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勇者の滞在する村に、単身向かってしまった

魔王ヴェネッサを慕うガロンを助けるため、

ヴェネッサと入れ替わったラッセルは、

”元の仲間”たちがいるであろう村に向かうー。


そこで、入れ替わった自分や、かつての仲間たちと対峙する

ヴェネッサ(ラッセル)ー。


しかし、ヴェネッサとラッセルの二人は互いに相手の命を

救うような行動を見せた末に、

ヴェネッサ(ラッセル)は、ガロンを連れて魔王城に、

ラッセル(ヴェネッサ)は、仲間に犠牲者を出すことなく村に引き返すー。


魔王と勇者、入れ替わりの日々のその先にあるのはー…?


★前回はこちら↓★

<入れ替わり>勇者と魔王の屈辱的な日々③~衝突~

勇者ラッセルと、魔王ヴェネッサが入れ替わってしまったー。 ”勇者”のフリをしながら、勇者の身体で過ごす女魔王と、 ”魔王”のフリをしながら、魔王の身体で過ごす勇者ー。 2人は敵だった頃には知ることのできなかった”相手側の内情”を 色々と知っていくー。 そんな中、魔王ヴェネッサを慕うガロンが 単身で勇者の滞在す...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーーーー」

「ーーーーーーーー」

「ーーーーーーーーー」


ラッセル(ヴェネッサ)は、悔しそうな表情を一人で浮かべながらーー…


”滞在する村の力仕事”を手伝っていたー。


”ど、どうして魔王であるこのわたしが、こんなことをー…”

自分が”雑用”をしていることに屈辱を感じるラッセル(ヴェネッサ)


がー、そうは思いながらも、

「ー勇者さま!ありがとうございますー!」と、心底嬉しそうにしている

村人たちを見て「ど、どうってことないさー。勇者なんだしー」と

少し得意気になって笑うー。


”いけないわー…ここにいると調子が狂うー”

人助けすることの喜びをうっかり感じそうになってしまいー…

いいやー、もうちょっと感じてしまっている状態に、

ラッセル(ヴェネッサ)はため息をつくー


「ーおや、勇者さまーため息なんてついてー」

村人が心配そうにラッセル(ヴェネッサ)を見つめるー


”あぁ、もうーいちいちお人好しばっかりー…”

ため息一つで案じてくれる村人たちに対して、

そんなことを思いながらも

「ーーは、はははー大丈夫大丈夫」と、

元気な振る舞いをしてみせるラッセル(ヴェネッサ)ー。


「ーーーへへ 大分 傷も癒えて来たみたいだな」

少し離れた場所で見ていた勇者の仲間・グレンがそう呟くと、

「ーーそうみたいですねー」と、巫女・ローズが微笑むー。


魔王との激突の際に傷を負ったラッセルー。

が、順調にその傷は回復しているように見えるー。


村人たちと楽しそうに話をしながら、

村の仕事を手伝うラッセル(ヴェネッサ)を見て、

”入れ替わっている”ことを知らない二人は微笑ましそうに笑うー。


がー…


「ーーーなぁ、ラッセルのやつ、まだ”剣”を振るってないよなー?」

グレンはそう呟くー。


ローズも心配そうに「ーそうみたいですね」と頷くー。


2人は、魔王城での激突の後から、ラッセルが勇者の剣を握ろうとしないことに

気付いていたー。


「ーー…あいつ、まだ怪我を隠してるんじゃないのか?」

グレンのそんな言葉に、ローズは少しだけ表情を歪めるー。


「ー勇者さま!こっちも頼むよ!」

村人の人に言われて

「え~~?また~!?人使いが荒いなぁ!」と、

”ヴェネッサ”が、思わず本音を漏らすも、

「まぁいいよー。どれをやればいいですかー?」と、

ラッセル(ヴェネッサ)はそちらの方に向かって行くー。


”人間どもはー、こんな風に暮らしているのだなー”

人々の笑顔を見つめながら、ラッセル(ヴェネッサ)は

そんなことを思うと、”この村を焼き払う”光景を想像して、

首を横に振ったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーガロン!一人で敵の中に向かうなんて、何を考えているのだ!」

戦いの最中には紫の鎧を身に纏っている魔王軍幹部・ズールが

そう言葉を口にするー。


鎧を身に纏っていない時は、まるで執事のようなー、

少し口のうるさいおじい様敵存在ー。


「ーー…まぁまぁ、ズール…そのぐらいにしておきなさいー」

”ヴェネッサ”として、ヴェネッサ(ラッセル)がそう言葉を口にすると、

「ーは…魔王様ー」と、頭を下げるー。


「ーーだって…あいつらがあの村にいるってー…アデンがー」

戦闘時は黒い鎧を身に纏っている少女・ガロンがそう呟くと、

ズールは頭を抱えるー。


「ーアデン殿の言うことは真に受けるなと、いつもあれほどー」

ズールのそんな言葉に、

ヴェネッサ(ラッセル)は思わず笑うー。


「ーーー魔王様?」

「ーーお姉さまー?」

ズールとガロンが不思議そうにヴェネッサ(ラッセル)のほうを見ると、

「ーーい、いえー、二人とも親子みたいだなって思って」と、

そう言葉を口にするー。


今まで”魔物”たちは血も涙もない軍勢だと、そう思って来たー。


実際に、卑劣な魔物とも幾度もなく対峙してきたー。


しかしー、魔物も人間と同じなのかもしれないー。

良い奴もいれば、悪いやつもいるー。


そして、戦いの時には、多くを語らず全力で戦うー。


それは”向こうから見た”グレンとローズたちも、

同じなのかもしれないー。


「ーーーーこ、こんなうるさいおじいちゃんがお父さん!?」

ガロンが頬を膨らませながら言うー。


「ーーははははー…それはそれはー」

ズールは苦笑いをするー。


ヴェネッサ(ラッセル)は、”魔王軍”と対話できる道もあるかもしれないー。

と、そう考え始めるー。


ズールも、ガロンも、他に出会った魔物たちも、

みんなそれぞれの生活があるー。

入れ替わってみて、初めてそれが分かったー。


”まぁ、魔王の方はそんなこと思ってないんだろうけどー…”

そんなことを思いながら、今日も”魔王”として過ごすヴェネッサ(ラッセル)ー


「ーーっていうか、魔王っていつもこんな格好なのかー?

 もうちょっとこうー…ズールとかガロンたちみたいに

 庶民的な格好とか、ないのかよー」


常に”悪の魔王”みたいな妖艶な格好のヴェネッサ(ラッセル)ー


部下の魔物が着替えを用意してくれているが、

どれもこれも、妖艶なやつばかりで、

正直、目のやり場に困るー。


「ーグレンだったら、こういう時も余裕で状況を楽しみそうだけどなー」


そんな風に思いながら寝ようとしているその時だったー。


「ーー魔王様ー」

幹部の一人、ズールの声がして振り返るー。

そこには、紫の鎧を身に纏ったズールの姿ー。


こんな夜に”なぜ”戦闘時の装備をしているのかー。

少し、イヤな予感がするー。


「ーーズール…」

ヴェネッサ(ラッセル)が、”どうかした?”と、

動揺を悟られないように言葉を続けると、

ズールが言葉を口にしたー。


「ー魔王様ー いいやー、”勇者”よー。」

ズールの言葉に、

ヴェネッサ(ラッセル)が目を見開くー。


「ーーな…な、なにを言ってるのかしら?

 わ、わたしはー魔王よ」


ヴェネッサ(ラッセル)がそう言うと、

ズールはいつも戦いの時に使っている武器を手にー、

それをヴェネッサ(ラッセル)の方に向けたー…


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


勇者が滞在する村ー。


夜になり、巫女・ローズはいつものように

こっそりと保護した”魔物猫”の世話をしに、

宿を抜けて、魔物猫を呼ぶー。


「にゃぁ…」

人間界の猫とは違う、”魔物”と一目で分かるような

猫とはまた違う存在ー。


けれど、ローズはその”魔物猫”を可愛がっていたー。


「ーーおやおやおやーーこんなところに魔物がー」


「ー!?」

ローズがビクッとして振り返ると、

そこには村に滞在している王宮騎士団の部隊のひとつを率いる

騎士団長・アシュトンの姿があったー。


先日のガロン襲撃の際には、部下たちと共にガロンに立ち向かったが

功を焦ったあまり、3人を失い敗走しているー。


「こ、この子はー」

ローズがそう言いかけると、アシュトンはローズを押しのけて

魔物猫をしっぽから掴んで、宙に持ち上げたー。


鳴き声を発する魔物猫ー。


「ー巫女殿ー。危ないところであったなー

 雑魚とは言え、魔物は魔物ー。

 しっかりと駆除しておかなくてはなー」


騎士団長・アシュトンの言葉に青ざめるローズ。


「ーそ、その子はー…そのー…

 そんなんじゃないんですー」


ローズが必死に嘆願するように言うと、

アシュトンは「ほぅ?この魔物猫の”どこが”他の魔物と違うのかな?」と

イヤらしい笑みを浮かべるー。


先日のガロン襲撃の際に、何の成果も挙げられず被害だけを出した

アシュトンは内心で苛立っていた。


”何も成果を出さぬまま、王宮には帰れぬー”

とー。


「ーーーこんなクズなど、こうしてしまえば良いのだーー!!!」

アシュトンは、魔物猫のしっぽを掴んで、ぶんぶんと振り回すー。


悲鳴に似た鳴き声を上げる魔物猫ー。


「ーーー!」

その光景に、偶然、夜の散歩に出ていたラッセル(ヴェネッサ)が気付くー


”あれはー”


がー、そう思うと同時に、アシュトンは思いっきり魔物猫を

空高くそのまま放り投げたー


「あぁああああああああっ!」

ローズが泣き叫びながら、投げ飛ばされた魔物猫を追うー。


が、追い付くはずもないー。


「チッー…人間めー…」

ラッセル(ヴェネッサ)は舌打ちをするー。


魔物猫はラッセル(ヴェネッサ)が立っている位置の反対側に

投げ飛ばされたー。


”くそっ…間に合わないわー…”

ラッセル(ヴェネッサ)は内心でそんなことを思いながらも、

走り出すーー


がーーー


「ーー!?」

宙高く投げられてしまい、

そのまま地面に激突する運命だったはずの魔物猫はー、

間一髪のところでー、

勇者の仲間、グレンが滑り込んでキャッチしたのだったー


「ーーへ…へへへへー」

思いっきり飛び込んで、腕を怪我しながら

グレンは「ーーへへ…まにあってよかったぜー俺に感謝しろよ?」と、

魔物猫を撫でながら笑うー。


「グ…グレンさんー?」

ローズが涙目のままそう呟くと、

グレンは「ローズがこっそりこいつを可愛がってたのは知ってたよー。」

と、笑いながら呟くー。


その光景を、少し離れた場所から見つめるラッセル(ヴェネッサ)ー


「ーーぐ…ーー理解できぬー

 なぜ、身の危険を顧みず、そんなゴミを助けるのだー!?」

騎士団長のアシュトンは不満そうにそう呟くと、

グレンはアシュトンのほうを見つめながら言い放ったー


「ーー俺には、弱いモノイジメをするアンタの方が、ゴミに見えるぜー?」

とー。


「ーーぐ…」

アシュトンは表情を歪めながら悔しそうに身体を震わすと、

グレンは魔物猫の方を見つめながら言うー。


「ー別に、全部の魔物を滅ぼす必要なんてないだろー?

 もちろん、街を襲うようなやつらは絶対許せないけどー、

 こいつはそんなやつじゃないさー」


グレンはそこまで言うと、

アシュトンは「ー後悔するぞ」と、捨て台詞を残しながら立ち去っていくー。


「ーーあ、ありがとうございますー」

魔物猫の無事を、涙を流して喜ぶローズ。


「ーーー魔物もみんな、人間を襲うようなやつらじゃなきゃ、

 いいのになー。

 そしたら、こんな戦いをしなくていいのにー。」

グレンはそんな風に呟きながら、魔物猫を撫でるー。


「ーーーーーー…」

ラッセル(ヴェネッサ)は、そんな二人を見つめながら、

戸惑いの表情を浮かべると、二人に声をかけることなく、

そのまま宿の方に戻って行ったー。


”ーーーバカな人間どもー”

ラッセル(ヴェネッサ)はそう呟くー。


けれどー…


”ーーーーーーーーー”

不思議と、悪い気はしなかったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ー魔王様ー いいやー、”勇者”よー。」

ズールがそう言い放つー。


「ーーな…な、なにを言ってるのかしら?

 わ、わたしはー魔王よ」

咄嗟に誤魔化すヴェネッサ(ラッセル)ー


がー、ズールは剣を手にすると、

それをヴェネッサ(ラッセル)の前に置き、

”戦う気がない”ことを示し、その場で頭を下げたー。


「ー!?」

ヴェネッサ(ラッセル)が驚くー。


すると、ズールは「申し訳ございませんー。

実は、早い段階からあなたが魔王様ではないと、

気付いておりましたー」と、そう言葉を口にするー。


「ーーー…え…」

ヴェネッサ(ラッセル)は、その言葉に、一瞬

”そう言って、正体を自白させる策なのではないか”と、警戒するー。


がー、入れ替わってからズールと過ごし、

そのような卑劣な手段を使う者ではないと感じー、

静かに口を開いたー。


「ーー騙していてー悪かったー」

とー。


「ーーいや、勇者殿は悪くありませんー。

 それに、ここは勇者殿にとって敵地の真っただ中ー。

 正体を明かせば、無事では済まないと思ってのことでしょうからなー」

ズールの言葉に、ヴェネッサ(ラッセル)は気まずそうに頷くー


「ーー…そ、そっかー…それでー」

ヴェネッサ(ラッセル)は、ふと思い出したかのように

そう言葉を口にするー。


思えば、ズールは

”入浴”のことを聞いた時も、”闇魔導士アデン”のことを聞いた時も、

丁寧に説明してくれたー。

普通、”魔王様”が当たり前のように理解しているであろうことを、

まるで執事のように丁寧に説明する必要はないし、

聞かれれば疑問に思うだろう。

けれど、ズールはアデンのことも、お風呂のことも丁寧に説明してくれていたー。

恐らくはもう、その時点で入れ替わりに気付いていたのだろうー。


「ーーー…でも、どうして気付いていながら、俺をー?」

ヴェネッサ(ラッセル)がそう言うと、

「ーー最初は、”中身が勇者殿”と確信を持てたら、

 あなたを捕縛して、地下牢に幽閉するつもりでしたー」と、

ズールは言葉を口にするー。


「ーー~~~~… や、やっぱ俺、危ないところだったんだなー」

ヴェネッサ(ラッセル)が苦笑いすると、

ズールは「ーーしかし」と、言葉を続けるー。


「ーあなたのガロンと接する様子ー、

 そして、魔王城の中で過ごす様子を見ていて、

 私の考えも変わりましたー


 それにあなたは、ガロンのために身の危険も顧みず、

 勇者殿が滞在する村に向かったー。

 敵である我らのために、あなたは命を賭け、

 そしてガロンを救出したー。


 ーーーそれを見て、今日、こうして

 入れ替わりに気付いていたことを打ち明けようと

 そう思ったのです」


ズールのその言葉に、

ヴェネッサ(ラッセル)は、少しだけ笑うー。


「ーーー…俺も、”ズールとガロン”と言えば

 倒すべき敵としか思ってなかったけどー、

 今は違うー。


 もうー、二人とは戦えないし、戦いたくないー」


ヴェネッサ(ラッセル)がそう言うと、

ズールは「それは、私も同感ですー」と、頷いたー。


「ーーーーーー」

ヴェネッサ(ラッセル)は少し間を置いてから

ズールのほうを見ると、

「なぁ、俺たち戦わなくちゃいけないのかー?」と、

そんな言葉を口にするー。


魔物が人間を襲うー

人間が魔物を狩るー。


もう、それを終わりにすることはできないのだろうかー。


「ーーー……実は、魔王様も迷われているようですー」

ズールがそう呟くと、

ヴェネッサ(ラッセル)は「え?」と、首を傾げるー。


ズールによれば、”入れ替わり”の確信を得るために

村の周囲に偵察の役割を担う魔物を送ったようで、

ラッセルになったヴェネッサは、

村人たちを手伝い、さらにはグレンとローズとも

次第に打ち解けているのだというー。


「ーーー…そ、そっかー…」

そのことに、少しだけ安堵するヴェネッサ(ラッセル)ー


「ーーー……あのさー、

 魔王と一度、話、できたりしないかなー?

 どこかでこっそり会って、”今後”について、話したいんだー」


ヴェネッサ(ラッセル)の言葉に、ズールは頷くー。


「お安い御用でございますー

 私の部下の密偵を送り、魔王様にもお伝えしてみましょうー」


ズールはそう言葉を口にすると、

ヴェネッサ(ラッセル)は「ありがとうー」と、静かに頷いたー。


そしてーー


「そ、それとさー…」

ヴェネッサ(ラッセル)は少しだけ恥ずかしそうに

”もう一つお願いがあるんだけど”と、言葉を口にすると、

自分の格好を指差しながら、言葉を続けたー


「ーーま、魔王の格好ー

 その…ちょっと、俺は落ち着かないっていうかー…


 もっとー、ふ、普通の格好はないかなー?」


妖艶な衣装の魔王ヴェネッサー。

どうしても、こういう格好でいると落ち着かないし、

相手は魔王なのに、ドキドキしてしまうー。


”くそっ!何で俺は魔王にドキドキしてるんだー!”と、

入れ替わってから今日まで、何度も悔しいーそんな思いをしたー。


がー、そんな言葉にズールは笑いながら言葉を口にしたー


「残念ながらー、

 魔王様は、そのような格好を好まれておりましてー…

 勇者殿が望むような服は持ち合わせておりませんー


 それにー…

 他の魔物たちにまだ、入れ替わりのことを

 知られるわけにはいきますまい?」


ズールのそんな言葉に、ヴェネッサ(ラッセル)は

「だ…だめかぁ…」と、苦笑いしながらうなだれたー…。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


数日後ー。


ズールにより、ラッセル(ヴェネッサ)と、ヴェネッサ(ラッセル)は、

魔王城と、勇者が滞在する村の中間のあたりに存在する

泉の前で、”話し合い”をすることになったー


「ーーーーーーー…勇者ラッセルー…」

ラッセル(ヴェネッサ)は、”自分”の姿を見るとそう呟いたー


「ーーーーーー…」

ヴェネッサ(ラッセル)も、改めて”魔王”と対峙すると

やはり身構えてしまうー。


がー

意を決したように、ヴェネッサ(ラッセル)は言葉を口にしたー。


「ーーもう、こんなの終わりにできないかなー?


 人間は、魔物を狩るー。

 魔物が、人間を襲うー。


 二つとも、やめることができればー…

 俺たちも、こんな風に争わなくていいと思うんだー。」


ヴェネッサ(ラッセル)がそう言うと、

「綺麗事ねー…」と、ラッセル(ヴェネッサ)は言葉を口にしたー。


がー…

”ラッセルとして過ごしたあの村”を焼き払う光景を

頭の中に浮かべたラッセル(ヴェネッサ)は、寂しそうな表情を

浮かべると、

「ーでも、その綺麗事に乗ってあげても、いいわー」と、

そう言葉を口にしたー。



「ーーーーー」


しかしー、そんな二人を見つめる”影”があったー。


”勇者殿が、魔王とー?

 これはこれは、驚いたなー

 勇者は、魔王と内通していたのかー”


騎士団長のアシュトンー。

勇者を良く思わない彼が、息をひそめてその様子を見つめていたー。


”ちょうどいいー。

 魔王も裏切者の勇者も蹴散らしー、全ての功は我らのものー”


アシュトンは笑みを浮かべると、

潜ませていた部下たちに合図を出しー、

今、この瞬間に二人を襲撃しようとしていたー


・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーー人間どもと和解するつもりですかー

 ヒヒヒー…」


魔王城ー。

水晶玉のようなものを手に、

そう呟いた”闇魔導士・アデン”はー、

笑みを浮かべるー。


「ーーそうはいきませんよー魔王様ー」

アデンはそう呟くと、謎の呪文を唱えー、

魔蝙蝠の群れを呼び出すと、

「行きなさいー。魔王と勇者を喰らいつくすのですー」

と、そう言葉を口にしたー…。



⑤へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


次回が最終回の予定デス~!☆

どんな結末が待ち構えているのか、

ぜひ見届けて下さいネ~!☆


今日もお読み下さりありがとうございました~~!

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Comments

飛龍

実は入れ替わりに気づいてたとは、話が一気に動き始めましたね〜 人間と魔族が和解できそうなところに邪魔する気配が……‼ どうなるのか続きが楽しみです〜‼

無名

ありがとうございます~! ずっと魔王様を見守っていたからこそ、気付けたみたいですネ~★ 続きも頑張ります~~!☆!

lqbz5

There will be a dangerous battle,they need to learn to use the ability and power of their new body and identity as soon as possible

無名

コメントありがとうございます~!☆ 勇者も、魔王も、新しい身体で ちゃんと力を使えるようになるといいですネ~! 次が最終回の予定なので、ぜひ楽しんでくださいネ~!