Home Artists Posts Import Register

Content

刑事・馬渕から、亜香音が疑われていることに腹を立てた龍平は、

”亜香音が人の命を奪うはずなんてない”と、思いつつも、

不安を覚えて、今一度”最近様子のおかしい亜香音”のことを

探り始めたー。


その結果ー、龍平は目撃してしまったー。


亜香音がまるで別人のような態度で、別の犯罪者と交戦する様子をー。


思わず乱入してしまった龍平に対し

”憑依された亜香音”は、自分はナイトメアであると告げたー…。


Nightmare desire episode.6-


★前回はこちら↓★

<憑依>ナイトメア・デザイア⑤~亜香音~

”ナイトメア”を名乗る犯罪者・城戸悠斗に憑依されてしまった 彼女の亜香音。 そのことに気付けないまま、大学に来なくなった亜香音に 不安を強めていく彼氏の龍平。 そんな中、亜香音に付きまとっていた同級生・大久保太史が 遺体となって発見された。 龍平の前に姿を現した警察官の馬渕は、 戸惑う龍平に対して ”大久保...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


主な登場人物


森本 龍平(もりもと りゅうへい)

大学生。彼女の亜香音と楽しい学生生活を送っていた。


狭霧 亜香音(さぎり あかね)

大学生。龍平の彼女。ある日を境に不穏な行動が目立つように。


小野寺 瑠香(おのでら るか)

大学生。龍平の幼馴染。小悪魔的な性格の持ち主。


根岸 和夫(ねぎし かずお)

大学生。瑠香の彼氏。ひたすら瑠香に振り回されている。


馬渕(まぶち)

”デビルトラッカー”の異名を持つ刑事。高圧的な態度が目立つ。


”ナイトメア”(城戸 悠斗)

裏社会で暗躍する謎の人物。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ナイフを手にしたラバースーツ姿の亜香音が

いつもとは別人のような笑みを浮かべながら

龍平のほうを見つめているー。


「な…な、なんだよナイトメアってー…

 わ、訳が分かんねぇよー」

龍平は困惑しながら言うー。


龍平はごく普通の男子大学生だー。

当然、”社会の裏側”…裏社会で生きるような人間たちとの

接点はないし、ナイトメアと言われても何のことだか分からないー


「ーークククク…お前”この女”の彼氏だろ?」

亜香音が、少し離れた場所を歩きながら笑うー。


「ーこ…この女ー…?」

龍平は冷や汗をかきながら、やっとの思いでそう言葉を吐きだす。


さっきから亜香音が何を言っているのか、全く分からないー。


「言ったろ?

 「今のこの女はー

 狭霧 亜香音であって、狭霧亜香音じゃねぇ」

 ってー。」


亜香音が先ほど口にした言葉を再び繰り返すー。


その声は確かに亜香音のものだが、

いつもより低く、悪意を感じるー

そんな、声だー。


「ーー…な…なんだよそれ…ど、どうい意味なんだよ」

龍平が困惑しながら亜香音のほうをまっすぐ見るー。


「ま、まさかー…

 お、大久保を殺したのは、本当にー…亜香音なのか?」

龍平が叫ぶー。


同じ大学に通っていた大久保太史ー。

いけ好かないやつだったし、彼自身にも問題行動は

たくさんあったもののー

もしも、亜香音がその大久保を殺したというのであればー…

流石にそのまま”はい、そうですか”とは言えないー。


「ーーそうー この綺麗な手がー

 人の命を奪ったんだー」


亜香音は興奮した様子で自分の手を見つめながら笑うー


「あァ…興奮するよな…… なァ?」

亜香音はそう言いながら、自分の手をペロペロと舐め始めると

奇妙な笑い声をあげたー


「ーーー…あ…亜香音…」

彼女の”異様な姿”に呆然とすることしかできない龍平ー。


「ーーーくくくーー

 分かんねぇか?彼女に何が起きてるのか?」


亜香音は、一向に”答え”にたどり着かない龍平に対して

そう言い放つとー

突然「なら、見せてやるよ」と、笑みを浮かべたー


そしてーー


「うっ…」

亜香音が突然、苦しそうなうめき声をあげてその場に倒れ込むー


「ー!?

 あ、亜香音!?」


龍平が思わず亜香音に駆け寄ろうとするとー

突然、煙のようなものが周囲に発生してー

そのまま、それが”人の姿”に変わったー


「ーーうらァ!」

突然出現した人間に、蹴り飛ばされる龍平ー


「ぐっぁっ!?」

工場内の機材に激突しながら、龍平は驚きに目を見開くー


”いなかったはずの人間”が、

突然姿を現したー。


「ーーーな、何だお前は!」

龍平が叫ぶと、亜香音の中から出て来た男ーー

”ナイトメア”の異名を持つ凶悪犯ー城戸 悠斗は笑みを浮かべるー


「だから言っただろ?”ナイトメア”だってー」

”ナイトメア”こと、城戸悠斗が、笑いながら両手を広げるー。


「ーーーあ、亜香音に…亜香音に何をしたんだ!」

龍平が倒れている亜香音のほうを見つめるー。


「ーー安心しなよー

 この女は、生きてるぜー」


足で、倒れている亜香音を少しトンっとつつくと、

亜香音が「う…」とうめき声をあげるー。


「ーーー…ふざけるな……!」

龍平が叫ぶー。


「ー亜香音に何をしたあああああ!」

龍平が、城戸悠斗に向かって突進するー。


だが、”ただの大学生”である龍平と、

裏社会で暗躍する城戸悠斗の間には”圧倒的な差”があったー。


殴られ、押し飛ばされる龍平ー

資材に激突して、「うっ…」と、苦しそうに声をあげると、

城戸悠斗はニヤニヤしながら、龍平のほうを見つめたー。


「ーーおっと、すまねぇなー」

悠斗はそう言うと、手で笑っていた口を一度塞ぐー。


しかしー

再び悠斗は笑いだすー。


「ー俺さァー、ムカつくと笑いが止まらなくなっちまうんだよー」

悠斗の言葉に、龍平が険しい表情で悠斗を見つめるー


「せっかく、長い間行方を追ってた”あの女”を見つけたのにー

 テメェが乱入しやがったせいで、逃がしちまったじゃねぇか!」


城戸悠斗が、そう叫ぶと、笑いながら龍平に向かって走って来るー。


悠斗の体術を前に、防戦一方ー、

龍平も、なんとか蹴りを食らわせようとするも、

悠斗はバク転してそれを回避するとー

再び亜香音が倒れている横まで行きー、笑みを浮かべたー


「ーお前の彼女は、俺に憑依されて使われていたんだよー

 身も、心も支配された状態でなー」


悠斗がそう言うと、

龍平は呆然としながら「ひ…憑依…?」と呟くー。


「そうさー 見てな」

城戸悠斗はそう言うと、再び自分の身体を煙状に変化させるー


「ーーう…嘘だろー…?」

さっきも見た光景だがー

いざ、”人が目の前で煙のようになる”光景を見せられると

呆然とせざるを得ないー。


煙になった城戸悠斗が、亜香音の方に吸い込まれていくー。


亜香音が「うっ… ぁ…」と、ピクピク震えるとー、

再び笑みを浮かべながら立ち上がったー


「これが”俺の力”だー」

亜香音がペロリと唇を舐めながら笑うー


「ーー…あ……あか…ね…」

あまりの光景に呆然とする龍平ー。


すぐに龍平は「亜香音!し、正気を取り戻すんだ!」と叫ぶー。


だが、亜香音は笑いながら首を横に振るー


「無駄だぜー

 俺の憑依には、どんな奴だって逆らえないー

 この女の身体は、今は完全に、俺のものだー」


亜香音の声ー

亜香音の姿なのにー

恐ろしいほどまでに”別人”のように見えるー。


「ーーーほぅら…見ろよー」

亜香音がニヤニヤしながら両手で自分の胸を触り始めるー


「なっ…!」

龍平はドキッとしてしまいながらも、

カッと、心の奥底から熱くなるものを感じるー


”怒り”だー。

元々怒っていただが、それ以上の怒りー


「ーうひひひひひひひゃぁ♡ 気持ちいいぜ!」

亜香音が狂ったように笑いながら両胸を揉むー


「ーー貴様ァ!!!!!!」

龍平が亜香音に向かって突進していくー。


だが、華奢な亜香音を腕を掴むと、

亜香音が目を潤ませながら

「痛いよ…龍平ー」と言葉を口にするー


「あ、亜香ーーー」


動揺した好きにー、亜香音の蹴りが、龍平の腹部に直撃するー


「ぐほっ…がっはぁ…」

龍平が悲鳴を上げながら倒れ込むと、

亜香音は笑いながら龍平を見下すー。


「ー情けねぇなぁー

 彼女にボコされる彼氏なんてよぉ」


亜香音はそう言いながら龍平を踏みつけるとー


「ーー龍平なんて、大っ嫌い♡」

と、亜香音のフリをして囁くー。


「やめろ…」

龍平が悔しそうにしながら言うー。


「ーーあんたみたいなクソ男ー

 こっちからお断りィ」


亜香音はゲラゲラ笑いながらそう言うと、

そのまま龍平を蹴りつけて、ナイフを取り出したー


「ー俺が何で、べらべら喋ったかー、

 分かるかー?」


その言葉に、龍平は表情を歪めるー。


そんな龍平に対して、亜香音は静かに言葉を口にしたー


「お前は、ここでこの女に殺されるからだよー」

とー。


龍平は「くそっ…」と、呟きながら、

なんとかー

自分の身体を動かそうとするー。


だが、力が入らないー


”ーー何で…こういう時に限ってー”


龍平は、ふと”高圧的で嫌味な刑事”馬渕警部を思い出すー。


龍平や亜香音のことを疑っていたはずなのに

こういう時に限って何故ここに来ないのかー。


そんなことを思いながらー

龍平は、亜香音のほうを見つめたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーテメェー何のつもりだー」


龍平や亜香音のことを監視していたはずの”馬渕警部”はー

確かに龍平と亜香音を今晩も尾行していたー。


だがーー

その途中でー…

”邪魔”が入ったー


覆面パトカーから降りた馬渕警部の反対側にはー


一見すると穏やかそうなスーツ姿の男が立っていたー


ナイトメアこと”城戸悠斗”に情報提供をしていた

”裏社会の情報屋”ー今泉 貞治。


黒い手袋を両手にはめた手をあげるとー

「はははー、いやぁ、ちょっとねー俺と遊んでもらいましょうかー?」

と、笑みを浮かべる今泉ー


「ーー何だと?ふざけるなー

 俺はお前みたいなやつと構っている暇はー」


馬渕警部がそう言い放った直後ー


突然、今泉は指揮棒のようなものを手にしてー

指揮者のようなポーズをとったー


「何のつもりだー?」

馬渕警部が表情を歪めるー。


「ーー少しリラックスしましょうー?刑事さんー」

今泉はそう言うと、指揮棒を振るいながら、

まるでスケートリンクを滑るような奇妙な動きをし始めるー


「ーーなんだテメェは!」

馬渕警部が叫ぶー。


どこからともなく、クラシック音楽が響き渡るー。


「ーーーぐっ…なんだこれはーーー…」

馬渕警部は急にめまいのような感覚を感じて、

困惑の表情を浮かべるー


”メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲ー

 美しい音色でしょうー?”


流れるクラシック音楽に乗って、今泉の声が聞こえてくるー。


「ーーくそっ!ふざけやがって!」

今泉の気配を背後に感じ、持っていた銃で殴りつけようとするー


だがー、

すぐに今泉の気配は別の方向へと移動しー、

馬渕警部の攻撃は空を切るー。


”ー悪魔円舞曲(デビル・ワルツ)ー”

今泉は笑みを浮かべながら”人間の五感に影響を及ぼす特殊な音波”を

放ちながら馬渕警部を翻弄していくー。


”刑事さんー

 悪魔の指揮者の異名を持つ

 この俺ー、今泉貞治を前にしてはー

 どんな屈強なやつでもー何もできないんですよー”


今泉はそう囁くー。


馬渕警部は必死に抵抗しているがー

今泉の”音波攻撃”を前に何も出来ない状況が続くー


”ーーーーーーー”

自らが発している音楽に聞き入りながらー

流水のような動きで、馬渕警部を翻弄する今泉ー


”城戸 悠斗(きど はると)くんー”


”今泉 貞治(いまいずみ さだはる)くんー”


”伽藍 稔(がらん みのる)くんー”


ーーー昔のことを思い出すー

そう、俺たちはーーーー


「ーーーうらァ!」


その考えをかき消すかのように、

馬渕警部が、拳を今泉に叩きつけたー。


思わぬ反撃に、少し驚いた表情を浮かべる今泉ー


だがー、

すぐに”指揮”をやめて音を止めるとー

「ーー十分時間は稼ぎましたー 今宵の演奏はこれまでー」

と、笑みを浮かべながら、そのまま今泉は闇の中へと姿を消したー


「くそっ!なんだってんだ!」

人間離れした今泉を前に、馬渕警部は悪態をつくと、

そのまま再び車を走らせたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーー龍平ー

 龍平が大好きなわたしの手でー

 あなたを殺してあげるー」


亜香音が正気を失ったまま

龍平にナイフを向けるー。


「ーーやめろ!亜香音!目を覚ませ!!亜香音!」

叫ぶ龍平ー。


幼馴染の瑠香やー

大学の先輩の恭吾ー、姉の梨絵ー

色々な人々の姿が浮かぶー


”俺は、死ぬのかー”


「ー亜香音ーーーーーーーー!!!!!」

龍平が”どうか目を覚ましてくれ!”と思いながら必死に叫ぶー


けれどー

城戸悠斗の”憑依”を前に、憑依された側の人間が

逆らうことなどー、できないー。


「ーーーー死ねええええええええええ!」

亜香音が目を見開いて、龍平を刺し殺そうとするー。


しかしー


「ーー!」


コトッ、と音がして、亜香音が手を止めて振り返るー。


そこにはーー

煙幕を放つ手りゅう弾のようなものが落ちていたー


”あの女ー!”

亜香音がそう思うと同時に、龍平が「ごめん!」と叫びながら

亜香音を足で蹴り飛ばすー。


「ーーくっ!テメェ!」

亜香音が叫ぶー


すぐにあたり一面が煙に包まれて、亜香音は龍平を見失うー。


一方、龍平も煙の中で亜香音の名を叫ぶー。


だがー

龍平は亜香音を見つけることができないままー

煙の中から抜け出すー


”ーー借りは返したわよー”

さっき、憑依された亜香音と戦っていた女犯罪者・真凛の声が響きー

龍平は「ど、どこにいるんだ!」と叫ぶー。


けれどー、真凛は姿を見せないままー

そのままその場から去って行ったー


「くそっー…ひ、憑依なんてー… 亜香音…!」

龍平は、再び身の危険も顧みずに亜香音を探そうとするー。


がー、ちょうどそのタイミングで、

今泉との戦いを終えてやってきた馬渕警部のパトカーが到着したー


「ーー!」

煙の中から出て来た亜香音が表情を歪めるー。


「ーーー狭霧 亜香音ー

 ーー話は署で聞かせてもらおうかー」


馬渕警部がパトカーから降りて一直線に亜香音の方に向かって行くー


亜香音の手には龍平の血がついていてー

ナイフも握られているー


「ーま、待ってくれ!ち、違うんだ!」

龍平が咄嗟に叫ぶー。


「違う?」

馬渕警部が不満そうに龍平を睨むー。


「ーーーーーーククー」

亜香音はそんな様子を見つめながら笑みを浮かべるとー

その場で突然ふらっと、よろめき、意識を失うー


「ー!?」

馬渕警部が困惑するー。


煙が、一気に亜香音の身体から飛び出してー

空へと舞っていくー


「待て!」

龍平が叫ぶー。


「ーーーー…ぁ……ぁれ…?」

しばらくしてー、亜香音が目を覚ますとー

馬渕警部が、意識を取り戻したばかりの亜香音に手錠をかけたー。


「ーーーえ…?!?!? えっ…!? えっ!?」

寝起き同然の亜香音は突然の出来事に困惑するー。


「ーーー…狭霧 亜香音ー

 ーー話はじっくり署で聞かせてもらうぞ」


馬渕警部のそんな言葉に、

亜香音は驚いた表情を浮かべながら「ど…どういうことですかー?

こ…ここはー?」と周囲を見渡すー。


”城戸悠斗”の煙を追っていた龍平が戻ってくると、

「あ、亜香音!」と、亜香音に向かって叫ぶー。


「ーーり、龍平ーど、どうなってるのー…?

 わ、わたしー?」


”憑依されていた間”の記憶がない亜香音は只々混乱するー


「ー亜香音は…亜香音は何もやってないんだ!話を聞いて下さい!」

龍平が馬渕警部に向かって必死に叫ぶー。


だが、馬渕警部は「ー節穴なのは、お前の目だったなー」と、

嫌味を口にすると、助けを求める亜香音をパトカーに乗せて

そのまま走り去ってしまったー


「亜香音!!!亜香音ーー!!!!」

龍平は、パトカーを追いながら叫ぶー。


けれどー

どうすることもできずー、

”憑依されていただけの亜香音”は、犯罪者として逮捕されてしまうー


”クククーーーー”

そんな様子を、夜空に舞う”煙”となった”ナイトメア”こと城戸悠斗は

見つめていたー


”テメェに邪魔されたおかげでー

 あの女を逃がしちまったじゃねぇかー”


そう呟くと、城戸悠斗は、工場から少し離れた場所で

実体に戻り、不気味な笑みを浮かべたー。


「ーーーまぁいいー」


その言葉と共に、城戸悠斗の表情はさらに歪むー


”お前の心ーズタボロに引き裂いてやるぜー”


そうー

静かに囁きながらー


・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーくそっ…亜香音ー」

膝をつく龍平ー。


だが、龍平はまだ知らないー

これは、始まりに過ぎないことをー


城戸悠斗の”憑依”がー

身近な人々に次々と襲い掛かるという

”地獄”が待ち受けていることをー


龍平はまだ、知らないー



⑦へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


2月最初の長編でした~!


憑依を始め、相手の犯罪者が超人的な力を

持っているのにも理由がありますが、

それはまだ先のお楽しみデス~!


今日もありがとうございました~~!

Files

Comments

No comments found for this post.