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入れ替わった状態のまま過ごす優奈と雄太ー。

それぞれの違いに驚きながらも、何とかそれを乗り越えていた二人

だったものの、

雄太に対して一方的な好意を抱く生徒会書記・美琴が、

”雄太と優奈が最近よく一緒にいる”ことに腹を立てて、

優奈(雄太)に執拗な嫌がらせを始めたー


”俺が耐えればいいだけだー”


こうなったのは、自分のせいでもあるしー、

優奈になるべく負担をかけたくないー。


そう思った優奈(雄太)は、美琴からの嫌がらせを雄太(優奈)に

相談せず、”自力で対処する”道を選ぶー。


しかしー…?


★前回はこちら↓★

<入れ替わり>憧れのきみをいつも見ていた③~棘~

雄太と優奈は入れ替わった状態のままの生活を続けるー。 雄太になった優奈は、念願の体育の授業に参加しー ”憧れだった”雄太の身体でスポーツを堪能するもー、 ”やっぱり、身体が動くだけでは田辺くんにはなれないー”と、実感するー。 一方、優奈になった雄太も”優奈の身体”が 「想像以上に自分の思うように動かない」こ...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーー」

体育の授業ー


授業中のサッカーの試合で軽快に走り回る

雄太(優奈)ー


”まだ”身体が軽く動くことに慣れていないのかー

時折”勢いあまる”ような動作を見せることはあるもののー

最初よりも随分と身体に慣れてきている様子だー


それにー


「ーすげぇ楽しそうじゃんー」

優奈(雄太)は、微笑みながら”体育の授業の見学”を続けるー。


優奈と同じように、”外”に立って、そのまま男子や女子たちの

体育の授業を見つめる優奈(雄太)ー


保健室の大橋先生は”中に入っててもいいのよ?”なんて言ってくれているがー

優奈はいつもここでこうして、体育の授業を見つめ続けていたー。


「ーすごいなー」

チームメイトたちとの連携を見て、優奈(雄太)は

そう呟くー


ふとー、女子たちの授業が行われている左側を見つめるとー

生徒会の美琴がこっちを睨んできているのに気づくー


「ーーーー”…月影さん、どうすっかなぁ…”」

優奈(雄太)は困惑しながら頭をかくー


”坂森さんに、負担をかけるわけにもいかないしー

 どうにかしないとな”


そう思いながら、優奈(雄太)は、美琴の件を対処しようと考え始めるー。



放課後ー

図書室で図書当番の仕事をこなす優奈(雄太)ー


優奈(雄太)も、一生懸命図書室の仕事をしているー。

だがー、中身が雄太になってからー

”図書室の雰囲気が変わった”と一部の生徒が口にしているのを聞いたー。


”優奈”は、想像以上に細かな気配りができる子でー、

一生懸命やっているようでもー、

一見すると簡単そうな図書室の当番でもー、

その”差が”出たのだー


”図書室の仕事、舐めてたー”

そう思いながら優奈(雄太)が、片づけて外に出ようとするとー

美琴が待ち伏せをしていて、図書室の中に入って来たー


「あんたさぁ、いい加減にしなさいよー?

 今日もずっと、体育の授業中、田辺君のほう、見てたでしょ」

うんざりした様子で近付いてくる美琴ー


優奈(雄太)は「ー誰をどう見ようが、勝手だからー」と、

言葉を返すー。


カッとなった美琴が、優奈(雄太)の腕を掴んで壁に叩きつけると、

「ーーあんた、本当に目障りー!

 体育にも出れない身体のくせしてー!」

と、攻撃的な言葉を口にしてくるー


優奈(雄太)はー、それでもまともに相手しようとせずー

「ーーこれ以上しつこいと、先生に言うからー」とだけ

言い放ったー。


こういう嫌がらせを今まで、雄太は受けたことがなかったー。


”受けてみて”初めて分かったー。

いじめー、いやがらせー、そう言ったものに立ち向かうのは

”簡単ではない”ということがー。


一度”誰かに”そういうターゲットにされてしまうとー

本当に大変だと言うことがー。


そう思いながら、今度こそ立ち去ろうとしたその時だったー


美琴が背後から、優奈(雄太)を乱暴に掴みー

突然、今まで以上の力で突き飛ばしてきたー


図書室の机に激突する優奈(雄太)ー


「い、いてっ…ちょっ…やめろって!」

思わず素を出してしまう優奈(雄太)ー


だが、美琴は完全に”キレた”のか、

邪魔なイスを蹴り飛ばして、優奈(雄太)の頭を叩いたり、

蹴りを加えたり、容赦ない暴力の嵐を浴びせて来るー


「ーちょ…!!!おいっ!やめ…やめて!」

優奈(雄太)は悲鳴を上げるー


何とか反撃しようとするー。

だが、呼吸が苦しくなって、咳が出て来るー


身体を動かそうとしてもー

”身体が重いー”


やがて、美琴の暴力を防ぐことも、逃げることもできなくなりー、

激しく咳き込む優奈の身体ー


「ーーそうやって、”わたしは可哀想”みたいな態度もうざい!!!」

美琴が、椅子を手に、それを優奈(雄太)に投げようとしてくるー


だがー、その時だったー


「ー!?!?」

美琴が、変な声を出すー。


「ーーーー…」

咳をするのに必死になっていた優奈(雄太)が顔をあげるとー

そこには、雄太(優奈)の姿があったー


「ーーー何してんだよ」

雄太(優奈)は、怖がりながらも必死に”雄太”として振る舞いー

美琴の腕を掴みながら言い放ったー


「ーーた、た、田辺くんー」

美琴は”好きな人”の登場に驚いて、目を震わせるー


「こ、こ、こ、この女が、生意気だからー!

 た、田辺君だって、こんな女ー!」


美琴が必死に言い訳をしようとしていると、

雄太(優奈)は言い放ったー


「ーーー…」

すぅっと息を吸ってからー


「ーー俺はお前みたいなやつの方が大っ嫌いだ!!」

と、今までの人生で一番大きな声を出したー。


”自分の身体”よりも、すぅっ、と、自分でも驚いてしまうぐらいの

大きな声が出て、雄太(優奈)が自分でも驚いていると、

美琴がぶるぶると震えながら、目に涙を浮かべるー。


「ーこんな女の何がいいのー?

 田辺君は、この女の何なのー!?」


美琴が身体を震わせながらそう言い放つー。


”好きな雄太”にキツイ言葉を浴びせられてかなりショックを

受けている様子が見て取れるー。


そんな様子に、雄太(優奈)は、緊張した様子で

さらに深呼吸をするとー、


「ーーこ、これ以上ー、俺の好きな人に手を出したら

 ゆ、許さないからな!!!!」


そう、勢い余って叫んだー。


”どうしたら美琴を撃退できるか”

そう思ってー、雄太になった優奈自身も、頭の中がグルグルしながら

咄嗟に叫んだ言葉が、それだったー。


”俺の優奈に手を出すな”

そんな、感じの言葉を言い放ってしまったー。

”田辺くんの身体で勝手に”ー。


「ーーえ?」

優奈(雄太)が少し驚くー。


「ーーーー…バカッ!もう知らない!」

美琴は泣きながらそのまま走り去っていくー。


走り去っていく美琴を見つめてからー

苦しそうにしている優奈(雄太)を見つめると、

雄太(優奈)は「よ、よかったぁ…」と、へなへなその場に座り込んだー


「ーど、ど、どうしてここにー?」

はぁはぁ言いながら優奈(雄太)が言うとー

「ーー何で…言ってくれなかったのー?」と、

心配そうに雄太(優奈)が言うー。


雄太(優奈)は、優奈になった雄太が、美琴から

嫌がらせを受けていることに気付いていたー。

美琴は隠れて優奈(雄太)に嫌がらせをしていたしー、

優奈になった美琴は、雄太(優奈)に一切相談をしなかったもののー

”周囲の状況をよく観察している”優奈は、気づいていたー。


”わたしになった田辺くんが、嫌がらせを受けているー”

とー


「ーーやっぱすごいなー坂森さんはー」

優奈(雄太)がため息をつきながら、ようやく落ち着いてきた

呼吸を整えるとー、

図書室の机の一つに座るー。


「ーーす、すごい?わたしがー?

 わたしは別にー…」

雄太(優奈)が照れくさそうに言うと、

「いいや、すごいよー」

と、優奈(雄太)は笑ったー。


「ーすごいのはー、田辺くんでしょ?

 スポーツも出来て、友達も多くてー、何でもできてー」


雄太(優奈)がそう言うと、優奈(雄太)は首を横に振るー


「ーーーはははー、そうでもないよー

 坂森さんは、すごいー」


そう言葉を口にするとー


優奈はいつも、常に周囲に気配りをしていてー、

図書委員としての仕事も、そんな優奈の気配りがよく行き届いていたー


「ー俺が坂森さんになってからー結構、評判悪くてさー。

 ”今までより不便になった”みたいなことも何度か言われたよー」


苦笑いしながらそう呟く優奈(雄太)ー


「ー普通にやってるつもりでもー、

 こうなっちゃうんだからー

 それが無自覚っていうのかなー?自然に出来てる坂森さんは

 ホント、すごいよ」


さらにー

最近の体育の授業ー


「ー自分じゃ、気づいてないみたいだけどー、

 最近、チームの奴ら、ホント俺が俺だった頃よりー

 やりやすそうにしてるー


 ほら、俺はさー、何でも自分でやろうとしちゃうけど、

 坂森さんは、チームワークで勝とうとする感じっていうかー?


 見てて分かるんだー

 俺より、俺の身体を使いこなしてるってー」


優奈(雄太)がそこまで言うと、

雄太(優奈)は「それは褒めすぎだよぉ…」と、照れくさそうに笑ったー。


「ーーそれよりーさっきのはー?」

優奈(雄太)が突然、そんな言葉を口にしたー


「え?さっきの?」

雄太(優奈)が言うと、

優奈(雄太)は、顔を赤らめながらー


「ほ、ほらー」

と、さっきの、雄太(優奈)が美琴に言い放った言葉を口にしたー


「ーーこ、これ以上ー、俺の好きな人に手を出したら

 ゆ、許さないからな!!!!」


「ーーあ… あ… ぁ~~~~~」

雄太(優奈)はまるで乙女のように顔を真っ赤にすると、

「あれは~~その、と、咄嗟にー…

 ご、ごめんなさいー…

 わたしなんかのこと、好きみたいな設定になっちゃうかもー…」

と、モジモジしながら言い放ったー


「ーーはははーそれは勘弁だなぁ」

優奈(雄太)が言うー


雄太(優奈)は「だよねーごめんなさい」と、言うと、

優奈(雄太)は「あ、いや、違う違うー」と、慌てるー


「勘弁なのはー…そのー…今のーーー

 俺の身体でそう、真っ赤になってモジモジされると

 ちょっと気味悪いって言うかー…」


すぐにそう釈明するとー

優奈(雄太)は

「いいよー好きみたいな設定でー」と、笑うー。


「え」

雄太(優奈)は困惑するー。


「ーーっていうかさー、

 ”設定”じゃなくて、いっそのこと俺たち、付き合ってみるか?」


優奈(雄太)が、ドキドキしながらそう言うと、


「えっ…!?!?えぇぇっ!?」

と、雄太(優奈)はイスから飛び上がるようにして立ち上がったー


「ーーーダメ…か?」

優奈(雄太)が不安そうに言うと、

雄太(優奈)は「だ、だってーわたしのこと、可哀想じゃないって言ってたしー

わ、わたしのこと、田辺くんもあんまり好きじゃないんじゃー?」と、

勢いあまって、言ってしまうー


「ーーー…えぇ?? あ~~~いや、

 それは、誤解だってー


 俺はーーその…なんていうかー

 変な話だけどー」


優奈(雄太)は、そう言うと、

「俺は坂森さんにあこがれてたー」と、

言葉を口にしたー


「ーーは、はいっ!?わ、わたしに憧れる!?

 ど、どういうことー?」


雄太(優奈)が戸惑うー。


優奈(雄太)は、少し照れくさそうに笑いながらー


”だって、坂森さん、いつも一生懸命だったしー、

 体育の見学の時も、いつも応援してくれてるの

 見てて伝わって来たしー、

 それにー、誰よりも周囲の状況を見ていて、気配りも出来てるー。


 身体のことで大変なのに、素直にすごいなーって

 

 俺だったらー”どうして俺はこんな身体なんだ”って

 思って、不貞腐れちゃうかもしれないような状態なのにー

 坂森さんはいつも一生懸命でー


 だから、そんな坂森さんに俺、こう見えて

 憧れてたんだー”


と、ひと思いに言葉を口にしたー


「ーーへ… へぇ~~~~…

 わ、わたしも、田辺くんにいつも憧れてたけどー

 ま、まさか、わたしの方も憧れられてたなんてー


 えへへー」


雄太(優奈)は素直に嬉しそうに笑うー。


「ーー憧れてる人を”可哀想なやつ”なんて思えないだろー?

 だから、可哀想じゃないってーー」


優奈(雄太)がそう説明するとー、

雄太(優奈)は「なんだー…そ、そうだったんだー」と、

安心した様子で頷くー。


「ーーでも、やっぱり田辺くんはすごいよー!

 だってーわたし、田辺くんになってからすごくいっぱい

 話しかけられてるしー

 そういう、明るくて、何でもできちゃうようなところー

 やっぱり、すごいと思うー」


雄太(優奈)が言うと、

優奈(雄太)は少しだけ照れくさそうにしながらー


「ーーーお互い憧れてる同士ーーーか」と、呟いてからー

「憧れ同士、どうかなー?」と、再度”付き合う”提案を口にしたー。


優奈(雄太)のそんな言葉に、

雄太(優奈)は少し考えたあとにー、


「ーーで、でもーー

 人生初めての告白が”わたしから”って言うのはちょっとー」

と、恥ずかしそうに答えるー


優奈(雄太)は、そう言われて自分の綺麗な手を見つめるとー

「あ… ははー、た、確かにー」と、照れくさそうに笑うー。


「ーー俺もーまさか、初告白が、”男”相手で

 ”自分”相手なんてー」


優奈(雄太)はそう言いながら苦笑すると、

「ーー元に戻ってからー だな!」と、笑いながら立ち上がったー。


「うん!」

雄太(優奈)は嬉しそうにそう返事を返したー


互いにー

相手の良いところに憧れてー

お互いの想いもちゃんと伝えてー

誤解も解けたー


生徒会書記・美琴は、”好き”だった雄太に嫌われたことが

余程ショックだったのか、その日以降、何もして来なくなったー。


あとは、元に戻るだけーーー


のーー

はずだったのにーーー


舞う桜を見上げながら、

優奈(雄太)が、呆然とした表情で戸惑いの言葉を口にしたーー


「ーーも、元に戻れないまま、卒業を迎えてしまったー」

とー。


「ーーあ、あははーー…そ、そうだねー」

雄太(優奈)が隣で笑うー


そう、二人は、元に戻ることが出来ないままー

それから1年以上が経過しー、

ついに、卒業式を迎えてしまったのだったー


⑤へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


今回で最終回…ではなく、

⑤もあります~!☆


⑤は未来編…!?


次回もぜひ楽しんでくださいネ~!

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Comments

飛龍

おお! 雄太(優奈)が助けにきてくれるの良いねぇ~ 勢いあまって告白しちゃってるのが微笑ましすぎてグッ! 2人がくっついてハッピーエンド……かと思いきや次回に続くんだね、楽しみです!

無名

ありがとうございます~!☆ 「あと1話、まだ描きたい部分が~☆」となったので、 もう1話書くことになりました~笑 楽しみにしていてくださいネ~!