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人間のアクセサリー類に擬態して

その身体を支配する寄生虫ー。


美亜に寄生していた寄生虫に身体を支配されてしまった紗季は、

正気を取り戻した美亜や、妹の千夏から不審に思われていることに

苛立っていたー。


そんな中、紗季と美亜の友人、百恵も別の寄生虫に寄生され、

紗季の仲間となりー、

二人は、再び美亜も”仲間”に入れようと動き始めるー…


☆前回はこちら↓☆

<寄生>擬態するパラサイト③~苛立ち~

外側から人間に寄生し、支配する寄生虫ー。 美亜に寄生していたその寄生虫は、 ”擬態を解いた”場面を目撃されたことから、美亜の友人である 紗季に”移動”し、宿主を乗り換えたー。 紗季を支配後は、紗季の身体で欲望を満たしー、 ”パラサイトの繁殖”という目的のために、暗躍を続けるー。 そんな中、妹の千夏から”変な虫...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーおぇっ…」

紗季が制服姿のまま、口から何かを吐き出すー。


口から吐き出したのはー

”寄生虫”ー


涎と一緒に垂れて来る寄生虫を見てー

同じく”寄生”されてしまった百恵が笑みを浮かべるー。


「ーせっかく、可愛いメスの身体を使ってるのにー、

 この”産み方”どうにかならないのかなぁ?」


百恵は、紗季から”産む”瞬間が見えないように、

隠しながら”寄生虫”を産みだすー。


パラサイトに支配された人間はー

”寄生虫”を体内で作り出し、十分に成長した段階で

新たに寄生虫を産みだすー。


”支配した人間”を使って交尾を繰り返し、

”寄生虫のDNAを受け継ぐ"子供ー

通称”ハイブリッド”を出産するー


それが、パラサイトの最終目的だー。

やがて、人間は、”人間とパラサイトが融合した存在”に

とって変わられてー、

人類は”いつの間にか”食物連鎖の頂点から退場することになるのだー。


とは言えー…

人間の身体で出産しー、支配していくには時間もかかるし、

”寄生”された人間を増やすためには、寄生虫自身も繁殖しなくてはいけないー。


乗っ取られた人間は

”パラサイト”から送られてくる特殊な信号により、脳の命令系統にも

影響を与えー、体内のある場所に栄養素を少しずつ蓄積させていくー。


そしてー、

寄生虫の赤ん坊を体内で作り出しー、

十分に成長した段階でー

”器”から吐き出しー、

寄生虫を”出産”するー。


こうすることで、”寄生虫自体”も、繁殖していくー。


「ーーーえへへへへーわたしの可愛い子供ー」

オエオエしながら、紗季が笑みを浮かべー

たった今、自分が口から吐き出したー、

”パラサイト”を見つめるー。


その指には、紗季に寄生しているパラサイトが

擬態している”指輪”も、輝いているー。


「ーふふふふ…♡ かわいい♡」


”正気の紗季”なら、自分が口から、

こんなグロテスクな寄生虫を吐き出したとなれば

失神してしまうかもしれないー。


しかしー、支配されている紗季にとってはー

身体の底から喜びがこみあげて来るー

そんな、状態だったー。


「ーーふ~~~わたしも終わり」

百恵も、口から寄生虫を産みだしてー、

「この子たちは、マザーに任せよっか」と、笑みを浮かべるー。


”マザー”とはアクセサリー屋に扮した老婆のことで、

その店には”アクセサリーに擬態した寄生虫たち”が、並べられているー。


そこから、寄生を拡散させているのだー。


「ーーで、美亜のほうは?」

紗季が自分の指輪をペロペロと舐めながら

気持ち良さそうに、ゾクゾクとしながら言うと、

百恵は「ー今夜ー、病院の看護師さんに協力を依頼してー

”仲間”にしちゃうよー」と、笑みを浮かべるー。


「ー紗季ちゃんとーわたしとー、美亜ちゃんー

 この”メスたち”は、友達だもんー

 美亜ちゃんも、仲間に加えてあげないとー」


低い声でそう呟いた百恵は、邪悪な笑みを浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


帰宅した紗季は、

妹の千夏と廊下ですれ違うー。


「ーあ、お姉ちゃんーおかえりー」

千夏にそう声を掛けられて、

紗季も「ただいま~」と、微笑むー。


”そういえばー、このメスも仲間に入れちゃいたいなぁ”

紗季はそう心の中で思いながら部屋の中へと入っていくー。


母親の敏子は”仲間”だが、千夏はそうではないー。


「ーーーーー……」

髪飾りを見ても”仲間”の反応はなくー、

千夏はまだ、”寄生されていない”ー。


「ーーーーそうだー…

 次、子供を産んだらー千夏も”仲間”にしてあげないとー

 くふふふふふ♡」


紗季はそう呟くとー

「ーーここ…いいにおいなんだよなぁ…」と、

レッグリングに擬態した自分を見つめながら、

興奮した様子で顔を赤らめたー


「ー人間のメスのー

 なんて言うのかな…

 そうーー

 えへ…太腿ー…

 ここに巻き付いてるとーー

 

 んっふぅぅぅぅ…♡」


レッグリングが”本体”だがー、

興奮するのは、紗季の身体ー

言葉を発するのも、紗季の身体ー。


そんな、奇妙な光景が広がるー


「百恵はー、今頃ー…どうしてるかなー?」

ふと、時計を見つめながらそう呟く紗季ー。


百恵は今夜ー

病院の看護師に寄生している”仲間”と共に

美亜を”お迎え”に行っているー。


百恵は”念のため”病院の入口付近で

スタンバイすると言っていたー。


「ーーー明日からはー、また”三人”仲良しだね」

紗季はそう囁くと、静かに自分の太腿に巻き付いた

レッグリングを嬉しそうに撫で始めたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


美亜の入院している病院ではー

イヤリングを身に着けた百恵が腕組みをしながら

入口付近を見守っていたー


「ーーま、わたしが来るまでもないだろうけどー」

クスクスと笑う百恵ー


”ー紗季ちゃんはー

 ”楽しむ”ことを優先しがちだし、感情的になりがちだからー

 ここには呼ばなかったけどー”


百恵はそんな風に思いながら、病院のほうを見つめるー


院内では”マザー”から受け取った”指輪に擬態したパラサイト”を持った

看護師が、美亜の元に向かっているー


「ーーーーふふふふ」

看護師の女は笑みを浮かべるー。


”まさか、俺たちを見て怯えるなんざー、予想外だったがー

 まぁーーあの二人の話を聞く限り

 ”擬態している俺たち”が、直接、美亜とか言う子に

 見られなければ、問題ねぇみたいだからなー”


女性看護師に寄生している寄生虫はそんなことを呟きながら

美亜の病室の前までやってきたー。


人間を乗っ取るパラサイトに”性別”の概念はなくー

人間を支配するまでは”無個性”だー。

だが、人間に寄生し、その人間の記憶を全て読み取ることで

初めて個性が目覚めるー。


それ故に、”女性的な”性格や振る舞いをするパラサイトが多いがー、

稀に、この看護師を乗っ取っているように、男性的な個性を

手に入れる者もいるー。


「ーーさぁ~て…」

寝静まっているであろう美亜の病室に入って来た看護師ー。


美亜が万が一、目を覚ましても、抜かりはないー。


何故ならーーー


女性看護師は、服の上から自分の脇のあたりを触るー


”ー俺は”タトゥー”に擬態しているからなー”


元々、この女性は、そんなものしていなかったもののー、

”身体に密着していれば”

そう言うものでもー

”擬態による支配”が可能だー


「ーこの身体に刻まれたパラサイトの刺繍はー

 外からは見えないだろうさー」


看護師はニヤッと笑みを浮かべながらーーー

美亜に指輪をはめようとしたー。


その時だったー


「ーー動くな!」

背後から声がして、女性看護師は驚くー。


背後にいたのはー

私服の警察官2名ー。


「ーー……ー動くなー!

 ”化け物”めー」


”パラサイト”は、基本的に世間には知られていないー。

ほとんど、知る人間もいないー。


だが、警察の一部人間だけはその情報を掴んでいてー

密かに捜査を続けているー。


美亜かー、あるいは美亜の親かー、分からないが

そのあたりから、”パラサイトを捜査する捜査班”に

情報が漏れたのだろうー


「ーーあ~~~~~~~…

 わたしーただの看護師さんなんですけどぉ~?」


小馬鹿にした態度でそう呟くとー、

看護師に擬態しているパラサイト自身がー

タトゥーから、ネックレスに姿を変えるー。


そしてー

捜査官の一人に向かってそれを投げつけたー。


「ーー!?」

それを掴んでしまった捜査官は、ニヤァ、と笑みを浮かべるー

それと同時に”パラサイト”が身体から離れた女性看護師の身体はー

その場で白目を剥いて倒れ込むー。


美亜に寄生させようとしていた”指輪”に擬態したパラサイトが音を立てて

床を転がるー。


パン!パン!


「ーーー!?」

病院の中から銃声が聞こえて来て、

外で見張っていた百恵が表情を歪めるー。


「ーなんか…ヤバそうー」

百恵はそう呟くと、退散しようと、足早に歩き始めるー。


だがーーー

捜査官は病院の周囲でも待ち伏せをしていたー。


「ーー君ーー…”パラサイト”かなー?」

捜査官の男の言葉に、百恵は慌てて走り出すー。


”くそっ!お気に入りのメスなのに!”

そう思いながら近くのビルの非常階段を駆け上がる百恵ー。


”パラサイト”の存在を察知している捜査班も

”実際に寄生されている人間”を正確に見極めることはできずー

捜査は難航している状態ー。


だからこそ、美亜と美亜の両親を通じて手に入れた

”この情報”を逃すわけにはいかないー


ビルの屋上に追い詰められた百恵は両手をあげながら笑みを浮かべるー。


そしてーーー

耳のイヤリングをぶちっ、と乱暴に取るとーーー

「ーーこのメスーー気にってたのになぁ♡」と、言いながらー

イヤリングを屋上から遠くに放り投げたー


”誰かが拾ってくれればー”


すぐに、新しい身体が手に入るー。


”ここで”捜査官を支配することもできるがー

それではまた追撃を受けるー


こうしてー

”どこに行くか”分からないようにするのが、一番いいーー


「ーーぁ」

イヤリングに擬態していた寄生虫が手から離れたことで、

百恵はよろめいて、そのままビルから落下するー


捜査官たちは叫び声をあげるもー

もはや、百恵の身体はそのまま地上へと落下する運命から

逃れることはできなかったー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


紗季は、動揺していたー。


病院で”捜査官二人が撃ち合い”をして死亡ー、

”女子高生が自殺”ー

”女性看護師が錯乱”


これらの情報から

”百恵たちは失敗した”と、判断したのだー。


捜査官二人が撃ち合いをしたのはー

”看護師から捜査官に移動したパラサイト”と、

”もう一人の捜査官”が、銃を撃ち合って

相打ちになってしまったためだー。


「ーーーあぁぁぁ…ムカつくー」

イライラしながら自分の髪をぐしゃぐしゃにする紗季ー。


髪がぐしゃぐしゃになるまで、頭を掻きむしると、

はぁはぁ言いながらー

「人間の癖にー…!」と、

人間のせいで、おそらく百恵たちは失敗したことを悟り、

「ー美亜のことー、絶対に仲間にしてやるからー」と、

表情を歪めるー。


鏡に映った紗季の姿はー

怒りに満ちていたー。


「ーーーギギギギギギ…」

うなり声をあげながらー

ペンダントの装飾部分を口に咥えてガリガリと齧り始める紗季ー。


紗季を支配している寄生虫が、

”思い通りに行かないとき”にする癖だー。


乗っ取った”メス”に自分が齧られることで、

刺激を味わい、苛立ちを抑えようとしているー


「ーーーはぁ…はぁ…はぁ…」

紗季の身体の底からもイライラが爆発しそうなぐらいに

溢れて来るのを感じるー。


「ーーくそっ!」

紗季は思わず、机の椅子を乱暴に蹴り飛ばしたー


「ーーーあれぇ~?お姉ちゃん…どうしたの?」


ーー!?!?


その言葉に、紗季はバッと振り返るー


髪をボサボサにしてー

ペンダントをガリガリと齧りー、

机の椅子を蹴り飛ばしたー


そんな、場面を目撃されたー


紗季は、「あーー、ち、千夏ー」と、

表情を歪めると

「何でも、何でもないの!ちょっとイライラしててー

 ごめんーあのー、なんていうかー

 今は、消えてくれる?」と、

棘のある口調で、必死に紗季として振る舞いながら

千夏に出て行ってもらおうとするー。


だがー

妹の千夏は、紗季の方に近付いてくるとー、

「お姉ちゃんー…”それ”何?」

と、ペンダントを指さしたー。


「ーー!?」

紗季が表情をさらに歪めるー


「ーーそれーー”変な虫”に見えるけどー」


その言葉に、

妹の千夏に”バレてる”ことを察した紗季ー


”こいつ、何で見えるー!?”

アクセサリーに擬態していれば、普通の人間には、

見えないはずー


”仕方ないー

 こいつに乗り換えるしかー”


今、手元に別の”仲間”がいれば、そいつを寄生させればよかったー。

だが、今は周りに仲間はいないー


こうなったらー

紗季から千夏にー


そう思って、咄嗟にペンダントを外してー

そのままそれを千夏に手渡したー


「ーーぁ」

千夏の手にペンダントが渡りー、紗季がその場に倒れ込むー。


「ーーーー…」

寄生虫が擬態したペンダントを手渡された千夏はーーーー

そのまま、笑みを浮かべたー


だがーー

ペンダントに擬態した寄生虫ーーー

紗季にたった今まで寄生していた寄生虫が擬態している

ペンダントをそのまま床に落とすとー

それを何度も何度も踏みつぶしてーー

”粉砕”したー。


擬態である故にー

指輪にせよ、ペンダントにせよ、本物程の強度はないー


砕け散ったペンダントはー

やがて、ボロボロになった寄生虫の姿に戻るー


”ーーーな……ぜ…支配できない…?”


紗季に寄生していた寄生虫は、

消えゆく意識の中ー

そう思ったー


妹の千夏はー”仲間”ではないー。


寄生されている人間にはー

”同志”が見えるー。


だがー

千夏は指輪もペンダントも何も身に着けていないしー

お風呂に一緒に入った時にも、何もーーー


そんな風に思っている寄生虫に対してー

千夏はしゃがみながら笑みを浮かべたー


そしてーーー

大口を開き、”奥歯”を指さすー。


一番奥の歯のーーー

親知らずが生えるような位置にーーー

よく見ると、一つだけ”銀歯”があるー


「ーーー!!!!!」


その”銀歯”にーー

”仲間”の姿が重なったーーー


千夏も”仲間”だったのだー

千夏に寄生している寄生虫は”奥歯”に擬態してー

外からは絶対に見えないようにしていたのだー


「ーーーわたし、”そのメスの身体”が欲しくなったのー

 だから、あんたは、”邪魔”ー」


千夏がクスッと笑うー。


千夏に寄生した寄生虫は、当初、紗季は眼中になかったもののー

別の寄生虫に寄生された”おしゃれになり始めた紗季”を見て

”そっちの身体の方がエロイじゃんー”と、思い始めー

紗季の身体を仲間から奪うことを決意したーーー


弱っていく”紗季に寄生していた寄生虫”ー


そういえばーーー

百恵に寄生していた仲間から、言われたー


「ーーわたしたちだって全員が全員、友好的なわけじゃないし

 あんま感情的になりやすいと、

 身体、奪われちゃうよー?

 いいメスは、競争率、高いんだからー」


とー


仲間にーー器を奪われたーーー


千夏から、紗季に”移動”した仲間を見つめながらー

美亜から、紗季に移動しー、

欲望の日々を楽しんでいた寄生虫はー

その場で、力尽きて消滅したーーー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


数年後ーーーー


大学生になった紗季は、

妖艶な笑みを浮かべながら

大学構内を歩いていたー。


耳にピアスを輝かせながらー

髪を茶色に染めてー

派手な化粧をしー、

服装も男を誘うような服装とー

もはや、元々の紗季の面影はないー


「ーーこの”メス”ーほんと、かわいいなぁー」

鏡を見つめながら、紗季はそう呟くとー

耳のピアスを嬉しそうに指で触りながらー

クスッと、不気味な笑みを浮かべたー



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


”人間が身に着けているもの”に擬態する

パラサイトのお話でした~!☆


身の周りで急におしゃれになった子がいたら、

要注意デス!笑


お読み下さりありがとうございました~!

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