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浩司と加奈ー、

入れ替わってしまった二人は、それぞれの休日を過ごすことにー。


妹の加奈になった浩司は、

いつも家に来るたびに加奈にデレデレしている親友・雅人を揶揄うために

”加奈”として雅人を誘い、遊園地へ。

雅人を翻弄しながら、遊園地を楽しんでいくー。


一方、浩司になった妹・加奈は、

映画館で友達と合流し、友達との間で決めておいた”合言葉”を口にするも、

入れ替わりを信じてもらうことができずに…?


★前回はこちら★↓

<入れ替わり>親友を揶揄ってみた②~悪戯~

ある日の朝ー、 突然の”入れ替わり”が起き、加奈と兄・浩司の身体が 入れ替わってしまったー。 浩司になった加奈は、友達との約束があるから、と、 そのまま浩司の身体で映画館へと向かうことにー。 一方、一人残された加奈になった浩司は、 親友の雅人が”家に遊びに来るたびに加奈にデレデレしていたこと”を 思い出し、...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「だ、だ、だから~!わたしが加奈なんだってば~!」

浩司(加奈)が、加奈の友達の美彩と京子に向かってそう言い放つー。


だが、美彩も京子も困惑した表情のままー。


「ーーえ…えっとー、上映時間までもう時間がないのでー

 か、加奈ちゃんはどこですか?」

穏やかそうな雰囲気の美彩が困り果てた様子で言葉を口にするー。


「ーーだ、だ~か~ら、わたしが加奈なの!

 お願い、信じて!」


浩司(加奈)がそう叫ぶー。


けれど、美彩と京子からしてみれば

”親友の加奈と待ち合わせしていたのに、突然そのお兄ちゃんがやってきて

 自分は加奈だと名乗っているようにしか”見えないー。


「ーーー……」

美彩と京子が”なにこの人…”と言わんばかりの表情で

何かコソコソと話し始めるー。


”も~~~~~!どうして信じてくれないの~~~!”

兄・浩司に対して”友達にはすぐに信じてもらえる”と、豪語していた

加奈は、何となく信じてもらえないこの状況に恥ずかしさと、

”お兄ちゃんに笑われちゃう!”という、そんな感情を抱きながら

心の中で、あたふたしていたー。


そしてーーー


「ーー美彩ちゃんの血液型はA型、誕生日は6月7日、

 A組の智也くんと付き合っていて、

 図書委員会所属の、手芸部所属!

 好きなものはーー!」


浩司(加奈)は、何とか二人に信じてもらおうと

そんな言葉を口にするー。


”わたしじゃなければ分からないこと”を、二人に

伝えることで、信じてもらおうとしているのだー。


「京子ちゃんはB型、誕生日は1月1日、

 彼氏はいなくて、委員会は美化委員会、部活はテニス部!

 趣味は昆虫の標本づくり!」


浩司(加奈)は早口で、京子の方の個人情報も口にするー。


がーーー


「ーーあ…あのーーーー…

 な、なんでそんなこと知ってるんですかー?」


眼鏡をかけたショートヘアーの京子が

困惑した様子でそう言葉を口にするー。


明らかに、引いている顔だー。


「ーーえ、え!?き、決まってるでしょ!わたしが加奈だから!」

浩司(加奈)がそう叫ぶと、

美彩は「ーー…い、妹の友達のこと、そんな風に調べつくしてるんですかー?」

と、ドン引きと言わんばかりの表情を浮かべるー


「えぇぇっ!?なんでそうなるの!?わたしが…!」

浩司(加奈)が、なおも慌てて叫ぶと、

「ーーい、いこっ!京子ー」

と、美彩が京子に声を掛けるー。


「う、うんー…加奈はどうするの?」

「だって、ここに来てないみたいだしー」


そう言いながら、二人は浩司(加奈)を無視して

そのまま入場券で、シアターのある方に向かっていくー


「ちょ、ちょっと!待ってってば!」

浩司(加奈)は慌てて叫んだものの、

その場でため息をついて、首を横に振るー


”あ~~…これじゃ、わたしも何か言われそうー…

 ”なんでお兄ちゃんを映画館に行かせたの?”とか、

 ”加奈のお兄ちゃん、わたしたちのストーカーなの?”とか…”


そんな風に思いながら大きくため息をつくと、

浩司(加奈)は、ポケットを探りながら

「しかも、前売り券忘れちゃったー」と、

”一人で映画を見ることも叶わない”ことに気付き、

ガックリと、近くのイスに座り込んだー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


遊園地ー。


アイスを食べ終えた加奈(浩司)は、

再び親友の雅人と共に遊園地を巡っていたー


「ー次は、お化け屋敷とかどうかなー?」

雅人がそんな言葉を口にするとー、

加奈(浩司)は「お、おばっ!?おばけ!?」と、叫ぶー。


「ー確か、加奈ちゃん、前に家に行ったとき、

 オバケとか好きって言ってたしー」


雅人がそう言い放つー。


確かに、加奈はオバケとか、そういう話題は得意だー。


がー、浩司は大の苦手だー。


「ーーー~~~~~~~」

加奈(浩司)は表情を歪めながらも、

”こ、ここでびびってたら、バレるかもしれないー”と、

そんな心配をすると、

「あ、あははは!おばけおばけ~!だ~いすき♡」と、

誤魔化しながら、そのまま一緒にお化け屋敷に向かって歩いていくー。


ゴクリー。

緊張した様子で、列に並んでいると、

”その時”はあっという間にやってきたー。


中に入って数秒で「ひっ!?!?」と、声を上げる加奈(浩司)ー


「ーーうわっ!?」

「ーーひええぇぇ…!?」

「ぎゃああああああああああ!」

加奈(浩司)は、何度も何度も悲鳴を上げながら、

恐怖に耐え続けるー。


「ーーははは、オバケ好きって割に結構怖がるんだなぁ」

雅人がそんな言葉を口にしながら笑うと、

「す、す、す、好きですけど、怖がった方が楽しいじゃないですか」と、

そう反論する加奈(浩司)ー


「はは、それは確かにー

 それに怖がってる加奈ちゃんも可愛いしー」


雅人が、加奈に気を遣わせないためにそう言葉を口にすると、

加奈(浩司)は”か、可愛いー?”と、心の中で感じたことのない感情を

覚えるー。


”可愛い”と言われる喜びー。

加奈の心臓がドキドキして、身体が火照るのを感じるー


”可愛いー…へへーなんかいい響きだなー”

そう思いながら、歩いていると

また仕掛けが出て来て悲鳴を上げるー。


”そうだー、いつもは俺、やせ我慢してるけどー

 今日ならー”


加奈(浩司)は、恐怖に耐えながらもニヤリと笑うー


いつもは”男子”として、お化け屋敷に入る時も”我慢”して

強がっているもののー

今日の自分は”加奈”ー。

怖がっても、いい気がしたー


「ーーま、ま、雅人さんー怖いですぅ…」

わざと弱弱しく、加奈(浩司)が雅人の腕を掴むと、

雅人は露骨にドキッとした様子で加奈(浩司)のほうを見つめたー。


加奈の身体が涙もろいのか、本気でビビッてしまっているのか、

涙ぐんだ目の加奈(浩司)は、

そのまま雅人に守ってもらうようにして、

ようやくお化け屋敷の外へと脱出したー


「ーーは~…怖かったけど、楽しかったですー」

加奈(浩司)が笑顔でそう言い放つと、

雅人は顔を赤らめながら嬉しそうに、笑みを浮かべたー


”ははー、お前、ホント加奈のこと好きだよなぁ…”

そう思いつつ、時計を見つめるー。


妹・加奈が帰宅する前には遊園地デートを終えて

家に帰っておき、元に戻る方法をまた、話し合わなくてはいけない。


最後に観覧車に乗ることを提案する加奈(浩司)ー

雅人は、そんな提案に乗り、二人で観覧車に乗り込むー。


”へへへへー 可愛い加奈と二人きりなんて、ドキドキするんだろうなぁ”


そんなことを思いながら

加奈(浩司)はソワソワしながら景色を見ている雅人に対して、

加奈(浩司)は笑みを浮かべるー


「もしかして、ドキドキしてます?」

とー。


「ーえっ?えぇっ!?」

図星だったのか、雅人が驚いたような表情を浮かべると、

加奈(浩司)は「ふふふ♡」と、イヤらしい笑みを浮かべるー。


「ーーーそ、そ、それはまぁー…

 加奈ちゃん可愛いしー、ぼ、僕は彼女とかいないから

 ドキドキはするさー。


 でも、変な意味じゃないから安心してー」


雅人はそれだけ言うと、加奈(浩司)を見て

恥ずかしそうに目を逸らすー。


「ーーあはは」

加奈(浩司)は笑いながら、”最後の悪戯”を仕掛けようとするー。


「ーーー…ねぇ雅人さんー

 もし、もしーーー”お兄ちゃんに内緒で”

 わたしと付き合えるとしたら、どうしますかー?」


加奈(浩司)がそう言うと、

雅人は「えぇぇ!?」と、さらに顔を真っ赤にしたー。


「ーか、加奈ちゃんと僕がー!?

 い、い、いや、嬉しい、嬉しいけどさー」

雅人は顔を真っ赤にしながら言うー。


”普段は一人称俺なのにー”と、改めてツッコミを入れながらも

さらに言葉を続けようとするー。


がーー、

その前に、雅人が言葉を続けた


「ーーーーでも、それはしないと思うー」

とー。


「え」

加奈(浩司)は”なんだ…加奈のこと好きじゃなかったのかー?”と

内心で思っていると、

雅人は笑いながら言ったー。


「ーあいつー…浩司とは親友だと思ってるしさ、

 その親友の妹の加奈ちゃんともし付き合うことになるんだったら、

 あいつにもちゃんと、言わなきゃだめだろ?


 親友に内緒でコソコソと妹と、なんてこと、僕にはできないよー。」


雅人は、そこまで言い終えると、恥ずかしそうに笑いながら

観覧車からの景色を見つめるー。


「ーーーあ、あははー…

 そ、それもそうですねー」

加奈(浩司)は少し驚きのような表情を浮かべながらも、

ようやくそんな言葉を口にしたー。


親友の雅人が、想像以上にちゃんとした考えの持ち主で、

妹の身体で、親友を揶揄っている自分が、

小さい人間に思えて、少し恥ずかしくなってしまったー。


「ーーで、でも、どうして急にそんなことをー?」

雅人が少し戸惑いながら言うー。


「ーあ、いえ、例え話なので気にしないでください!

 その…お兄ちゃんが、雅人さん、家に遊びに来るたびに

 わたしにデレデレしてるってネタにしてたので気になってー!」


”加奈”が変な風に思われないようにそんな言葉を口にすると、

雅人は「はははー、アイツ、そんなことー」と、苦笑いするー。


「ーまぁでも、デレデレしてるのは事実かもー」

雅人が冗談めいた口調でそう言うと、

「ーーーその例え話がもしも実現するようなことがあればー、

 僕は必ずアイツに話をするー。

 親友に隠し事をしながら付き合うなんて、僕にはできないし、

 加奈ちゃんだって、兄貴に隠し事しながら付き合うなんて、イヤだろ?」

真剣な表情でそう言葉を口にしたー。


加奈(浩司)は思わず笑みを浮かべるとー、

「ー雅人さん、立派ですねー」と、そんな言葉を口にしたー。


”ーーーー雅人みたいな彼氏が、いつか加奈にもできるといいなー。”

心の中で、そんなことを思いながらー、

万が一加奈と雅人が付き合うようなことになったとしてもー、

俺は応援しよう、と、心から思うのだったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「今日は楽しかったよー。ありがとうー。

 アイツにも、よろしくー」


雅人がそう言うと、

加奈(浩司)は「はいー。これからもお兄ちゃんのこと、

よろしくお願いしますね!」と、笑いながら言葉を口にしたー。


”送っていこうか?”と申し出る雅人に対して

「いえ、どうせ電車に乗るだけですし、大丈夫です」と、答えて

そのままその場で解散するとー、

加奈(浩司)は帰路につくー


「ーーーアイツは、ホント、いいやつだなー。

 ーーーあんないい奴が親友なんて、

 これから先も大事にしなくちゃな」


加奈(浩司)は、そんな言葉を口にすると、

改めて、雅人のことを大事にしようと心に決めるのだったー。


もちろん、”親友”としてー。


「ーーっと、それよりも、家に帰ったら元に戻る方法、

 真剣に考えなくちゃなー

 加奈も帰って来るだろうしー」


そう呟きながら、加奈(浩司)が駅に入ろうとしたその時だったー


♪~~~


”ん…電話かー”

そう思いながら”浩司”のスマホを取り出す加奈(浩司)ー


スマホはお互いに交換しておいたー。


”ーーー加奈から?”

そんな表示を見て

”やべっ!予定より早く帰って来たとかー!?”と、

冷や汗をかくー。


浩司(加奈)には”外出する”ことは伝えていないー。

加奈が予定よりも早く帰宅してしまいー

”わたしの身体でどこに行ってるの~!?”と、

そんな風に怒られる光景が目に浮かんでしまうー。


「ーーも、もしもしー」

焦りながら加奈(浩司)が言葉を口にするとー、

”もしもし?お兄ちゃんー?今、どこにいるの?”と、

少し静かな口調の浩司(加奈)の声が聞こえて来たー


「ーーこ、こ、こ、これには訳があってー」

加奈(浩司)がそう叫ぶと、

その声を遮るようにして、浩司(加奈)が言葉を口にしたー


”お、お兄ちゃんー

 冷静に聞いてねー。


 お、お兄ちゃんから注意されてたんだけどー

 そのー…あのー…”


浩司(加奈)が言葉を詰まらせるー。


そんな様子に、加奈(浩司)は

”別の嫌な予感”を感じながら「え…?な、何かあったのかー?」と、

そう言葉を口にすると、

”映画館で、間違えて女子トイレに入っちゃってー、

 しかもなぜかズボンが膨らんじゃってー

 その…通報されちゃって、今、警察にいてー!”

と、浩司(加奈)がひと思いにそんな言葉を口にしたー


「う…嘘だろー…?」

加奈(浩司)は困惑しながらそう呟くー。


”う、嘘じゃないよー…ね、ネットでもー…そのー…”

浩司(加奈)のそんな言葉に、

加奈(浩司)は、電話をいったん終えると、慌てて

SNSを見つめたー。


するとー、そこにはーー


”映画館の女子トイレ”と、そう書かれた

”トレンド”が目に入ったー。


まさかと思い、加奈(浩司)が慌ててそのトレンドを確認するとー、

そこにはーー

”浩司(加奈)が女子トイレに潜入し、警察に連行された”話題が

広がっていたー。


しかもーーー


”ーわ、わ、わたしは身体はお兄ちゃんだけど、中身は妹で!”と、

警察に連行されていく浩司(加奈)の動画が

ネット上に拡散されていたー。

恐らく、映画館で誰かが撮影したものなのだろうー。


”女子トイレに侵入した挙句、情けない言い訳を繰り返す男子ー”


そうとしか見えない、そんな動画だー。


既にネット上では”浩司”は炎上しー、

学校まで突き止められている状態ー


「ーーーーお…おわったー」

加奈(浩司)は唖然としながら、スマホをぽろっとその場に落とすと、

「ど…どうすりゃいんだー…?」と、

途方に暮れた様子で呟いたー。



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


たまには軽い気持ちで気軽に楽しめる入れ替わりを~!★

と、いうことで考えたお話でした~!


題名の通り”親友を揶揄う”お話なので、

物語はここでおしまいデス~!

(ここから先に進むと、親友が関係ない別のお話になっちゃいますネ~笑)


お読み下さりありがとうございました~~~!

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