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”睡眠不足”の状態になると女体化してしまうー。

そんな体質を持つ男・哲哉や、

”せっかくなんだから、女としても生活してみたい”と、

大学生になったのを機に”睡眠不足”の状態をあえて維持して、

”裕美”と名乗り、大学生活を送っていたー。


時々、自分でも自分は男なのか、女なのか分からなくなりながらも、

彼の大学生活は続いていくー…


★前回はこちら↓★

<女体化>睡眠不足は女体化の元①~睡眠時間~

彼はー… ”睡眠不足になると女になってしまうー” そんな体質の持ち主だった。 原因は、不明ー。 よくある、”生まれつき〇〇”というやつだー。 生まれつき、不思議な体質で生まれて来る人間は、 人類全体を見渡せば、それなりにいるー。 彼の場合、それが”睡眠不足になると女になる”というー そんな状態だっただけだー。 ...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーーーーーーーー」

目を覚ました”裕美”は、男に戻っていたー。


フリフリの可愛らしい服を着たまま男に戻るのはー、

ちょっと奇妙な気分になるー


「ーーやっぱ、元のわたしには似合わないなぁー

 …っていうかちょっとキモー…」


哲哉は、”元の自分”の姿で可愛らしい服を着ることは嫌いだったー。

思わず、そんな言葉を口にすると、

「ーーーってか、今は”俺”かー」と、自分の一人称にもツッコミを入れるー


「ーーーは~、ほとんど女子として過ごしてるからー

 たまに男に戻ると、つい、いつもの喋り方をしちゃうんだよなー」


哲哉は苦笑いしながら、家に1,2着だけ用意している

男物の服を着ると、ため息をついたー。


今日は”よく寝た”ー

睡眠不足になると女体化する哲哉は、十分に寝たことによって

久しぶりに男に戻ったのだったー。


もちろん”ミス”をしたわけじゃないー。

月に数回、休みの日になるとこうして”男”に、あえて戻っているのだー。


戻るのは簡単ー。

たくさん寝ればいいー。それだけだー。


久々に男に戻った哲哉は”男の姿”でやるべきことをこなしていくー。


”自分の身体”に異変がないかどうかの確認をしー、

実家にいる母親に”電話”を掛けるー。


たまに声を聞かせないとやっぱり心配するだろうし、

こうして”元の姿”に戻った時に電話を掛けたりー、

夏休みや冬休みには実家に戻ったりもしているー。


そしてー、

高校までの友達と連絡を取ったりー、そういったこともこのタイミングにするし

”どうしても”本人でないと手続きできないような手続きも

男に戻ったタイミングで進めるー。


「ーーっかし、やっぱ睡眠時間が長いと身体が楽だなー」

哲哉はそう呟きながら、自分の髪を触るー


「あ~~~…普段、髪が長いから久しぶりに

 短くなると、落ち着かねぇ…」


「ーーーー…」

胸を見下ろし、胸の膨らみがないことを確認すると

「視界が広がった!」と、笑うー。


逆にー、「あぁ、ここについてるの、何か気持ちわりぃ!」と、

一人で呟くと、哲哉は”久しぶりに戻る度に、これだもんなー”と、

苦笑いしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー。


あくびをしながら、再び”女体化”した哲哉…=裕美は、

大学の食堂で昼食を食べていたー。


”女体化”しても、同じ人間ではあるからかー、

味覚に変化はあまりないー。


(甘いモンぐらいは好きになりたかったなー)

そんなことを思いながら、サンドイッチを口に運ぶ裕美ー。


”スイーツを食べて、きゃっきゃっしたかった”

そう思っていると、「冬川さんー」と、背後から声がしたー


「ん?」

裕美が振り返ると、「あ、牧村(まきむら)くんー」と、

微笑みながら、手を振ると、

「ここ座る?」と、笑いながらその男子ー、

牧村 誠太(まきむら せいた)を手招きしたー。


「ーーお邪魔しますー」

好青年風の雰囲気を持つ誠太がそう言うと、

裕美の前に座るー。


もちろんー

この”誠太”も、裕美が”哲哉という男が女体化した姿”であることは知らないー。


しかしー、

裕美にとっては”一番仲の良い男子”で、

大学の中には、裕美と誠太は付き合っている、と、

誤解している人間もいる始末だったー。


「ーーあ、そうそう!それそれ!わたしも~!」

いつものように、何気ない雑談をしながら笑う裕美ー。


最初はー

”異性”として意識することなど全くなかったー。


けれどー、最近はーー

”誠太”と一緒にいると、心が温かくなるのを感じるー。


”わたしー…ホントは男なのに、男子のこと、好きになっちゃった”

裕美は、そんなことを思いながらも、

誠太と一緒にいたい、という気持ちが勝り、今でもこうして

仲良くしているー。


「ーーはははー…それにしても冬川さんは

 今日も眠そうだなぁ」


誠太が雑談の最中、そんな言葉を口にするとー、

疲れた目で、裕美は「ーーわたしはあまり寝ない子だから」と、

微笑んだー。


「ーはははは 寝ればいいのに」

誠太がそう言うと、裕美は「だ~め!寝るの嫌いだし」と、笑うー。


”女子”としての振る舞いは、もはや完璧ー

大学生生活も既に2年目ー。

つまり、女子大生ライフも2年目ともなればー

自然に”女子”として振る舞うことができるし、

何なら、一時的に男に戻った時に、間違えて”わたし”と言ったり

してしまうぐらいには、心も女体化しているー。


誠太と楽しそうに雑談を続ける裕美ー。


けれどーーー

裕美=哲哉には、分かっているー。


”いつまでも、この生活を続けることはできないー”

と、いうことはー。


だからこそー、

誠太のことが”女”として好きになりー、

誠太自身も、”おそらく”女体化した哲哉=裕美のことが好き、という

状態でも、裕美は誠太と”付き合う”ことはしなかったー。


”もし”誠太と付き合い始めたらー、

”男の生活に戻っていくこと”を躊躇してしまうからー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーー卒業後は、”男”に戻るんだったっけ?」


ある日ー、

理事長ー…、哲哉の伯父がそんな言葉を口にしたー。


今日は、大学に”女子大生”として入学させてくれたお礼にと、

理事長の家にやってきていたー。


大学生になってから既に2年目だが、未だにこの関係は続いているー


…と、言っても、女体化した哲哉=裕美が自ら始めたことだし、

”伯父さんを喜ばせてあげよう”と、いう純粋な気持ちから

やっているだけであってー、

決して伯父さんは、無理に”家に来てほしい”とは、絶対に言わないー。


”毎回”伯父さんにリクエストを聞いて、

伯父さんの好きな服に着替えてあげている裕美は、

少し恥ずかしそうに、自分のチャイナドレス姿を見つめると、

「ーーまぁ…はいー」と、苦笑いしたー。


「ーーそっかー…まぁ、それがいいかもしれないね」

伯父さんは、そう言葉を口にするー。


「ーーだからこそー、

 大学生のうちに、女として楽しんでおこうと思ってー。


 ほら、せっかくこんな身体に生まれたんですからー

 両方体験しないと、損ですし」


裕美がそう言うと、伯父は「ははは、そうだねー」と、笑ったー。


”哲哉”は、大学生になったら、睡眠不足の状態を維持して

”女子大生ライフ”を送るために、伯父さんに頼み込みー

”女子大生ライフ”を送る、という夢を実現したー。


だがー、それは”大学生のうちだけ”のつもりだったー。


社会人になったら、また”男”に戻るー。

哲哉は、そんな風に覚悟を決めていたー。


理由はーー単純だー。


「ー公的に存在するのは”若松哲也”だけですからねー。

 伯父さんのおかげで、こんな風に”冬川裕美”なんて

 やってられるだけでー、

 社会に出たら、そうはいきませんからー…」


裕美が悲しそうにそんな言葉を口にするー。


「ーまぁ、それもそうだなー…」

伯父さんはそう呟きながら頷くー。


”冬川裕美”という人間は公的には存在しないー。

”戸籍上”存在しない人間である以上ー、

これからもし、哲哉が女として生きていくとなると、

色々な問題が生じるのは事実だー。


常に偽名を名乗る必要が生じるし、

公的な手続きは一切できなくなってしまうー。


かと言って、戸籍上、”若松哲也”から、

名前も性別も完全に変えるのは、難しいはずだー。


「ー大学を卒業したらー、

 基本、男として生きていきますよー」

裕美が笑いながら言うー。


「たまに休みの日に”寝不足”になって、女になったりは

 するかもしれませんけどー」

そんな言葉を口にすると、伯父さんは少しだけ

複雑そうな表情を浮かべたー。


”ー哲哉くんは、”どっち”で生きていきたいのだろうかー”


そんなことを思っているとー、


「ーあ、せっかく遊びに来たのにすみませんー

 だからこそ、今はこういうコスプレとかも楽しもうと思ってるんですー

 女子大生として」


そう言いながら哲哉は”裕美”として、

チャイナドレス姿で嬉しそうに足を見せ付けるようなポーズをすると、

伯父さんは少しだけ顔を赤らめながら微笑んだー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


”楽しい大学生生活”は、あっという間に過ぎていくー。


”睡眠不足”の状態を維持して、”女体化”したままの状態で、

大学に通う日々ー。


休日など、ごく一部の日を除いて”冬川 裕美”として過ごす日々は

とても充実していたー。

”同性同士の友達”のできたしー、

今ではすっかり、おしゃれにも夢中になっているー。


相変わらず、甘い食べ物は苦手なままだけどー、

それでも、”男”のままでは経験できないことを、たくさん、経験したー。


もちろん、男の姿で過ごす時にも”男でしか経験できないこと”を

たくさん経験しー、

どちらも、哲哉にとってはかけがえのない経験だったー。



しかしーー

もうすぐ”女”としての生活は終わりを告げるー。


「ーーーーーー」

裕美は、大学で考え事をすることが多くなったー。


「ーーー(もうすぐ、男に戻らなくちゃなー)」

そんなことを思うー。


就活は、伯父さんにも手伝ってもらい、

大学を卒業した後に、伯父さんの知り合いの企業を紹介して

もらう約束になっていてー、

問題はないー。


”色々、楽しませてもらったしー”と、伯父さんも、

卒業祝いとして、特別に対応してくれるようだー。


だがーーー


”冬川 裕美”は、

もうすぐ死ぬも同然だったー。


これからはー

”たまに”しか女体化できないー。


「ーーー”わたし”はーーーー」

裕美は少しだけ寂しそうに呟くー


女体化している状態も、男に戻っている状態も、

哲哉自身であることには間違いないー。


けれど、自分が二人いるような、そんな錯覚を覚えるー。


「ーーーーでも、仕方ないよなー」

裕美はそんなことを呟くと、

”残り少ない大学生活”存分に楽しもうー、と

心の中で今一度、言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「冬川さんー」

大学卒業を目前に控えたある日ー。


仲の良い男子生徒・誠太に声を掛けられたー。


誠太とは相変わらず”友達”を続けていてー

彼氏・彼女の関係にはなっていないー。


哲哉=裕美からすれば、

誠太のことは大好きだし、

本当はー

自分が”本物の女”であれば、彼女になりたかったー。


けれどー、自分は

”どっち”が本当の自分なのか分からないー、

そんな曖昧な存在だー。

生まれた時は確かに男だったけれどー、

睡眠不足になれば女になり、

睡眠が足りていれば男になるー。

そんな、自分は”どっちが”本来の自分なのかすら、分からないー。


”初期状態”が男だったから、

公的には男になっているけれどー、

それも、正しいのか分からないー。


ただ、いずれにせよ大学を卒業すれば

”裕美”としての生活は終わるー。


だからー

誠太と付き合うことはできないし、

大学を卒業したら、誠太とも縁を切らなければいけないー。


「ーーー俺、冬川さんのことがやっぱり好きだー」

誠太がそんな言葉を口にするー。


前に、一度告白されたことはあるー。

しかし、”彼氏を作ることはどうしてもできない”という理由で

それを断りー、

その上で”でも、牧村くんのことは嫌いなわけじゃない”と、

必死に説明して、それ以降も”友達”として仲良く過ごして来たー。


きっと、誠太はずっと”好き”の想いを封印していたのだろうー。


卒業を間近にして、最後の賭けに出たに違いないー。


「ーーー”しつこい”って、冬川さんに嫌われちゃうかもしれないけどー

 それでも俺ー…冬川さんを支えたいー


 もちろんーこれでダメだって言われたら諦めるー。

 これ以上しつこくすることは絶対にしないー。

 でも、このまま何も言わずに卒業したら絶対に後悔するって

 そう、思ってー」


誠太がそれだけ言うと、

裕美のほうを見つめたー


「ーーーー牧村くんー」

”裕美”として、その想いに答えたいー。


でもー、自分はー…


それに、一緒に暮せば”いつかは”気づかれるかもしれないー。


ここで断れば”誠太”は諦めるー。

それは、間違いないー。


”嫌”と伝えて、しつこくするようなタイプではないー。


けれどーーー


「ーーーーー……わたしもー…

 牧村くんのことは、好きー

 

 でもーーー…」


裕美は表情を歪めるー。


「ーーーー……でもー……」


その先が、言葉にならないー。


そんな裕美を見て、誠太は少しだけ笑うと、

「ーーー…ごめん」と、だけ言葉を口にしたー


「ー苦しませて、ごめんー」

とー。


どこか、諦めたような表情ー。


そんな顔を見て裕美は、誠太のほうを見つめるー


「ー牧村くんは何も悪くないー!

 でもー…”わたしのこと”知ったらー

 牧村くんは、わたしのことを嫌いになるー

 牧村くんが、傷ついてしまうと思うからー」


裕美がそんな言葉を口にするー。


目から涙が溢れるー。


”大学生活の何年かー”で

心も女体化したのだろうかー。


そんな風に思いながらも、

そう、気持ちを吐き出すと、

誠太はそんな裕美を見つめながら、言葉を口にしたー


「ーーーーー大丈夫ー。

 どんな話でも、俺は怒ったりしないしー、

 嫌いになったりはしないー


 ……もし、話せるならー、聞かせてくれないかー?」


誠太のそんな言葉に、

裕美は”自分の秘密”を口にしそうになるー


けどー…

どんなに、誠太が優しい人間だったとしてもー


”目の前にいる好きな人が、睡眠不足で女体化する男”だと知ったらー…、


「ーーーーーー」

裕美は口を閉ざそうとしたー


したはずなのにーーー


目から涙をこぼしながらー、

裕美は、”自分の秘密”を口にし始めたー



③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


次回が最終回デス~!


睡眠不足で女体化する体質の彼が

どんな未来を進むのか、

ぜひ見届けて下さいネ~!


今日もありがとうございました~~!

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