Home Artists Posts Import Register

Content

嫌われ者に身体を入れ替えられてしまったイケメンの亮哉ー。


しかしー

亮哉は、”嫌われ者の加奈子”の身体になっても、

自暴自棄になったりすることなく、

今、自分にできることを一生懸命やってきたー。


その結果、クラスで孤立していたぽっちゃり体型の加奈子の面影が

分からなくなるぐらいにー、今では友達に囲まれる存在になっていたー。


一方の加奈子もー、”亮哉”として振る舞っているつもりではあったー。

しかし、内面からにじみ出る醜さを隠すことは出来ず、転落していくー。


ついに暴力に訴えかける亮哉(加奈子)ー


そしてー…


★前回はこちら↓★

<入れ替わり>たとえ嫌われ者になったとしても④~孤立~

嫌われ者の加奈子に身体を入れ替えられてしまった亮哉ー。 ”人気者”から、一気に”嫌われ者”に転落ー。 自分の身体も立場も何もかもを奪われー、 亮哉になった加奈子からは、”藤谷さん”と、加奈子の名前で呼ばれ、 煽られる日々。 それでも、亮哉は諦めなかったー。 加奈子(亮哉)の身体で、自分を磨き、 いつの日か、亮...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーおはようー」

亮哉(加奈子)が教室にやってくると同時に、

そう言い放つと、さわやかな笑みを浮かべながら、

自分の座席の方へと向かっていくー。


「ーーみんな、ごめんなー。

 俺、今までどうかしてたよー」

亮哉(加奈子)はそう言い放つー。


放課後ー

加奈子(亮哉)に対して、暴力を振るった挙句ー、

それでも心は満たされず、一人暴れていたところを

先生たちに取り押さえられて、停学処分を受けた加奈子(亮哉)ー


今日は、その”停学明け”の日ー。


「ーーーー木下ー、お前、もう大丈夫なのか?」

「ー亮哉がおかしくなったんじゃないかってみんな言ってたんだぞー?」


クラスメイトたちが亮哉(加奈子)に声をかけると、

亮哉(加奈子)は申し訳なさそうに「ごめんごめんー」と、

言葉を口にしたー


入れ替わって数か月ー。

”亮哉”になった加奈子は、”亮哉”として振る舞いながらも、

内面の醜さを隠しきることが出来ず、ジワジワと孤立したー。


だが、停学処分を受けて、ようやく心を入れ替えたのだろうかー。


「ーー」

そんな風に思いながら、加奈子(亮哉)が、亮哉(加奈子)を

自分の座席から見つめていると、

亮哉(加奈子)がそれに気づいて近寄って来たー。


「ーー特にー、”藤谷さん”には、迷惑いっぱいかけちゃってー」

亮哉(加奈子)が、笑みを浮かべるー。


”藤谷さん”と、加奈子の名前で呼ぶことに改めて愉悦を覚えるー


”あんたはもう、木下亮哉じゃなくて、藤谷加奈子ー

 そう、刻み付けるかのような、呪いの言葉ー”


「ーーーーーーー」

加奈子(亮哉)は、少し不満そうに、亮哉(加奈子)を

見つめ返すと、そのまま亮哉(加奈子)は

自分の座席へと戻って行ったー。


”彼女”だった萌々香に対しても「ごめんな」などと謝りながらー、

雑談を交わしているー。

萌々香も、不審そうにしながらも亮哉(加奈子)と会話を交わしているのが

見えるー。


”ーーー…藤谷さんも、少しは分かってくれたのかなー…”


自分のしたことの重大さを少しは分かってくれただろうかー。

少しは”悪い”と思ってくれただろうかー。

自分の性格の悪さを、少しは自覚してくれただろうかー。


加奈子(亮哉)は、そんなことを思いながら、

授業の前にトイレを済ませておこう、と、女子トイレに向かうー。


トイレを済ませて、手を洗いながら鏡に映る自分の姿を見た

加奈子(亮哉)ー


ぽっちゃりしていた体格は、標準体型ぐらいに戻りー

やせたからか、”とても可愛い”雰囲気になったー。

きっと、元々可愛い顔立ちなのだろうー。


そしてー、加奈子の身体になってから、一生懸命ー

”この身体で出来る自分磨き”を続けて来たー。


その過程で、おしゃれをする楽しみやー

”可愛い”と思われる喜びを知ったー


「ー男の時は分からなかったけどー…

 ”可愛い”って言われると、ホント、なんかグッとくるよなー」


加奈子(亮哉)はそんなことを呟きながら、

”頑張れば頑張っただけ可愛くなっていくわたし”に

達成感を感じると共に、男の時には味わえなかった喜びも

感じ始めていたー。


ーーとは言え、入れ替わったままでは

親や、友達、萌々香にも申し訳ないー。


加奈子(亮哉)は、そんな思いの狭間で揺れていたー。


この身体で過ごす時間が長くなればなるほどー

心が”女”になっていくのが分かるー。


”かわいい”と言われて、ゾクッとした時にはー、

それを強く実感したー。


”このままでは、俺は本当に”女”になってしまうー”

そんな不安を感じながら、

手を洗い終えると、ため息をついて、女子トイレの外に向かって歩き出したー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーー”藤谷さん”

 重そうだから手伝ってあげるよー」


亮哉(加奈子)は、”妙に”親切になったー。


授業の準備で重いモノを持っていた加奈子(亮哉)に声をかけて、

それを”ひょいっ”と、持ち上げてみせる亮哉(加奈子)ー


”男子の時は、あれぐらい簡単に持てたのにー”

と、加奈子(亮哉)は自分の手を見つめるー。



「ー”藤谷さん”

 ーー俺が取ってあげるよー」


図書室で、”高いところにある本”が届かずー、

少し悔しくてぴょんぴょん飛び跳ねていたところー、

亮哉(加奈子)が姿を現してー、

”俺のほうが背が高い”と、言わんばかりに

簡単にとって見せて、微笑むー。



「ーーーーー」

亮哉(加奈子)は確信したー。


”加奈子”は、反省などしていないー。

亮哉の身体の”長所”を振りかざしてー自慢してー、

亮哉(加奈子)に”嫌味”じみた行動を続けているー。


クラス中にー

”藤谷さんを守ってあげる強い俺”をアピールしているー。


そんな日が続きー、

加奈子(亮哉)は、亮哉(加奈子)に対して言い放ったー


「ーーー何が、したいんだ?」

とー。


「ー何って?

 ははー、

 ”か弱い”藤谷さんを、俺が守ってあげてるんだよー」


亮哉(加奈子)は、ニヤニヤしながらそう言い放つー。


「ーーー…そんなこと、頼んじゃいないー」

加奈子(亮哉)がそう言い放つと、

亮哉(加奈子)は、笑みを浮かべたー


「ーーーーあんたのおかげで、わたしは

 自分が間違ってることに気付けたー。


 ”もっともっと”賢く、この身体の”強み”を生かせばー

 わたしはあんたなんかより人気者になれるー」


亮哉(加奈子)の言葉に、

加奈子(亮哉)は「まだそんなこと、言ってるのかー」と、

呆れた表情を浮かべるー。


「ーーだって、ほら、この顔 見てよー

 ”イケメン”でしょ?」

自分の顔を触りながら、亮哉(加奈子)は自慢げに微笑むー。


「ーー運動神経もすっごいし、

 声もいいしー、背も高いし、力もあるー。

 だから”か弱い”藤谷さんを、”俺が”守ってあげなくちゃー」


亮哉(加奈子)はニヤッと笑いながらそう言い放つと、

加奈子(亮哉)は思わず鼻で笑ってしまったー


何もー、

何も反省していないー。

”藤谷 加奈子”とはこういう人間なのだと、改めて実感したー。


入れ替わったことを少しでも後悔してくれればー、

何て思ってたけど、甘かったー。


「ーーもう、あんたはー

 ”木下亮哉”じゃなくて”藤谷加奈子”なのー

 これからも、ず~~~っと、ね」


亮哉(加奈子)はそう言うと、

「何なら、”もう1回”勝負してあげようか?」と、笑みを浮かべるー。


「勝負ー?」

加奈子(亮哉)が聞き返すー。


「入れ替わったばかりの頃ー

 競争したでしょ?

 ”俺と”再戦してー

 勝ったらー、元に戻してやるよー」


亮哉(加奈子)の言葉に、

加奈子(亮哉)はムッとして、亮哉(加奈子)のほうを

見つめ返したー。


この数か月ー、

ダイエットもしたし、加奈子の身体で動くことにも慣れたしー、

それなりに走れるようになったと思うー。


そしてー、”亮哉”は、ぽっちゃりしてきたしー、

どうせ、運動もあまりしていないだろうからー

あの時とは違うだろうー。


もしかしたらー…


「ーーわかった。受けて立つよー。


 藤谷さんー

 俺が勝ったら、本当に身体を返してくれるんだなー?」


加奈子(亮哉)がそう言うと、亮哉(加奈子)が、にやりと笑みを浮かべて

頷いたー。


「ーーーーーーまぁ、それはそうとして、

 俺はー”藤谷さん”じゃなくて、木下亮哉だからなー?」


そう言うと、亮哉(加奈子)は笑みを浮かべてからー

「ほらーー、自分は”藤谷さん”だって自覚しなよー」と、

言うと、突然、加奈子(亮哉)の胸を触って来たー


”胸があること”を自覚させてー、

”もうあんたは藤谷加奈子なのよー?”と、煽っているのだー


「ーーきゃっ!?」

反射的に、そんな声を出してしまい、咄嗟に加奈子(亮哉)が

亮哉(加奈子)を振り払うー。


「ーあらぁ…あらあらあらーー

 ”女”の反応~~~」


クスクス笑う亮哉(加奈子)ー


その言葉に、顔を赤らめながら、加奈子(亮哉)は

”もう、俺ーー…”と、表情を歪めたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


いつの間にか、”心”も、女になりつつあるー。


”元に戻りたいかどうか”


そう、問われればー


「ーーーーー」


”戻りたい”気持ちもあるー。


一方で、”加奈子”として積み上げた数か月間ー

それに”おしゃれ”の楽しさー…

色々なものに気付き、これを手放したくないという思いもあるー。


”わたしの身体”は、今では”藤谷加奈子”であり、

”木下亮哉”の身体はいつの間にか”他人”のように思えるようになってしまったー。


「ーーーー」


けれどー”親”のこともあるー。

このまま過ごせば、両親のことを裏切ることになってしまうしー、

申し訳ない、という気持ちもあるー。


「ーーーー藤谷さんー」

ふと、背後から”亮哉”の彼女だった萌々香の声がして振り返るーー


「ーーもーーー…いや、相沢さんー」

加奈子(亮哉)が少しだけ寂しそうに言うと、

「ー最近ー”もしかしたら”ーーー

 本当に入れ替わってるのかもーなんて、思うようになってきたー」

と、萌々香は笑いながら、加奈子(亮哉)の隣に立ったー


「ーーー…ははー、じゃあ、今”俺”だって言ったら信じてくれる?」

加奈子(亮哉)がそう言うと、

萌々香は少しだけ笑いながら首を横に振るー。


「前も言ったけどー、あなたが本当に亮哉ならー

 わたし、そういう非現実的なこと、信じないって知ってるでしょ?」


萌々香の言葉に、頷く加奈子(亮哉)ー


”現実”の入れ替わりは厳しいー

片方が”違う”と言っていればー、信じて貰うのは困難だろうー。

普通”そんなこと起きるわけがない”のだからー。


「ーーーでもーー」

萌々香はそう呟くとー、

「ーー”今の自分の気持ち”を大事にすればいいと思うー」

と、加奈子(亮哉)のほうをまっすぐ見つめながら言ったー


最近の”加奈子”はとても楽しそうで、幸せそうだー。


”加奈子”本人ならー、

前の加奈子よりも、今の加奈子の方が何倍も素敵だし、


もしもーー

もしも、”本当に”入れ替わっているのだとしてもーーー


亮哉のしたいようにー

すればいいと思うー。


「ーーーーーー」

加奈子(亮哉)は、萌々香のそんな言葉を聞いて、

少しだけ笑いながら頷くとー、

「ありがとうー。ももーー、、いえ、相沢さんー」と、

お礼の言葉を口にしたー


「ー別にー”萌々香”でもいいよ」

萌々香が笑うと、加奈子(亮哉)は「じゃーー萌々香で」と、

嬉しそうに微笑んだー。



”何か”が、吹っ切れたような、そんな気がしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


”再戦”の日ー。


「ーーーー!!!」

亮哉(加奈子)は表情を歪めるー。


加奈子(亮哉)が、前とは違い、互角の速度で走っているー。


”ーー”わたしの身体”が早くなったー?

 ーそ、それもあるけどー、も、もしかしてー”


”加奈子”は確かに少しは早くなったー。

しかし、それ以上に”亮哉”が遅くなっているのだー


ネットで手に入れた入れ替わり薬ー。


だがー、もう手元にはないし、

元に戻る方法も本当は知らないしー、

そのサイトも既に閉鎖されているー。


けれどーーー

”入れ替わりを仕掛けた側”として

主導権を握っている今の状態はー、

とても心地良かったー


それにー、いざとなれば、加奈子(亮哉)に相談してー

”協力して、元に戻る”ことだってできるのだー


”主導権は、わたしが握ってるー”


笑みを浮かべながら、亮哉(加奈子)は、

もうすぐ1周ー…ゴールが近付いていることを確認するー


加奈子(亮哉)は、息切れしながら

表情を歪めるー


”やっぱりー前のようにはいかないー”

そう、改めて実感させられるー。

こんな距離、前は全然大丈夫だったのにー、

加奈子の身体はもう、はぁはぁと息切れをしているー


けれどーーー


”最後まで全力でやりきってー、それで、ダメならー”


そう思い、最後の力を振り絞るー。


加奈子(亮哉)の、ゴール直前での加速に

亮哉(加奈子)は驚くー。


しかしーーー


”あんたーーー生意気ーーー…!”


きっと、”人気者”でいられることにはー

色々な”努力”もあるだろうー。

亮哉(加奈子)にも、何となくそれは理解できるー


けれどー、だからこそー

”ムカつくー”


亮哉(加奈子)は、加奈子(亮哉)の腕を乱暴に掴むー


「ちょ…!な、何すんだよ!?」

加奈子(亮哉)が困惑して、振り払おうとするー


けれどー、

”亮哉”の力には勝てずー、

引っ張られて、そのまま押し飛ばされるー。


ゴール直前で、腕を引っ張られて、転倒した加奈子(亮哉)は

その場に手をついて、はぁはぁと息を吐き出すー。


亮哉(加奈子)は、1周を走り終えてゴールすると、

満足そうに笑みを浮かべたー。


「ーーあははは 残念だったなぁ~”藤谷”さんー」

亮哉(加奈子)が笑うー


”ーーーーーーー”

自分は”木下亮哉”じゃなくて”藤谷加奈子”だという

現実を改めて突き付けられた気持ちになる加奈子(亮哉)ー


「ーーほらほら、今の自分は”女の子”なんだってことをー

 自覚しなくちゃ? な?」

亮哉(加奈子)が煽るようにして言うー。


こういう瞬間がー、

亮哉(加奈子)にとって、何よりの愉悦に浸れる瞬間だったー。



「ーーーーーー」

手を地面についたまま、はぁはぁと息を吐き出す加奈子(亮哉)ー


プツリ、と何かが切れたー。


”藤谷加奈子”は元に戻る気なんて毛頭ないー。

”俺を弄んで楽しんでいるだけ”だー、と、

今日、改めてそう実感したー。


”木下亮哉”に戻りたいー

そんな気持ちはあるー。

でも、一方で”藤谷加奈子”としての人生も、

それなりに楽しいことも見つけて来たー。


”「ーー”今の自分の気持ち”を大事にすればいいと思うー」”


彼女だった萌々香の言葉を思い出すー。


「ーーーーー」

加奈子(亮哉)は、ギリッと歯ぎしりをするー。


そんな加奈子(亮哉)に、

亮哉(加奈子)は”わざとらしく”さわやかな笑みを浮かべながら

「ーー”藤谷さん”にはやっぱ1周は辛かったかぁ~」と、

手を差し伸べるー。


”優しいイケメン男子”になっている自分に快感を覚えるー。


”差し伸べられた手を掴むしかない加奈子(亮哉)”を見つめながら

亮哉(加奈子)は笑みを浮かべるー


”さぁ、優しい優しい俺の手を掴みなよー”

亮哉(加奈子)は、ニヤニヤしながら、

加奈子(亮哉)の動きを待ったー



そしてーーー

加奈子(亮哉)は、亮哉(加奈子)に差し伸べられた手を掴むと、

疲れた様子で立ち上がったー。


”手を差し伸べてやった優しい俺”に酔う

亮哉(加奈子)ーーー


だがーー


「ーーーーありがとう。”木下くん”ー」

加奈子(亮哉)がそんな言葉を口にしたー


「ーーーえ?」

亮哉(加奈子)の表情から笑みが消えるー。


「ーわたし、”木下くん”と競争しても

 勝てるわけなかったみたいー。

 

 ”木下くん”、足が速くてすごいね!おめでとう!」


加奈子(亮哉)の言葉に、

亮哉(加奈子)は動揺しながら、

「ーえ……な、何だよー急にー、き、気持ち悪いー」と、

声を震わせるー。


”加奈子になった亮哉”は、

今まで、学校内で周囲の目があってどうしても必要な時以外”は、

必ず、亮哉になった加奈子のことを”藤谷さん”と呼んでいたー。


必ず、”中身”の名前で呼んでいたのだー。


それなのにー


「ーーー…ち、ちょっとー…

 も、元に戻りたいんでしょ?

 ほら、いつものようにわたしに”元に戻る方法を教えろ!”って

 言いなさいよー」


亮哉(加奈子)は思わず、”自分の素の口調”に戻って、

そう叫ぶー。


しかしーーー


「ーーーーそういうの、もういいやー」

加奈子(亮哉)は、冷たくそう呟くと、

亮哉(加奈子)のほうを見て、静かに微笑んだー。


「ーーーこれからも、サッカー、頑張ってね。”木下くん”」


そう、言い放ちながらー。


にこっ、と笑って立ち去っていく加奈子(亮哉)ー


「ーーちょ、ちょっと、ちょっと待って!

 あ、あんたは木下亮哉でしょ!?

 ちょっと!!待って!」


”元に戻してくれ”と、言わなくなってー

”藤谷加奈子”として生きる道を選んだ亮哉を前に、

急に”優位に立っていた自分”を失った気がしてー、

もう”2度と元に戻る選択肢”が無くなった気がしてー、

焦りながら叫ぶ亮哉(加奈子)ー


そんな彼女のー

”哀れな姿”に、

加奈子(亮哉)は、振り返って、憐みの視線を向けながら

言い放ったー。


「ー入れ替わり?

 ーー何言ってるの?”木下くん”ー」


とー。


夕日に照らされた加奈子(亮哉)が微笑むー。



これがー、

煽りすぎた結果ー。

調子に乗りすぎた結果ー。


加奈子として生きることを決意した亮哉を前に、

亮哉(加奈子)は呆然として、その場で膝を折るー。



「ーーーーーーぁ」

一人残された亮哉(加奈子)は、

目から涙をこぼすー。


自分のしてきたことをー

初めて後悔したー。


けれどー…

もう、遅かったー。



亮哉は、”藤谷加奈子”として明るい人生を歩み始めるー。

加奈子として生きることを決意して、吹っ切れた亮哉はー、

その後、嫌われ者だったことが嘘のように、

クラス中から愛される美少女になったー。


一方の加奈子は、程なくして、

”奪われたわたし”を学校で見続けることに耐え切れずー、

退学したー。

自ら仕掛けた入れ替わりを後悔しながらー、

”木下亮哉”となった彼女は、それ以降、心を閉ざしー、

暗い人生を送ることになってしまったー



「ーーこんな力なんて、いらないー

 背が高くたってー…そんなのどうでもいいー」


部屋の中で体育座りをしながら、

亮哉(加奈子)は、いつまでもいつまでも、

そんな後悔の言葉を口にし続けたー



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


「たとえ嫌われ者になったとしても」の最終回でした~!☆!


結局、元に戻ることはできませんでしたネ~!


①を描く直前から、

散々相手のことを”身体の名前”で呼んで煽っていた加奈子が、

最後に自分も”身体の名前”で呼ばれて愕然とするエンドが頭の中に

浮かんでいたので、そんな結末を描いてみました~!☆


加奈子として生きていくことを決めた亮哉くんの、

唯一の気がかりは”両親”のことですが、

それは、この先の人生で、何らかの形で

どうにかして支えていくことを考えている…という設定デス~!☆


ここまでお読み下さり、ありがとうございました~~!☆

Files

Comments

みのむー

なるほど。こうきたかー。 こういう自業自得な終わりかたいいですねー。

飛龍

おー、改心するかなと思ったけど結局破滅してしまったねぇ。例え嫌われ者に落ちても"変われる"事を証明した亮哉と、機会はあったのに変わらなかった加奈子が良い対比になっていますね。最後に体の名前で呼び返される意趣返しも入っていてすごく楽しめました! ありがとう!

無名

みのむー様~!☆ありがとうございます~! 完全に自業自得の結末を迎えてしまいましたネ~…!

無名

改心しそうで最後まで救いのない子でした~!笑 私も楽しく完結まで執筆できました~! ありがとうございます~!☆

たそがれ

亮哉の言葉通り、入れ替えたことを加奈子に思い切り後悔させる結末になったので、とてもスッキリしました! 入れ替わりをしかけた側が奪われた、とか思っちゃったら、完全な敗北ですよね。 それにしても、加奈子が使ったのが、入れ替わり薬で、憑依薬じゃなかったのは、亮哉にとって、不幸中の幸いでしたよね。もし憑依されていたら、最終的に加奈子が転落するのは同じとしても、乗っ取られたままになる亮哉が幸せに生きていくことは出来なかったでしょうし。 あと、もし加奈子が入れ替わり薬を再入手していたなら、再度入れ替わろうとしたんですかね? まあ、そうしたところで、加奈子がまた嫌われ者に転落するのは間違いないでしょうけどね。

無名

ありがとうございます~~!☆ 最後はタップリ後悔させる結末になりました~!☆ もしこれが憑依だったら… 憑依で転落していくお話も以前、何かで書いたような気がします~笑 また入れ替わっても…結果は見えちゃってますネ~笑