Home Artists Posts Import Register

Content

「ーーーくっ…つ、強いー」


禍々しい邪悪なオーラの漂う魔王城ー。


その”魔王の魔”で、

勇者ラッセルは、勇者の剣を手に、魔王に立ち向かっていたー。


「ふふふふー

 今、降参すればわたしのしもべにしてあげても、いいのよー?」


妖艶な雰囲気を持つ女魔王・ヴェネッサが、

クスクスと笑いながらそう呟くー。


「ーーふざけるなー…」

勇者ラッセルが、苦しそうにしながらも剣を手に、

その場に立ち上がるー。


とある平和だった王国ー。

しかし、ここ数年は、魔王ヴェネッサが率いる魔物の軍勢によって、

人類は存亡の危機に立たされていたー。


そんな、ヴェネッサに立ち向かうべく、ここまで旅を続けて来たのが

勇者の血を引くとされる勇者の末裔・ラッセルだー。


数々の町を訪れ、数々のダンジョンを超え、

数々の魔王の配下を倒し、

ようやくここまでやってきたー。


しかし、魔王ヴェネッサの力は強大ー。

勇者ラッセルは、次第に追い詰められていたー


「ーーーラッセル!」

その時だったー。

魔王の間の入口から声がするー。


そこには、頭にハチマキを巻いた熱そうな雰囲気の

戦士・グレンと、

巫女服姿の”回復魔法使い”ローズの姿があったー。


グレンとローズは、最上階に来る途中に立ちはだかった

魔王軍の幹部を前に

”ラッセルは先に!”と、その場に残っていたものの、

どうやら魔王軍の幹部をそれぞれ葬ることに成功したようでー、

後からこの魔王の間にたどり着いたのだったー。


「ーふふふふ…

 人間がいくら集まろうと、無駄よー」

魔王ヴェネッサがそう言葉を口にするー


「随分と色気のある魔王様だなー…

 ーーー…ん?」

勇者の仲間・グレンはふと、魔王ヴェネッサのほうを見て

あることに気付くー。


”これならいけるかもしれねぇ”

そう思ったグレンは、ラッセルの横で耳打ちするー


「俺があの魔王の気を引くー。

 ラッセル、お前はその隙に全力の攻撃を叩きこめー」

グレンの言葉に、ラッセルは「ー気を引く?どうやってー?」と、

そう言葉を口にするー。


しかし、グレンは「任せとけってー」と、笑みを浮かべると、

巫女・ローズに”援護を頼む!”と叫びながら魔王ヴェネッサの方に向かったー。


「ーーふんー無駄だと言ったでしょう?」

笑みを浮かべる魔王ヴェネッサー。


しかしーーー

グレンは突然、ジャンプすると、魔王ヴェネッサの背後に回り込みーーー


その、胸を揉んだー


「ーー意外と、小さいじゃねぇかー」

グレンが笑いながら、妖艶な雰囲気とは裏腹に

意外と小さい魔王ヴェネッサの胸を揉むー。


「ーーーなっ…」

胸を揉まれた魔王ヴェネッサは顔を赤らめるー。


”へへー、思った通りー”

色気を溢れさせている感じの女魔王・ヴェネッサ。


しかし、その姿を見て、グレンは

意外と胸が小さいことに気付き、

”こういうタイプの女は、気にしているかもしれない”と、

そう思い、背後からヴェネッサの胸を揉んだのだー


全ては、勇者ラッセルが攻撃するための隙を作るためにー


「ーへへ…魔王様、もしかして貧乳?」

ニヤニヤしながら煽るグレンー。


「ーー貴様…!ただじゃ済まさないわよ!」

顔を真っ赤にしながら、ヴェネッサが、グレンのほうを

振り向いて、その首を掴むー


がー、

勇者ラッセルはその背後で勇者の剣に力を貯めー、

その件から、光を溢れさせていたー。


「ーーー!」

胸のことを指摘され、熱くなっていた魔王ヴェネッサが

その気配に気づくー


慌ててグレンを放り投げて、

「ー貴様…!」と、叫びながら、”闇の力”を、慌てて

チャージし始めるー。


「ーー魔王ヴェネッサーー

 これで、終わりだっ!」

勇者ラッセルが、勇者の力を最大限までため込んだ

勇者の剣を手に、魔王ヴェネッサめがけてそれを振るー


「ーー小癪なー!」

魔王ヴェネッサも、急いでチャージした闇の力でそれを迎え撃つー。


光と闇ー。

あまりにも強大な力がぶつかり合いーーー

やがて、そのエネルギーは…

大きな爆発を引き起こしたー


「ぐああああああっ!?」

「ーーーぐっ!?」


勇者ラッセルの身体が、魔王の間の入口辺りまで

吹き飛ばされてるー


「ーラッセルさん!」

巫女・ローズが慌てて駆け寄りー、

魔王に先ほど投げ飛ばされた仲間のグレンもラッセルのところに駆け寄るー。


「ーー!」

ラッセルは気を失っているー。

すかさず、グレンが魔王ヴェネッサのほうを見ると、

ヴェネッサも玉座に身体を打ち付けて気を失っていたー


”ーー今のうちに、殺っちまわないとー”

グレンはそう思い、巫女のローズにラッセルを任せて

ヴェネッサに近付こうとするも、

すぐに、魔王軍の幹部二人が姿を現したー。


「ーーー…お前ら、まだー!」

グレンが表情を歪めるー。

ここに来るまでにグレンとローズが倒したはずの二人ー。


”ズール”と”ガロン”の二人が、気を失った魔王ヴェネッサを

守るようにして立ちはだかったのだー。

ズールは紫の鎧ー、ガロンは黒の鎧に身を包んでいて、

その姿は見えないー。


「ーーー魔王様ー」

ガロンが心配そうに、気を失った魔王ヴェネッサを見つめるー。


「ーーくっーー…」

グレンは、そんな二人の様子を見つめながら、

「一度、引こう」と、ローズに言葉を口にするー


今は魔王ヴェネッサを倒す最大の好機なのは間違いないー。

しかし、満身創痍のこの状態で戦えば

グレンもローズも命を落とし、魔王は倒せずに終わるー…

という最悪の結末になる可能性も高いー。


今は撤退が最良だと考えたのだー


「ーー……分かりましたー」

ローズは戸惑いながらも、錫杖を手に、何かを唱えると、

”ワープ魔法”を使って、近くの宿場まで撤退すべく、

ラッセル、グレンごと、その場から姿を消したー。


「ーーーー」

魔王軍の幹部・ズールはその様子を見つめながら

警戒を解くと、

「ーー必ず魔王様をお救いするのだー」と、

気を失ったままの魔王ヴェネッサを、慌てて別の場所へと

運び始めたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーーー!」

宿場で、治療を受けていたラッセルが目を覚ますー


「ーーー…ーーー」

周囲を見渡すラッセルー。


「ーーこ、ここはー…?」

ラッセルがそう言葉を口にすると、

すぐに表情を歪めたー。


「ーーえ…」

自分の口元を触るラッセルー。


すると、そこに少女がやってきて、

「あ!勇者さま!」と、嬉しそうに言葉を口にしたー


「ーーゆ、勇者ー?」

戸惑うラッセルー。


「ーーゆ、勇者とは、何だー?」

ラッセルが思わずそう言葉を口にすると、少女は

少し怯えた表情を浮かべるー。


「ーーー……い、いやーー…なんでもないー」

ラッセルはそれだけ呟くと、その少女は困惑した様子で

その部屋の外に走っていきーー、

やがてー、”見覚えのある二人”が部屋に入って来たー


”こやつらー、勇者の仲間のー…!”

ラッセルがそう思いながら見つめる視線の先には、

勇者の仲間、グレンとローズの姿があったー


「ーおぅ、ラッセル、目を覚ましたかー」

「ラッセルさんー無事で何よりですー」


そう言葉を口にするグレンとローズ。


”こ、これは一体ー…?”

ラッセルはそう思いながら、近くに置かれた

”勇者の剣”に反射する自分の顔を見つめるー


”こ、これは、勇者ー!?”

ラッセルはーー

いいやー、”ラッセルになってしまった魔王ヴェネッサ”は、

そう心の中で呟くー。


「どうか、しましたかー?」

巫女・ローズが不安そうに呟くー。


そんなローズのほうを見て「い、いやー…」と、

ラッセル(ヴェネッサ)は呟くと、

2人が安堵の表情を浮かべながら会話しているのを見つめつつー

邪悪な笑みを浮かべたー


”まさか、わたしが勇者になってしまうとはー

 だが、これはチャンスかもしれないわー…”


ラッセル(ヴェネッサ)は、そう思いながらー…

”だがーー今この場で事を起こすのは、危険だー”と、

そのまま表情を歪めて、

「ーー……ま、魔王はどうなったー?」と、

ラッセルのフリをしながら、二人に言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーーえ…」

一方、魔王城で意識を取り戻した

ヴェネッサは表情を歪めていたー。


目を覚まして、まず目に入ったのが、

妖艶な悪女の格好をした自分の太腿ー


「ーー……!?」

思わず、顔を赤らめながら、ヴェネッサになってしまった

勇者ラッセルは困惑するー。


「ーこ、この服ー…」

ヴェネッサ(ラッセル)は、すぐに

”自分の着ている服”が、魔王ヴェネッサのものであることに気付くー。


そんなに大きくない胸も視界に入り、

ドキッとしてしまうと、

ヴェネッサ(ラッセル)は、首を横にぶんぶん振りながら、

”人間を破滅させようとする相手にドキッとするなんてー”と

必死に煩悩を振り払おうとするー。


「ーーー…」

そして、立ち上がるとそこは、”ヴェネッサ”の部屋らしき場所だったー。


部屋全体は、魔王の城らしく暗い感じだがー、

可愛らしい飾りのようなものや、置物ー、

そして、魔王ヴェネッサの小さい頃と思われる、

”先代魔王”と一緒に写っている写真らしきものも飾られていたー


「ーーーー…」

”こういうところは、人間と変わらないんだなー”

ヴェネッサ(ラッセル)はそんな風に思うー。


もっと、拷問された人間の屍とか、

血の滴る食事とか、ギロチンとか、そんなヤバそうなものが

部屋に置かれているのかと思っていたが、

案外、そういうわけではないようだー。


「ーーーーーーー…ってー…こ、この状況は一体ー!?」

自分が魔王ヴェネッサになってしまっていて、

魔王城の中にいる状況であることは分かったー。


しかし、何故ヴェネッサになってしまったのかー。

それに、自分がヴェネッサになってしまっているということはー、

”俺の身体”はどうなっているのかー


「まさかー…」

ヴェネッサ(ラッセル)は、これは魔王ヴェネッサの仕掛けた魔術か何かで、

ラッセルの身体を使い、何かを企んでいるのではないかと、

そんな嫌な予感を覚えたー。


慌てて部屋から飛び出そうとするヴェネッサ(ラッセル)ー。


しかしー、その直後だったー。


扉が開き、紫の鎧を身に纏う”ズール”と、

黒い鎧を身に纏う”ガロン”が姿を現したー。


「ーーーーー魔王様ー」

ズールが言葉を口にするー。


魔王軍の幹部二人はほぼ無口ー。

特に、黒い鎧のガロンの方は喋っているのを

ラッセルたちは見たことがないー。


「ーーー…ーー…」

ヴェネッサ(ラッセル)は少し戸惑いながらも、

「ーーふ、二人とも…ご苦労だったー…わ…」と、

ぎこちなく、魔王ヴェネッサの普段の言動を

イメージしながら、そう言葉を口にするー。


まだ、身体にダメージが残っているー。

ラッセルも、魔王ヴェネッサもそれなりにダメージを受けたということ

なのだろうー。


それにー、ラッセルは剣術には長けているものの、

”魔王の身体で魔術を使う”ことには当然長けていないー。

この状態で正体がバレれば、最悪の場合は何もできないまま

殺されることになりかねないー。


「ーーーーご無事で、何より」

紫の鎧の幹部・ズールがそう言葉を口にするー。


するとー、無口の黒い鎧の幹部・ガロンが

突然近付いて来たー。


「ーーー!」

ヴェネッサ(ラッセル)は咄嗟に身構えるー。

もう、正体がバレてしまったのでないかと、ヒヤッとするー。


だがーーー…


「ーーーよかったー…」

黒い鎧の幹部・ガロンが、ヴェネッサ(ラッセル)に抱き着くー


”えー…女?”

黒い鎧に身をまとい、顔も見えず、声も発しなかったため

敵対している時は気付かなかったが、”ガロン”は女のようだー。


そしてーー


「ーーわたしを、一人にしないでー」

黒い鎧が開くー。


そして、中から出て来たのは、

敵対していた時には想像もつかないような、

銀髪の普段は無表情そうな雰囲気を持つ、華奢な少女だったー。


目に涙を浮かべながら、魔王ヴェネッサの無事を喜ぶ

”ガロン”を名乗る少女ー。


「ーーーえ…… あ…… そ、そんなに泣かないでー?」

戸惑いながら、ヴェネッサ(ラッセル)は、

”魔王様”の無事を喜ぶ少女を前に、そう言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーー…うっ… うぁぁぁぁっ…」


勇者ラッセル一行が避難した村では、

ラッセルの傷を治すべく、

巫女のローズが”光の回復魔法”をかけていたー。


がーー

突然、ラッセル(ヴェネッサ)が苦しみ始めたのだー


「ら、ラッセルさんー!?」

巫女のローズが驚くー。


「おいおいーローズちゃんー

 回復魔法と間違えて、毒魔法かけたんじゃー?」

呆れ顔の仲間・グレンー。


しかし、ローズは「いえ、確かに回復魔法をー」と、

不思議そうに首を傾げるー。


「ーーはぁ…はぁ… い、いや、大丈夫ー」

ラッセル(ヴェネッサ)は表情を歪めるー。


”まさか、魔王のわたしが”中身”だから、光の回復魔法で

 逆にダメージを受けてるってことー?”


ラッセル(ヴェネッサ)は苦しそうにしながら立ち上がるー。


”まだ勇者の身体も回復していないー

 ここで入れ替わってることに気付かれたらー…


 この村には王宮の騎士団もいるみたいだしー

 うかつなことはできないー”


ラッセル(ヴェネッサ)は心の中でそう呟くと、

困惑した表情を浮かべたまま

「ーーま、魔王の魔法を喰らったことに何か関係があるのかもしれないー」と、

魔王の攻撃を受けたことで、ローズの回復魔法が上手く効かないんじゃないか、

と、適当に誤魔化し、しばらく回復魔法をかけないでほしい、と

ローズに伝え、勇者一行が宿泊している宿に向かって歩き出すー。


「ーーーー早く城に戻らないとー

 それに、”わたし”がこうなってるってことはー…」


ラッセル(ヴェネッサ)は険しい表情を浮かべながら、

一人、静かにそう呟いたー。



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


勇者(♂)と魔王(♀)の入れ替わりデス~!


お互いに敵の真っただ中で、素性を隠して

生活することに…☆!


このあとも色々大変なことが起きそうですネ~!☆


続きはまた次回のお楽しみデス~!

今日もお読み下さりありがとうございました~!

Files

Comments

飛龍

女魔王が良いキャラしてて続きがすごく楽しみ~!

無名

ありがとうございます~!☆! ひーちゃんと言えば…な、要素をせっかくなので入れて見ました!笑