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消えてしまった遥香の行方を探す、兄の尚政ー。


彼女の結奈の協力も得て、

数少ない情報を頼りに、遥香の身に起きたことに

少しずつ近づいていくー。


しかし、そんな動きを察知した悪の組織リベラティオ帝国は、

洗脳されて、戦闘員と化した遥香を連れ、

あえて、尚政の前に姿を現したー。


洗脳された遥香の姿に呆然とする尚政ー。


さらには、リベラティオ帝国幹部のプルデンスは、

尚政の彼女である結奈を捕らえ、

目の前で”戦闘員”に仕立て上げようとしていた…!


★前回はこちら↓★

<MC>今日からお前は戦闘員②~闇の足音~

悪の組織・リベラティオ帝国ー。 彼らは、一般人を連れ去り、洗脳した上で ”戦闘員”として利用していたー。 そんな悪の組織の存在など、全く知らないごく普通の 男子大学生・尚政ー。 しかしある日、その尚政の妹・遥香がリベラティオ帝国に 捕まってしまい、戦闘員にされてしまう… ★前回はこちら↓★ ・・・・・・・・・...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーどのようにして、人間が我々に忠誠を誓う戦闘員になるのか、

 この女で実演してみせよう」

魔界賢者・プルデンスが笑みを浮かべながら、

錫杖を尚政の彼女である結奈に向けるー。


「ーーや…やめろ!」

尚政は必死に走ったー。


だがー、

背後から、尚政の腕が掴まれるー


「くそっ…離せ!」

尚政が振り返って、その手を乱暴に振りほどこうとするも、

尚政を掴んだのは、”洗脳された”妹の遥香ー。


ハッとして、尚政は乱暴に振りほどこうとしていたのを

やめてしまうー。


「ーーーあの女もー、リベラティオ帝国に忠誠を誓うー」

遥香が無表情のまま、そう言葉を口にするー


まるで、操り人形ー、いや、ロボットかのようにー。


そんな遥香に対して「め、目を覚ませ!」と、必死に声を掛けるも、

遥香は完全に、あの怪しげな賢者に洗脳されていて、

正気を取り戻す雰囲気は、ないー。


そうこうしているうちにー、プルデンスの錫杖から、

結奈に赤い光が放たれるー


結奈の表情から、人間らしさも、恐怖もー、何もかもが消えて、

虚ろな無表情に変わっていくー


「ゆ、結奈ーーー! くそっ!お前ら!」

尚政が怒り狂って叫ぶー。


しかし、洗脳された遥香と、もう一人の戦闘員が、

尚政の腕を掴んでいて、尚政は身動きを取ることすらできないー。


「ーークククー愛する彼氏の前で

 我らに忠誠を誓うが良いー」

プルデンスが邪悪な笑みを浮かべながらそう言い放つと、

結奈は無表情のまま答えたー


「ーーはいー…わたしは、リベラティオ帝国にこの身を捧げますー」

とー。


その場に跪き、プルデンスに忠誠を誓う結奈ー


「ふ、ふざけんな!おい!結奈を!遥香を元に戻せ!」

尚政は、そう叫ぶとー、

横にいる遥香のほうを見つめるー。


「ーーこれからは、お主は我が帝国のために永遠に働く

 戦闘員ー。

 そのような服など、必要ないー」


プルデンスは、結奈の可愛らしい服装を見つめながらそう言うと、

”戦闘員用”の無機質な全身タイツを、手に、それを結奈に手渡したー


「ーーすぐに着替えるが良い」

プルデンスがそう言うと、結奈は「はいー」と、だけ答えてー

その場で、無表情のまま、手つきは乱暴に

自分の服を脱ぎ捨て始めたー。


もはや、服のことなど興味がないかのように、

土の上にそのまま投げ捨てて、下着姿を晒すー


「ーー…や…やめろ…やめろよ…!」

尚政は、悔しそうにそう叫ぶー。


「ーーくそっーー…このままじゃー」

尚政はそれだけ呟くと、もう一度、遥香のほうを見つめるー。


”このままこうしていてもー”

事態が良くなることはないー。

このままじゃ、結奈も完全にやつらの戦闘員にされてしまうし、

さらに状況は悪化するだけー。


「ーー遥香ー…ごめん!あとで何でも奢るから!」

尚政がそう叫びながら、遥香の手を乱暴に振りほどくと、

もう一人の戦闘員を蹴り飛ばすー。


「ーーーシャーーー!!!!」

奇声を上げながら襲い掛かって来る遥香に対し、

尚政はなんとか攻撃をかわして、遥香を突き飛ばすと、

そのまま結奈の方に向かって走ったー。


がー、結奈は既に戦闘員用の全身タイツを身に着けー。

冷たい目で振り返ったー。


「ーーその者は、リベラティオ帝国の敵ー。

 お主の忠誠心を、見せてみよ」

魔界賢者・プルデンスの言葉に、結奈は頷くと、

そのまま尚政に対して攻撃を仕掛けて来るー


「結奈!結奈!頼む!目を覚ましてくれ!」

尚政は、結奈にも必死に声を掛けたー。


がー、結奈が正気を取り戻す気配はなく、

悪の組織に完全に身を委ねてしまっている状態ー。


「ーーくそっ!結奈!」

尚政が、悲しそうにそう呟くー。

結奈のグーによるパンチが、容赦なく叩きつけられるー。


倒れ込んだ尚政を無視して、

結奈はプルデンスの方に戻ると、

プルデンスから、”髑髏の仮面”を手渡されるー。


「ーー全ては、リベラティオ帝国のために」

結奈はそう呟くと、

仮面を身に着けて、

”目の前にいるのが結奈であること”が、分かる材料は

何も、無くなってしまったー。


全身タイツに、髑髏の仮面ー

中身が誰だか分からない、無個性な戦闘員と化した結奈が

尚政に再び襲い掛かって来るー


「ーー結奈…!」

尚政は、心を抉られるような思いをしながらも、

結奈を傷付けすぎないように、慎重に戦いを続けていくー。


本気で反撃できない状況で”戦闘員”と化した

結奈や遥香、そして残りの戦闘員たちを抑えることは

かなり厳しい状況ー。


ただ単に時間を稼いでいても、遥香や結奈が急に

”わ、わたし、何してたの…!?”などと、都合よく正気を取り戻す

可能性は限りなく低いー。

このままでは、やがて尚政は体力を消耗しー、

この訳の分からない賢者と、洗脳された人々によって

倒されてしまうー


”俺まで戦闘員にされてしまったら終わりだー”

尚政は、髑髏の仮面を身に着けている結奈のほうを見つめるー。


正直、素顔も素肌も一切見えない状態では、

どれが結奈だかすら、戦っているうちに分からなくなってしまいそうになるー。


がー、遥香は仮面を落としている状態で、

他の戦闘員は体格的に男だと思われる状態のためー、

辛うじて、結奈を見分けることはできるー。


”結奈ー…”

尚政は、きっと、どんなに強靭な精神力を持ってしても、

あの賢者の洗脳には逆らえないことを悟るー。


結奈はとても芯の強い、しっかりした子だー。

その結奈が目の前であっさり洗脳されたー。

”俺は大丈夫”などと思える根拠はないー。

おそらく、あの錫杖の餌食になれば、尚政も一緒に

戦闘員になってしまう。


”ーーーー…けど、このままこうしてるわけにもいかないー”

尚政は、遥香は結奈、他の戦闘員の攻撃をかわしながら、

密かに、ある作戦を練っていたー


必死に結奈たちの攻撃を避けているフリをしながら、

少しずつ、少しずつ、魔界賢者プルデンスとの距離を詰めているー。


”ーーあの錫杖さえぶっ飛ばせばー”

尚政は、魔界賢者プルデンスとの距離を十分に詰めた瞬間に、

魔界賢者プルデンスの方に向かって方向を転換し、錫杖を奪うー、

あるいは叩き落しー、プルデンスに結奈たちを元に戻すための方法を

聞き出そうとしていたー。


プルデンスの雰囲気を見る限り、錫杖がなければ

”大したことない”可能性は高いー


錫杖を奪い、それを手に脅せば、なんとかー…


「ーーーはぁ…はぁ…はぁ…」

妹の遥香が、苦しそうに息をしていることに気付く尚政ー。


洗脳されて、戦闘訓練も受けさせられたとは言え、

身体は遥香のものー。

遥香自身、そこまで運動神経が良いわけではないし、

体力も”普通”でしかないー。


無理に激しい動きを続けているために、

遥香の体力が限界を迎えているのだー


「ーーー遥香!もうやめろ!」

尚政は、遥香の異変に気付き、そう叫ぶー。


それでも、遥香は「リベラティオ帝国のためにー」と、

鋭い目つきで尚政を睨みつけるー


「くそっ!」

尚政は、そんな遥香の異変に気付き、

頭の中で考えていた作戦をすぐさま実行に移したー。


「ーーー!」

突然、尚政が自分の方に向かってきたことに

驚くプルデンスー。


尚政はプルデンスに近付くと、その錫杖を蹴り飛ばすー。


突然の不意打ちに、錫杖はプルデンスの手を離れ、

少し離れた場所に転がり落ちるとー、

プルデンスは驚いた様子ですぐにそれを拾いに行こうとするー。


がー、

尚政はプルデンスをグーで殴りつけー、

倒れたプルデンスを無視してその錫杖を拾うー


「ーーー貴様ーーー!」

魔界賢者プルデンスは、錫杖を奪われて表情を歪めるー


「ーーーみんなを、元に戻せー!」

尚政は、震える手を抑えながら錫杖をプルデンスの方に向けるー。


この錫杖の使い方は分からないー。

もし、使い方が分かれば、すぐにでも結奈と遥香、

残りの人たちを元に戻すのにー…。


そう思いながらも、使い方が分からない以上は仕方がないー。


「ーー元に戻す方法を、答えろ!」

尚政がプルデンスに錫杖を向けながら言うと、

プルデンスは笑みを浮かべたー。


その時だったー


「ーーおいおいおいプルデンス殿ー

 人間如きに手こずっているのかー?

 だから言っただろう?洗脳して戦闘員にしても、

 所詮は人間だと」


別の方向から声が聞こえー、

そこから、”いかにも悪魔”という感じの風貌の異形の存在が

姿を現したー


「ーーーモルス」

プルデンスが少し不満そうにそう呟くと、

「ープルデンス殿は一旦退きなー。あんたはその杖がなきゃ

 大して戦えねぇだろ?」

と、死神の異名を持つモルスがそう言い放つー。


「ーーーむぅ」

プルデンスは少しだけ舌打ちをするも、

図星だったのか、静かに頷くと

そのまま渦のようなものを出現させて、その方に向かっていくー


「おい!待て!みんなを元に戻せ!」

尚政が叫ぶー


だがー、プルデンスはそれを無視して渦の中へ入っていくー。

続いて、洗脳された遥香も、彼女の結奈も渦の方に向かっていくー。


「ー遥香!結奈!」

必死に叫ぶ尚政ー。


しかし、二人にその声は届かなかったー。


渦の中にプルデンスと、遥香・結奈は消えー、

その場にはモルスと、残る戦闘員二人が残ったー


「ーークククク

 こ~んな操り人形を作ったってー」

モルスはそれだけ言うと、洗脳されている男性戦闘員のうちの一人に

攻撃を叩きつけるー。


うめき声を上げて倒れ込み、絶命する戦闘員ー


「ー役に立ちゃしねぇ」

モルスは、もう一人の戦闘員にも攻撃を仕掛けて、その命を奪うー。


「ーーー全てを制するのは、パワー…!

 力こそ、全てだー」

モルスは血の付いた鋭い爪を見せ付けると、

尚政のほうを見つめるー


尚政は、プルデンスの錫杖を手にしたまま、震えていたー。


”な、なんだこいつはー…”

尚政は、決して臆病ではないー。

だが、魔界賢者プルデンスとは違い、

明らかに”人ではない異形の存在”のような姿をしたモルスを前に、

自然と、身体が震えていたー。


「ーおやおや?俺にビビってるのかー いいねぇ

 プルデンス殿のその杖も、取り戻してやらないといけないしな…」

モルスはニヤニヤしながらそう言うと、

「ーーお前はたっぷりいたぶって、地獄に送ってやる」

と、尚政の方に向かって突進し始めるー。


尚政は、死を覚悟するー。

どんなに体力的に優れていても、こんな化け物に人間が

勝てるはずがないー、とー。


”尚政ーーー”

”お兄ちゃんーーー”


がー、目を閉じた尚政に

彼女の結奈と、妹の遥香の声が、聞こえた気がしたー。


幻聴かもしれないー。


それでもー

二人の声は、尚政に力を与えたー。


「ーーこんなところでー…

 こんなところで、死ねるかああ!」


尚政が目を見開き、想いを溢れさせたその時だったー


「ーー!?」

モルスが表情を歪めるー


「ーこ、これはー!?」

尚政の手に握られているー、

”使い方の分からない”魔界賢者プルデンスの持っていた錫杖が、

紫色の光を放ち始めていたー。


「ーーくっーー!貴様のような人間に、それを扱うことはできねぇよ!」

一瞬驚いた様子のモルスが、尚政に再度襲い掛かろうとするー。


がーーー


”結奈ー…遥香ー… 絶対に俺はみんなを助け出すー”

そんな強い想いで、尚政は錫杖をモルスのほうに向けてー

”なにか奇跡が起こって欲しい”と、

そう願ったー。


するとーーー

錫杖から、紫色の衝撃波のようなものが放たれてー、

モルスの身体が宙を舞い、近くの木に激突ー、

苦痛の表情を浮かべながらうめき声を上げたー。


「ーーー…ま、まさかー……どうしてー?

 この俺が、人間如きにー…!?」

モルスは、”信じられない”という様子で尚政を見つめるー。


尚政はすぐにモルスに駆け寄ると、

「ーアイツはどこに逃げた!?結奈と遥香はどこにいる!」と、

そう叫ぶー。


しかし、モルスはそれに答えることすらできないままー、

その場で息絶えて、そのまま溶けるようにして消滅してしまったー。


「ーーくそっ… くそおおおおおお!!」

尚政は、怒りの形相を浮かべたまま、叫び声を上げるー。


「ーーー!」

そしてーー…近くに倒れているモルスに殺された戦闘員の遺体のほうを

見つめると、あることを思いつくのだったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


「ーーーーー」

尚政の彼女・結奈は大学にやってきていたー


”いつものような穏やかな雰囲気”を見せながらー



”ククククー…

 戦闘員は、単に操り人形にして戦わせるだけではないー。

 ”元々の自分”の振る舞いをさせつつ、

 諜報活動や、工作にも利用できるのだー”


魔界賢者プルデンスは、笑みを浮かべるー。


洗脳された結奈は、”結奈”の立場…”女子大生”という立場を利用して、

大学の教授の一人の元にやってくると、

その教授に声を掛けたー。


「ー教授ー。お手伝いしてほしいことがー」

結奈がいつものように控えめにそんな言葉を口にすると、

教授は「ーーん?僕で良ければー」と、

可愛い結奈に声を掛けられたからだろうかー。

少し嬉しそうにそんな反応を示すー。


「ーーー…”人間を抹殺するためのガス”の量産に

 力を貸していただきたいんですー

 リベラティオ帝国のためにー」


結奈は、邪悪な笑みを浮かべながら、教授の耳元でそう囁くと、

驚きの表情を浮かべる教授に対して、

冷たい口調で言い放ったー


「ーー逆らえば、死ー」


その言葉に、教授は震えあがるー



がーーー


「ー結奈!」

そこに、尚政が駆け付けるー。


「ーーー!」

”戦闘員姿”ではなく、”いつもの姿”の結奈が振り返ると、

険しい表情で「ーまた、我々のジャマをするのー?」と、

そう言葉を口にするー。


「ーーーー結奈ー」

尚政は、そんな結奈を前に、悲しそうな表情を浮かべると、

結奈はニヤリと笑みを浮かべたー


”ープルデンス様の仰っていた通りー

 やっぱり、現れたわねー…”


”敵”の狙いも知らず、大学に結奈が姿を現したことに気付き、

駆け付けてしまった尚政に待ち受けている運命はー、

より過酷で、残酷な運命だったー…。


④へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


彼女まで戦闘員にされてしまって大変なことに…!


洗脳されてしまった人々を救い出すことができるのかどうかは、

まだこの先のお楽しみデス~!


今日もお読み下さりありがとうございました~!★

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