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高校時代のある朝、突然女体化してしまった律雄。

それから5年ー。

現在は梨桜と名乗り、女として、人生を送っていたー。


しかし、女体化する前からの親友・康樹との結婚を間近に控えた梨桜は

マリッジブルーに陥り、これは”自分が元男だから”なのか、

それとも”普通のマリッジブルー”なのか分からずに困惑するー。


悩む中、高校時代の友人・益美に自分の想いを打ち明け、

益美からアドバイスを貰った梨桜は、ついに自分の気持ちと向き合い、

康樹との結婚に踏み切る決意を固めたー。


そして…


☆前回はこちら↓☆

<女体化>女体化男子のマリッジブルー②~決断~

結婚を目前に控えていた”元”男子の律雄ー。 女体化してから5年ー。 今は、梨桜と名乗り、女として過ごしー、 高校時代の親友・康樹との結婚を目前に控えている状況ー。 しかし、結婚を目前にして ”マリッジブルー”に陥ってしまった彼はー ”このまま結婚していいものか”と、頭を悩ませる日々を送っていたー… ★前回はこち...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


結婚式当日を迎えた二人ー


ウェディングドレス姿の”自分”を見つめながら

梨桜はドキドキしながら、時間を待つー。


「ーーーー」

色々な感情がこみあげて来るー。


大好きな康樹と結婚というその日を迎えることができたことー

ウェディングドレス姿をこうして、親に見せることができたことー

男だった自分がこうしてウェディングドレスを着ていることー


色々な驚きや、感情を噛みしめる梨桜ー。


「ーーー」

けれど、親友のことを”女”として大好きになったことも

ウェディングドレスを着ていることもー

”女”として結婚式当日を迎えたことも、

もう、違和感はないー。


”わたしは今、とっても幸せー”

今は、心の底から、そう言い切ることが出来るー。


女になって5年ー。

最初はどうなることかと思ったし、

女として生きていくことを拒もうとしたこともあったし、

クラスメイトたちからの扱いに悩んだ時もあったー


でも、今はこうしてー

幸せの瞬間を迎えることが出来ているー。


「ーーー…」

鏡を見て、”それにしても、わたし、綺麗だなぁ”と、

そんなことを考えるー


別に、普段”わたし、かわいい!”なんてことは思っていないもののー

”ウェディングドレスを着たわたし”は、とても綺麗に見えたー


”ウェディングドレスのおかげだよねーすごいなぁ”


そんなことを思いながらー、

いよいよ結婚式本番の時間を迎えて、

康樹と共に会場へと入場するー。


急に息子が娘になったにも関わらず、

それを受け入れてー、今でも応援してくれている両親ー


”息子の結婚相手”が、女体化した元男だと言うにも関わらず

反対せずに、それを受け入れてくれた康樹側の両親ー


高校時代から、元彼女の恵理子に頼まれたことがきっかけとは言え、

女体化した律雄=梨桜のことを支えてくれた益美ー、


互いの事情を知る数少ない人々ー


そして、何よりー


梨桜は、嬉しそうに康樹のほうを見つめるー。


「ーーー梨桜」

康樹が穏やかな表情で笑うと、

「俺はこれからもずっと、梨桜のこと支えていくって

 約束するー」と、優しく、けれども力強く、言葉を呟いたー


何よりー

高校時代からー

女体化しても変わらず親友として接してくれてー

だんだんと心境が変化していく律雄に対しても、何も言わず

それを受け入れー、結婚にまで結びついた康樹ー


この場に集まった全員にー

梨桜は、心の底から

”ありがとう”の気持ちでいっぱいだったー


”事情を知る人間たちだけ”で、行われた結婚式は

幸せに包まれたまま、穏やかに終わりを迎えたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


結婚式を終え、正式に入籍した二人ー。


梨桜は、元々男だが、謎の女体化現象により、

女体化してしまった律雄を長年診察してきた医師の尽力もあり、

現在は完全に女性として生活ができるよう、

特例も含め、あらゆる手回しが行われていて、

結婚に関しても不便な思いをすることはなかったー。


「ー本当に、ありがとうございましたー」

梨桜が嬉しそうに微笑みながら頭を下げると、

律雄が女体化した直後からずっと、律雄のことを見て来た主治医は、

「ーー梨桜ちゃん、本当に幸せそうー」と、微笑むー。


”優しいおばさん”という感じのこの主治医からは、

辛い現実を突きつけられたこともあったけれどー、

できる範囲内で律雄のことを一生懸命、ここまでサポートしてくれたー。


梨桜は、そんな彼女に真っ先に無事に結婚したことを

伝えに来たのだったー。


「ーーごめんねー。本当は治してあげることができれば、

 一番良かったんだけどー」

主治医がそう言葉を口にすると、

梨桜は「いえ」と、首を横に振るー。


「先生のおかげで、わたし、前向きに女として

 生きる道を選ぶことができましたしー、

 わたしにあるのは、感謝の気持ちだけですー


 先生を恨んだりだとか、そんなこと全然ありませんからー」


梨桜が優しく笑うと、主治医は穏やかな表情で頷いたー。


「こんなわたしですけどー

 これからもどうか、宜しくお願いします」


梨桜がそう言いながら、これから先もお世話になることを

見越して、そう言葉を口にするー。


「もちろんー。

 わたしのほうこそ、これからもよろしくねー」


主治医はそう言うと、

診察を終えて診察室から出て行こうとする梨桜に声をかけたー


「ー今の梨桜ちゃんー

 本当にー”素敵な女性”って感じー。


 旦那さんと、幸せになってね」


主治医がそう言葉を口にすると、

梨桜は嬉しそうに「はい!」と、答えたー


診察室を出た梨桜は微笑むー


”女体化したことで、人生変わっちゃったけれどー

 後悔はしていないー

 色々あったけど、今、とっても幸せだからー”


梨桜はそんなことを思いながら、

これから先、康樹と共に作っていく新しい家族のことを

思い浮かべたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


結婚してからもー

梨桜と康樹は、とても強い絆で結ばれていたー


元々親友同士だった二人ー

律雄が女体化してからも、康樹だけは

態度を変えることなく、

女体化前と同じように接してくれたー。


時間の経過と共に、律雄がどんどん女性らしくなって行ってもー、

康樹は何も言うことなく、律雄の考えに任せてー、

”梨桜って呼んで欲しい”と言った時も、

それを受け入れー、それから先は”女”として見てくれるようになったー


”こんな人が側にいてくれて、本当によかったー”

梨桜は、心の底から、いつもそんな風に思っていたー。



そんな、ある日ー


康樹は、女体化した律雄の元彼女だった恵理子と

久しぶりに会っていたー。


別に”浮気”ではないー。

恵理子に対して恋愛感情は全くないし、

恵理子も、康樹に対して全く恋愛感情はないー。


康樹は、梨桜を心の底から大切にしているー

いや、”梨桜を幸せにし続けること”こそが、

康樹の責任なのだからー


「ーー律雄は、元気?」

恵理子が心配そうに言うー。


「ーーあぁ、元気だよー

 アイツー…いいや、梨桜のことは

 俺が一生、幸せにしてやらなくちゃならないしなー」


康樹はそう言うと、

高校生時代のことを思い出すー。



”高校時代”に、ある日の朝、目を覚ましたら律雄は女になっていたー。


その、前日ー。


「ーーへへへ」

当時、悪戯好きだった康樹は、

ニヤニヤしながら、体育の授業が終わると、真っ先に

教室へと戻ってきていたー。


慌ててダッシュで教室に戻って来た理由は、一つー。

「ーーーーくふふふふふ…

 律雄のやつ、びっくりするかなぁ~」


そう呟くと、律雄のリュックに入っていた

”飲んでいる途中のペットボトルのコーラ”を手にするー。


そしてー

その蓋を開けるとー

一粒のラムネを手に、笑みを浮かべたー。


別に、毒を盛ろうとしているわけではないー。

海外旅行が好きな”親戚のおじさん”からお土産にもらった

”ラムネ”を、律雄のコーラの中に入れて、びっくりさせようとー

そんなことを思っただけだー。


だがー

康樹は知らなかったー


その”ラムネ”は、親戚のおじさんが、海外の怪しげな露店で購入したー

”性転換の力を持つ、実験中の秘薬”だったのだー。


いやー、もっと言えば

親戚のおじさんすら知らなかったー


”なんとなく美味しくなさそうだから”と、いう理由で

自分で食べずに悪戯に使った康樹ー。


もしも、そう思わずに康樹が自分でラムネを食べていたのであればー

女体化していたのは、律雄ではなく、康樹の方だったのだー


「ーーーー!!」

そんな中ー、たまたま”一番早く”教室に戻って来た

律雄の彼女・恵理子は

”康樹が律雄のコーラに何かを入れている”のを見てしまったー。


だが、恵理子もその時は”ただの悪戯”だと思って

特に何も指摘しなかったー。


やがてー、昼休みに何も知らずに

”ラムネ”が溶けたコーラを口にする律雄ー


味はなかったー。

だから、律雄は何の反応も示さなかったー


”ありゃー…あいつ、気づかなかったのかなー”


康樹はそんな風に思ったー。


がー、その翌日ー、

律雄が”女体化”してしまったのだー。


康樹はすぐに”俺のせいだ”と自分を責めたー

”あのラムネのせいだー”

とー。


恵理子からも問いただされたー


「律雄に何をしたの!?」

とー。


康樹は全てを自白したー。


だがーー

恵理子はそれを律雄に言うべきかどうか、悩んだー。


しかしー

康樹が、女体化した律雄を一生懸命支えてー、

罪を償おうとしている姿を見ているうちにー

いいそびれてしまったー。


そうこうしているうちに、律雄は女として生きていく決意をしー

今更”言えなく”なってしまったー。


そしてーー

恵理子は律雄と別れたー


「ーーこれ以上、律雄と一緒にいたらー

 わたしはいつか、”本当のこと”を言っちゃうと思うー


 でも、今更本当のことを言っても、

 律雄のためにはならないと思うのー


 だからーーー… 

 もう、わたしは一緒にはいられないー」


恵理子は、律雄にはその理由は伝えず、

康樹にそう伝えー、

自分の親友である益美に、”どうか律雄を支えてあげて”と

必死に頼み込みー、

自分は律雄の前から離れたー。


嘘をつき続けながら律雄の側にいることは

恵理子にはできなかったー。


律雄が女体化したことによって、

彼氏として見ることができなくなってしまったー…というのは

本当だったけれど、

本当はそのあとも形はどうあれ、一緒にいたかったー。


けれど、一緒に言えば、恵理子の性格上、

”ずっと黙っていることはできない”

だから、離れたー、


”女として生きていく”ことを決意した律雄に

女体化の真相を告げることは、何よりも酷なことだと、

そう思ったからー。


康樹も本当のことを律雄には言えなかったー。


”女体化した原因と解決策”を、必死に探したー。

それが分かったら、全てを打ち明け、謝罪ー。

律雄を元に戻した上で、あとは律雄から何をされようとも

受け入れるつもりだったー。


だが、あのラムネをくれた親戚のおじさんも、ラムネの正体は

何も知らない様子で”中東の露店で買った”という情報だけでは

もはやどうすることもできなかったー。


そうこうしているうちに、律雄が女として生きていく決意を固めー

康樹も、”本当のこと”を言えなくなってしまったー


恐らく、悩みに悩みぬいて決断したであろう律雄に、

”実はー”なんて言うのは、やっと地獄のような状況から

立ち直った律雄を、また地獄に突き落とすような、

そんな悪魔の所業だと思ったからだー



そしてー、今ー


「ー梨桜のことは、この先も俺が一生幸せにし続けるー

 それが、俺の責任でもあるからー」

康樹がそう言うと、恵理子は少し心配そうに

「無理、してない?」と、確認するー。


「あなたと、益美に全てを押し付けている気がしてー

 わたしだけ逃げちゃってるみたいで、いつも申し訳なくてー」

恵理子がそう言うと、康樹は首を横に振ったー


「ーははは、そんなことないさー

 最初は償いの気持ちだったけど

 今は本当に、俺は梨桜のことを愛してるし、心から好きだー。

 一緒にいたくて、一緒にいるんだー。

 だから、無理なんかしてないー」


恵理子の親友、益美もきっと、

最初は同情の気持ちだったかもしれないが、

今は心から友達として、女体化した律雄…梨桜との付き合いを

続けているのだと思うー。


「ーーこれから先も、俺はずっと梨桜を幸せにし続けるよー

 それが、俺の幸せだからー」


康樹がそう言うと、恵理子は少し安心した様子で微笑むと

改めて「結婚、おめでとう」と、言葉を口にしたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーおかえり~」


「ただいま」

帰宅した康樹は、梨桜のほうを見つめるー


今日も嬉しそうに、今日の出来事を口にしている梨桜を見てー

康樹は改めて思うー。


”俺のせいでーごめんなー”


康樹が、律雄が女体化したあともずっと優しかったのはー

”自分のせい”だからー

最初はそうだったー


でも、今は違うー

今は本当に、心の底から律雄ー、いや、梨桜のことを大事に思っているー


”これから先も、俺は絶対、梨桜のことを幸せにし続けるからなー”


康樹はそう思いながら、梨桜のほうを見つめていると、

梨桜は「どうしたの?そんなに見つめてー」と、

少し照れくさそうに笑みを浮かべたー



おわり


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コメント


女体化男子のマリッジブルーの最終回でした~!☆

どうして女体化してしまったのか、が、明かされましたネ~!


ここまでお読み下さりありがとうございました~!☆

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