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”ナイトメア”を名乗る犯罪者・城戸悠斗に憑依されてしまった

彼女の亜香音。


そのことに気付けないまま、大学に来なくなった亜香音に

不安を強めていく彼氏の龍平。


そんな中、亜香音に付きまとっていた同級生・大久保太史が

遺体となって発見された。


龍平の前に姿を現した警察官の馬渕は、

戸惑う龍平に対して

”大久保太史を殺したのが、狭霧亜香音だと言ったら?”と、

言葉を投げかけたー。


Nightmare desire episode.5-


★前回はこちら↓★

<憑依>ナイトメア・デザイア④~疑惑~

彼女の亜香音が憑依されてしまったー。 そんなことを知らないまま、彼氏の龍平は、 周囲で起きる不穏な出来事に不安を抱く。 そんな中、 亜香音に付きまとう勘違い男・太史から ”体調不良のはずの”亜香音はナイトクラブに足を運んでいたと聞かされる。 さらには、馬渕と名乗る刑事から、 ”亜香音の行動”について聞かれた...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


主な登場人物


森本 龍平(もりもと りゅうへい)

大学生。彼女の亜香音と楽しい学生生活を送っていた。


狭霧 亜香音(さぎり あかね)

大学生。龍平の彼女。ある日を境に不穏な行動が目立つように。


小野寺 瑠香(おのでら るか)

大学生。龍平の幼馴染。小悪魔的な性格の持ち主。


根岸 和夫(ねぎし かずお)

大学生。瑠香の彼氏。ひたすら瑠香に振り回されている。


馬渕(まぶち)

”デビルトラッカー”の異名を持つ刑事。高圧的な態度が目立つ。


”ナイトメア”(城戸 悠斗)

裏社会で暗躍する謎の人物。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーー大久保太史を殺したのが、狭霧 亜香音だと言ったら?」

馬渕警部のそんな言葉に、龍平は表情を歪めるー


「それは、どういう意味ですかー?」

夕日に照らされながら、龍平が再度聞き返すと、

「日本語が分からねぇのか?そのままの意味だ」

と、馬渕警部は言葉を返してきたー。


いかにも屈強そうな身体つきに、鋭い目つきー

おまけに不愛想で高圧的と来たー。


犯罪者と対峙する、という点に関してはこの刑事の

こういう感じは有効的なのかもしれないー。


だが、龍平からしてみれば”やっぱ、この人、イヤな感じだな”と、

しか思えなかったー


「ー大久保を、亜香音が殺したと言いたいんですか?」


「ー言いたいんじゃない。そう言ってるだろうが」

馬渕警部はそこまで言うと、

「なにか知らねぇか?何か聞いていたら全部吐け」と、

龍平に詰め寄るー。


「ーし、知りません!

 それにー、亜香音がそんなことするはずがありません!」

龍平がムッとしてそう言い返すと、

馬渕警部は「どうかな」と、少しうすら笑みを浮かべたー


「人間ってのはー”分からねぇ”もんだー」

夕日を見つめながらそう呟く馬渕警部ー。


「ーーーー」

龍平は、そんな馬渕警部の目に、少しだけ”寂しげな”色を

感じ取ったー。


「ーーー亜香音は、刑事さんに絡まれるようなことは

 何もしてませんし、そんなことをする子じゃない!

 絶対にー!」


龍平が、馬渕警部を睨みつけながら言うー。


「ーーークク」

馬渕警部は少しだけ笑うと、

「なら泳げ」と、煙草を口に咥えながら呟くー。


「ーどういう意味ですか?」

龍平がムッとして、さらに聞き返すと、


「俺たちはなー、必要な時には

 ーー決定的な証拠をつかむため、あえて犯人やー

 その関係者を”泳がせる”んだよー」


と、馬渕警部が言葉を口にするー


そんな馬渕警部の態度に、龍平は悔しそうな表情を

浮かべながら見つめるー


「ーーーー亜香音の何を知ってるって言うんですかー…!?

 亜香音は、そんなことする子じゃないー!」


龍平が今一度、そう断言するー。

だが、馬渕警部はバカにするように煙を横に吐き出すと、

笑みを浮かべながら言い放ったー。


「ーほら、狭霧 亜香音が犯人じゃないってんならー

 それを証明してみせろー


 俺はお前を泳がせて、狭霧亜香音がクロだってことを

 証明してやるー」


そんな言葉に身体を震わせる龍平ー。


「ーーーーー…分かりましたー

 あなたの目が節穴だってこと、証明してやりますよー」


そう言い放つと、龍平はそのまま、馬渕警部を無視して

歩き出すー


「ふんー」

馬渕警部は煙草を携帯用の灰皿にしまうと、笑みを浮かべながらー

「ー人を信じてやまないー。まだまだガキだな」と、

言葉を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


大学を出た龍平は、

そのまま亜香音の家に向かっていたー


確かに、最近の亜香音の様子は”変”ではあるー。

今まで、こんなに長く休んだことはなかったし、

本当に体調不良なのか不安になるー。


連絡を取ろうとしても、最低限しか反応がなく、

それも龍平の不安を増長させていたー


”ーーー…”

けれどー、龍平は信じていたー。


亜香音が休んでいるのには、何か”理由”があるのかもしれないー

それでも、人を殺すような子ではないー、と。


最悪の中の最悪ー

そんなことがあったとしても、

”大久保太史に襲われて、正当防衛のような状態で命を奪ってしまった”

と、いうことぐらいしか浮かばないー。


それならそうで、亜香音に早めに話をして、

あの馬渕とかいう警部にも本当のことを話した方がいいしー

濡れ衣なのであれば、亜香音と一緒にその濡れ衣を晴らしたいー。


そう思いながらー

龍平は亜香音の家の方に向かうー。


♪~~


途中ー

スマホにメッセージが届き、龍平はそれを確認するー。


「ーーお~!楽しそうじゃんー」


龍平の4歳年上の姉・梨絵(りえ)からの連絡ー。

梨絵は大学の在学中に彼氏・正樹(まさき)と結婚ー、

去年、子供も生まれてー、

幸せな家庭を築いているー。


そんな姉・梨絵から”子供が1歳になった”という

メッセージと写真が送られてきたのだー。


よくお互いに近況報告をしているためー

別に幸せ自慢などではなく、

”いつもの”やり取りだー


”こっちは相変わらず、元気にやってるよー”

そんなメッセージと、1歳おめでとうのメッセージを

添えて、返信を終えると、龍平はそのまま亜香音の家の方に向かいながらー

亜香音に電話を掛けたー。


”繋がるかどうか”

怪しいところだったが、亜香音は電話に出てくれたー


”もしもし”

亜香音が少し面倒臭そうに言葉を口にするー


「ーー…あ、亜香音ー

 俺だけどー…

 あ、あのさー」


龍平が気まずそうに言うと、

亜香音は”まだ体調が悪くてー、ごめんね”と、

早々に会話を打ち切ろうとしてきたー


「ーあ、ちょ!ちょっと!待って!」

龍平が慌てて叫ぶと、亜香音に対して

「今日、また警察の人が来てー」と言葉を口にしたー。


先日ー

亜香音と電話で話した際に

”警察の人が来た”と言うと、亜香音の食いつきが

妙に良かったー。


”別にー

 わたしだって、”何もしてないのに”そんな風に警察の人が

 わたしのこと調べてるって聞いたらー、不安だからー。

 だから、また何かあったら教えて欲しいって言ってるだけ。

 何か不満なの?”


確か、そんな風に言っていたー。

妙に棘のある言い方だったのは少し引っかかるがー、

いずれにせよ、”警察”の話題を口にすればまた話に乗ってくると

思ったのだー。


”警察?あぁー…”

亜香音はそう呟くと、

”なんて言ってたの?”と言葉を続けるー。


「ーーーー」

龍平は、不機嫌そうな亜香音に対して

少し躊躇しながらー

「ーー俺は信じてるーって先に行っておくけどー」と、

前置きをした上で

「ー昨日、大久保のやつが殺されたんだー」と、

言葉を口にするー


”大久保?ーーーーあぁ…”

亜香音はそんな返事をすると、

龍平は言葉をさらに続けたー。


「ーーー…大久保を殺したのが、亜香音だって

 決めつけてる感じだったー」


龍平がそう言うと、

亜香音は”ははっ…あはははははっ!”と、突然笑い出したー


いつもの亜香音とは、”違う”ー

そんな強い違和感を感じてしまうー


”あはははー…

 わたしは~そんなことしないよ~!

 龍平だって、わかってるでしょぉ~?”


亜香音の言葉に、

龍平は「ははー…そ、そうだよなーだから、最初に

信じてるって言っただろ?」と、手を震わせながら答えるー。


「ーーーー」

龍平は歯ぎしりをしながら、言葉を続けるー。


”聞く”のが怖かったー。

今、話をしている亜香音の雰囲気が明らかに”いつもと違う”からだー


「ーーーー…大久保から、何かされてーーー

 それで……そうなっちゃった、とか、ないよな?」


 龍平は”信じてる”って言ったのにーと、自分でも

自虐的に心の中で呟きながらそう言い放つー


”ないないー大丈夫。わたしも”じきに”回復するからー

 心配しないでー”


亜香音の言葉に、龍平は「そっかー…よかった」と、

安堵の声を出すー。


そしてー


「ー俺は今日はもう眠いし、帰るけどー

 もし急に調子が悪くなったりしたら、いつでも電話

 かけて来ていいからなー?

 すぐ、すっ飛んでいくからー」


と、龍平は”あえて”そう伝えたー


”うん、ありがとうー おやすみ”


そう言葉を口にする亜香音は

なんだかー”笑いをこらえているような”

そんな気がしてしまったー。


「あぁ、おやすみー」

龍平は穏やかな口調でそう答えると、

スマホを切りー


そのまま家に帰らず、亜香音の家の方に向かったー


”寝る”と言ったのはわざとだー


”亜香音はそんなことしない”

そうは思いつつもー

亜香音を守るためにも”本当のこと”を知りたかったー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「く…くくくく…」

電話を終えた亜香音は、邪悪な表情を浮かべながら笑っていたー


「あはははははっ!あはっ!あはははははははァ♡」

悪女のような笑い声ー。


亜香音はしばらく笑うと、

「ーいやぁ、面白い野郎だー」と、笑みを浮かべながら、

時計を確認するー


「まァ、”今日”で最後だー

 この女ももう警察にマークされてるし、

 俺は”次の器”に乗り換えるだけだー」


亜香音はそう言うと、服を脱いで、下着姿になると、

ラバースーツに着替えて、サングラスを掛けるー。


「ーーー”奴”をぶっ殺したらなー」

亜香音はナイフを手に、それを隠すように身に着けるとー

情報屋の今泉から昨日、受け取った情報を頼りに

”ある場所”へと向かうため、家の外へと出たー。


”人生は一度きりー”


「やりてぇことは、全てやるのがー、俺の人生だー」

亜香音はそう呟くと、完全に支配されたまま

ペロリと唇を舐めて、そのまま歩き出したー



”亜香音ー…”

物陰から亜香音の家を見張っていた龍平は、

夜間にラバースーツ姿で外出を始めた亜香音に強い不安を抱きながら

そのあとを追跡し始めるー。


「ーーもしもしー あぁ… あぁ…わかったー」

亜香音が乱暴な口調で誰かと電話をしているー


”ーーー…亜香音…”

龍平はさらに不安を強めるー


”裏の顔”があるようなー

そんな子だとは思えないー

でもーー


だったら、”今の亜香音”は何なんだー?


亜香音は、あんな格好をしてどこに向かっているー?

亜香音は、こんな夜に何をしようとしているー?


「ーーーーー」

亜香音が振り返るー。

サングラスを掛けている亜香音の表情は計り知れないー。


咄嗟に身を隠した龍平は、安堵のため息をつきながらー

再び歩き出した亜香音の後をつけて、歩き出したー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


月が夜の闇を照らす中ー

近くの工場のような場所にやってきた亜香音は立ち止まるー


「ーあらー…どちら様ー?」

そう呟くと、笑みを浮かべながら奥から女が出て来たー


黒いマスクで鼻まで覆っている彼女は

目元しか見えないがー、まだ20代だろうかー。

若そうな雰囲気に見えるー。


「ーーー……ククーようやく見つめたぞ、染谷(そめや)ー」

亜香音がそう言うと、染谷と呼ばれた女は表情を歪めるー。


「ーーお前みたいな計算高い女は初めてだー。

 ”あの時”は俺も油断してたー


 だがなー

 俺は”受けた屈辱”は地獄の果てまででも追いかけて

 晴らす主義でねー」


亜香音がそう言うと、隠し持っていたナイフを取り出してペロリと

それを舐めるー


反対側に立つ女ー、染谷 真凛(そめや まりん)は、

そんな亜香音を前に、少し表情を歪めながら

「あなた、誰ー?」と、言葉を口にするー。


「ーーー”ナイトメア”ー」

亜香音に憑依している”城戸 悠斗”が自分の異名を名乗ると、

真凛は思わず笑いだしたー


「ーーあはっ!!!あははははははっ!!!」

真凛はしばらく笑い続けるとー

「冗談はおよしなさいーー」と、諭すような口調で言い放つー


「ーナイトメアは、”男”よー

 あなたは、女の子でしょう?

 何が目的か知らないけど、あんまり物騒なことはしようとしない方が

 いいわーーーー」


そこまで真凛が言うと同時に、

亜香音がナイフを真凛の顔面目掛けて投げつけて、

真凛に向かって襲い掛かったー


”染谷 真凛”ー

”裏社会の仲介人”を名乗る女ー。


裏社会では”薔薇の女”と恐れられていてー

全身のあらゆる場所に武器を仕込んでいる危険な女ー。


以前ー

真凛は、亜香音に憑依している城戸悠斗と組み、

”ある仕事”をしたことがあるー。


しかし、その最中に真凛は、城戸悠斗を裏切りー、

危うく彼は死にかけたー。


その報復のために、城戸悠斗は何年もかけてー

真凛の行方を追っていたのだー


「ーーーあらあら、可愛い顔して、怖い子ねー」

真凛はそう言うと、自分の爪に仕込んでいた鋭い刃で、

亜香音の頬に傷をつけるー


ピッ、と音を立ててー

亜香音の頬から血が吹き飛ぶー


「ーわたしの爪はー10本全てが殺人刃ー」

真凛が笑みを浮かべながら、両手を見せ付けるー


亜香音は血を手に付けると、それをペロリと舐めながらー

「あぁーゾクゾクするー♡」と、笑いながら

真凛に襲い掛かるー


憑依された亜香音と、女犯罪者・真凛の戦いは続くー


そんな現場にー

龍平が到着すると「あ…亜香音…」と、呆然と言葉を口にしたー


少し先でー

”亜香音”が”知らない女”と殺し合っているー


そんなー

どうしてーーーー


真凛が、スカートの中から、小型の撒菱をバラまくと、

そのまま背後に2回転して、服の袖の中に隠していた

ワイヤーのようなものを発射するー


「ーケッ…!武器女が!」

亜香音がそう叫びー、真凛が天井にフックを引っかける直前ー

そこに飛び掛かりー

真凛を押し倒すー。


「ーーくっ…!」

真凛が、表情を歪めるー


亜香音が狂気の笑みを浮かべながら、ナイフを手に、

真凛の首をかき切ろうとするー


だがーー

その時だったーーーー


「やめろーーーーーーーー!!!!!」


”彼女が人殺しをしてしまうー”

何も知らない龍平はそう思って、亜香音に突進したー


「ーぐぁっ!?」

亜香音が、龍平に突進されて、龍平と共に地面に倒れるー


「チィッ!」

それを見た亜香音と対決していた女犯罪者・真凛は

天井にフックを飛ばすと、そのまま上に上昇しー

工場の窓を突き破って、笑みを浮かべたー


「ふふふー

 あなたのおかげで命拾いしたわー

 ありがとね」


真凛が、龍平に向かってそう言うと、

龍平は「あー、あんたは誰だ!?」と、叫ぶー


だが、真凛は「わたし?わたしは闇に生きる女ー」と

クスクス笑いながら、そのまま姿を消したー


「ーーーく…よくもジャマしやがったな!テメェ!」

亜香音が急に怒鳴り声を出しながら、

龍平を蹴り飛ばすー


突き飛ばされた龍平は、

「あ…あ…亜香音!?」と、困惑しながら亜香音のほうを見つめるー


そんな龍平の反応を見て、亜香音はニヤニヤしながら

言葉を口にしたーーー


「ーーーククー 今のこの女はー

 狭霧 亜香音であって、狭霧亜香音じゃねぇ」


とー。


「ーーな、なに…?」

戸惑う龍平ー


「ー身体はお前の彼女のものだー

 だが、中身はーーー」


亜香音はそこまで言うと、ナイフを舐めながら龍平のほうを

恐ろしいほどに冷たい目で見つめたー


「ー”ナイトメア”ー」


そう、呟きながらー。



⑥へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


ついに憑依された彼女と対峙…!

次回は物語が大きく動くかもしれませんネ~☆


今日もお読み下さりありがとうございました~!

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