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”黒幕”から呼び出された悠馬ー。


悠馬は洗脳された彼女の後についていきー、

”指定された場所”へと向かうー。


一方、ダークアプリMを開発した会社ー

ダークネスソフトウェア本社のビルの屋上で

悠馬と輝樹を待ち構える亮介はー

”最後の結末”を頭の中で描きながら

二人の到着を待っていたー


そこにー

”招かれざる客”も向かっていることを知らずにー。


☆前回はこちら↓☆

<MC>歪められた絆㉙~決戦~

黒幕の正体が判明したー。 黒幕に理由を問いただす悠馬ー。 その理由は、悠馬からすれば受け入れがたい理由だったー。 黒幕をその場で追い詰めようとする悠馬と輝樹だったがー、 彼女の愛梨沙の身体を強引に操られて、 黒幕を取り逃がしてしまう二人ー。 黒幕の”エンディング”は阻止したー。 しかし、まだ終わらないー。...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


★主な登場人物★


・神里 悠馬(かみさと ゆうま)

大学生。妹の雫と彼女の愛梨沙を救うため、最後の戦いに赴く。


・神里 雫(かみさと しずく)

高校生。兄の悠馬のことが大好き。少しイタズラっ子な一面も。


・森永 愛梨沙(もりなが ありさ)

大学生。悠馬の彼女。成績優秀な優等生。コスプレ趣味がある。


・藤嶋 亮介(ふじしま りょうすけ) 

大学生。高校時代からの親友。事件の黒幕であることが判明した。


・西園寺 美桜(さいおんじ みお)

高校生。妹・雫の親友。表裏が非常に激しい。


・九条 輝樹(くじょう てるき)

高校生。妹・雫の幼馴染で悠馬とも小さいころから面識がある。


・玉城 東吾(たまき とうご)

裏社会の便利屋。”依頼”は終わったものの、不穏な動きを見せている。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーここよ」

彼女の愛梨沙が冷たい口調で呟くー


悠馬は、そんな愛梨沙のほうを見つめながら

悲しそうな表情を浮かべるも、意を決して

案内されたビルのほうを見つめたー。


”ダークネス・ソフトウェア”ー


雫や愛梨沙を洗脳した

「ダークアプリM」を開発した企業ー


その社長、真村譲司とは、未だに接触することができていないー


亮介がここに悠馬を呼んだー、ということはー…

真村譲司もここにいるのだろうかー


「ーーー!」

人の気配を感じて、悠馬が横を向くと、

そこには雫と、雫の彼女・輝樹の姿があったー


「悠馬さんー」

輝樹がそう呟くー。


悠馬が、雫のほうを見るー


雫は鋭い目つきで悠馬を睨み返したー。


雫も、愛梨沙と同じように”また”洗脳されているー。


「ーーーさぁ…”ご主人様”がお待ちよー」

愛梨沙と雫が同じ笑みを浮かべながら言うー。


「ーーー…ふざけやがってー」

輝樹がボソッと呟くー。


悠馬も、言葉こそ発しなかったものの

激しい怒りを感じながら、二人をー…

いいや、二人の背後にいる亮介の姿を思い浮かべながら、

拳を握りしめたー。


ビルの入り口は開いていたー。

日が沈みー、夜になったにも関わらず、本社ビルの内部は無人ー。


無言の愛梨沙と雫に案内されながらー

エレベーターに乗り、そのまま一直線に屋上へと向かうー。


悠馬と輝樹が、お互いに顔を見合わせるー。


「ー必ず、二人を助けようー」

悠馬が輝樹に向かってそう言うと、

輝樹は力強く頷いたー。


そしてー…

ビルの屋上へとたどり着くー


さすが、資金力のある企業のビルの屋上ー。

綺麗な夜景が一望できるその屋上にー

親友であり、黒幕であった亮介が待ち構えていたー。


愛梨沙と雫が笑みを浮かべながら亮介の方に向かって行くー


まるで”秘書”のように亮介の左右に立つと、

愛梨沙と雫は見下すような笑みを浮かべながら

悠馬たちのほうを見つめたー


”彼女と”妹”

大切な二人をこんな風にされてー

悠馬は歯ぎしりをしながら亮介を見つめるー


「待ってたぜ悠馬ー

 ついでに、お前もー」


亮介がそう言うと、

輝樹は「俺はついでかよー…」と、呟きながら

「ー俺はあんたを絶対に許さないからなー」と、

怒りの形相で亮介を見つめるー


「へへへー」

亮介は、悠馬たちの背後の屋内になっている部分を見つめるー。


そこには、悠馬たちが乗ってきたエレベーターがあるー。


「ーーーーー」

亮介はしばらくそれを凝視すると、再び悠馬たちのほうを見つめたー。


「ー悠馬ー…俺のことが憎いか?」

亮介がそう言うと、悠馬は「あぁ、憎いよー」と、答えるー。


亮介はフッと笑うー。


「ーでもー同時に、亮介、お前は親友だー。

 憎いけど、悲しいー


 それがー…本音だなー」


悠馬が寂しそうに夜景のほうを見つめるー。


亮介は「ははー奇遇だな」と、笑うー。


「ー俺もだよ、悠馬ー」

そう言うと、亮介はスマホを手に、ダークアプリMを起動したー


「ーー真村とかいう社長はここにはいないのかー?」

輝樹が口を挟むー。


すると、亮介は首を横に振ったー


「ー真村社長なら、ここにはいないぜー」

亮介がそう言うと、輝樹は表情を歪めたー。


「ーーーーさァー悠馬ー

 これで本当に最後だー


 俺は全ての目的を達成したー


 あとはーーー

 そう、”エンディング”だー。

 幕を引けば、それで終わりー」


亮介がそう言うと、ニヤニヤしながら

ダークアプリMの画面を見せ付けたー。


そしてー


雫と、愛梨沙の洗脳を、その場で”オフ”にしたー


「ーー!?」

「ーー!!!」

雫と愛梨沙が正気を取り戻すー。


「ーゆ…悠馬ー」

愛梨沙が困惑の表情を浮かべながら悠馬の方に駆け寄るー


「ーお兄ちゃんー…輝樹ー」

雫も戸惑いながら二人の方に駆け寄ると、

悠馬が愛梨沙をー、輝樹が雫をそれぞれ、守るようにして

自分の後ろに回して、亮介のほうを見つめたー


「ーーー悠馬ー

 お前の苦しむ姿が見れて、本当に楽しかったよー。

 

 俺と違ってー

 全て”持ってた”お前のそういう顔が見れるのはー

 ホント、たまらなかったー」


そんな言葉に、悠馬は

「ー二人を開放しろー…もう、二度と手を出すなー

 その物騒なアプリをー今すぐ削除しろ!亮介!」と、叫ぶー。


「ーーーあぁ、するさー」

亮介はそう言うと、ニヤリと笑うー。


「この”舞台”が終わったら、消してやるー」


「なにー…?」

悠馬と輝樹が表情を歪めるー。


「ーーー最後の舞台ー…!

 悠馬ー!見せてくれよ!

 お前の苦痛に歪んだー

 最高の顔をー!」


亮介はそう叫ぶと、

「選べ!」と、両手を広げながら叫んだー


「ーー愛梨沙ちゃんかー

 雫ちゃんーーー


 これから、どちらか一人を再び”洗脳”するー」


亮介が愛梨沙と雫を指さすー


雫は怯えた表情を浮かべてー

愛梨沙は「ーふざけないで!」と、怒りの形相で

亮介に叫ぶー。


「ーーーその”洗脳された”愛梨沙ちゃんか雫ちゃんにー

 お前を殺すように命令するー

 お前を壊したくて壊したくてたまらないー

 そんなヤベェ女に変えてやるー」


亮介はそこまで言うと、

「ーお前と、大事な女性(ヒト)のデスマッチだー」

と、今まで以上に邪悪な笑みを浮かべたー。


「ーーーふざけるな…!そんなことさせるか!」

輝樹が口を挟むー


しかし、亮介は「お~っと、お前は黙って見てなー

お前を呼んだのはただ”オーディエンス”を増やしたかっただけだー」と、

笑みを浮かべるー。


「ーーーーーさぁ、悠馬、選べー

 愛梨沙ちゃんか、雫ちゃんかー。

 どっちを”俺の手ごま”として差し出すかー?」


亮介がそう言うと、

悠馬は、背後にいる愛梨沙と雫のほうを振り返るー。


「ーー悠馬ー…」

「お兄ちゃんー…」

不安そうな二人ー。


「ーーーそんなこと、できるわけー」

悠馬がそう言うと、亮介は「お~っと!悠馬!お前に拒否権はねぇ!」と

スマホを悠馬たちの方に向けるー。


「ーーー!」


”今すぐ死にたい”


そんな、命令が、スマホに表示されているー。


「拒否したらー

 愛梨沙ちゃんと、雫ちゃんにこの命令で洗脳するー


 ここはビルの屋上ー

 …そしたらどうなるかー…

 分かるよな?悠馬ー…」


亮介の冷たい言葉に、悠馬はビルの屋上から見える景色を

見つめるー


「ーー二人で俺に突進しても、無駄だぜー?

 お前らが俺を止める前に、俺はボタンを押すー


 そしたら、悠馬ー、お前たちがたとえ俺を殺したとしてもー

 愛梨沙ちゃんと、雫ちゃんは永遠にー

 ”死のうとし続けるー”」


亮介の言葉に、悠馬と輝樹は歯ぎしりをするー


「ーー選べよー悠馬ー。

 最後に最高の景色を見せてくれー


 お前が”勝ったら”ー

 二人とも、解放してやるー」


悠馬は、その言葉を聞きながら歯ぎしりをするー


「愛梨沙か、雫を差し出せだってー…?

 そんなことーできるわけがない!


 二人とも怖がってるじゃないか!

 いい加減にしろ!亮介!」


悠馬が怒りをあらわにするー。


それでも、亮介は「30秒以内に選べー」と、呟くー


輝樹は亮介の隙を伺っていたもののー

亮介がスマホのボタンを押す前に、

それを亮介を倒し、スマホを奪うことは

現実的には不可能に近かったー


「あと20秒!」

亮介が叫ぶー。


”くそっー”

輝樹が愛梨沙と雫のほうを見つめるー


悠馬は、悔しそうにしながら

拳を強く握りしめるー


「あと10秒!ほらほら!選べよ悠馬!」

亮介が煽るー。


あと5秒ー

あと4秒ー

あと3秒ー


悠馬は”俺に…選べるわけー”と、

口を開きかけて、再び考えるー


どうにかー、どうにか亮介を止めないとー。


永遠とも思えるような時間の中、

必死に頭をフル回転させる悠馬ー。


だが、そんな悠馬の思考を、

思わぬ声が遮ったー


「悠馬!」


悠馬が振り返るー。


悠馬を呼んだのはー

彼女の愛梨沙だったー


「ーーわたしでいいよー悠馬」

愛梨沙は不安そうな表情をしながらも、

悠馬を真っすぐ見つめていたー。


「ーわたしがー……行くからー」

愛梨沙の言葉に、悠馬は「愛梨沙ー…でもー」と、

困惑の表情を浮かべるー


「ーーいいの。

 雫ちゃんに怖い思いはさせたくないしー

 

 わたしー

 悠馬を、信じてるからー」


愛梨沙が微笑むー。


不安そうにー

悲しそうにー

けれども、悠馬のことを心から信頼しているー

そんな顔だー。


「愛梨沙さんー」

雫が、愛梨沙のほうを見つめると、

愛梨沙は、雫のほうを見つめ返して、優しく微笑むー。


「ーー悠馬!時間切れだーさぁ、どーー


「ーー少し黙ってろ!!!!」

悠馬が大声で亮介を怒鳴りつけたー


普段、激高しない悠馬の怒りの声に

笑みを浮かべていた亮介は少し驚いた様子で言葉を止めるー


「ーーー愛梨沙ー」

悠馬は、そのまま愛梨沙のほうを見つめるとー

「ーー必ず…絶対にー命を賭けてでも助けるからー」と、

愛梨沙の手を握りしめると、

愛梨沙は「うん」と、頷くー。


そしてー

少しだけ微笑むとー

「ー悠馬に、また酷いことしちゃうかもー

 先に…謝っておくねー」と、寂しそうに呟いたー


呆然としている亮介のほうをキッと睨むと、

愛梨沙は「ーーー操られるのは、わたしよー」と、

亮介に言い放つー


亮介はニヤッと笑うとー

「へへ…いいぜー、愛梨沙ちゃんー」と、

ダークアプリMを見せ付けながらー

”洗脳”をONにしたー


ピクッと震える愛梨沙ー


「ふふ…ふふふふ…あはははははははっ」

笑い出す愛梨沙を見てー

悠馬も、雫も悲しそうに表情を歪めるー


「ー悠馬ーーわたし…あんたをぶっ壊したくてたまらないのー」

数秒前の優しい笑みが嘘のように歪むー


「ーーー…愛梨沙ー」

悠馬はそう呟くと、真っすぐ愛梨沙のほうを見つめるー


「ーーさぁさぁ…戦え!悠馬!

 愛梨沙ちゃんを、倒せー!

 そうしないとお前の命はないぞ!」


亮介はそう言うと、愛梨沙にナイフを投げつけるー


愛梨沙は笑いながらそれを拾うと、ペロリとナイフを

舐めながら悠馬を見つめるー


「ー悠馬ー…わたしがぶっ殺してあげる♡」

うふふ、と笑う愛梨沙ー


悠馬は「ー約束は守るー」と、愛梨沙に言い放つー


「約束?」

愛梨沙がニヤニヤしながら言うと、

悠馬は「必ず愛梨沙を助けるって約束さ!」と、

即答してー、

愛梨沙のほうを見つめたー


「ーーそんなの…必要ない!」

ナイフを持って襲い掛かって来る愛梨沙ー。


亮介はその光景を見つめながら、

エレベーターのほうを再度見つめるー


「ーーーー」

すぐに視線を戻すと

”そうー、俺を憎めー”と、笑みを浮かべるー。


「ーーー…くそっー」

輝樹が悠馬と愛梨沙の戦いを見つめるー。

雫も、不安そうにその光景を見つめているー



「ーーーふふふ…どうしたの悠馬~?

 わたしを殺す気でかかってきなさいよ!」

愛梨沙が髪を振り乱しながら

ナイフを振り回すー


悠馬は愛梨沙の腕を掴んで、なんとかナイフを叩き落とすとー

「ーー俺はーーー戦わないー」と、言い放つー。


「ーふ~~~ん…ならー」

愛梨沙は悠馬の急所を思いっきり蹴りつけると、倒れ込んだ悠馬に

殴る・蹴るの暴行を加え始めるー


「愛梨沙さん!やめて!」

雫が愛梨沙に向かって叫ぶー


しかしー

愛梨沙は狂ったように笑いながら、悠馬を徹底的に痛めつけていたー


倒れ込んだ悠馬の胸倉をつかむと、

愛梨沙は何度も何度も悠馬にビンタを繰り返すー


「ーーうふふふふふふ!

 その顔…いい!いいよ悠馬!

 わたしーーー興奮しちゃう!」


愛梨沙が顔を赤らめながら悠馬を見つめるー


悠馬はそれでも、反撃する素振りを見せずー

「愛梨沙ーーー…あんなアプリに負けちゃだめだー…!」と、

言い放つー


そんな言葉が届くかどうかは分からないー


けれどー

それでも、届くと信じてー。


もちろんー

悠馬も無策で、愛梨沙に痛めつけられているわけではないー


悠馬は悠馬なりに”策”を考えているー


少しずつー、

愛梨沙に痛めつけられて、ボロボロになっているふりをしながらー

”亮介との距離”を詰めているー。


亮介が、ダークアプリMのボタンを押す前にー

スマホを奪うー、あるいは突き飛ばすことができればー

亮介を制圧できるー


「ーーーねぇ、悠馬ー

 もっともっと悲鳴をあげてよー

 ほら、ほら、ほらァ!!」

愛梨沙が倒れた悠馬の急所を靴で踏みにじると、

悲鳴を上げた悠馬を見て、

嬉しそうに笑うー


「あぁぁ…♡さいこう!

 ゾクゾクする!ほら!苦しめ!!苦しめ!!!」


愛梨沙のそんな言葉に、雫が「やめてよ!お願い!!」と、

愛梨沙に駆け寄るー。


「ーーーー外野は黙っててー」

愛梨沙が冷たい口調で言うー。


「ーーもう、いやー…

 そんな愛梨沙さんー見たくないよー


 愛梨沙さんは、お兄ちゃんと一緒に笑ってないと、だめ!!!」


雫が泣き叫びながら言うー


「ーーーーー!!!」

愛梨沙の瞳が、ほんのわずかにー

震えたー


気がしたー


しかし、すぐに愛梨沙は悠馬を無理やり起こすと、投げ飛ばして

今度は悠馬の首を絞め始めたー


「ーーありさ…!!!!」

悠馬が必死に叫ぶー


輝樹は”もう限界だー”と、悠馬と愛梨沙を止めに入ろうとするー


しかしーーーー


「ー!?!?!?」

輝樹は、突然足を引っかけられてその場に転んでしまうー


「ーーー邪魔しちゃ…ダメでしょ~?」

泣き叫んだばかりの雫が、笑みを浮かべるー


「ーー!くそっ!」

輝樹が亮介のほうを見つめるー


亮介が雫の洗脳もオンにしたのだー


「ーー輝樹ー

 いっしょにー見よー

 お兄ちゃんが苦しむ姿をー


 うふふふふふ♡」


泣きながら笑う雫を見てー

輝樹はキレて、亮介に襲い掛かりそうになったがー

寸前のところで自制したー


「ーーーーーがっ…」

悠馬の意識が遠のくー


だが、愛梨沙が突然力を緩めるとー

「もっと、もっと、苦しんで貰わなくちゃ!」と、笑うー


”ーーーーーー”

亮介は、そんな様子を見つめながら、

エレベーターの方に視線をずらしたー。


「ーーーー!」

亮介が表情を歪めるー


エレベーターが”動き出したー”


「ーーー来たかー」

亮介はそう呟くとー

悠馬と愛梨沙の方に視線をずらすー。


そして、叫んだー


「悠馬!!!!

 殺されかけても、反撃しないなんてー

 やっぱお前はすげぇよ!本物だ!


 お前なら、愛梨沙ちゃんを幸せにするんだろうな!」


亮介がそう言うとー

続けて輝樹のほうを見つめるー


「ーお前のことはー俺は良く知らねぇけどー

 さっきから、ずっと雫ちゃんを守ることばっか考えてるよなー


 視線で分かるー


 お前もーーーー」


そこまで言うとーー

エレベーターが屋上に到着して、その扉が開くー。


「ーーーー!」

悠馬と、輝樹が、屋上にやってきた”招かれざる客”を見つめるー


オールバックにトレンチコートーーー

裏社会の便利屋・玉城東吾ー


「ーーこれはこれは神里悠馬に、九条輝樹ー

 勢ぞろいかー」


玉城東吾は、笑いながら屋上に足を踏み入れるー。


「玉城ー…!何でお前がここに!?」

悠馬が叫ぶと、玉城東吾は「裏社会の便利屋を見縊るなよー?」と、

笑いながら悠馬のほうを見つめるー


輝樹も、玉城東吾のほうを警戒するー。


そしてー、玉城東吾は

信じられない物を手に、それを亮介の方に向けたー。


「ーーー!」

亮介も、表情を歪めるー


「ーーーー藤嶋亮介ー

 お前が”黒幕”だったとはなー…」


玉城東吾がニヤリと笑うー


その手に握られているのはー”拳銃”ー


「ーーー」

亮介は両手を挙げながら、

「ーーやっぱー、アンタは来ると思ってたぜー」と、笑みを浮かべるー。


「ーほぅ?」

玉城東吾がうすら笑みを浮かべながら反応すると、

亮介は「狙いは、これだろ?」と、ダークアプリMを起動したままの

スマホを持った手を動かすー


「ーそこまで分かっているなら、話は早いー」

玉城東吾はそう言うと、「それをこちらに渡してもらおうー」と、

笑みを浮かべるー。


「ーーー”人を洗脳することができるアプリ”

 しかも、遠隔操作をすることまでできるー。

 それがあれば”裏社会”での仕事もさらに便利になるからなー」


玉城東吾は笑うー。


玉城東吾は、悠馬たちの戦いの結末をただ、面白がって見ていただけではないー。

依頼を終えた後もずっとー

ダークアプリMを狙っていたのだー


そのためー悠馬たちを泳がせてー

情報を与えるようなこともしながらー

”黒幕”が誰か、判明するまで待っていたのだー


「ーーーまた、誰かから依頼されたのかー?」

輝樹が呟くー


玉城東吾に、”誰か”が、ダークアプリMを奪うよう、

依頼したのだろうかー。


しかしー

玉城東吾はそんな輝樹のほうを見つめると

笑みを浮かべながら呟いたー


「依頼人はー”俺自身”ー

 ククー…つまり、俺がそれを欲しいんだー」


亮介に銃を向けたまま、玉城東吾がそう呟くと、

亮介は「まぁ、こんなヤベェアプリー、お前みたいなやつは

絶対に欲しがると思ったぜー」と、笑みを浮かべるー


そしてー

亮介は信じられない言葉を口にしたー


悠馬と輝樹が驚くー。

洗脳されたままの愛梨沙と雫が首を傾げるー


玉城東吾も、亮介の思わぬ言葉に表情を微かに歪めたー



ダークネスソフトウェア本社の屋上ー

全ての悲劇は、ここで終結を迎えようとしていたー



㉛へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


いよいよ完結も目前に迫ってきました!★

登場人物たちを待ち受ける結末は果たして…!?


長編はいつもそうですが

半年以上連載していると、

”この世界を広げることを終える”時が近づくと

ちょっぴり寂しくなります~笑


また次回も楽しみにしていてくださいネ~!

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