Home Artists Posts Import Register

Content

”犯罪のデパート”の異名を持つ男・陽平は、

警察に追い詰められて逃亡中に、偶然居合わせた深雪という子を

”皮”にして乗っ取り、深雪として、しばらく日常生活を送ることにした。


しかし、その深雪はいじめを受けている子で、

陽平は、”自分がいじめられっ子”になってしまうという

想定外の状況に置かれる羽目にー。


想像以上のいじめにうんざりした陽平は、深雪を脱いで

別の子を乗っ取ろうと画策するもー、

”深雪”を脱ぐことが出来ない状態になっていることに気付きー…?


☆前回はこちら↓☆

<皮>逃亡犯、いじめられっ子デビュー②~闇~

”犯罪のデパート”の異名を持つ矢口 陽平は、 警察官たちに追い詰められる中、 隠し持っていた”切り札”を使ったー。 それはー”人を皮にする注射器”ー。 陽平は、偶然遭遇した美少女・深雪を皮にし、乗っ取るとー しばらくの間、深雪の身体に潜伏して生活を送ることを決意。 意気揚々と学校へと向かったー。 その可愛さか...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーくそっ…まさか、こんなことになるとはー…」

深雪は不満そうに、自分の髪をいじりながら、表情を歪めていたー。


今の深雪は、深雪であって深雪ではないー。

身体は確かに深雪のものだが、深雪自身は、”皮”にされて

陽平に着られていて、その意識を乗っ取られている状態ー。


今の深雪は”意思なき洋服”と同じ状態なのだー。


だがーー


「チッ……どうなってやがるんだー」

深雪が苛立ちを露わにしながら、後頭部のあたりを何度も何度も触るー。


けれどー、やはり”深雪”の皮を脱ぐことはできないー。


つまりはー

陽平は”深雪”から逃れることができないのだー


「ーーくそっー

 俺の魂は牢獄に囚われたようなものかー」

深雪がそんな言葉を口にするとー、

うんざりした様子で、ため息をつくー。


”人を皮にする注射器”は、

陽平が裏社会で暗躍する中、繋がりのあった売人から手に入れたものだー。


しかし、その売人の連絡先も所在地も分からないしー、

調べるには時間が掛かるー


確かー

”カブト”とかいう名前を名乗っていたー。


その”カブト”を見つけ出せば、深雪を脱ぐ方法が分かるかもしれないー。

が、そう簡単にその”カブト”を見つけることはできないー


「チッー」

深雪は舌打ちをするとー

しばらく天井を見上げてから、ある決心を固めたー。


「ーなら仕方ねぇー…

 ”新しい深雪”をあいつらに見せてやるー」


深雪は笑うー。


今までは大人しくしていたが、

”深雪”として当面の間、生きて行かなくてはいけないのであれば

話は別だー。


やりたいように、やらせてもらうー。


「ーーーーわたしは今日から闇に染まるのー」

深雪の身体で、そんなことを呟くー


「クククククー」

その言葉にゾクゾクしながら、

深雪は鏡のほうを見つめたー


「今日から、わたしは”闇の女ー”」


深雪のような大人しい子に、

陽平の好きな言い回しをさせて、

陽平は深雪の中で激しく興奮するのだったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


深雪は、手始めにいじめの主犯である夏帆を呼び出したー。


「ーー何よー」

呼び出された夏帆が不満そうに腕組みをしながらやってくるー。


だがーーー

深雪の姿を見て、夏帆は表情を歪めたー。


空き教室で待ち構えていた深雪はー、

髪を茶色に染めー、化粧をしー、

耳にイヤリングをぶら下げてー、

獣の牙のようなネックレスをぶら下げているー。


「ーーーは…」

夏帆は思わず呆然としながら、深雪のほうを見るー。


一瞬ー、

相手が深雪なのかどうか、分からなくなったからだー。


その爪には、派手なネイルも施されているー。


やがてー、

深雪が夏帆のほうを見てニヤリと微笑むー。


その顔を見て、夏帆は相手が深雪であるとようやく確信するとー

「ーーは?…あはっ…あはははははは!あんた、何その格好ー!」と、

笑い始めるー


「ーーいいでしょ?これが、新しいわたし」

深雪はいつもとは違う、自信に満ち溢れた口調でそう言い放つと、

「ーわたしは、本当のわたしを解放することにしたの」と、

笑みを浮かべるー。


「ープっー

 ふふー最近さぁ、あんた、中二病にでもなったの?

 言ってること、キモくない?」


夏帆がそう言いながら、なおも深雪に近付いていくとー

深雪が突然、グーで夏帆を殴りつけたー


「ー!?!?!?」

夏帆は、ガードする前もなく、思いっきり殴られて、

そのまま倒れ込むー。


「ーーーーーい、いきなり何すんのよ!?」

夏帆がそう叫んで、身体を起こすと同時にー

深雪は、小さなナイフを夏帆の首筋につきつけたー。


「ー言ったよね?わたしをキレさせたらヤバいって」

深雪が小さな声でそう言い放つー


だが、その口調は脅すような口調で、

目には殺意すら宿っていたー。


「ーーひっ…!?」

夏帆は、思わず声を上げてしまうー。


「ーーお前みたいな可愛い女の血って綺麗そうだよねぇ?」

深雪の表情は”狂気”に染まっていたー。

その声も、深雪とは思えないぐらいに、恐ろしい声ー。


夏帆は「た、助けてー…」と、たまらず声を振り絞るー。


「ーあれぇ?どうしたの?

 わたしをいじめてた時の勢いは?

 クククククー」

深雪は目の前でペロリとナイフを舐めると、

再び夏帆の方にナイフを向けるー。


青ざめて、ガクガクと震える夏帆に、

もはやいじめっ子の面影は見られないー。


「ーーほら、ごめんなさいは?」

深雪が冷たい声で言い放つー


夏帆は、辛うじて残っていたプライドからか、

震えながら歯ぎしりをするー。


「ーーーーーー」

深雪は、そんな夏帆の態度を見て、

突然、自分の指に傷つけたー。


「ー!?」

深雪の指から血があふれ出しー、

深雪が笑みを浮かべるー。


それを、夏帆の頬に塗りながら

「つぎは、お前ー」と、笑う深雪ー


ガクガクと震えながら、夏帆は

「あ、あなたーー…ほ、本当にー…み、深雪ー?」と、

目に涙を溢れさせながら言うー。


「ーーー”深雪を乗っ取った”悪魔ー」

深雪がそう囁くー


「ーーーー~!」

夏帆はさらに、恐怖に表情を歪めながら

言葉すら失って深雪のほうを見つめ続けるー。


「ーーな~~~んちゃって」

深雪は、そんな夏帆に対してそう言い放つと、

「これからは、あんたがわたしの言うことを聞くのー

 いい?」と、夏帆の胸倉をつかみながら言い放つー。


夏帆は、この上ないぐらいに怯えた様子で頷くと、

その場にへなへなと座り込んだー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ど、どうしたのー?」


深雪が教室に入ると、

教室がざわついたー。


突然、派手な容姿になった深雪ー。


クラス全体が戸惑いー、

中には笑う者もいたー。


「ーーー」

だが、笑う男子のほうを深雪が睨みつけると、

その男子もびくっとして、黙り込むー


”ククククー

 俺が本気を出せば、こんなもんよ”


そんなことを思っていると、

深雪の近くの座席の女子生徒・楓が心配そうに

「ど…どうしたの…?その格好ー?」と、戸惑いの声を上げるー。


「うん?

 ふふー…

 闇堕ちしたわたしー… ゾクゾクするでしょ?」


深雪がそんな言葉を口にすると、

楓も、戸惑いの表情を浮かべながら、黙り込むー


「クククククー」

深雪は、楓のその姿を見つめながらー

”そういや、この子ー、この女のこと元々庇ってたみたいだしー

 よく見ると可愛いよなぁ”と、

心の中で静かに囁いたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーー!!!!」


数日後ー

”闇の売人”カブトの居場所が分かったー。


陽平に”人を皮にする注射器”を提供してくれた売人ー。


その”カブト”の居場所はーーー


既にー

”この世”にはなかったー。


そうー、

カブトは数か月前、裏社会組織の銀狼とトラブルを起こし、

銀狼が放った殺し屋に殺されていたのだー。


カブトに話を聞くことは、もう、できないー。


「くそっ!」

深雪は思わず、壁に思いっきり拳を叩きつけてしまうー。


華奢な手がじんじんとする中、

「これじゃ…俺…こいつを脱げねぇってことかー?」と、

鏡を見つめるー。


すっかり”闇に染まった”深雪の容姿にはー、

いじめを受けていた頃の面影は無くなっているー。


「ーーーーーー」

しばらく複雑そうな表情を浮かべていたもののー

やがて、深雪は笑みを浮かべながら鏡を見つめたー。


「ーーー今度は悪女になるってのも悪くねぇー」

ニヤリと笑う深雪ー。


やがて、深雪はまるで悪の女王のように、

一人、笑い始めたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーねぇ、桃子ー」


数日後ー

深雪は、”いじめっ子”の一員だった桃子に声をかけたー


夏帆を”従えた”あと、桃子も脅して従えて

今ではすっかり深雪の言いなりだー。


「ーーー夏帆のこと、いじめない?」

笑いながら言い放つ深雪ー


「い、いじめるって、ど、どういう意味ー?」

戸惑う桃子ー。


「ーー言葉通りの意味だよー。

 いじめをしてた夏帆が、逆にいじめられっ子になるのー。


 すごくーー…最高の光景だと思わない?」


全く悪気もなくそう言い放つ深雪に対し、

桃子は恐怖すら感じながらー

「ーーそ、それはやめておこうよ」と、苦笑いするー。


だがー、

そのとたん、深雪の顔から笑顔が消えたー。


それだけで、桃子はびくっと身体を震わせるー。


「ーーあっそ。なら”お前”でいいやー」

冷たい口調で言い放つ深雪に対し、桃子は慌てた様子で

「や、やる…!やる…ううん、やりたい!」と、言い放つー


それを聞いた深雪は、再び笑みを浮かべながら

「じゃあ、一緒に夏帆をいじめよっか」と、

ご機嫌そうに言い放ったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーこ、こんなことー…

 こんなことしてー

 あんたたち、許さないからー!」


立場は、”逆転”したー。


”いじめられている”夏帆を見下しながら

邪悪な笑みを浮かべる深雪ー。


元の深雪の面影など、もはやどこにもないー


”身体”が同じなだけでー

見た目も、中身も、何もかもが違うー。


「ーーふふふふふー

 ほら、あんたたちも、こんな女に指図されて、

 内心、ムカついてたんでしょ?


 煮え滾らせた怒りの炎を今こそ、爆発させる時よー」


深雪がまるで女王様のようにそう言い放つとー、

夏帆と一緒になって深雪をいじめていたいじめっ子3人がー、

夏帆を押し倒して、スカートをめくったりー、

無理矢理、夏帆に不味いジュースを飲ませたりして笑っているー。


深雪をいじめていた桃子たち、”夏帆の取り巻き”たちは、

確かに、深雪の言う通り

”いつも偉そうにしている夏帆”に対して不満は少なからず

抱いていたー。


そのせいかー、深雪が豹変して

”怖い”存在になってから、あっけなく夏帆から深雪に鞍替えしたー


”ククククククー

 俺が凶悪犯だとも知らずにー俺に喧嘩を売るからこうなるんだー”


深雪は脚を組みながら、

悲鳴をあげる夏帆を見下すー。


「ーーーこれで分かったー?

 わたしは今まで、自分の”闇”を抑え込んでたのー

 でも、あんたのせいで、わたしの心の中に宿る闇が

 あふれ出して、解放されたー


 クククッー

 お前の仲間はもう、いないんだよー」


深雪がそこまで言うと、

夏帆は、深雪を睨みながら声を上げたー。


「ーーやっぱり、あんたー…深雪じゃない」

とー。


「ーーーー」

深雪を着ている陽平は少し表情を歪めるー。


「ーー深雪にー

 あの弱虫に、こんなことできるはず、ない!」


夏帆がそう叫ぶと、

深雪と一緒になって、夏帆をイジメだした三人も、

困惑の表情を浮かべながら深雪を見つめるー。


「ーーーーーーーふふ…ふふふふー

 だったら、血液でもDNAでも何でも確認してみればいいー

 わたしは、わたしなんだからー」


狂ったように笑う深雪ー。


「ーーーー…」

深雪に命令されて、夏帆のいじめに簡単している三人の女子も、

”最近の深雪はおかしい”とー、

そんなことは、分かっていたー。


でもー

逆らうことが出来ないー。

桃子も、他の二人も、深雪のことが怖くて怖くて仕方がなかったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーへへへへへー

 いいじゃんー”女の子同士”なんだからー」


”闇に染まった深雪”の行動は

さらにエスカレートしたー。


元々の深雪をいじめから庇っていた唯一の女子生徒・楓を

呼び出した深雪は、突然、楓にキスをしたのだー。


楓は戸惑い、困惑しながら叫ぶー


「ーど、ど、どうしちゃったの!?最近おかしいよ!」

とー。


「ーおかしくなんてないよー

 わたしは、”本当の自分”を解放しただけー」


そう言うと、深雪は、はぁはぁ言いながら楓に襲い掛かるー。


キスをしながらー

楓の胸を無理やり揉みー

下品な笑みを浮かべるー。


悲鳴をあげる楓は思うー。


”ーーこんなのー…深雪ちゃんじゃないー…”

とー。


けれどー

どうすることもできず、楓は、深雪のされるがままに

されてしまったー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーえ?マジで?あはははー

 行く行くー」


派手なアクセサリーをじゃらじゃらさせながら、

友達と笑う深雪ー。


”凶悪犯”から”いじめられっ子デビュー”を果たした陽平は、

”いじめられっ子”を卒業しー、

今や好き放題騒ぐ女子生徒に変わり果てていたー。



だがーーーー


「ーあいつ、この前までいじめられてた女子だよな?」


そんな深雪の姿を遠くから見つめていた派手な容姿の男子生徒が言うと、

隣にいた茶髪の男子生徒が「あぁ、そのはずだぜー」と、笑ったー。


「ーーーーーーー」


深雪を見つめる男子生徒ー。


彼は、少しだけ不愉快そうに目を細めると、

こう、呟いたー


「ーーなんか、あの女ー、最近、調子こいてるなー…」


ーーと。


”脱・いじめられっ子”を果たした陽平にー

再び”転機”が訪れようとしていたー。



④へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


次回が最終回デス~!


乗っ取った側の陽平も、色々大変そうですが、

一番災難なのは

乗っ取られてしまった深雪ですネ~…!


それぞれの登場人物に、どのような結末が待っているのか、

ぜひ次回を見届けて下さいネ~!


今日もありがとうございました!☆!

Files

Comments

No comments found for this post.