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「ーーーーう~ん…」


朝ー、いつものように目を覚ますと、

そこは”見慣れない”部屋だったー。


”ーーえっ… えぇっ!?!?”

彼女は思わず驚いて身体を起こすー。


そして、周囲をキョロキョロと見回すー。


だがー。

どう見てもその部屋に見覚えはないー。


部屋の中には、学生時代に獲得したトロフィーのようなものが

並んでいるー。


”サッカー部 優勝”

そう書かれているのを見て、

”この部屋って、小山(こやま)くんのー?”と、首を傾げるー。


そういえば、昨日は、高校時代の友達と集まり、

久しぶりに”プチ同窓会”のようなものを実施したー。


ちゃんとした同窓会ではなかったため、集まったのは

10人ほどだったけれどー…、そういえば随分飲んでしまったような、

そんな記憶もあるー。


咲(さき)は、戸惑いながらー

「も、もしかしてわたしー、勢いで小山くんの家にー!?」

と、顔を真っ赤にしながらそう叫ぶとー


「って… えぇっ!?」

と、すぐに一人でそんな声を上げたー。


それも、そのはずー。

自分の口から出た声が”自分の声”ではなく、

”男”の声だったからだー。


「ーえっ?えっ!?えっ!?!?!?」

咲は慌てて、家の中を走り回るー。

あっちに行ったりこっちに来たりしながら、

ようやく見つけたのはー

洗面台ー。


見知らぬ家だったため、どこに洗面台があるのか、

一瞬分からずに彷徨っていたのだー。


そしてー、

鏡を見つけると

「ひっ!?!?!?」と、鏡を見て、咲は叫んだー


鏡に”小山くん”の姿が写っていたからだー


「ーーご、ごめんなさい!勝手に、勝手に家に上がって!

 わ、わたし、昨日の記憶があまりなくてー!」

男の声で、申し訳なさそうにそう言葉を言い放つとー

”鏡の中の自分”も同じ仕草をしていることに気付き、

咲は「へ?」と、言葉を口にしたー。


「ーーー…こ、こ、こ、これって鏡じゃんー

 えっ…?って言うことはー…」


咲は、ようやく、自分の置かれた立場を理解して

驚きの声を上げたー。


「ーーえぇっ!?わたしが小山くんになってる!?!?!?」

咲はーー

高校時代の同級生、小山 雄介(こやま ゆうすけ)の

身体になってしまっていたのだー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「えぇ…?ホントにー?」

雄介(咲)が、雄介の家にあった固定電話を手に、

そう言葉を口にするー。


雄介の家に固定電話があって良かったー。

”雄介のスマホ”は暗証番号が分からないから

使うことができないし、連絡手段がなくなるところだったー。


そう思いながら雄介(咲)は、自分の家に電話を掛けるとー

”自分の声”が電話の向こうから聞こえて来たのだー。


”ーーホントだよー…朝、起きたら白石(しらいし)さんの

 身体になっててー…

 俺も何が何だかー”


”白石”とは、咲の苗字だー。


だがー

咲の中にいるのは”小山くん”ではなかったー。


聞けばー、

中身は昨日の集まりに参加していた男子の一人、

健太(けんた)なのだと言うー。


健太は、お調子者の男子生徒で、

学生時代は下心に溢れる男子だったー。


そんな健太が”咲”の身体を使っていると知り、

雄介(咲)は心配そうに、

「ーーわ、わたしの身体で、変なことしてないよね?」

と、確認するー


”バ!バカ!するわけないだろ?

 確かに、昔はあんなだったけどー、

 こう見えても俺、結婚して子供もいるんだぜ!?

 そんなこと、もうしないよー”


咲(健太)がそう言うと、

雄介(咲)は「わたしの中ではあの時のままのイメージで」

と、苦笑いするー。


”ーーー…はぁ、しっかり男の声だと、

 白石さんと話してるって感じがしないなー…

 まぁ…白石さんからしても、俺と話をしているって

 感じにはならないかもだけど”


そんな言葉に、「確かにー」と、笑ったあとに

「電話の向こうからわたしの声が聞こえて来るとか、衝撃的すぎて

 頭がおかしくなりそうー」と、冗談を口にしたー


”ははー、俺は電話相手が”俺”じゃないだけマシってことかー”

そんな言葉を口にすると、咲(健太)は、

”他のやつらもこうなってんのかなー?”と、

心配そうに言葉を口にするー。


昨日は、学生時代の仲間10人ほどで集まっていたー。

咲と健太、そして雄介の他にも7人ほどが参加していたー。


咲が雄介の身体を使っていて、

健太が咲の身体を使っている状態である以上ー、

最低でも、咲、健太、雄介の三人はこの奇妙な状況に

巻き込まれていることになるー。


残りの”健太の身体”を雄介が使っている場合は、

巻き込まれたのは三人だけかもしれないー。


だがー、”健太”の中身が”雄介”ではなかった場合はーーー


”ちょっと俺、”俺”の電話に電話してみるわー

 一回、切るぞ?”


咲(健太)の言葉に、雄介(咲)は「わかった」と、応じると、

そのまま返事を待ったー。


そしてーーー

数分後ー、電話が鳴るとー…


”ー俺の身体の中身はー藤川(ふじかわ)さんだったー”

と、困惑した声で、咲(雄介)が言葉を口にしたー。



昨日の”同窓会”のメンバーが再び集まったー。

結果的にー、10人全員が”バラバラに”入れ替わっていることが判明したー。


”大学生の頃に宝くじが当選した”強運の持ち主ー、

青沼 修一(あおぬま しゅういち)の家に全員が集まり、

それぞれ困惑の表情を浮かべるー。


「ーーひとつ、整理しようー」

早口のオタクー…宗司(そうじ)が、そう言葉を口にするー。

と、言っても身体は宗司の身体ではなく、

ふんわり天然系のお姉さん・葵(あおい)の身体だー。


いつも、ゆる~く、のんびりとした口調で喋る葵が

かなり早口で喋っているため、物凄い違和感があるー。


葵(宗司)が、ホワイトボードに10人分のフルネームを刻むー。


立花 宗司(たちばな そうじ)

青沼 修一(あおぬま しゅういち)

小山 雄介(こやま ゆうすけ)

小野寺 健太(おのでら けんた)

宇野 茂(うの しげる)


白石 咲(しらいし さき)

伊達 葵(だて あおい)

藤川 萌々香(ふじかわ ももか)

森永 梨沙(もりなが りさ)

篠崎 優里(しのざき ゆうり)


巻き込まれたのは、この10人だー。


「そして、中身がこう」

葵(宗司)がそう言うと、


宗司(梨沙)

修一(優里)

雄介(咲)

健太(萌々香)

茂(雄介)


咲(健太)

葵(宗司)

萌々香(茂)

梨沙(葵)

優里(修一)


と、そうホワイトボードに書き示したー。


「別に男女で入れ替わったってわけでもなければー、

 単純に相手と入れ替わったわけでもなく、

 中身も滅茶苦茶ってことかー」


咲(健太)が言うと、

雄介(咲)は、不安そうに”そうみたいねー”と、呟くー。


「ーーってか、何でわたしがこんなオタクの身体なわけ!?

 相変わらずガリガリで不健康そうだし!

 せめてなんか食べなよ!」

宗司の身体でそう叫ぶ、気の強い梨沙ー。

高校時代から、梨沙は気の強い性格だったー。


「ーも~~そんなこと言わないの~~~」

そんな、気の強い梨沙の身体を使っているのは

ふんわりとしたお姉さん風の葵ー。


葵は、男子ではなく、同性の身体に飛ばされた様子だったー。

しかし、普段気の強い梨沙が”穏やかなお姉さん”になっているので、

あまりにも違和感があるー


「いやいやいや、このままじゃ一番困るのは

 間違いなく、僕だぞ!?」

そう叫ぶのは、優里になった”修一”。


修一は大学生の頃に、ふざけて買った宝くじで

1等が当たり、億万長者になった”本物の強運の持ち主”だー。


「ー身体ごと、僕の財産奪われたら、俺は篠崎さんの身体で首を吊るね!」

優里(修一)がそう叫ぶと、

「ーわ、わたしの身体で勝手に死なないでー…」

と、修一(優里)が不安そうにそう言い放ったー。


優里と修一だけは”お互いに”入れ替わっている唯一の組み合わせで、

残りの8人は、相手と直接入れ替わったわけではなく

バラバラの状態になっているー。


「いいよなぁ、お前たちはー

 俺なんて、せっかく入れ替わったのに、男だぞ?」


冗談っぽい口調で言うのは”無口な茂”の身体になった雄介ー。

”咲”が今使っている身体の本来の持ち主だー。


「ーーははは、お前は散々学生時代モテたんだし、いいじゃないか」

咲(健太)が笑いながら言うー。


”小山 雄介”は、高校時代サッカー部の部長で、

物凄くモテていたイケメンだー。

それでいて、周囲を和ませる冗談も口にできる男子で、

その性格は、今も同じの様子だったー。


「ーそんなことより!これからどうすればいいのか考えようよー」

健太(萌々香)が言うー。

萌々香は、しっかり者な性格で、学生時代から

先輩後輩同級生問わず、信頼されていたー。


「ーーーーーーー」

萌々香の身体になった、無口な茂は、萌々香の身体になっても

無口のまま、無言を貫くー。


「ーーわたしたちがこうなった理由は分からないけれどー

 昨日の夜から、今日の朝までの間に”何か”があったはずー」

健太(萌々香)がそんな言葉を口にすると、

咲(健太)が「でもなぁ…みんな、それなりに酔ってたしー、

あんま、覚えてないぞー?」と、表情を歪めるー。


イケメン男子の雄介になった咲も、困惑の表情を浮かべながらー、

自分の手が視界に入り、少しドキッとして、手を視界から避けるー。


「ーーー確かに、わたしもハッキリとは覚えてないけどー」

宗司(梨沙)が不機嫌そうにそう言うとー、

「ーでも、特に変わりなく、家に戻ったような気はするー」

と、言葉を口にしたー。


「ーすると、”寝てる間”に俺たちの身体がバラバラになったってことか?」

「そうなるわねー」


10人が、混乱しながら口々に言葉を発するー。


幸いー、昨日の集まりは”明日から連休”というタイミングの

金曜日に行われたー。

そのため、10人ともちょうど明日は休みで、仕事上に大きな支障は出ないー。


とは言え、土曜日・日曜日と元に戻れなければ、

どのみち仕事もどうするか考えないといけないし、

早く元に戻らないといけないー。


「ーーーー」

無口な茂の身体になった、元イケメン男子の雄介が

「ーとりあえず、ここでこうしていても仕方がないー」と、

言葉を口にするー。


10人で顔を合わせながら、あれこれ悩んでいても、

話は先に進まないー

それぞれ、分担して手がかりを探してみるのはどうか、と、

茂(雄介)が言うー。


「ーーははは…普段、無口な宇野がおしゃべりだと、違和感すごいなー」

優里(修一)がそう呟くー。


そんなやり取りを経てー…、

ひとまず解散することになった咲たちは、

戸惑いの中、別行動を始めるのだったー。


”昨日…何があったんだろうー…”

雄介の身体になった咲は、昨日のことを思い出そうとするも、

結構酔っていたこともあって、やはり思い出せずに、

首を横に振ったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


雄介の身体になってしまった咲は、

茂(雄介)と、共に雄介の家にやってきていたー。


「ーー悪いなー、付き合わせちゃって」

茂(雄介)は引き出しをいじりながらそう呟くー。


”別行動”をすることになった10人ー。


そのうちの、雄介(咲)は、茂になった雄介から

”家に財布とか貴重品を取りに行きたい”と言われて、

一緒に雄介の家にやってきていたのだー。


「ーよし、こんなもんでいいかなー」

財布を手に、茂(雄介)がそう言うと、

「ーーー…どうして、こんなことになったんだろうー…?」と、

雄介(咲)が戸惑いの言葉を口にするー。


「ーーーーー」

茂(雄介)は、”不安でいっぱい”という表情を浮かべた

”自分”の顔を見て、少し戸惑いながらも、肩に手を置いたー。


「ー大丈夫。必ず、元に戻れるさ」

とー。


「ーーー…小山くんー」

雄介(咲)が、少しだけ安心したような表情を浮かべるー。


高校時代から、”イケメン”で気配りもできる人気者だった雄介。

それは、どうやら今も変わってないようだー。


「そういえば、昨日は聞けなかったけど、

 小山くんって今、何してるの?」


「ーーん?あぁ、2年前に会社を辞めて独立して、

 今はその経験を生かして、デザイン関係の仕事をやってるよ」


茂(雄介)がそう言うと、

雄介(咲)は目を輝かせながら「すごいなぁ…」と、言葉を口にするー。


「咲ちゃんはー普通のOLだったっけ?」

茂(雄介)の言葉に、雄介(咲)は、笑いながら

「そう!普通のOL!」と、返事をするー。


「ーーはははー…まぁ~…とりあえず、

 俺もこのあと、色々調べてみるからー、

 何か分かったら連絡するよー」

茂(雄介)のそんな言葉に、

雄介(咲)は「うん!わかったー」と、呟くと、

そのまま、茂(雄介)を玄関まで見送るー。


「ーーー…ここにいてもいいんだよー?

 小山くんの家なんだし」

雄介(咲)がそんな言葉を掛けると、

茂(雄介)は「ー男女で同じ家にいるのも、咲ちゃんも、イヤだろ?」と、

笑いながら言うと、

雄介(咲)は「でもほら、今はわたしも男だし。男同士なら大丈夫じゃない?」と、

笑い返すー。


「ーははははー確かにー。

 でもまぁ、ここにいても仕方ないしー

 咲ちゃんは俺の部屋、好きに使ってていいからー。」


茂(雄介)はそれだけ言うと、

「じゃ」と、そのまま立ち去っていくー。


一人残された雄介(咲)は「これからどうしようかなぁ…」と、

ため息をつきながら、

二日酔いの身体に、少しだけ疲れた表情を浮かべたー。


”どうしてこんな風になってしまったのかー”

それがハッキリと分からないままー

10人にとっての”災難な1日”は、まだ始まったばかりだったー。



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


1:1の入れ替わりは、長編でちょうどやっているので、

こちらは集団入れ替わりモノデス~!☆


集団入れ替わりは、”絵”なしだと、

なかなか読む皆様にも伝わりにくい部分もあり、

難しいところなのですが、

(姿が見えないので、誰が誰だが、ドラマとか漫画より分かりにくいですよネ~)

以前書いた”入れ替わりクラス”の時同様に、色々試行錯誤しながら

頑張ります~!☆

(誰が誰だかハッキリ覚える必要はないので

 気楽に楽しんでくださいネ~笑)


次回は10人それぞれの状況を描きます~!☆

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Comments

みのむー

続きが楽しみですわー

無名

みのむー様~!☆ありがとうございます~!☆ 続きも頑張ります~~!!