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「ーーーえ~、ホントに?嬉しい~!」


同じ大学に通う杉本 紗愛(すぎもと さら)が嬉しそうに微笑むー。


「ーーはははーちょうど昨日、クリアしたばっかりだったからさー

 ナイスタイミングだな」


そんな紗愛と話をしていたのは、

同じ大学に通う男子生徒、水嶋 修平(みずしま しゅうへい)ー。


幼少期、小学生、中学生、高校生ー。

これまで、修平はお世辞にも”モテ”とは縁の遠いー、

そんな人生を送って来たー。


しかし、ここ最近ー変化が訪れたー。


”俺にもモテ期がやってきたのかもしれないー”

そんな風に思う修平ー。


まず一人は、今、話をしている同じ大学の女子・沙羅ー。

大学生生活も既に2年目だが、去年、全く話をしたことがなかった

紗愛と、今では嘘のように仲良しになり、

こうして、ゲームを貸し借りする間柄になっているー。


修平の趣味は、”ゲーム”だ。

大のゲーム好きで、小さい頃から時間の許す限り、

プライベートではゲームを遊んできたー。


だがー、反面、容姿も含め、それ以外のことには無頓着で、

特に生まれ持ったイケメン!というわけでもない修平は、

”モテない人生”をこれまで送って来たー。


修平自身ー、

そんな”モテない自分”のことを別に気にしてはいなかったのだがー…


ここに来て、”モテ期”が到来したのだ。


「ーーでも、ホント、水嶋くんとわたしって遊ぶゲームの

 趣味もぴったりだよね」


微笑みながら言う紗愛ー。


「ーーた、確かにー…

 こんなに話し合う子と会うの、初めてだよー」

修平が少し照れくさそうに言うと、

「ーー趣味が合うって素敵なことだよね」と、紗愛は微笑むー。


紗愛はとてもおしゃれな風貌の女子大生だー。

おしゃれ、と言っても派手なおしゃれではなく、

正統派の美少女のような、そんな感じの子だー。


正直、修平からすれば、”太陽”のような存在で、

自分は地べたからそれを見上げるトカゲのような存在だー。


太陽とトカゲー。

照らされることはあっても、絶対に直接交わることはないー。

そんな、二人だったはずなのにー

今年に入り、修平と紗愛は”急接近”したー。


共通のゲームの趣味があることを知りー、

話をするうちに、ゲームの趣向まで同じであることを知ったー。


こうして、今ではトカゲだったはずの自分が

太陽である紗愛と、こんな風に親し気に話をしているー。


もはや、現実とは思えないー。


「ーーーじゃあ~わたしのクリアしたら、感想教えるね!」

紗愛が修平から借りたゲームソフトを嬉しそうに見つめると、

「また明日!」と、そのまま紗愛は立ち去って行ったー。


「ーーーーー」

修平に背を向けたまま、歩いていく紗愛が

少しだけ不気味な笑みを浮かべるー。


そんな笑みには気づかず、

紗愛が立ち去ったあとも、嬉しそうに笑っている修平ー。


「ーと…いけね!今日はバイトだー」

ふと、我に返った修平は、この後バイトのシフトが

入っていることを思い出して、慌てて大学の外へと向かうー。


ちょうど、バイト先であるホビーショップとの間に

自宅があるために、途中で立ち寄って

大学の荷物を置き、そのままバイト先に向かうー。


ゲーム好きな修平はー、

バイトでゲームや玩具類に囲まれる日々を送っていたー。


ちょうど近場に、ゲームや玩具、アニメグッズなどを

取り扱うお店があってー、

そこでバイトを募集していたのを目にしてー…

面接に応募したところ、採用して貰えたのだー。


修平は、趣味のゲーム以外に無頓着ではあるものの、

表面上の人当たりはよく、コミュニケーション能力は低くないー。


接客においても、トラブルを起こすことなく、

日々、無難にバイトの仕事をこなしていたー。


「ーーーあ、水嶋くんじゃん~!お疲れ~!」

バイト先に到着すると同時にー

いかにもギャルな感じのバイト先の先輩・秋山 優花(あきやま ゆうか)が

笑うながら修平の方に近付いてきたー。


どう考えても、このお店に売られているものに興味が無さそうな

雰囲気の優花ー。


最初は修平も苦手意識を持っていたものの、

見た目とはまるで別人のような中身で、

ゲームにも滅茶苦茶詳しいー。


「ーーーねぇねぇ、そういえば昨日のアレ、見た~?」

優花が嬉しそうに昨日のアニメの話題を口にするー。


「ーあ、見ました見ました!」

修平が嬉しそうに返事をすると、

バイト開始の時間になるまでの間、事務所で優花と

楽しそうに雑談をするー。


「ーそれにしてもー…秋山さんって

 そういうの見そうなイメージありませんでしたよ~全然」


修平が笑うー。


当初、優花とはシフトが被ることもなく、

他のバイトの噂によれば「楽そうだから」という理由だけで

このバイトを始めて、やる気もないー…という

”最悪の印象”の先輩だったもののー、

最近、突然シフトが被るようになり、

実際に会ってみると噂で聞いていた性格とは全然違いー、

すっかり今では意気投合している。


「ーーえ~~?ギャルがアニメ好きじゃだめなの?」

優花が意地悪そうに笑みを浮かべながらそう言うとー

「えっ…いや、そ、そういうわけじゃなくてー

 見た目とのギャップがすごいなってー」

修平がそこまで言うと、

優花はわざとらしく顔を近づけながらー

「ーーギャップ萌えでもしてるの?」と、揶揄いながら

クスクスと笑ったー。


この優花とも、修平はとても仲良しで、

連絡先も互いに交換したほどー。


「ーーーーせ、せ、先輩ー 近いっ…近い!」

修平が顔を赤らめながら言うと、

優花は「ー水嶋くんって童貞?」と、楽しそうに質問してきたー


「ど、ど、ど、ど、ど、どうでしょうねぇ?」

突然の質問に顔を真っ赤にしながら、

変な受け答えをしてしまうと、

優花は「かわいい~…!今度卒業させてあげよっか?」と、

甘い声で囁いてきたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「は~~~~…」


ため息をつきながら自分の住むアパートに戻って来た修平ー。


今日は優花にドキドキさせられっぱなしだったー。


”あたし、水嶋くんのこと好きだけどなぁ”

なんて、途中で言われたことでさらにドキドキは強まり、

修平は、帰宅する最中もニヤニヤしていたー


”モテ期って、ホントにあったのか”

そんな風に思いながら、家の扉を開けようとすると、

ちょうど隣の部屋から出て来た

眼鏡をかけた可愛らしい女性が

「あー…お疲れ様ですー」と、穏やかな口調で頭を下げたー


「ーこんばんはー」

修平が咄嗟にそう返事を返すと、

「ー先日は、どうもありがとうございましたー」と、

眼鏡の女性が再び頭をぺこりと下げるー。


隣の部屋ー

203号室に住む一人暮らしの女性、

川上 明美(かわかみ あけみ)ー。


今、明美にお礼を言われているのは、

先日、明美の自転車の調子が悪かったのを、

直してあげた件についてー、だ。


「いやいやー大したことじゃありませんしー

 また何か困ったことがあったら、言ってくださいー」


修平がそれだけ言うと、

そのまま自分の部屋に入って行こうとするー。


だが、そんな修平のことを、明美は呼び止めたー。


「あ、あのっー!」

明美の言葉に、修平は「はい?」と、自分の部屋の扉に

かけた手を止めると、

明美は「こ、今度ー、もしよければお礼にーー御馳走させて

もらえませんか?」と、恥ずかしそうに言葉を口にしたー


「ご、御馳走ー?いやいやそんなー

 本当に大したことじゃないですしー」


修平が言うー。


明美の自転車のチェーンの調子が悪くー、

自転車屋にそれを持って行こうとしていたのを偶然見かけて

「あ~それなら俺にも直せそうですけど、もしよければー」

と、ササッとそれを直しただけに過ぎないー


”分からない人”には、難しいものの

”分かる人”には、それほど難しくないー

そんな作業をしただけだー。


「ーーー!」

だがー、修平は明美が露骨に悲しそうな顔をしているのを見てー

「あ、いえ、イヤと言うわけではないんですけどー

 そのー、自転車のチェーン直したぐらいで申し訳ないなってー」と、

言葉を口にすると、

明美は「ーーーい、いえー…わ、わたしが御馳走したいんですー」と、

今度は少し積極的な言葉を口にしたー


”な、なんなんだこりゃー…!?”

修平は困惑するー。


これがモテ期かー。

修平は確信した。


二人だけではなく、三人ー。

これは、確実にモテ期だー。


大学の同級生・紗愛ー

バイト先の先輩・優花ー


そして、隣人・明美ー。


いきなり三人とイイ感じになるなんてー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


土曜日ー


修平は、親友の拓真(たくま)と共に、

ゲームショップを訪れ、その帰りに昼食を食べていたー


拓真は高校時代まで一緒だった親友でー、

お互いが別々の大学に進学した今でも、

こうして時々会っている間柄だー。


お互いに大のゲーム好きだがー、

同じ大学に通う紗愛とは少し違い、

最近はあまりゲームの趣味は合わないー。


と、いうのもー

拓真の方は最近”リアリティ”を求めるようなゲームが好きで、

VR機器が発売された時も真っ先に予約をして購入したぐらいだー。


一方の修平は、そうではなく、

VRとか、そういうものには正直、興味がないー。

5万とか、モノによってはもっとする価格のものを買うのであれば

その分、新作ゲームがたくさん遊べるじゃん!と、いう考え方だー。


ということで、最近はお互いに遊ぶゲームの趣味は

合わなくはなっていたもののー、

それでも昔からの親友ということもあってー、

こうして仲良くしていたー。


「ーーところでお前、相変わらず彼女はいないのか?」

拓真が、コーラを飲みながらそんな言葉を口にするー。


修平が昔から”特に恋愛には興味がない”ということは

拓真も知っているー。

周囲に彼女が出来ても、全く気にする様子を見せなかったからだー。


別に、”三次元なんて!”とか、リアルの恋愛を嫌悪しているような

タイプではなかったがー

”相手がいなければ、別にそれでいいや”と、

そういうタイプの男であることは、拓真もよく知っているー。


だが、今日ばかりはー


修平が「いや、それがさー」と、ニヤニヤしながら呟くー。


「ーーー…何だよ?彼女、できたのか?」

拓真がコーラを飲み終えて、ハンバーグセットのポテトを

食べながら笑うと、

修平は「大学でさ~ゲームの趣味が合う子がいて~」と、

紗愛のことを嬉しそうに話し始めたー


「マジかよ!そんな可愛い子がお前と趣味ピッタリなんてな~!」

拓真がオーバーリアクション気味に驚いて見せるー。


「ーそれと、バイト先の先輩ー…

 なんか妙に話が合ってさー。

 しかも、今度なんか童貞卒業させてあげるとか

 訳の分からないことまで言われてー」


バイト先の先輩ギャル・優花のことを思い出しながら

修平が言うー。


「ーそれは、遊ばれてるだけじゃね?」

拓真が笑うー。


そして最後にー

「あ、そうそう、明日の日曜日ー

 アパートの隣に住む川上さんって人と

 食事にも行くことになっててー」

と、ニヤニヤしながら修平が言うと、

「モテ期って本当にあるんだなー」と、

ご機嫌そうに呟いたー


「ーーーははー…

 で、その三人の誰かと付き合ってるのか?」


拓真がそう言うと、

修平は顔を赤らめながら

「い、いやーそういうわけじゃないけどー」と、

三人のそれぞれが自分の彼女になった場合のことを

つい、一瞬妄想してしまうー。


紗愛が彼女になればー

毎日ゲームの話題で盛り上がったり、ゲームの対戦をしたりで

本当に楽しい日々を送れそうな気がするー。


バイト先の先輩のギャル、優花の場合はー

アニメの話題などで盛り上がれそうな気がするー

ちょっと引っ張られる感じにはなりそうだけれど、

それはそれでいいのかもしれないー


隣人の明美の場合は、

癒される日々を送ることができるかもしれないー。

お互いに奥手でなかなか前に進めないかもしれないけれどー、

何となく、居心地の良さを感じそうだー。



紗愛ー、

優花ー、

明美ー


「ーーホント、なんか恋愛ゲームの主人公になった気分なんだけど!」

修平がニヤニヤしながら言うと、

拓真は「モテモテだな!」と、笑いながら修平のことを揶揄ったー


だがーーー


”まァーーー

 全部、”俺”なんだけどなー”


拓真は笑うー。



帰宅した拓真はー

”自宅に干してある”

三人の女性の皮を見つめるー


紗愛ー

優花ー

明美ー


三人とも、全員、拓真だー。


「ーーーーーさて、とー」

”月曜日の朝”は、紗愛を着て大学に行くー。

大学が終わったら即帰宅して”優花”を着てバイトに行くー。


そしてバイトが終わったら”明美”に着替えて何食わぬ顔で修平の隣の

部屋に”帰宅”するー



そうー

突然のモテ期はー

”偽りのモテ期”だったのだー。



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


新たに皮モノがスタートデス~!


モテ期到来…★!のはずが…?

この先が心配ですネ~笑


続きもぜひ楽しんでくださいネ~!

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