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「今の僕なら、付き合ってくれるー?」

可愛らしい笑みを浮かべながらー、

横にいた男子に”告白”する彼女ー


「ーなっーーー」

”告白”されたクールそうな雰囲気の男子は

驚いたような表情で、少しだけ顔を赤らめるー


”どうして、こんなことにー…?”

彼は、そう思いながらも、彼女のほうを見つめるーーー。


そう、戸惑わずにはいられないー。

だって、告白してきた相手はーーー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


1ヵ月前ー…。


楽しそうに雑談をしながら、

今日も一緒に通っている高校から下校する二人ー。


一人は背が高く、クールな雰囲気を持つ男子生徒で、

もう一人は比較的小柄で、大人しそうな雰囲気を持つ男子生徒ー。


二人とも、見た目通りの中身で、

クールな雰囲気を持つ男子・上村 直之(うえむら なおゆき)は、

寡黙で、いつも物事を冷静に判断するタイプー。

小さい頃から、克樹のことを何かと気遣ってくれていて、

本人曰く”何となく放っておけない”ようだー。


一方の、小柄な雰囲気の男子・笹西 克樹(ささにし かつき)は、

気弱な性格で、どちらかと言うと、

外で遊ぶよりも、本を読んだり、ゲームをしたりする方が好きなタイプー。

ただ、直之によって色々支えられてきたからか、小さい頃とは違い、

特に直之の前では、明るく、口数自体は多いー。


性格的には、まるで違う二人ー。

しかし、直之と克樹は、まだランドセルを背負っていた頃からの

大の仲良しで、中学・高校と進んでも

通う学校も偶然同じという、腐れ縁が続いているー。


今日も、楽しそうに克樹の方が、色々なことを話しながら、

直之が、そんな克樹の話を、静かに聞くー。

そんな感じで、下校している最中だった二人ー。


克樹は、直之と話している時は、本当に楽しそうだー。


「それにしても僕、小さい頃から直くんに

 助けられてばっかりだなぁ…」

そんな言葉を口にする克樹ー


「そうかー?別に俺は何もー…」

直之が、別に誇らしげにするような様子もなく、

淡々とそんな言葉を口にすると、

「あ~そういうクールなところに憧れる~!」と、

克樹は笑うー。


「ーーだって、小さい頃、僕をイジメから守ってくれたしー…

 今の僕があるのは、本当に直くんのおかげだよー」

克樹が、そんな言葉を改めて口にするー。


直之は少し照れくさそうに

「そ、そうかー?

 俺はクラスメイトがいじめられてたから助けただけだし、

 そんな気にすんなー」と、

そう言葉を口にするー。


「ーーーー」

そのまま二人で歩きながら、少し間を置いてから、

克樹は、ふと言葉を口にするー


「そういえばさ、直くんって誰かと付き合ったりしてるの?」

克樹のそんな言葉に、直之は「いや」と、即答するー。


「へ~…じゃあ、好きな子とかは?」

克樹がなおも興味深そうにそんな言葉を口にすると、

直之は少しだけ、目を細めて、考えるような仕草をしたあとに、

言葉を続けたー


「いや、いないなー」

とー。


「ーあはは、そうなんだー」

克樹が笑うー。


”ーーーーーー”


克樹は、そんな直之の横顔を見るー。

どことなく、中性的な雰囲気のクールな男子…


直之はそんな感じの男子だー。


そしてー…

克樹は直之に対して”友達以上”の感情を抱いていたー。


”男同士”になってしまうことは理解していたしー、

当然、”僕は良くても、直くんはそんなこと、夢にも思ってないだろうなー”

と、それも、理解しているー。


だがー、小さい頃からいじめから守ってくれたりー、

どんな時でも救いの手を差し伸べてくれてー、

その上、克樹からすれば”カッコいい憧れの存在”である

直之に、克樹は友達以上の感情を抱いていたー。


そんなことを考えているうちに、やがて、

帰宅するために、別々の方向に向かって歩き出す道にたどり着くー


「ーじゃあ、今日はこれで」

克樹が少し寂しそうにそんな言葉を口にすると、

直之は「あぁ。また明日」と、いつものように穏やかに

言葉を口にするー。


「ーうん」

克樹は少し元気ない様子で頷くと、

直之の後ろ姿を見つめたー。


克樹は、直之のことが”好き”だー。

どういう好きかは分からないがー、

少なくとも、友情以上の感情であることは分かるー。


しかし、克樹がいくら望んでも、直之が首を縦に振らなければ

そこまでだし、

直之の側は、恐らく克樹に対して”親友”以上の感情は持っていないー。


それ故に、克樹は”直くんを困らせちゃだめだ”と、ずっと

自分の気持ちを押し殺してきたー。


けれどー…


「ーーー僕はーー」

一人残された克樹は、悲しそうに一人、そう呟くと、

何かを決意したかのような表情を浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


僕なんかに好意を向けられても、直くんは困るだけー。

だから、僕はずっと、”親友でいられるだけでも十分”だと、

彼は、ずっとそう思ってきたー。


けれどー…

たとえ、これで終わってもー

たとえ、嫌われたとしてもー。

それでも、僕はー


克樹は、そんなことを思いながら、

直之を呼び出していたー。


克樹が、”焦り”を感じている理由ー。

それは、今、自分たちが”高校3年”だからー。


既に二人とも大体の進路は決まっていて、

恐らくこのまま順調に進めば、

それぞれ別々の大学に進むー。

高校までは”偶然”一緒だったが、流石にその”偶然”も

ここまでのようだったー。


そしてー、”卒業”すれば、

今のように一緒にいられる時間はなくなるー。


だからー、後悔しないようにと、自分の気持ちを、

克樹は伝えようとしていたー。

もちろん、それは自己満足かもしれないことは分かっているー。

伝えることで”直くん”を困らせてしまうかもしれないこともー。


でも、それでも伝えたかったー。


「ーーーー直くんー」

色々考えながら、克樹は”男”から”男”への告白をしたー。


もちろん、お互いが望めばそれは何も問題ではないー。

しかし、相手が異性でも、同性でも、相手がそれを望んでいなければ

恋人同士になることはできないー。

それが、人間だー。


「ーーーーーそうか」

”直くん”の第1声はそれだったー。


”僕なんかが告白すれば、直くんは笑うかもしれないー

 怒るかもしれないー、引かれるかもしれないー”


そんな、色々な可能性を想定していたー。


だが、直之は、”予想”していたどの反応も示さなかったー。

ただ、ふぅ、と息を吐き出すと、難しい表情を浮かべるー。


そんな彼に対して、今一度、”僕は直くんのことが好きなんだー”と、

勇気を振り絞って、そう言葉を口にするとー、

彼は、真剣な表情のまま、答えたー。


「ーごめん。俺は、”男同士”はちょっとー」

とー、そう、ハッキリと答えたー。


「ーーーー…」

分かってはいたー。

だが、その返事に、克樹は泣き叫びたくなるぐらいに、

強い衝撃を受けたー。


「ーーー笑わないの?」

強い衝撃を受けつつ、

克樹は、やっとの思いで、そんな言葉を吐き出すー。


すると、直之は真剣な表情で、「笑うもんか」と、言いながら、

克樹のほうを見つめると、言葉を続けたー。


「ーーーごめんなー。

 別に、男子同士だって女子同士だって、俺は偏見とかはない。

 

 ただー、そうだなー…俺はこの通り、

 恋愛自体にあんまり興味はないしー…

 ーー多分、恋愛対象は”女”だと思うから、

 今、お前と付き合ったとしても、

 俺はお前の気持ちに答えることができないー。


 ”親友”であるお前に嘘をついて付き合うなんてことは、

 俺にはできないー。

 だから、ごめんー」


直之のそんな言葉に、克樹は「うんー」と、無理に返事をするー。


直之は、直之なりに、真剣に考え、

そして答えてくれたのだー。


その答えが、自分の理想の答えにならなかったとは言え、

そのことに感謝しつつ、「ありがとうー」と、

克樹は心からそんな言葉を口にしたー。


「ーーいいさー。」

直之は、それだけ言うと、

少しだけ笑いながら「少しだけ驚いたけどー」と、

珍しく、クールな表情に、笑みを浮かべながら、

「ーでも、憎まれてるより、全然いいー」と、

彼なりの表現で、そんな言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


”親友”ー。

自分の気持ちを吐き出したあの日以降も、

その間柄は変わらなかったー。


克樹は、最初、”避けられてしまうかも”と、

そんな風に不安に思っていたけれど、そんなことはなく、

直之はこれまで通り、何も変わらず接してくれたー。


克樹自身も、直之に告白したことで、気持ち的にはスッキリしたー。

お互い、大学に進めば会う機会も減ってしまうかもしれないけれどー、

それでも、もう、後悔はないー。

そんな風に思っていたー。


がー…”それ”は起きたー。


理科の授業の実験中ー、

クラスの男子の一人が、実験に使う薬剤をふざけて色々と混ぜた挙句ー、

それをこぼしてしまい、変な色の煙が噴き出したー。


不幸なことに、一番近くにいた克樹は、その煙に包まれてしまい、

意識を失いー、そのまま保健室に運び込まれる事態が起きてしまったー


しかもーーー


「ーーーーー…」

眠っている克樹のほうを、心配そうにー、

そして、困惑した表情で見つめている直之ー。


やがてー…克樹がゆっくりと目を開くと、

直之は「ーー良かったー」と、心底安堵したような表情を浮かべたー


「ーーー…あははー直くんー、

 そんな心配そうな顔、するんだー」


意識を取り戻した克樹は、直之の顔を見つめながら

少しだけ笑うと、直之は

「まるで俺が冷徹なロボットみたいな言いぐさだなー」と、

そんな冗談を口にするー。


がー…すぐに、克樹は自分の異変に気付くー。


「ーーそういえば、なんか、僕の声、変だねー…

 あの煙に、喉でもやられたのかなー…?」

まだベッドに横たわったまま、そんな言葉を口にする克樹ー。


克樹を見つめながら、直之は表情を歪めるー。


「ーーーーーー」

克樹の姿を見つめー、”なんて説明したらよいのか”ー

そんなことを、頭の中で考えるー。


そうこうしているうちに、克樹が身体を起こすとー、

「ーーえ…」と、表情を歪めたー。


それもそのはずー。

克樹の身体には”ないはず”の胸の膨らみがそこには

あったからだー


「ーーえ…??な、なにこれー…?」

克樹が、可愛い声で戸惑いの様子を浮かべているのを見て、

直之は、保健室の中にあった鏡を手に、それを克樹の方に向けたー


「ーー…落ち着いて聞けー。

 これが、今のお前の姿だー」

とー。


「ーーえ……あは、まさかぁー

 僕がこんなに可愛いはずなーー…」


そこまで言いかけて、克樹は言葉を止めるー。


「ーーーえ」

鏡に映る”可愛い子”が、自分が喋ろうとした言葉と”同じ”

口の動きをしているー。

驚かずには、いられないその光景に、

克樹は口を閉ざしたー。


「あの変な煙を吸って、倒れた後、

 お前の身体がどんどん、変化していってー…

 そんな状態にー」


直之が、困惑した様子でそう言うと、

戻って来た保健室の先生も、克樹のことを心配そうに確認するー。


「ーーぼ、僕ー…でも、なんともありませんよー…?」

戸惑う克樹ー。


その様子を横で見ている直之も戸惑っているー。


そう、この日ー

克樹は、”女体化”してしまったのだー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


そして、克樹が女体化してから1か月が経過した現在ー。

直之は、克樹に”再告白”されていたー。


しかし、今度は”男から男への告白”ではないー。

”女から男への告白”ー


「ーーー前は振られちゃったけどー、

 ほら、今の僕はーー女だしー、どうかな?」

克樹のそんな言葉に、普段クールな直之も、

珍しく戸惑いの表情を浮かべるー。


この1か月ー。

女体化した克樹は、どんどん”女子”っぽくなっていて、

正直、可愛いとさえ思ったー。


女体化した克樹が、悩んでしまうことも危惧していた直之ー。

しかし、克樹は元々”女”の方が相性が良かったのかもしれないー。

自分が可愛いことを自覚してなのか、それとも天然なのかは

分からないが、とにかく、可愛いー。


クラスでも”孤立”することなく、普通に女子として

以前よりも周囲から話しかけられるような、そんな状態になっているー。


むしろ、女体化した後の方がイキイキとしているように見えるし、

クラスのみんなが、”克美”と呼び出したことで、

その名前が勝手に定着しているー。


元の名が”克樹”だから、名前も女体化させて”克美”ということらしいー。


「ーーだ、だめかなー?」

女体化した克樹ー”克美”が恥ずかしそうにそんな言葉を口にするー


「ーーーー俺はー」

”そ、そんな目で俺を見るなよー”と、内心で直之は激しく動揺しながら、

”克美”のほうを見つめるー。


そしてーーー…

直之は意を決して口を開いたー。



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


女体化してしまった親友に告白される(?)お話デス~!★

女体化した本人は、今のところ、悩むどころか

上手く状況に適応している感じですネ~!★


続きはまた次回デス~!

今日もありがとうございました!!!

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