り投げると、

そのままぜーぜーと息を吐きながら立ち去っていくー


「ーーあ…ぁ… ぁ… あああああああああああ!!!」

一人残された慎太郎は、怒り狂って一人で壁を殴りながら、

繰り返し奇声を上げたー。


そしてーーー

その数日後ーーー


「ーーーーー菜々美」

慎太郎が、菜々美の部屋をノックするー


「なに?」

不満そうに返事をする菜々美ー


「僕が悪かったよー」

慎太郎はそう呟くと”謝りたい”と言葉を口にしたー。


「ーーーー」

菜々美は、不満そうにしながらも部屋の扉を開いたー


がーーー


部屋の扉を開くと同時に、慎太郎は

菜々美に”謎の注射器”を刺したー


「ーーえ…?」

驚いた表情を浮かべる菜々美ー。


「ーーもっと早くこうすりゃよかったー」

ニート生活数年の中でー、ネットで見つけた

”人を皮にする注射器”ー。

慎太郎は、それを購入しつつも、ずっと使わずにとっていたー。


がー、菜々美に酷く怒られた慎太郎は、

逆上しー、この日ー、妹の菜々美を”皮”にしたー


「ーお前は今日から僕の洋服だー。

 僕に指図するお前なんかいらないー」

慎太郎は、菜々美を”皮”にすると、早速菜々美を着こんで笑みを浮かべるー。


「ーーふふふふ…今日からわたしもニートだよ♡

 な~んてな」


菜々美はニヤニヤしながら、顔のあたりを引っ張りー、

”ちゃんと着れているかどうか”確認するー


そしてーーー


「ーーねぇねぇお母さんー」

1階にいた母親に声を掛けるとー、

「ーお前もいらない♡」と、笑みを浮かべながら

注射器を母親に突き立てー、母親も皮にしたー。


さらにーー

夜になって帰宅した父親に


「ーあははは!お父さん!

 菜々美は悪い子だったんだよぉ?」


”菜々美”が悪いような言い方をしながら、

父親を皮にすると、

菜々美は一人、ゲラゲラと笑い始めたー


その翌日ー、大学に退学届けを出しー、

以降、慎太郎は菜々美の皮を着ながら生活を続けているー。


お金は、親の貯金を貪りながらー

親が行方不明だと騒がれないように、

状況に応じて、父・母・妹の皮を着替えて

上手く”家族が行方不明扱いにならないよう”にしているー。


「ーーーーククー」

再び、菜々美の皮を身に着けた慎太郎は

鏡を見つめながら笑みを浮かべるー


「ーーークククー

 お前が馬鹿にしていた、ニートに自分がなった気分はどうだ?」

菜々美は、鏡に映る菜々美に向かってそう呟きながら笑うー。


乗っ取ったあとに、大学を辞めて、

家に引きこもってずっとゲームをやっている”菜々美”は、

かつての菜々美が馬鹿にしていた”僕”と同じだと、慎太郎は笑うー


「ふふふふ これが本当のわたしだもん♡」

菜々美のフリをして、鏡の前でそう言葉を口にすると、

笑みを浮かべながら、漫画を読み始めるー。


”明日は大学”なんて、ゲーム仲間の”トッシー”には嘘をついたが、

もう菜々美は大学にも行っておらず、バイトも辞めたー。


友達が多かった菜々美には、今も心配の連絡が来ているが、

適当にあしらっているー。

もちろん、時々”電話”で喋ったりして、

”菜々美はちゃんと健在であること”も、友達に示しているー。


「ーそれにしても、トッシーってやつ、

 僕のこと好きだよなー」

漫画を読みながら、菜々美は笑うー。


「ーーまぁ、トッシーだけじゃなくて男のプレイヤーは特に

 僕のこと守ってくれるしなーククク」


菜々美になった慎太郎は

”女性プレイヤー”という肩書を手に入れたことに興奮しながら

嬉しそうに笑みを浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


そんな正体を知らず、”俊夫”は、今日も大学を終えると、

いつものように、パソコンを起動して

いつものオンラインゲームをプレイし始めたー。


”あ!トッシーさん!今日もよろしくお願いします!”


いつものように”ナナ”とゲームを始める俊樹ー。


「ーはい。こちらこそー」

嬉しそうにしながら、今日も楽しい時間に身を投じていくー。


しかしー、俊樹は知らないー。

”ナナ”の恐ろしい正体をー。

その中身は、家族を全員皮にして、妹の菜々美を

着こんでいる恐るべき存在であることをー。



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


今日は節分ですネ~!☆

一昨年は節分モノの憑依を書いたりもしましたケド、

今年は節分とは関係のない皮モノデス~★笑

(節分のお話は毎年書いているわけではありません~★!)


恐ろしい子と知り合ってしまった俊樹くん…★!

そのうち、大変なことになってしまいそうですネ~…!

続きはまた次回デス!!★

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