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何気なく応募したメイドカフェのバイトに採用された

男子大学生の公泰。


しかも、キッチンスタッフや雑用ではなく”メイド”としてー。


”メイドスーツ”なる”本物”の人間そっくりの着ぐるみを着て

”萌絵”と名乗り、充実したメイド生活を送る公泰。


がー、そんな公泰たちメイドの知らない秘密が…

決して知ってはならない闇が、この店には隠されていたー…


☆前回はこちら↓☆

<皮>男なのにメイドカフェに採用されました②~喜びの日々~

偶然通りがかったメイドカフェ”ファンタジー・ヘブン”の バイト募集を見て、”可愛い子と仲良くなりたい”という下心から バイトに応募してみた公泰ー。 面接の結果、無事に採用されることになったものの、 なんと、採用されたのは”雑用やキッチンスタッフ”ではなくー ”メイド”として、だったー。 戸惑う公泰に、店長の水...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


大学帰りー、公泰は親友の文也と、

メイドカフェ”ファンタジー・ヘブン”の話をしていたー。


「ー萌絵ちゃんって子、すげぇ可愛くてさ~!

 お前の目に狂いはなかったな!」

文也が笑いながら言うー。


「はははー、気に入って貰えたようで何より」

公泰が満足そうに笑うー


”萌絵”とは”メイドスーツ”を着た公泰自身のことなのだが

”絶対に口外してはならない”と、バイトに採用された際に

誓約書にサインをしておりー、

公泰も、特にその約束を破るつもりはないため、

文也には”実はそれ、俺なんだ”とは言わずにいたー。


”自分”を、文也におすすめした理由は二つー。


一つは

”文也を揶揄うため”

もう一つは”メイドカフェ内での売上をアップさせるため”だー。


”へへへへー…

 にしても、”萌絵”が俺だと知ったら、文也のやつ、発狂するだろうなぁ”


そんなことを思いながら、信号待ちをしている際に

ふと、背後を振り返ると、電柱の影に

メイド仲間の奈津美の姿があったー


そのタイミングで奈津美と目が合ってしまい、

公泰は文也に「悪いー先に行っててくれ」と、別れの

挨拶を済ませると、そのまま奈津美の方に駆け寄ったー。


「奇遇ですねー」

奈津美がペコリと頭を下げるー


「お疲れ様ですー。

 どうしたんですか?こんなところで?」

公泰が首を傾げるー。


よくシフトが被るメイドの一人で、

バイト中はリリや天音に次いで、よくしゃべる相手だー。


しかし、プライベートについては”不明”で、

”メイドスーツ”を着ているメイドということ以外は

あまり深くは知らないー。

時折、バイト先から”急に消える”こともあり、

謎に思っている子も多いー。


「ーーわたしですか?わたしは少し買い出しにー」

そう言いながら買い物袋を公泰に見せるー。


「ーーあぁ、そうでしたかーお疲れ様です」

公泰がそう言い放つと、

「でも、”メイドスーツ”着たまま外出するのっていいんでしたっけ?」と、

確認するー


ファンタジー・ヘブンでは”メイドスーツは店内のみでの着用”という

ルールがあるのだー。


「ーーわたしは買い出し担当ですからー

 もちろん、メイド服のままはお出かけできませんけど」

奈津美が少し照れくさそうに自分の私服を示すと、

公泰は”そういえばこの子は買い出し担当だったなー”と思いながら

「あ、すみませんー仕事中だったのにお声かけしちゃって」と

詫びの言葉を口にすると、奈津美は「いえ」と首を横に振ったー


そのまま「また明日ー」と、

”今日はシフトがないため”そんな言葉を口にして立ち去る公泰ー。


だがーーー

その翌日のことだったー。


バイト先に行くと、”リリ”の姿がなかったー。

リリは、面接の日にも公泰を案内してくれたメイドで、

公泰とは一番気の合うメイドだったー


「ーー今日はリリさんは休みですか?」

公泰がメイドスーツを着て”萌絵”になってから、

ツインテールの天音に声をかけると、

「さぁ?シフトは入ってるみたいだけどー」と、いつものように

ツンツンとした感じで答えるー


鏡を見つめながらにこっ、にこっ、と笑顔の練習を何度かしてから

「よし!」と、一人で呟くと、歩き出す天音ー


「ーそれ、いつもやってますけど、何か意味はあるんですか?」

”萌絵”になった公泰がそう言い放つと、

天音は「わ、わたしのセオリーだから!別に深い意味はないけど」と、

少し恥ずかしそうにしながら、そのまま1階へと向かって行ったー。


「ーーーー…」

”萌絵”の皮を着た公泰は、少しだけ不安そうに”リリ”の

個人部屋の扉を見つめるー。


「ーーその子、もう”戻ってこない”と思うけどー」

ふと、”萌絵”を敵視するメイド・香澄が、横を通りながら

そう呟いたー


「えっ!?」

”萌絵”が驚くと、香澄はそのまま何も言うことなく、

店の方に向かって行ったー。



今日も、友人の文也が来るー。


ニヤニヤしながら楽しそうにしている文也ー


「ー(へへへへー…ホント、分かりやすいやつだよなぁ)」

文也は、わざとドキッとさせるような言葉や仕草をすると、

すぐに顔を赤らめるー。


少し手を触れてみると、すぐに文也は「あっ、ご、ごめん」と、

慌てて謝罪の言葉を口にするー


”別に謝らなくてもいいのになぁー”


「ーーー」

文也は少しドキドキした様子で、”萌絵”のほうをじろじろ見つめるー


そんな視線を感じながら、”萌絵”を着た公泰は

何だかドキドキしてしまって、思わず目を逸らしたー


”し、親友に見つめられてドキドキするとかー 

 俺まで変なモンに目覚め始めたのかー?”


そんな、自虐的なことを感じながら、

その日もバイトを終えたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日になっても、翌々日になっても、翌週になってもー、

”リリ”は、香澄の言った通り、姿を現さなかったー。


そしてー

数日後ー


「リリから先日、連絡があって、

 バイトを辞めたいとのことでしたー。


 皆さんにもよろしくお伝えくださいー、と言ってましたよー」


水島店長が、そんな風にメイドたちに対して

”リリ”の退職を告げたー。


「ーーえ…そんなにいきなりー?」

”萌絵”を着た公泰は一人困惑するー


隣に立っている奈津美がチラッと、”萌絵”のほうを見つめるー。


水島店長は、メイドたちの前で

「急な退職で寂しいと思いますが、

 今日も頑張りましょう」と、言い放つと、

そのままいつも通り、事務所の方に向かって仕事に取り掛かり始めたー。


出勤しているメイドたちも、それぞれ店の方に向かうー


「ーーあ~あ、結局”何”があったのか聞けなくて、残念ー」

ツインテールの天音がそんなことを呟くと、

そのまま店に向かおうとするー


「ーーどういうことですか?」

ふと、言葉の意味が気になった”萌絵”が聞くと、

天音が少し面倒臭そうに振り返って、口を開くー


「リリちゃんがー”都市伝説”について、話してたの

 あんたは覚えてる?」


天音の言葉に、”萌絵”を着ている公泰は

「え?あぁ、ーはい 覚えてます」と、頷くー


少し前に、

「このメイドカフェ、”秘密の地下室”があるって噂知ってる?」

「ー地下に秘密兵器が隠されていたりして!」

などと、リリが楽しそうに話していたのを覚えているー。


「ーあのあと、あんたが休みの日、

 バイト上がりに、リリちゃん、

 ”今日は都市伝説の真相に迫ってみようかな~”とか

 言ってたのー」


天音はそこまで言うと、ため息をついて首を横に振るー


「ー次にシフトが一緒になった時に

 ”どうだった?”って聞こうと思ってたんだけどー…」


そこまで言うと、天音は「会えなくて、残念ー」と、

残念そうに呟いて、そのまま店の方に向かって歩き出したー。


「ーーーー」

”萌絵”を着た公泰は不安を覚えるー。


あんなに毎日楽しそうにしていた”リリ”が急にやめることなんて、

あるのだろうかー。

それに、以前バイト終わりにリリと話をした際にー、

この店は最高だ、とか、ずっとここでバイトしていたい、とか

そんなことも言っていた気がするー。


そんなリリが、急に辞めるだろうかー。


「ーーーー…」

”何かあったのかなー?”

不安に思った”萌絵”=公泰は、表情を曇らせながら、

そのまま店の方に向かって歩き出したー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


その日からー、

公泰は”リリ”と連絡を取ろうと試みていたー。


別に公泰は、”ファンタジー・ヘブン”を疑っているわけではなくー

ただ単に”急に辞めちゃうなんて、何かあったんですか?”と聞きたいー…

ぐらいの、そんな単純な思いでリリの行方を調べていたー。


だがー、一向に”リリ”とは連絡がつかないー。

水島店長に聞いても「”中身”のことは教えられませんからー」と、

苦笑いされるだけー。


確かに”メイドの着ぐるみのようなものを着てメイドになっている”

などということは、知られたくない人もいるだろうー。

水島店長の言い分も分かるー。


けれどー、心配する気持ちとー、不安と、好奇心からー、

公泰は”萌絵”としてメイドライフを送りながら、

そしてー、”公泰”としての、自分の人生もちゃんと送りながら

合間合間でリリの行方を調べていたー。


そんな、ある日のことだったー。


「ーあ、あのさー…」

親友の文也が今日も”萌絵”を指名して

メイドカフェを利用していたー。


”へへーまさか俺に告白しちゃう?”

公泰は”萌絵”として文也を揶揄うのが

すっかり楽しくなっていたー。


「ーい、いやー、何でもー」

文也はそう言うと、時計を確認して

会計を済ませて帰っていくー。


他の客に対する”接客”にもすっかり慣れて

メイドスーツを着て”メイド”として可愛い声、可愛い姿、可愛い仕草で

接客をしている自分にドキドキしてしまうー。


「ーーー」

仕事を終えて、”萌絵”としての自分の部屋で一休みをしていると、

ふと、スマホが鳴ったー


「ーーん?」

誰だろう、と思いつつ電話に出るとー

懐かしい声が聞こえたー


”ーー久しぶりー元気でやってるかなー?

 ほら、”リリ”だけどー


 あぁ、まぁ、バイトやめたから

 もうー僕の声で喋るしかないんだけどさ”


そんな声が聞こえて来てー、

”萌絵”の皮を着たまま公泰は「あ、リリさん!元気でしたか?」と

嬉しそうに言葉を口にするー


聞けば”リリのことを探している”と、聞いて

こうして電話をかけてきてくれたようだー。


”リリの中身”と雑談と近況報告をしながら、

”萌絵”の皮を着た公泰は安堵の表情を浮かべるー


”じゃあ、頑張ってー”

やがて、通話が終わると、萌愛の皮を半分脱ぎながら

公泰は”元気そうでよかった”と、笑みを浮かべたー



「ーーークククー」


だがーー

その”電話”は、同じ建物の”地下室”からであることを

公泰は知らないー


”リリの中身だった男”の皮を脱いだ水島店長は笑みを浮かべるー


「小野田くんー。疑問を抱くことは罪じゃないー。

 だが、もうこれ以上の詮索はやめておきなさいー。」


水島店長は一人、そう呟くと邪悪な笑みを浮かべるー。


少し前ー

都市伝説に興味を持ったリリは、この地下室を発見してしまったー。

しかも、タイミング悪く、

”水島店長が、かつて皮にした女の皮を着て、家族に電話をかけー

 電話を終えて皮を脱ぐところ”を見てしまったのだー


悲鳴を上げたリリはーー、いいや、リリを着ていた男は

そのまま引きずり出されて”皮”にされてしまったー


ここにはー

一人暮らしの女子大生やOLを中心に”皮にした女たち”が

収納されているー


それこそが、”メイドスーツ”ー


そして、水島店長が定期的に”皮”となった女たちを着て、

その家族や友達に”普通に過ごしている風”に電話をかけているー。


全ては”ビジネス”のためにー


「ーーーー」

スマホが鳴るー。


水島店長がそれに気づき、電話を取ると

「あぁー、いつもご苦労ー」と、笑みを浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーーあ、あれー…どうしてここにー?」


翌日ー

大学帰りの公泰の前に、

メイドの香澄が姿を現すー。


香澄は、公泰のことをなぜか最初から敵視しているメイドでー

あのメイドカフェでは数少ない”メイドスーツを着ていないメイド”ー

つまり、正真正銘の女性だー


「ーー話があるの」

香澄の言葉に、公泰は少し困惑しながら頷くとー

香澄と共に場所を移動するー


そしてー

人通りの少ない場所にある公園までやってくると、

香澄が口を開いたー。


「ーーリリちゃんが、”どこ”にいるのかー知りたい?」

とー。


「ーーーえ?」

公泰が困惑すると、香澄は口を開いたー。


「ーリリちゃんは”地下室”にいるはずー」

香澄の言葉に、公泰は「どういうことですか?」と聞き返すー。


「ーー………」

香澄は少し考えてから、

「あの店の”メイドスーツ”は、実在する人間を何らかの方法で

 ”皮”のような状態にして作られているのー

 つまりー、あの店のメイドたちが着ているのは”本物の人間”ー」

と、言い放つー


「えっ…!?えぇっ!?」

驚く公泰ー


”俺が着ているメイドスーツも…萌絵って子もー…?”


公泰が、そんな風に考えていると、香澄は言葉を続けたー


「リリちゃんは、あの店に”地下室がある”って噂に興味を持って

 調べてたでしょ?

 多分、地下室を見てしまって、店長に”処分”されたんだと思うー」

香澄がそう言い放つと、

公泰は「いやいやー、でも、この前、電話貰いましたけどー?」と、

香澄の言葉を否定するー。


しかし、香澄は首を横に振ったー


「ー店長が”皮にした子”を着て、その子の知り合いに定期的に

 電話をかけたりして、事件沙汰にならないようにしてるのー


 わたしも、そうー

 ”お姉ちゃん”から電話がかかってきてたー」


香澄はそれだけ言うと、

公泰のほうを見たー


「ーわたしは、お姉ちゃんを助けるために、素性を隠して

 ファンタジーヘブンのバイトに応募して働いてるのー

 香澄って名前も本名じゃないー」


そんな言葉に、公泰は喉がカラカラに乾くのを感じながら

「ーー…お、お姉さんをー?」と、困惑するー


「ーーそうーー

 そして、そのお姉ちゃんをーー

 あんたが着てるー」


香澄が怒りの形相で公泰を見つめるー


「ーーー!!!」

公泰は表情を歪めたー。


当初から、香澄が公泰を敵視していたのはー

”皮にされた自分のお姉ちゃん”を公泰が着ていたから、だったのだー


「ーーー…お、俺のメイドスーツ…あ、いいや…萌絵…萌絵さんが、

 香澄さんのお姉さんー?」


公泰がそう言うと、香澄は涙目で頷くー


「わたしはあの店の闇を暴いて、みんなを救う方法を探してるのー」

香澄は悔しそうに言葉を吐き出すー。


「ーーま、待ってーー。な、何で俺にそんな話をしたんですかー?」

公泰が疑問に思い、問うー。


すると、香澄は少しだけ笑ったー


「お姉ちゃんの”皮”を着てるあんたが、最初は憎かったけどー

 仕事ぶりとか、普段の生活とか、

 あとはー…リリちゃんがいなくなってから必死に探す姿とか見てたらー

 この人は悪い人じゃないんだろうなぁ…って思ってー

 

 ーーあなたなら信用できる、そう思ったのー。

 あの店ー、急に仲間が消えても気にしない子ばかりだったからー」


香澄はそれだけ言うと、真剣な表情で公泰を見つめたー


「ーあの店の闇を暴くのをー

 どうかーーどうか、手伝ってほしいのー

 あなたにしか、お願いできないのー」


そう、頭を下げながらー


「ーーーーー…」

公泰は呆然としていたー

”メイドスーツ”が、まさか本物の人間が皮のようにされた状態だったなんてー。


あの店に、そんな秘密があったなんてー…


この子には、申し訳ないことをしたー。

知らなかったとは言え、この子の姉を着ていたのだからー


「ーーーーー」

頭を下げる香澄のほうを見ながら、公泰は深呼吸をするー



「ーーーーーーーーーーーーーー」

その様子を、少し離れた場所の物陰からー

メイド仲間の奈津美が見つめていたー


普段、店では絶対に見せないようなー

冷たいーーー恐ろしい目つきでーーー。



「ーーー」

そんなことも気付かず、公泰は深呼吸を終えると、

口を開いたー


「ーーーーごめんー」

とー。


「ーーー!?」

香澄が少し驚きの表情を浮かべるー



「ーーえ」

少し離れた場所から、行動を見張っていた奈津美のほうもー、

公泰の”ごめん”と言う言葉に少し驚きの表情を浮かべるー


そして、公泰は言葉を続けたー


「ごめんなさいー。力にはなれませんー」

とー。



④へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


メイドカフェの真相を知った彼…!☆

でも、まさかの「ごめんなさい」…!?


物語の結末は次回の最終回を見て下さいネ~!


今日もありがとうございました~!

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