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他人に憑依して”仕事”を行う憑依バイトー。

そんなバイトに軽い気持ちで手を出した男子大学生の幹也。


しかし、次第にバイトに違和感を感じ始めた幹也は

バイト先である”憑依事務局”の女性に疑問をぶつけるー。


がー、キツイ口調で、叱られてしまった幹也は

違和感を感じながらも、憑依バイトを続ける日々を送るー。


☆前回はこちら↓☆

<憑依>憑依バイト②~疑念~

”他人に憑依して簡単な作業を行う” そんな、謎のバイト”憑依バイト”を始めた 男子大学生の幹也。 最初の”仕事”は、 歯医者の治療が怖いと怯える女子高生に憑依して 代わりに歯医者の治療を受けることだったー。 ”人助け”をしつつ、欲望を満たしつつ、お金も稼げるー。 そんな憑依バイトに、幹也は魅力を感じながら 仕事...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーあの…」

幹也は、”憑依事務局”の事務所を訪れたー。


最初に、”憑依バイト”の説明を受けた場所だー。


「ーすみませんー。お時間取らせてしまってー」

幹也が頭を下げながら言うと、

説明の時や、その後の仕事の依頼などー、

一番、幹也がお世話になっている担当の女性ー、朝倉 美桜が

笑顔で「いえいえ、どうしましたか?」と、

着席しながら口を開いたー。


「ーーそのー…バイトを辞めようと思いましてー」

幹也が言うー。


「ーー辞める?」

美桜がそう言いながら、幹也に先を促すー。


「はいー、その…

 実は大学の授業とかサークル活動とかで

 少し忙しくなってきてしまってー…

 なかなか仕事が出来ない日も増えてしまいましたし、

 このままだと、朝倉さんにも、皆川さんにも

 ご迷惑をおかけしてしまうと思ってー」


幹也がそう言葉を呟くー。


あの”ギャル”に憑依する仕事をこなしたあとー、

正気を取り戻した彼女が

”まるで状況を飲み込めない”といった雰囲気の中、

暴行を受けているのを見て、幹也は憑依バイトに不信感を抱いたー。


”憑依事務局”の説明が正しければ

あのギャルは自分で”待ち合わせ場所に迷わずに移動したいから”という

理由で憑依を依頼してきたはずだー。


しかし、正気を取り戻した彼女は、まるで”そんなこと知らないかのように”

怯えー、しかも、柄の悪い男たちに暴力を受けていたー。


そこからだったー。

幹也が”憑依バイト”に不信感を抱き始めたのはー。


少し前に、担当の一人、皆川にそれを電話で確認した際にも

質問には答えてもらえずに、キツイ口調で”ルール違反”だと

叱られてしまったし、

その後も仕事を続けて来たけれどー

極めつけはー”2週間前”の出来事だったー。


例の子がー

”遺体”となって発見されたというニュースを見たのだー。


例の子、とは3週間ほど前に憑依したあの”ギャル”のような子だー。

幹也が憑依したあの子が、遺体となって発見された、というニュースを

幹也はスマホで偶然見つけてしまったー。


”憑依バイトは、ヤバいバイトなのではないか”

そんな疑念が膨らみ、怖くなりー、

それからは、大学が忙しい、ということを口実に

”仕事”を”対応不可”にして、なるべくやらないようにしてきたー。


ここ数週間は、

”仕事で写真撮影があるけれど、恥ずかしいから代わりに

 憑依して代わりに撮影の仕事をやってほしい”というものと、

最初の頃にもやった”歯科治療の肩代わり”の仕事だけしか

やっていないー。


がー、”なるべく仕事を受けないように”しても

それはただの時間稼ぎに過ぎないー。

”憑依バイト”と縁を切るには、やはり”辞める”しかないのだー。


そう考えた結果ー、

昨日、担当の女性・朝倉美桜と連絡を取り、

今日ここにやってきているのだー。


「ーーなるほどー

 確かに桐谷さんは学生さんですし、

 学業の方が優先ですものねー」


美桜はそんなことを言いながら、幹也の書類に目を通すー。


「なんだかすみませんー

 急な話でー。

 もちろん、今日いきなりということじゃなくて、

 1か月とかでも大丈夫なのでー

 なるべく早めに伝えておこう、とー」


幹也が安堵の表情を浮かべながらそう言うと、

美桜は笑いながら「いえいえ、これからも頑張ってください」と

言葉を口にしたー。


「ーーーーーーー」

安堵の笑みを引き続き浮かべていた幹也ー。


しかし、美桜はそのまま書類を机の中にしまって、

事務所の奥に向かって行こうとするー。


まるで”話は終わった”と言わんばかりにー


「え…え~っと、それで俺はいつ、退職ということに

 なるんでしょうか?」


幹也が、奥に向かおうとする美桜を呼び止めるように

してそう言葉を口にするー


「ーーー?」

美桜は笑いながら振り返るー。


「ーですので、これからも頑張ってください、と言ったはずですが」

とー。


「ーえ?」

幹也の表情から笑顔が消えていくー


「ーーえ…えっと、も、もちろん大学は頑張りますけどー

 そのー…”憑依バイト”は、いつ終わりにすればー?」

と、再度確認する幹也ー。


「ーーー頑張るのは、”バイト”ですよ」

にっこりと笑う美桜ー。


「へ?」

幹也が間抜けな声を出すー。


「え…??え…???

 で、でも、朝倉さん、さっき、

 学業の方が優先ってー?」


幹也がそう食い下がるー。

確かにさっき、美桜は”学生さんだから学業の方が優先ですよね”と

理解を示してくれたはずだー。

それなのにー。


「ーーー言いましたよ。

 でも、辞めていい、とはわたしは一言も言ってませんよね?」

美桜の言葉に、幹也は青ざめるー。


「ーーー大学が忙しくなったからバイトをやめるだなんてー…

 嘘はやめましょうよー。

 正直に言ったらどうです?

 ”ビビってる”って」


美桜の言葉に、幹也は「そ、そ、そんなことはー」と、

明らかに動揺した様子で言うー。


最初の”憑依バイトの説明”の時もそうだったがー、

なんだか、フレンドリーな雰囲気を持ちながらも

”全てを見透かしているような感じ”がして、少し不気味な感じもする女性だー。


「ーーお、俺、大学が本当に忙しくてー

 皆さんにご迷惑をかけたらいけないと思ってー」


幹也が半分涙目になりながらそう言うと、

美桜は笑みを浮かべながら、幹也の方に近づいて来てー


綺麗な足を横の壁に叩きつけてー

脚で壁ドンをしてきたー


「ひっ!?」

幹也が思わず情けない声を出してしまうー。


「ーーーーびびってんじゃん」

クスッと笑う美桜ー。


すぐに、美桜は脚をどけると、

「ーな~んてー、びっくりしましたか?」と、にっこりと微笑んだー。


「ーこれからも、宜しくお願いしますね」

”絶対に退職させない”

美桜からはそんな硬い意思を感じるー。


「ーい、いやー、あ、あのー」

なおも”辞める意思”を伝えようとする幹也ー。


がー


「こ れ か ら も、よ ろ し く お ね が い し ま す」

と、脅すような口調で言われてしまった幹也は、

青ざめながら事務所を後にすることしかできなかったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


”この女子高生に憑依して自宅でこの子の父親を殺してください”


数日後ー

そんな依頼が入ったー。


担当の女性・皆川に、幹也は再度聞き返すー。


”だから、憑依した子の身体で親を始末しろって言ってるんですよ”

皆川の強い口調ー


幹也はたまらず「そ、それってー…ひ、人殺しじゃー…?」と

再確認するー


”それがどうかしましたか?”

そんな冷たい口調に、幹也は震えながら言葉を口にするー


「す、すみませんー…その”仕事”はお断りしますー」

とー。


”できない、とー?”

皆川の脅すような口調に、幹也は

「仕事内容はひ、人助けだって、言ってましたよねー?」

と、激しく動揺しながら叫ぶー。


この”皆川”という女性に言われたわけではないが、

少なくとも、”朝倉さん”はそう言っていたー。


”ー人助けですよ?

 ターゲットの父親を始末することで、助かる人がいるんです”


皆川がクスクス笑いながら言うー。


「ーー…で、でも、それはー!」

幹也がなおも反論すると、

”今更逃げられるとでも?”と、皆川が脅すような言葉を再び口にしたー


”「憑依事務局」は、あなたが提出した履歴書を当然持ってますからー

 あなたのことは何でも分かりますからねー”


その言葉に幹也はガクガクと震えながら

「け、警察にー」と、言葉を口にするー


”警察?”

クスっと笑う皆川ー。


”わたしたちは”他人の身体”で仕事をしているだけですからー

 警察を頼っても無駄ですよー、む・だ


 それにーわたしたちには”憑依薬”があるー。

 わたしたちは、いつでもあなたに憑依することもできるー

 その意味が、分かりますね?”


その言葉に、幹也はあまりの恐怖に目から涙が溢れそうになるー。

自分でも情けないとは思ったー。

でも、怖いものは怖いー。


”こんなバイト、始めなければよかったー”

幹也はそう思いながら、再度言葉を口にするー。


「すみませんー。とにかく、お断りしますー」


そう叫んで、電話をひと思いに切ったー。


どういうつもりなのだろうかー。


最初は”どうでもいい簡単な仕事”を任せてー

憑依バイトに引き込んでから、

こういう過激な仕事をさせるつもりだったのだろうかー。


それともー…

”バイトを辞めたい”と言ったからー

その”報復”なのだろうかー。


いずれにせよー、

”憑依事務局”がヤバい連中だと言うことは分かったー。


「くそっ…どうしたらー…」

幹也は一人、頭を抱えながら、その身体を震わせたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーー木下(きのした)さんー、

 今日のバイトはー」


”憑依事務局”で働く女性の一人ー、

眼鏡をかけた真面目そんな雰囲気の”池田”という女性が、

”バイト”の一人に電話をかけていたー。


”バイト”は、幹也以外にも何人もいるー。

そして、幹也の担当は主に「朝倉」と「皆川」の二人だが、

それぞれのバイトには、幹也同様に

”主に連絡を取り合う担当者”が数名、ついているー。


木下というバイトの担当女性の”池田”が、笑いながら

言葉を囁くー。


「ーなんでもやってくれるあなたに折り入ってお願いがありますー」

池田はそう言うと、悪魔のような笑みを浮かべながら囁いたー。


「桐谷 明日香という子に憑依してー

 家の中でひたすら暴れて下さいー。

 死傷者が出ようと、構いませんー」


池田が可愛らしい声で、悪魔のような言葉を囁くー。


”へへへへー

 楽しそうなバイトじゃないですかー。分かりましたー”


電話相手のバイト・木下が笑うー。


木下という男は、幹也と同じように

男子大学生ー。

しかし、幹也とは違い、”憑依バイト”を心の底から楽しんでいて

その内容がどんな内容であろうと嬉々としてこなす危険人物だー。


”桐谷 明日香ー”

木下の憑依対象として”憑依事務局”から指示されたのはー

幹也の妹ー。


「ーーわたしたち”憑依事務局”に逆らうことなど、

 許されないー」


これはー

”憑依事務局”に逆らった幹也への”報復”ー。


池田はそう囁くと、不気味な笑みを浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーただいま~!」


翌日ー。

実家で暮らす幹也の妹・明日香が

いつものように明るい表情で帰宅して、

母親と言葉を交わすー。


そしてー、

いつものように手洗いなどを済ませて、

いつものように自分の部屋へと向かうー。


だがー

その時だったー。


「ーーうっ…」

突然、明日香がピクッと震えて、苦しそうな表情を浮かべるー。


しかしー

すぐにその表情は狂った笑みへと変わりー、

階段を上りかけていた明日香は、階段を引き返して

再び母親の前に戻って来たー


「ーーククククー」

不気味な笑みを浮かべる明日香ー


「あれ?明日香、どうしー…」

母親がそう言葉を口にすると同時に、明日香は突然、花瓶を手に取って

それを床に叩きつけたー


「ーーくくくくく…祭りの始まりだ!」

明日香に憑依した憑依バイトの男は、嬉しそうに笑いながら

家の中で”大暴れ”を始めたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーう…嘘だろー…?」

幹也がその連絡を聞いたのは、夜のことだったー。


”突然、明日香が暴れ出して母さんが怪我をして、

 明日香は一人で狂った”自分の身体”で欲望の限りを尽くしー、

 最後には突然失神、意識不明の状態が続いているー”


とーー。


父親から連絡を受けた幹也は呆然とするー。


それと同時にー

”憑依事務局”の朝倉から連絡が入るー。


”ーーーーちゃんと仕事をしないバイトには、

 こうやって、”しつけ”をするんですー”


担当の女性、朝倉美桜がクスクスと笑いながら言うー。


「ーーーーー…あ…明日香にー…

 妹に、何をした!?」


怒りの形相で叫ぶ幹也ー。


”桐谷さんもよくご存じのはずですー。

 ”バイト”ですよ、バイトー”


美桜の言葉に、幹也は「バ…バイト…?」と、震えるー。


”桐谷さんのような”憑依バイト”は他にもたくさんいますー。

 そのうちの一人に、桐谷さんの妹に憑依して

 暴れるように依頼しましたー”


「ーお…お前…!」

幹也は怒りを露わにするー。


”ーー次はーーー

 高い場所から飛び降りる依頼でも出しましょうか?


 ーふふ”


美桜の冷たい口調に、幹也は青ざめるー。


「や…や、やめろー…!

 わかった!分かりましたー…!

 これ以上、妹には手を出さないでください!

 頼む…!お願いします!」


幹也は震えながらそう答えると、

美桜は”ふふふー、最初からそうすれば妹さんも傷つかずに済んだのに”と、

クスクスと笑いながら言葉を続けたー。


”ーでは、また明日から宜しくお願いしますねー

 桐谷さん”


その言葉と同時に、美桜からの電話は切れたー。


「ーーーーー…明日香ー」

妹の明日香が憑依されて家で暴れさせられてしまったー。

しかも、憑依から解放されたあと、まだ意識が戻っていないー。


そんな状況に、幹也は”巻き込んでごめんー”と、

心の底から後悔すると、

歯ぎしりをしながらスマホを見つめたー


「ーーー許さないー…」


そう、呟きながらー。



④へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


物語は終盤へ…!

”憑依事務局”から逃れることはできるのかどうか、

ぜひ見届けて下さいネ~!☆


続きはまた次回デス~!☆

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